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蒼井翔太らオリジナルキャストのとめどない作品愛。舞台『ペルソナ3』第4弾男性主人公Ver.プレビュー公演レポート

蒼井翔太らオリジナルキャストのとめどない作品愛。舞台『ペルソナ3』第4弾男性主人公Ver.プレビュー公演レポート

ゲームや漫画を原作とした2.5次元舞台は今や百花繚乱の隆盛期。話題の原作が次々と舞台化され、シリーズを重ねている。その中で、良くも悪くもつきものなのが、シリーズ途中のキャスト変更だ。もちろんキャストが変わることは決してネガティブなことばかりではない。新しい俳優の演技によって、作品がまったく別の色合いを見せることもあるのが、演劇の醍醐味でもある。しかし一方で、オリジナルキャストでフィナーレまで迎えることの難しさも同時に感じざるを得ない。

立ち上げを共にしたメンバーで、最後まで完走しきる。そんな2.5次元の世界では「奇跡」とも呼べるエンディングが、今、ここに生まれようとしている。それが、4月14日からシアターGロッソにて開幕した舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』 第4弾「藍の誓約」 最終章「碧空の彼方へ」だ。

カメラマン:鏡田 伸幸

2014年1月に第1弾「青の覚醒」を上演。そこから3年余りの長い時間をかけて、本シリーズは歴史を重ねてきた。前作、第3弾「蒼鉛の結晶」が上演されたのは2015年6月。実に2年近く間が空いたのも、このオリジナルキャストでゴールテープを切りたいという強い意志の表れだろう。

空白の時間を超えて、再び結集した仲間たち。強い絆で結ばれた彼らの最終決戦の始まりをレポートしたい。

自分の居場所はどこか。迷い悩む中で見つけた答えとは

本作は1日と1日の狭間にある隠された時間“影時間”や異形の怪物“シャドウ”。それらに対抗できるペルソナの力に目覚めた若者たちの戦いの物語。

これまでS.E.E.S.(特別課外活動部)のメンバーは、数々の死闘を演じる中で、自らの運命と向き合ってきた。第4弾でフィーチャーされるのは、引っ込み思案の風花(田上真里奈)と、お調子者の順平(大河元気)のふたりだ。

自分の居場所が見つけられず、いつも不安を抱えている風花の心の弱さは、決してファンタジーの世界に限定されるものではなく、私たちの日常でもごく自然に発生する感情だろう。

カメラマン:鏡田 伸幸

誰かと出会ったとき、人はもっと強くなれる

そして、本シリーズの中でも中心に立つのが、順平とチドリ(はねゆり)だ。本来はS.E.E.S.と敵対するストレガの一員だったチドリ。だが、順平との出会いを通じ、少しずつ変わっていく。チドリ役のはねゆりのよく通る歌声は感動的で、決して本心を口にはしないチドリの飾らぬ想いが、歌詞にだけ託されていた。順平とチドリの歌唱シーンは、本シリーズの中でも珠玉の名場面と言えるだろう。

カメラマン:鏡田 伸幸

強い絆で結ばれた「奇跡」のカンパニー

また、こうした仲間の成長の中で垣間見える、主人公・汐見朔也(蒼井翔太)の変化も見逃せないポイントだ。当初より朔也はずっと「どうでもいい」が口癖だった。何事にも無関心で、周囲の干渉を疎んじる朔也のキャラクターを如実に表す一言と言えるだろう。本作でも朔也は何度か「どうでもいい」と言い捨てる。しかし、その意味合いがまったく変わっていることに、胸が温かくなる。ちょっとした音の変化で、同じ台詞をまったく違う印象に変えた蒼井翔太の細やかな演技に、思わず唸らされた。

カメラマン:鏡田 伸幸

S.E.E.S.がそれぞれの決断をくだす場面でも、仲間の絆が見て取れる。中でも真田(藤原祐規)と天田(鈴木知憲/坂口湧久(Wキャスト))の間には、ここには登場しない荒垣 (藤田 玲)の存在がある。同じ傷を抱え、同じように前に向かって歩き続ける勇気をもらったふたりだからこそ、終盤のあの会話がある。前半に繰り広げられた賑やかなヒーローショーも含め、本作の隠れた名シーンのひとつとして、ここに挙げておきたい。

