舞台「黒子のバスケ」OVER-DRIVE  vol. 1

Interview

舞台「黒子のバスケ」OVER-DRIVEに〈花宮〉登場。ヒールな役とは対極の太田基裕の素顔

舞台「黒子のバスケ」OVER-DRIVEに〈花宮〉登場。ヒールな役とは対極の太田基裕の素顔

ミュージカル『テニスの王子様』から舞台『弱虫ペダル』、さらにはミュージカル『刀剣乱舞』まで。人気の2.5次元舞台シリーズのほとんどにこの人の名前を見かける。
俳優・太田基裕、30歳。舞台の上では変幻自在に印象を変える実力派だが、インタビューではどこまでも自然体。その甘く柔らかい笑顔と飾らない言葉で、自分の内面を語ってくれる。
そんな太田基裕の最新出演舞台が、舞台「黒子のバスケ」OVER-DRIVEだ。作品内でも随一のヒール校である霧崎第一高校バスケ部主将〈花宮真〉を演じる。花宮と言えば、対戦相手を陥れるためならラフプレーも厭わない“悪童”。シャイで謙虚な太田とは対極の役どころだ。2.5次元から本格ミュージカルまで、年々活躍のフィールドを広げる成長株は、あらたなステージでどんな顔を見せてくれるだろうか。

取材・文 / 横川良明 撮影 / 冨田望

カッコいい役より、悪役のほうがずっと楽です(笑)

今回演じる花宮真はまたずいぶん外道キャラですね(笑)。

まずは楽しそうだなというのが第一印象ですね。こういうアクの強いキャラクターは演じていて面白いし、やりがいがあります。

やっぱり普通の役に比べると、キャラが立ってるぶん、悪役はやりやすいですか?

人によると思いますが、僕にかぎって言えば、カッコつけるよりはラクですね(笑)。ずっとカッコつけている役は、いまだにちょっとくすぐったいところがあります(笑)。

©藤巻忠俊/集英社

それはやっぱり男子校育ちだから?

そうそう。全然そういう性格じゃないから、女の子を口説く役とか「恥ずかしくてやりにくいわ!」って心の中で思ってます(笑)。

昔から言ってましたよね。こういう取材の撮影でもカッコいいポーズでキメるのが恥ずかしいって。

昔は相当恥ずかしかったです。でも今はだいぶ慣れましたね。今日も頑張りました(笑)。

今回はバスケが題材ですが、バスケの経験は?

小学校の休憩時間に遊びでやったくらいです。もともと飽き性で、何事もあまり長続きしないタイプ。やったことがあるのは、野球とかバレーボールとか。でも、どれも少々たしなんだ程度です。たしなんだって、「お茶か!」って話ですけど(笑)。

バスケ漫画とかも読んだことはない?

ないですね。今回にかぎらず、出演前に原作の漫画を読んでいたことは一度もないんですよ。もともとあまり漫画自体を読んでいなくて。もちろん出演が決まったらきちんと勉強させていただきますが、ヘンな思い込みがないぶん、まっさらな状態で作品に入っていけるのかもしれません。

©藤巻忠俊/集英社

普段から役へのアプローチはどんなふうに進めていきますか?

まずは原作を読んだときのインスピレーションを大事にします。作品を読んでどう感じたのかを自分の中で大事に残しつつ、稽古場に入って周りのみなさんのお芝居を見ながら自分の立ち位置を探っていくという感じですね。

いわゆる「キャラに寄せる」というのはしない?

ほとんどしないですね。アニメで同じ役をやっている声優さんの声も特に意識はしません。ただ最終的に自然と寄ってくるところはあると思います。声質ではなくて、その声のもっと深い部分――核のようなものをきちんと掴んでいれば、たとえ声質が全然違っていても、同じように聞こえるというのが僕の考え。なので、大事な核をきちんと捉えつつ、そこに自分らしい肉付けができればと考えながらやっています。

©藤巻忠俊/集英社

“先輩”らしくするのは、今もちょっと恥ずかしい

ご一緒するみなさんについては?

演出の中屋敷(法仁)さんとは今回が初めて。よくお名前は聞いていましたし、ずっと気になる方だったので、この機会にご一緒できて嬉しいな、と。あとは(小野)賢章との共演が久々で(※舞台『逆境ナイン』(2012年)で共演)。お互いどんなふうに成長してきたかを見せ合う場になるのかと思うと楽しみですね。ちょっと恥ずかしいですけど(笑)。

キャリアを積むにつれて、初めての人たちと一緒になる機会も増えたんじゃないですか?

