Interview

『男水!』舞台化!! 松田凌が、部員の絆を深めたドラマ撮影の裏話を。さらに、役者として目指す場所とは

『男水!』舞台化!! 松田凌が、部員の絆を深めたドラマ撮影の裏話を。さらに、役者として目指す場所とは

2.5次元舞台における主役クラスのイケメン若手俳優たちが一挙集結した、日本テレビ初のドラマ&舞台連動企画『男水!』(ダンスイ)プロジェクト。今年1月から放送され、大きな反響を得たドラマに続き、豪華キャストそのままに今度は舞台『男水!』として帰ってくる。個性豊かな熱血競泳男子たちが、目の前でアツくみずみずしい青春スポ根ストーリーを繰り広げてくれることは間違いないが、その筆頭部員である〈榊秀平〉を演じる松田凌が、『男水!』を語ってくれた。作品の魅力と舞台への意気込み、自身の役者人生にまで思いを馳せる。

取材・文 / 恒川めぐみ 撮影 / 山野浩司


大変だったこと──正直に言うと……水泳です(笑)

まずはドラマ『男水!』の感想から聞かせてください。

最初に出演のお話をいただいたとき、僕は競泳というものに携わったことがなかったので、かなりの挑戦でしたね。同時に自分の表現力の幅を広げるチャンスだなとも思いました。それに今回は同年代の男性キャストばかりだったので、男子校のような雰囲気の中で楽しくお仕事をさせてもらいながら、意識の高い役者たちが集まってひとつの作品を作れた達成感はすごく大きかったです。役者としての刺激がたくさんありました。

しかも青春体育会系モノがテーマで。

だから本当に男子校のノリでしたね(笑)。自分たちが過去に経験してきたことを思い出しながら「青春時代ってあったなぁ」って感じながら演じていました。

面倒見のいい無名水泳部の部長、榊秀平という役を演じてみていかがでしたか?

榊秀平という役は、僕にとって実は難しさもあったんです。僕自身の性格としては、ライバル校(水泳名門高校)のエースで、ストイックな〈藤川礼央〉に近いんですよ(笑)。

©木内たつや/白泉社

えっ、そうなんですか?

はい。どちらかというとハングリー精神露わなライバル校側の人間なんじゃないかと思っていて(笑)。だから秀平の、思春期だからこそいろいろなことに悩んで葛藤して、守らなければいけないものも抱えるお兄ちゃん気質の役はわりと難しかったです。

でも反響は大きかったのでは?

そうですね、ありがたいことに。自分の家族や地元の親しい友達から力になるような感想をもらえたんですけど、一番嬉しかったのは公私ともに仲良くしている役者の先輩・後輩から『男水!』という作品に出演、しかも主役を演じることに対しての、ある種ちょっとした嫉妬みたいなものを受けたとき(笑)。嬉しかったですね。

俳優からの支持も大きい作品なんですね。撮影をしていて特に印象に残っているエピソードはありますか?

撮影は泊りがけで行われて、部屋はひとり部屋ではなく、みんなで2段ベッドを使って寝泊りしていたんですよ。もう本当に合宿ですよね(笑)。ロケ地も変わるんですけど、行く先々でもみんな一緒で。その2段ベッドもそうですし、畳の座敷にこたつがあってそこで寝泊りすることもあって……スタッフさんの粋な計らいなのか、その時間が僕らの絆を生み出してくれたのかなと思います。

大変だったことは?

正直に言うと……水泳です(笑)。

テーマそのもの(笑)。

そうなんです。泳ぐのは本当に大変でした。競泳シーンも(スタントを使わずに)できるだけ自分たちで泳ぐ形を目指していたんですけど、いざ撮影のときに、多少は泳げても忍耐力や持久力がなかったことに驚いてしまって。最も長く泳いだときで朝7時から撮影が始まって、翌日の6時。その間、交代を繰り返しながらつねにプールの中で泳ぎっぱなしだったんですね。僕が演じた秀平はS1(スタイルワン=最も得意な種目)がバック(背泳)だったんですけど、とにかく慣れない背泳はキツかったです。あと、バタフライも。普段それで泳ぐことはないですから(笑)、腕が上がらなくなってしまったりするんです。「水の中の世界と陸の上の世界ってこんなにも違うんだ!」って思ったぐらい、普段生活しているものとは違う負荷が体にかかってくるんですけど、こんなことで限界を迎えてしまっている自分の精神力にも、思うように動かない体にも腹が立ちました。さらに限られたスケジュールの中でこなさなければいけない大変さも重なって、つらいなと思うことはありましたね。

©木内たつや/白泉社

では、体力作りは入念に?

そこに関しては経験上、みんな自信があったと思うんです。やっぱりほかの現場でもスポーツを題材にした作品は多いですし、舞台そのものがかなりの運動量なので。ドラマや映画は長い待ち時間を耐えることがつらかったりもするんですけど、逆に舞台は約2時間という限られた時間の中にストーリーを集約して、そのぶんの集中力を高めて本番を迎えるので、そこでの体力を自分は持ち合わせているんじゃないかって、おそらく各々が思っていたんです。でも、いざ競泳というものをやってみると、今まで経験したことのない負荷や体力を削られる面があることを学ばせてもらいましたね。だから体力作りは「ここまでに仕上げてきました」というより、現場でいろいろ気づかされるなかで自分に合った体力のキープ方法を、みんなそれぞれが少しずつ掴んでいったんじゃないかなと思います。

なるほど。肉体的にも精神的にも『男水!』で鍛えられたんですね。

鍛えられましたね。このドラマの撮影期間中に10kg痩せたんですよ(笑)。

そんなに!?

