Interview

進化し続けるGLIM SPANKYが次に提示した「孤高」に込めたメッセージとは。

進化し続けるGLIM SPANKYが次に提示した「孤高」に込めたメッセージとは。

“孤高”、それはナルシスティックな言葉ではない。孤高のロック・デュオ“GLIM SPANKY”は、カウンター・カルチャーとしての役割を捨てつつあるロック・シーンに忽然と登場し、作品でも発言でも「夢を貫くこと」「一人で立つこと」を繰り返しメッセージしてきた。
彼らの新作のタイトルは、「I STAND ALONE」。この“I Stand Alone”というフレーズは、孤高を意味すると共に、60年代の偉大なミュージシャンの一人であるアル・クーパーのデビュアルバムのタイトルでもある。アルはディランのセッションに参加した後、ブラスロックバンドの先駆者である“Blood,Sweat and Tears=血と汗と涙”を結成した。ルーツロックをリスペクトしてやまないGLIM SPANKYの松尾レミは、どんな思いを込めて最新ミニアルバムのタイトルにしたのだろうか。
サイケデリック・ロックの色の濃い5曲を収録したこの『I STAND ALONE』でサウンドの要となっているギタリスト亀本寛貴と、松尾に新作の意図と夏に向けてのバンドの意気込みを聞いた。

取材・文 / 平山雄一 撮影 / キセキミチコ


アルバム「I STAND ALONE」の方向性

新作で、またすごくロックに深入りしましたね。

亀本 常にロックだけどね。

「ここまでやるか!」って思った。

松尾亀本 ホントですか。

若いリスナーはこのミニアルバム『I STAND ALONE』を聴いてどう思うんだろう?

亀本 どう思うんだろうね。

松尾 わからん。

GLIM SPANKY

「わからん」って(笑)。1曲目の「アイスタンドアローン」は、アル・クーパーのアルバムタイトルと同じだね。

松尾 そうそう、そうなんです。私が高校のとき、GLIM SPANKYとは別にソロでアコースティックの弾き語りをするときに“I stand alone”って名前で活動してたんですよ。それで東京に来るときにメンバーがふたりになって、アコースティックもふたりでやるようになっていったんで、“I stand alone”っていうソロ名義は無くなっていっちゃった。でもI Stand Alone=孤高に在るっていう言葉がすごく好きだったので、いつか使いたいなと思って温めておいたものを、今回「出すときが来た!」と思って曲を書いたっていう感じです。

サウンドは完全にサイケデリックの方向にいっちゃってるよね(笑)。

亀本 (笑)わりと僕ら的には、普通な感じなんですけど。特に奇をてらったつもりもなく、ちょっとカッコいいロックを作ろうぐらいな感じで作ってました。

サイケは歴史的にもカッコイイとされてるジャンルなので、カッコイイのは間違いない。でも今のリスナーが聴いたら、すごくエキゾチックに感じると思う。

松尾 確かに。

しかもサイケに加えて、80年代の“フュージョン”のニュアンスが入っているのが新しい。

亀本 確かにフュージョンの人たちが弾く音階になってるかも。

でもロックから逸脱してない。というか、どうしてもフュージョンのギタリストだと「この人たちは頭がいいな」っていうニュアンスが出るんだけど、GLIM SPANKYは頭がワルそうで素敵だ!(笑)。

亀本 (笑)

松尾 良かった、良かった。ロックだからね(笑)。

自分たちの感覚に正直にやっているのかな?

亀本 そうですね。理屈でやってるというよりは、耳でOKならOKというところでやってます。

レミさんのイメージにも重なってますか?

松尾 もともと私が「サイケデリックな要素をやりたい」って、一年ぐらい前からずっと計画を立てていたので、計画通りです!(笑) 今後、もっと深い部分のサイケデリックな音楽をやりたいので、それを予感させられるような曲になればいいなと思って。王道のロックだけど、サイケすぎず、歌詞も真っ直ぐっていうバランスを取りながら作りました。

GLIM SPANKY

レミさんのサイケデリックは、たとえばどんなアーティストをお手本にしているんですか?

