黒川文雄のエンタメ異人伝  vol. 3

Interview

『Downwell』開発者が語るゲームと未来(下)「ゼルダ」の衝撃と、次世代クリエイターへのメッセージ

『Downwell』開発者が語るゲームと未来(下)「ゼルダ」の衝撃と、次世代クリエイターへのメッセージ

音楽、映画、ゲームなどを総称するエンタテインメントは、人類の歴史とともに生まれ、時代に愛され、変化と進化を遂げてきました。 そこには、それらを創り、育て、成熟へ導いた情熱に溢れた人々がいます。この偉人であり、異人たちにフォーカスしインタビュー形式で紹介するエンタメ異人伝。 今回のゲストは、日本国内だけでなく、アメリカなど海外からも高い評価を受けている『Downwell』の開発者、インディー・ゲームクリエイターのもっぴんこと麓 旺二郎氏です。 世界中から注目を受けているもっぴん氏がなぜインディーゲーム開発を行うことになったのか、影響を受けたゲーム、尊敬しているクリエイターなど、制作にまつわる様々なエピソードから、開発者としての思いまで、たっぷりと語っていただいた。

※本記事は3回にわたってお届けするインタビューの最終回です。第1回(上)第2回(中)はこちら

インタビュー取材・文 / 黒川文雄


『Downwell』の、ネットへの書き込みでは第三者のツイートで「ゴミ溜めを見た」というコメントをもっぴんさんがリツイートしているのを見たんですけど……。

もっぴん そこまで、黒川さんツイート見ているんですか? うわ~マジか~、ツイートを消しておけば良かった(笑)。

やっぱりそのコメントに対して、俺も同じだよっていう気持ちがあったんですか?

もっぴん もちろんそうです。自分のゲームを出したら、やっぱり人が何を言っているか気になるんですよね。で、エゴサーチとかをしまくって…(笑)。

それはよく分かります。ゲームは自分の大切な子供みたいなものですからね。

もっぴん 黒川文雄

もっぴん そう、気になっちゃうんですよね。それで、コメント欄か2ちゃんねるか忘れましたが、僕自身見ていてアタマにくるものがあって。「コイツ!」みたいな感じだったんですけど、それに対して「ゴミ溜めを見た」って書かれていた方がいたんです。「オッケー俺も一緒だ」と思わずリツイートしちゃいました。それ以外にも変な中傷がいろいろあったんですよね。ネトウヨみたいなのも絡んできたりして。

Anne Ferrero(アン・フェレロ)さんの映画『Branching Paths(ブランチング・パス)』(注12)についてもお聞きしたいのですが…。僕は関係者試写会に行っていて、もっぴんさん、楢村(匠)さん、木村(祥朗)さん、Anneさんが出られたトークショーも拝見しています。
それで、あの映画の中で、もっぴんさんが、登場して、すごい勢いで成長されていくのを見て「これはすごいインディー開発者がいるなぁ」と思ったのが、お会いしたいと思ったきっかけだったんです。

注12)日本のインディーゲーム制作者たちに密着したドキュメンタリー。2016年7月29日よりSteam、Playismなどで配信中。

もっぴん そうだったんですか、恐縮です。

それで、『Branching Paths(ブランチング・パス)』についてなんですが、日本国内でインディーズとしてゲームを作っている人と、もっぴんさんを対比構造したような内容になっていて、その部分ですごく印象に残ったんですよね。
多分、Anneさんも映像を撮っていくうちにそういう構成にせざるをえないとなっていったんじゃないか。そんな風に思ったんですけど、あの作品を見て何か感じたことはありますか? もちろん、ご自身の成長物語として見られたかもしれませんが。

もっぴん

もっぴん いや、『Branching Paths』は観ていて、正直、恥ずかしかったですね…。自分がドキュメンタリー映画に映るのなんて、もちろん人生初でしたから。実際、成長したとは思うんですよ…本当に僕が変化しているときに撮っていただいたものなので。でも、改めて観てみると今の自分が思ってもないような大層なことを言っているんですよ。それが記録に録られてドキュメンタリーになっているから、もう恥ずかしくって。

そんな大きなことを言っておられましたか?

もっぴん 映画の最後のあたりですよね。なんだったっけ…… 日本のインディーをどうこうしたいみたいなことを言っていたんじゃないかな? ちょっと正確に覚えていないんですけど、とにかく「何を言っているんだよ、オレ?」みたいなのがすごい印象に残っているんですよ。だから、あまり客観的な感じで観られていないですね。

僕はあの作品にはタイトルのとおり、人として、クリエイターとしての分かれ道を感じるんですね。1人は自分の信じる道を行ったけど、もう1人は分かれ道で違う道に行ってしまったみたいな。僕はそういう見方をしちゃったんです。それで、一方は作品を完成させて、これだけの世界的な評価を受けているわけですから。

もっぴん ありがとうございます。


PS4版『Downwell』

1 2 3 >
vol.2
vol.3
vol.4