もともと体を絞りたいなとは思っていたんですけど、それよりも行き過ぎてしまったという(笑)。けど、ご飯はとにかくよく食べていたんですよ。ドラマが終わってからは少し体重が戻りましたけど。

そうやって体が仕上がってきているところで、いよいよ今度は舞台という生で見せる『男水!』が始まります。今の意気込みは?

ドラマという画面の中で『男水!』を描かせてもらって、そこで自分たちが掴んだものや目指したものもありますし、悔しかったこともあったんですけど、水を得た魚のように舞台ではそういった経験をすべてぶつけられるんじゃないかと思っています。「どうやって舞台で泳ぎを見せるの?」とか「どうやって『男水!』を表現するの?」と楽しみにしてくださっている方も多いと思うんですけど、そこは自分たちがドラマを通してやってきたお芝居と表現技法に大いに期待して欲しいなと思っています。「『男水!』を舞台にすると、こういう形になるんだ!」っていうものにしてみせますので、ぜひ劇場で確かめていただけたら嬉しいです。

ドラマと舞台とでは、お芝居の見せ方は大きく変わってきそうですか?

松永洋一監督とも話をしたことがあったんですけど、ドラマと舞台って発声方法だったりボディランゲージだったり、アクティングエリアが変わることで見せ方も変化すると思うんです。でも、今回はドラマの段階からわりと舞台に近いお芝居をしていましたね。当たり前なんですけど、僕なら榊秀平という役を演じるのに、ドラマでも舞台でもその役を演じる心根の部分は変わらないので。演劇の舞台に榊秀平が立つだけ、というか。ただ、ひとつだけ意識したいのは、画面上だとテレビの前にいる人、要は最前列で観ている人にどこまで細かいお芝居を届けられるか、っていうのがあると思うんですけど、舞台では最後列にいるお客様にもどういった表現を届けるのか。そこに意識を置きたいなと思っています。一番後ろの人にまでも自分たちの表現を届けることができれば、舞台『男水!』は成立するのかなと思います。

“2.5次元舞台”というものがかなり浸透してきている今の時代に、松田さんがこれから目指す俳優像とはどんなものですか?

僕の中でひとつ掲げているのは、2.5次元舞台にしろ、銀幕にしろ、ドラマにしろ、表現する場にいろいろな隔たりはあるとしても、最終的には一個人として垣根を感じさせない唯一無二の役者になることですね。役者をすごく大きく捉えると、その頂点は歌舞伎のような伝統芸能だったり、いろいろな場で文化人と呼ばれるものになっていくと思うんです。そう考えると今の僕はまだその末端というか、端くれの人間ではあるけれど、いつかは演劇表現の場における隔たりを取っ払って、自由に行き来できる役者になっていたいというか。「あの人は表現者だね」と言ってもらえるところまでは、自分の人生を賭けて目指したいなと思っています。

それが松田さんの理想の人生なんですね。

最終的にはどんな場でも生き続けられる役者っていうのかな。最後まで台本を読んでいて、気づいたら夢がなくなっていたっていう終わり方がいいですね(笑)。

役者という仕事に没頭しているうちに、いつの間にか夢を叶えてしまっているという。

そうです、そうです。それ以外のことは特に考えていないですね。みなさんが勉強したり、お仕事しているのと同じように、自分が生きていく意味はもう役者しかなかった……ほかのことは何もできなかったんですよ(笑)。少しでも人から評価をいただけたり、認められたり、望んでもらえるものはお芝居しかなかった。たまたま、それと自分のやりたいこととが合致して、ここまで役者一本で来てしまったので、それを最後までまっとうできればそれ以上の幸せはないですね。

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舞台『男水!』

【東京公演】2017年5月11日(木)~5月21日(日)THEATRE 1010
【大阪公演】2017年5月24日(水)~5月28日(日)森ノ宮ピロティホール

【原作】木内たつや『男水!』(白泉社『花とゆめ』)
【脚本・演出】吉谷光太郎
【出演】
松田凌 宮崎秋人 安西慎太郎
赤澤燈 佐藤永典 小澤廉 黒羽麻璃央 池岡亮介 神永圭佑
齊藤教兵 奈須田雄大 津嘉山寿穂 櫻井圭佑 上村海成
廣瀬智紀
【制作プロダクション】ポリゴンマジック
【企画制作】日本テレビ
©男水!製作委員会

舞台「男水!」オフィシャルサイト

松田凌

1991年生まれ、兵庫県出身。2012年にミュージカル『薄桜鬼』で初舞台、以降、数多くのミュージカル、舞台公演に出演。2013年にテレビ『仮面ライダー鎧武/ガイム』に出演し話題に。今後の出演作には、6〜7月に主演舞台『東京喰種トーキョーグール』、9月上演舞台『人間風車』、映画『HiGH & LOW THE MOVIE 2/END OF SKY』(8月19日公開)、『HiGH & LOW THE MOVIE 3/FINAL MISSION』(11月11日公開)などがある。

オフィシャルサイト

原作コミック『男水!』

最新刊 『男水!』7巻

著書:木内たつや
出版社:白泉社