こうして書き綴ってみると、やはりオリジナルキャストを一切変えることなく、ここまでやってきたことの意味と価値が改めて浮き彫りになってくる。仲間を見つめる視線、そっと抱き寄せる仕草。そういった何気ないリアクションにも、それぞれのキャラクターが溶けこんでいるのはもちろんのこと、約3年半の時間をかけて築き上げたカンパニーの絆が、見えない土台部分から舞台を支えているのだ。映像やダンス、歌、マイムなど独創的なギミックが多数散りばめられていることでも評価の高い本シリーズだが、やはりその骨格は、一人ひとりの内面を深く照射した物語の力であり、仲間の絆なのだということを再確認した。

終演後の挨拶でも、「初めて座長を務めさせていただいた思い入れのある舞台」と蒼井翔太が愛着を語るなど、カンパニー全員が作品に特別な感情を寄せていることが言葉の節々から感じられた。このメンバーで最後までやることを選んだ強い決意と絆。それが、この舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』を2.5次元というジャンルの中でも特別な一作にしている。

カメラマン:鏡田 伸幸

最終章「碧空の彼方へ」の開幕は、4月19日(水)。本作は蒼井翔太が主人公を演じる男性主人公ver.と、阿澄佳奈が主人公を演じる女性主人公ver.の2つのver.が交互に上演される。男性主人公ver.の千穐楽は、第4弾・最終章ともに4月22日(土)。女性主人公ver.は、4月23日(日)に千穐楽を迎える。

光と影の入り乱れる壮大な物語の結末は、果たして絶望か、それとも――

取材・文 / 横川良明 撮影 / 鏡田 伸幸

舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』 第4弾「藍の誓約」 最終章「碧空の彼方へ」

2017年4月14日(金)~23(日) シアターGロッソ

大人気ゲーム『ペルソナ3』を舞台化した舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』シリーズ。これまでに2014年1月に第1弾「青の覚醒」、2014年9月に第2弾「群青の迷宮」、2015年6月に第3弾「蒼鉛の結晶」を上演。

【あらすじ】
一日と一日の狭間にある隠された時間“影時間”や異形の怪物“シャドウ”。それらに対抗できるペルソナの力に目覚めた若者たちの戦いを描く。

【演出】キムラ真(ナイスコンプレックス)
【脚本】神楽澤小虎(MAG.net)
【音楽】目黒将司(アトラス)
【出演】
汐見朔也:蒼井翔太/汐見琴音:阿澄佳奈
岳羽ゆかり:富田麻帆、伊織順平:大河元気、桐条美鶴:田野アサミ、真田明彦:藤原祐規、山岸風花:田上真里奈、天田 乾(Wキャスト):坂口湧久/鈴木知憲、タカヤ:西山丈也、ジン:松本祐一、チドリ:はねゆり/荒垣真次郎:藤田 玲(特別出演)/アイギス:ZAQ、望月綾時:植田圭輔 ほか
[PERFORMER]いいむろなおき、大岩主弥、鳥越理沙子、頼経遥、福島悠介、あきつ来野良、渡辺英治、大澤信児、萩原悠

オフィシャルサイトhttp://www.clie.asia/p3wm/

DVD発売

第4弾 舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade~藍の誓約~』DVD
2017年7月26日(水)発売
最終章 舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade~碧空の彼方へ~』DVD
2017年8月23日(水)発売
ともに発売元は株式会社アニプレックス


©ATLUS ©SEGA / P3 the WM Project 2016


ペルソナ3 公式設定資料集

アートディレクター副島成記氏による描き下ろしイラストをはじめ、全キャラクターのさまざまな衣装や表情バリエーションCG、ファン垂涎の設定原画など、魅力的なビジュアルをあまさず収録! 『ペルソナ3』の美術製作に触れられるオフィシャルデザインワークス登場!

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