MUSIC GO! ROUND!  vol. 1

Interview

「T2:トレインスポッティング2」のサントラからブレイクスルーするアーティストは生まれるか?

「T2:トレインスポッティング2」のサントラからブレイクスルーするアーティストは生まれるか?

土井 大抜擢ですか。納得いく、というか狙い通り?

和田 狙い通りでしょうね。制作チームがちょうど良いところを突いているというか。いわゆるベタなブロンディやクイーンの中にヤング・ファーザーズを並べて、知名度では雲泥どころの差じゃないけど、こちらをテーマ曲にしたっていう制作側のドヤ感がすごい。

土井 それはトレスポっぽいですね。監督としては前作をリアルタイムで見ている人にももちろん向けて作っていると思うんですよ。でも今の若い人にも届いているだろうし、実際本国では大ヒットしていますから。となると、若い人にとってヤング・ファーザーズの存在と「T2」の存在はどんな感じなんでしょうね。

和田 いわゆるハリウッド大作映画じゃなくてちょっと斜に構えた視点からのサブカル映画というか、うまく尖らせてる。

土井 尖り具合と知名度の具合と、初めて触れてどれくらい呑み込めるかという具合ですよね。知らなくても「かっこいい」「面白い」がちゃんと届くピックアップの仕方というか使い方というか。

和田 音楽の使い方は完全にそうですね。おっさんは懐かしいと思うだろうし、おっさんとはまた違うポイントを若い子は「イケてんな、これ」って反応してるかもしれないし。それと、イギー・ポップとアンダーワールドの前作で最もピックアップされた曲を、今回もピックアップしてるのは、いやらしいですけど……。

土井 (笑)。イギー・ポップの「Lust For Life」はプロディジー・リミックスが収録されていて、アンダーワールドの「Born Slippy」が「Slow Slippy」っていう冗談みたいなトラックになってますが。日本では「T2」に関しては映画の公開よりも先に、まずサントラがリリースになって広まったので、映画の内容を見てなかったから、この2曲がこういう形で収録されてるのって、いやらしいなぁ、話題作りやなぁとは、ちょっと思ったんですけど。

和田 「Born Slippy」のバージョン違いが入ってまっせ、ていうのは、前作のファンへの目配せというかサービスなのかなと。

土井 2曲はサービストラック。私もぶっちゃけ映画を見るまではそのサービストラックはあんまりピンと来てなくて「おまけ」やな、と思ってたんですけど、映画を見ると良かったですよね。

和田 良かったですね。イギー・ポップの曲に関してはプロディジーっていういわゆるビックビートをやってる激しめのアーティストがリミックスしてるんですけど、オリジナルとさほど変わんないんですよ。アンダーワールドは「Born Slippy」というクラブアンセムになった曲を「Slow Slippy」っていう名の通りBPMが落ちてるんですよ、テンポが。それが、ただ遅くなってるだけなんですよ。

土井 (笑)だけかなぁ?

和田 だけだけ(笑)。「T2」やるぞって情報入ってきたときに「アンダーワールドやっぱり入ってるんや」と思ったんだけど、アンダーワールドのサイトだけで「Slow Slippy」のレコードを先に販売してたんです。それで聴いてみたら、正直めっちゃ退屈な曲と思ったんですよ。なんで? ってくらい。でも、映画を観るとこの曲の意味、スローになってる意味と、20年という時を経た映画の話とがリンクして腑に落ちたんです。今聴くと気持ちいいビートの曲です。多分、アンダーワールド自身も狙ってる、映画を観てからだと印象が変わる曲ですね。

土井 映像にめちゃくちゃハマってます。

和田 「Slow Slippy」は「Born Slippy」のええとこを全部削ってるんですね。イントロの新鮮な感じとかを。でも、いろんなものを経て聴くとハッとなる。

土井 その、いろんなものっていうのは映画の中のストーリーや登場人物、流れているシーンですね。そこはじっくり映画を見て欲しいなと思いますね。そしてダワさん的には、「T2」のサントラからはヤング・ファーザーズがぜひともチェックして欲しいアーティストということですが、わたしはファット・ホワイト・ファミリーが気になったんです。どういうアーティストなんですか? やんちゃな感じがしますけど。

Fat White Family ?/ Whitest Boy On the Beach

和田 もともとメトロスっていう、ザ・クラッシュ直系のバンク精神のあるバンドをやってたんですけど、そのボーカルが新しくやったバンドがファット・ホワイト・ファミリーなんです。メトロスよりサイケでローファイな感じもあって、やんちゃで何かやらかしそうな雰囲気があって。今はこっちの方が注目を浴びているんですよね。アメリカでもリリースされてます。サイケロックっていうのはここ何年かのトレンドですね。UKのバンドってマイブームの激しい人が多いっていうか、「これ売れへんわ」と思ったらその音楽諦めて飄々と次の音楽やるんですよ。今やりたいことをやるみたいな。それをバンド名を変えずにやってんのはプライマル・スクリームなんですけど。

土井 あー、わかるわかる。プライマルって、別のアーティストかと思うくらい音楽性が変わりますよね。

和田 イギリスロックの楽しい聴き方ですね。

土井 (笑)そうなんや。では、ウルフ・アリスは?

和田 ウルフ・アリスは女の子がいるグランジバンド。それもここ何年かのトレンドですね。ウルフ・アリスは所謂ニルヴァーナとかが作ったタイプの音楽をポップでシンプルなメロディーにして、遅いパンクみたいなことを最近やりだしたバンドです。

土井 最近のバンドなんですね。

和田 日本でも人気があると思います。日本のフェス(サマーソニック)にも出てました。

土井 すごく、映像とあってていい感じやったなと思って。

和田 そうですね。「T2」の予告編に使われているのはウルフ・アリスですね。

土井  もっとここから有名になればいいですね。例えば、「T2」のサントラ聴いて良かったと、何かもっと近い音楽聴きたいなってFLAKE RECORDSに行ったら何をおすすめしますか?

和田 むず! だってこれサントラに入ってる曲バラバラやで(笑)。この曲が良かったですって言ってくれたらすすめられるかな。

土井 では、ヤング・ファーザーズが良かったとすると?

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