LIVE SHUTTLE  vol. 126

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“ピアノロック”の枠を超え、SHE'Sの音楽世界がさらに広がっていくことを確信させたツアーファイナル

“ピアノロック”の枠を超え、SHE'Sの音楽世界がさらに広がっていくことを確信させたツアーファイナル

SHE’S One man Tour 2017“プルーストの欠片”
2017年4月9日 赤坂BLITZ

1stフルアルバム「プルーストと花束」のリリースに伴う全国ツアー「SHE’S One man Tour 2017“プルーストの欠片”」のファイナル、東京・赤坂BLITZ公演。“プルースト効果(匂い、食感などが記憶を呼び起こす現象)”をコンセプトに据えたアルバムの楽曲を中心としたステージによって彼らは、“ピアノロック”という従来の枠を超えた豊かな音楽性を示してみせた。

SHE’S One man Tour 2017“プルーストの欠片”

アルバム「プルーストの花束」の曲順と同じく、ライブは「Morning Glow」「海岸の煌めき」からスタート。煌びやかなピアノのフレーズ、海外ロックのエッセンスを感じさせるメロディラインが高らかに響き、SHE’S特有の音楽世界が広がっていく。広瀬臣吾(Ba)、木村雅人(Dr)の骨太なリズム・セクション、80’s〜90’sハードロックの影響を感じさせる服部栞太(G)のギターを含め、ライブにおける彼らの表現は驚くほどにダイナミック。この時点で既に、ロックバンドとしてのスケールの大きさをしっかりと感じ取ることができた。

SHE’S One man Tour 2017“プルーストの欠片”

「俺のなかで“ボス感”があるねん、ツアーファイナルって。これまでツアーを回ってきて、さらにベストを出さないといけないっていうプレッシャーがあるんだろうけど。今日はこんなにお客さんが来てくれたので、プレッシャーにも勝てそうです!」(井上)というMCの後も「プルーストと花束」の楽曲が次々と披露される。

SHE’S One man Tour 2017“プルーストの欠片”

疾走感のあるロックチューン「Running Out」では井上が切れ味のあるギターを披露、「Noという勇気を」(井上)という言葉にリードされた「Say No」では豊かなグルーヴを備えた広瀬のベースライン、ボーカルの旋律を支える服部のギターカッティングが有機的な絡み合い、「グッド・ウェディング」ではポップなメロディと“元カノの結婚式に出席する”という切ない歌、シャッフル系のビートが気持ちよく広がっていく。歌詞、メロディ、アレンジの幅が広く、楽曲によって会場の雰囲気が大きく変化していくのも、このバンドの特徴だろう。

SHE’S One man Tour 2017“プルーストの欠片”

「寂しいという言葉では表せない、何とも言えない気持ちのときに、聴いてホッとするような曲を作りたいなと思って書いた曲です」という「Tonight」からライブは後半へ。“不甲斐ない過去を越えて/明日へと繋いできただろう”と語り掛ける「Tonight」、失ってしまった愛、離れ離れになった人に対する割り切れない思いを綴った「Ghost」(6月10日公開、松井玲奈、新川優愛のW主演による映画「めがみさま」主題歌)、そして、“いつかは消える命だけど、思い描いた未来に向かって進んでいこう”とメッセージする「Stars」。これらの楽曲の根底に流れているのは、ソングライターである井上のリアルな体感だ。過去の自分を見つめ、記憶のなかに封印していた事柄とも向き合いながら生み出された「プルーストと花束」の楽曲。アルバムに関するインタビューで井上は「どれだけ理想を求めていても、昔の自分を隠したままにしておいたら、結局は同じことを繰り返してしまう気がして。それがイヤだったら、このタイミングで過去の自分としっかり向き合いたかった」と語っていたが、その強い覚悟はこの日のライブからも真っ直ぐに伝わってきた。

SHE’S One man Tour 2017“プルーストの欠片”

本編ラストはアルバムの最後に収録されている「プルースト」。「このアルバムの曲を何年後かに聴いたときに“そういえばあんなことあったな”って思い出になるような作品になればいいなって思っています」という井上の言葉、そして、フォークロア的な美しいメロディとともに描かれた「失ったから見つけられるんだ」という切実なフレーズはすべてのオーディエンスの心に強く刻み込まれたはずだ。

SHE’S One man Tour 2017“プルーストの欠片”

アンコールでは新曲「Over you」を初披露。壮大なストリングス・サウンドをフィーチャーしたこのポップチューンは、この後のSHE’Sの新たな道筋を鮮やかに照らしているようだった。この日SHE’Sは、2017年6月21日(水)にミニアルバム『Awakening』をリリースすることを発表。「Over you」を含む全7曲が収録される本作には、“目覚め”を意味するタイトル通り、“次のフェーズへ向かう”というメンバーの意志が込められているという。さらに今秋にはストリングスを従えたスペシャル編成でのホールツアー「SHE’S Hall Tour 2017 with Strings 〜after awakening〜」が東名阪で開催されることも決定。アルバム「プルーストと花束」のリリース、全会場ソールドアウトの全国ツアーを経て、SHE’Sの音楽世界はさらに大きく広がっていくことになりそうだ。

SHE’S One man Tour 2017“プルーストの欠片”

文 / 森朋之 撮影 / 西槙太一

SHE’S One man Tour 2017“プルーストの欠片”
2017年4月9日 赤坂BLITZ

セットリスト
1. Morning Glow
2. 海岸の煌めき
3. Freedom
4. Un-science
5. Running Out
6. Isolation
7. Say No
8. Night Owl
9. グッド・ウェディング
10. Evergreen
11. パレードが終わる頃
12. Tonight
13. Ghost
14. Stars
15. 遠くまで
16. プルースト
En1. Over You(新曲)
En2. Voice
En3. Curtain Call

ライブ情報

SHE’S Hall Tour 2017 with Strings 〜after awakening〜

9月29日(金)&30日(土)@東京・草月ホール
10月13日(金)@愛知・名古屋市芸術創造センター
10月14日(土)@大阪・立命館いばらきフューチャープラザ グランドホール
◆ツアー特設サイトhttp://she-s.info/shes-halltour2017

SHE’S

木村雅人(Dr)、広瀬臣吾(Ba)、井上竜馬(Vo) 、服部栞汰(Gt)。
メンバー全員大阪在住の1992年生まれの次世代ピアノロックバンド。「閃光ライオット2012」のファイナリストに選出され、全国から注目を集める。これまでの3年間でミニアルバム3作品リリースし、6月に発売されたメジャーデビュー作「Morning Glow」はiTunes総合アルバムチャート1位を獲得。7月、東名阪CLUB QUATTROで開催された対バンリリースツアーはSOLD OUT。8月にはROCK IN JAPAN FES.2016、RISING SUN ROCK FESTIVAL 2016 in EZO、WILD BUNCH FEST 2016に出演。全作品のソングライティングを担う井上竜馬(Key/Vo.)が奏でるピアノをセンターに据え、エモーショナルなロックサウンドから心を鷲掴みする珠玉のバラードまで創り出す。10月19日セカンドシングル「Tonight」を発売。2017年1月25日には待望の1st フルアルバム「プルーストと花束」をリリース。

オフィシャルサイトhttp://she-s.info

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