それは『刀剣乱舞』のときに感じました。周りが若い子ばっかりで、新鮮というか、逆に勉強になるというか。

中にはこれまでの太田さんの活躍に憧れて、この世界に入ってきた子もいるのでは?

ないない(笑)。こんな不器用な役者、誰も憧れないと思います。同じ憧れるなら、たぶん跡部(※『テニスの王子様』に登場する氷帝学園中等部テニス部部長・跡部景吾のこと)をやるような役者のほうがいいと思う(笑)。

でもカンパニーで求められる役割は変わってきたと思いますが。

そこはたしかに年齢的にも感じざるを得ない部分はあるんですけど、感じちゃうと押し潰されちゃうので、あえて感じないようにしています(笑)。

あんまり自分から引っ張るタイプではない?

むしろ教えてもらいますね。『刀剣乱舞』のときも稽古に入るのが周りより遅くなってしまって、ほかの共演者に「ダンスわからないから教えて~」って言ってました(笑)。

あんまり“先輩”“後輩”にこだわらないんですね。

こだわらないほうだと思います。もちろん初舞台の子がいたら、自分がいままで経験したことの中から伝えられることがあれば伝えたいとは思いますけど。そもそもお芝居自体、誰かから押しつけられるものでもないし、いい/悪いは個人の価値観によって違う。だから、自分が口出しすることで、その人の可能性を潰してしまうのは嫌なんです。何か本当に教えたいことがあれば、そっと近づいて、こそっと伝えるくらい。そうやってる自分でさえ、「何言ってるんだ、お前は」って感じがして気持ち悪いんですけど(笑)。

若い俳優を見ると思い出しません? 大勢のキャストがいる中、稽古場の鏡前のスペースがとれなくて、隅っこで練習していたかつての自分の姿とか(笑)。

懐かしいですね(笑)。そういう気持ちを知っているからこそ伝えてあげられることはあるのかなと思います。やっぱり経験はなくても一生懸命やっている子を見たらサポートしてあげたくなるし、その子のためにも少しはカッコいい姿を見せてあげなくちゃなとも思う。そういう意味では少しは先輩としての責任感も強くなったのかも(笑)。

応援してくださる人たちを、新しい世界に連れていけたら

今回は高校生の役ですが、太田さんの高校時代と言うと地味な男子高生だったという話をよく聞きます(笑)。

そう、本当に地味でした(笑)。

何かキラキラエピソードってあります?

だって男子校だったんですよ。まず、その時点でキラキラはないです(笑)。

青春の思い出と言えば?

音楽が好きだったので、友達と教室でギターを弾いていたのが一番印象深いですね。あと、学園祭は気合いが入ってましたよ。男子校の学園祭というと、年に一度、他校の女子高生が遊びに来て仲良くなれるチャンスで。友達とバンドを組んで、当日は安っぽい革パンを履いて、ギターを弾いて、一生懸命カッコつけてました(笑)。

当時のヒーローと言えば?

ギターをやっていたので、LUNA SEAのSUGIZOさんが僕にとってのスーパースター。よく鏡の前でSUGIZOさんの演奏スタイルをマネしていました(笑)。

じゃあ今、高校生活をやり直せるとしたら何がしたいですか?

もっとダンスとか歌の練習をしますね。今めちゃくちゃ苦労しているので、もっと若いうちから磨いておけば良かったなって(笑)。

男子校は選ばない?

絶対選ばないです。中高6年間、男子校だったので(笑)。大学に進学したとき、教室に女の子がいるのを見て、それだけで興奮しましたから(笑)。もう一度、高校生活をやり直すなら、絶対共学。で、運動部に入ります。だって、かわいい女子マネージャーとかいたら最高じゃないですか(笑)。

じゃあ、この『黒子のバスケ』で運動部ライフを満喫していただきましょうか。

そうですね。ただ、心配なのが、僕、役によって稽古場での居方が変わるんです。『刀剣乱舞』のときは、僕が演じた千子村正がちょっと周りから浮いているキャラクターだったので、稽古場でもみんなから少し離れたところに座ってたんですよね。だから『黒子のバスケ』もそうなりそうだなって。必要以上に喋らない、とか……。

花宮みたいに、すれ違いざまに共演者にエルボーを喰らわせるかもしれません(笑)。

そしたら、僕、降板させられていると思います(笑)。

では最後に、今年でついに30歳を迎えましたが、何か分岐点を迎えているような気持ちはありますか?