松尾 60年代後半から70年代の初めぐらいに、ロック・ミュージシャンにインドがブームになりましたよね。

ビートルズのジョージ・ハリスンが“インドかぶれ”になったりね(笑)。

松尾 そうですそうです。ミュージシャンがインドにみんな行ったあとぐらいの(笑)。サイケにもいろいろあって、60年代のフワッとしたものっていうよりかは、今回は70年代に入ったぐらいの、ロック的な強めのサイケデリックを基調としてやった感じです。アメリカ西海岸のジェファーソン・エアプレインというバンドが大好きで、昔から聴いてたんで、そういうのをやりたかったんだろうなって、曲を作ってから思いましたね(笑)。

亀本 僕からすると、今のカサビアンにも似た感じがするな。

確かに匂うね。

亀本 中東なのか、アフリカなのか、よくわかんない感じ(笑)。

松尾 アークティック・モンキーズとか、最近だとテンプルズとかね。

超マニアックな話題だなあ(笑)。ベースを弾いてるくるりの佐藤(征史)さんは、この「アイスタンドアローン」に関しては何か言ってましたか? 

松尾 「この曲、どうやって弾いたらいい?」って。

あははは、くるりも不思議なメロディが多いのにね。

松尾 そうですよね、童謡みたいな、ロシアン民謡みたいな曲もあるし。

その佐藤さんが「どうしたらいいの?」って言う(笑)。

松尾 くるりって音楽に挑戦してるバンドだと思ってるので、当てはまるかなと思ったんです。最終的には楽しんで弾いていただきました(笑)。

良い作品を作るために、意識していること

GLIM SPANKYも相当、挑戦的なバンドだよね(笑)。歌詞は?

松尾 孤高っていうテーマは、普通、ネガティブな要素が強いように感じる。「たった一人で怒ってる」ようなイメージなんですけど、私はそれよりはもっとポジティブな、「孤高でいくことの大切さ」みたいなことを歌詞に書きました。自分が何をするか、ブレないで生きていくことの信念をフィーチャーして書きたいなと思ったんで、自分なりのテーマを設けて書きました。

GLIM SPANKY

GLIM SPANKYはライブのMCの中でも、「おかしいものはおかしいって言いたい」っていうメッセージをいつも発してますけど、手応えはありますか? あるいは怖くなったりしませんか?

松尾 まったく怖くないですよ。逆に、ずっとそう言ってきてよかったなって思うようなところがある。違うと思ったことは違うって言ったほうが、自分たちの音楽のためだと思ってます。もちろん常識外れな言葉では言わないですけど、自分たちはこう思うってことをしっかり伝えようとしてやってきました。みんなが遠慮しちゃうことも、言うことによって、逆にいいものが出来たなっていう実感がすごくある。逆にそうやって言ったことによって、「こんなことを言う若者はなかなかいない。久しぶりに出会ったよ。もっと一緒にやろうぜ」みたいなことを先輩方から言ってもらったり。自分がいい作品を作るために、ちゃんと言うことが大事だなってすごく実感してます。ネガティブなことじゃなくて、良くするための意見ですから。

この前の大阪の「森亀橋」のイベントには、先輩方に囲まれて参加していたけど? 

松尾 皆さん、GLIM SPANKYのことを知っていてくれて、トータスさんが「毎晩、酒飲みながら聴いてるよ」って言ってくださったり、中村達也さんや斉藤和義さんも「いちばん気になってたんだよ」と言ってくださったり。そういうことが今までなかったのに、先輩バンドとコミュニケーションがとりやすくなってきてよかったなって。

亀本 それをやってきたよかったなって思うよね。

基本的にアレンジは2人でやって、レコーディング・ミュージシャンを呼んで録音したんですか?

松尾 そうです。ある程度、形を作った上で、ミュージシャンに相談して変わっていった。

亀本 今回はけっこう変わったよね。

松尾 大まかな音は変わらないんですけど、私たちはドラムやベースの細かいところはわからないんで、煮詰めてなかったところをプロのドラマーやベーシストに考えてもらって、クオリティが上がるっていう感じでした。

亀本 1,2,3曲目のドラムが福田(洋子)さんで、4曲目が伊藤大地さん。ベースは1曲目と3曲目がくるりの佐藤(征史)さんで、2曲目はストレイテナーのひなっち(日向秀和)さん。4曲目は亀田(誠治)さん。5曲目は、弦が中心なので、ベースとドラムは無しでした。

松尾 アコギと、薄くエレキのSEみたいなのが入ってます。

2曲目の「E.V.I」も新しいサイケデリック・ロックだね。いろんな音楽ジャンルがクロスする感じは、60~70年代のバンド“ザ・バーズ”に通じていると思った。

松尾 ザ・バーズ、大好き! っていうか私、ここ一年ぐらいザ・バーズばっかり聴いてる。

亀本 僕はあんまり聴いてないんですけど、レミさんが「ザ・バーズ、ザ・バーズ」ってすげえ大騒ぎしてるんですけど。

松尾 ザ・バーズ、マジでやばい。

亀本 へー。

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