今のところは特になくて。たぶんそれもヘンに背伸びをすると自分が崩れちゃうのがわかってるから、そのままの自分でいようって思っているからなんですけど。

こういう俳優になりたいというビジョンは?

それも考えないようにしています。なぜかと言うと、こうなりたいというものを決めちゃうと、それに向かって行くしかなくなるから。この仕事のいいところは、可能性が無限なところで。だから自分で勝手に決めつけて、可能性を狭めないようにしたいなって。ただひとつだけはっきりしているのは、とにかくいろんなことに挑戦して、それがまた次の何かへと繋がって、そうやってどんどん世界を広げていきたいということです。そして、その世界に応援してくださる人たちを連れて行くことが僕の幸せ。ファンのみなさんって、もしかしたら僕の家族以上に僕のことを考えてくださっている。だから、僕がいろんな作品に出ることで、みなさんがまた新しい世界を知って、感性が豊かになってくださったら、こんなに嬉しいことはないです。

じゃあ、これからも変わらずに目の前のお仕事に全力を尽くしていくだけ、と。

そうですね。去年は偶然ミュージカルが続いたので、「ミュージカルの世界に行くのかな」と思われた方もいるかもしれないですけど、僕にとってミュージカルも2.5次元作品も区別はないんです。だから、「もう2.5次元には出ない」なんてこともない。いただいたお仕事にこれからも一生懸命向かっていければと思います。

舞台『黒子のバスケ』OVER-DRIVE

【東京公演】2017年6月22日(木)〜7月9日(日)AiiA 2.5 Theater Tokyo
【大阪公演】2017年7月13日(木)〜7月17日(月・祝)森ノ宮ピロティホール

【原作】藤巻忠俊「黒子のバスケ」(集英社 ジャンプ コミックス刊)
【脚本】竜崎だいち
【演出】中屋敷法仁
【出演】
[誠凛高校]黒子テツヤ 役/小野賢章 火神大我 役/安里勇哉 日向順平 役/牧田哲也 伊月俊 役/松井勇歩 木吉鉄平 役/河合龍之介 小金井慎二 役/阿部快征 土田聡史 役/鍛治本大樹 相田リコ 役/田野アサミ
[海常高校]黄瀬涼太 役/黒羽麻璃央 笠松幸男 役/松村龍之介 森山由孝 役/和合真一 早川充洋 役/平野宏周
[秀徳高校]緑間真太郎 役/畠山遼 高尾和成 役/山田ジェームス武 大坪泰介 役/Spi 宮地清志 役/上原一翔
[桐皇学園高校]青峰大輝 役/小沼将太 今吉翔一 役/林明寛 若松孝輔 役/松藤和成 桜井良 役/赤楚衛二 桃井さつき 役/杉ありさ
[霧崎第一高校]花宮真 役/太田基裕 瀬戸健太郎 役/増山祥太 古橋康次郎 役/石賀和輝 原一哉 役/田中穂先
【主催】舞台「黒子のバスケ」製作委員会
【制作】バンダイナムコライブクリエイティブ/ゴーチ・ブラザーズ

オフィシャルサイト

太田 基裕(おおた・もとひろ)

1987年1月19日生まれ、東京都出身。2009年、ミュージカル『テニスの王子様』で初舞台。以降、『弱虫ペダル』『メサイア』『CLUB SLAZY』『幕末Rock』など人気舞台に多数出演。近年は、『ジャージー・ボーイズ』『スカーレット・ピンパーネル』など本格ミュージカルにも出演し、俳優としての幅を広げる。2017年はミュージカル『手紙』に主演。さらに現在、ミュージカル『刀剣乱舞~三百年の子守唄~』に千子村正役として出演中。

オフィシャルサイト

原作コミック『黒子のバスケ』

『黒子のバスケ』モノクロ版 12巻

著書:藤巻忠俊
出版社:集英社

誠凛VS霧崎第一、ウィンターカップ出場を賭けた最終対決が開始。一年前、卑怯なプレイで木吉の膝を負傷させた霧崎第一だが、今年もその攻撃の手は止まらず…。憤りを隠せない誠凛メンバーを前に、木吉はある決意を固める!!

TVアニメ「黒子のバスケ」 キャラクターソング各種

vol.1
vol.2