Interview

レキシはアイドル!? 新作「KATOKU」にも発揮される、そのキャラクターに迫る

レキシはアイドル!? 新作「KATOKU」にも発揮される、そのキャラクターに迫る

レキシから2ndシングル「KATOKU」が到着。80年代の洋楽ロック風のサウンドとともに描かれるのは“家督(世継ぎ、跡目)”をテーマにした温かい家族愛。「キミがまっすぐ走り出した未来」という前向きなフレーズは老若男女、あらゆる年齢層のリスナーの心を捉えるはず。さらに「きらきら武士」「SHIKIBU」「狩りから稲作へ」などの人気曲をオルゴールサウンドのメドレーにした「眠れるレキシ〜オルゴールで聴くリレッキシミュージック〜」、DJやついいちろうに楽曲提供した「トロピカル源氏」のレキシバージョン、初のライブ音源「きらきら武士〜Live ver.〜」を収録。6月から7月にかけて全国ツアーも開催されるなど、精力的な活動を続けるレキシにインタビュー!

取材・文 / 森朋之 撮影 / 関信行


“産業ロック”というキーワードがあった

2ndシングル「KATOKU」がリリースされます! まずはこのジャケット写真ですが、最初に見たときは一瞬、誰だかわからなくて(笑)。

えーと……一応、“竹千代”っていう設定がありまして。“武士の子供”って調べてみたら、わりとこのままの格好で“竹千代”が出てきたんですよ。もともとは徳川家康の幼名なんですけど、銅像も建っていたり、歴史好きの中ではわりとポピュラーなんですけどね。家督を継ぐほうですね、つまり。

なるほど。しかも、帝国ホテルの写真館で撮影されたそうですね。

写真はずっと日本橋の高島屋で撮ってたんですよ。そこのカメラマンの方がもともと帝国ホテルにいらっしゃった方で、古巣に戻ることになられたので「これでお別れかな」なんて思ってたら、「帝国ホテルで撮りませんか?」ってことになって。

アートディレクションはこれまでどおり、箭内道彦さん。以前、箭内さんに取材させてもらったときに「レキシはアイドル」っておっしゃっていて。

それね、ずっと言われてるんですよ。レキシをやる前から「池ちゃん(レキシ=池田貴史)はアイドルだから。トイレも行かないよ」って。プロデューサー目線というか、暑苦しい想いがあるんでしょうね、たぶん(笑)。どういう意味で言ってるのか、僕もイマイチわからないんですけど、世間的に言われてるアイドルではなくて、偶像的というか、シンボリックな存在っていうことなのかな。僕、『男はつらいよ』がすごい好きなんですけど、渥美清さんってまったくプライベートを見せなかったじゃないですか。そういう人に対する憧れはありますけどね。

あくまでも“寅さん”として存在していたというか。たしかにレキシにも同じようなところがあるかも。

世界観を楽しんで欲しいなっていうのはありますね。ライブでも「ここはレキシーランドだよ」って言ったりするし。ただ、トイレに行かないっていうのはアレですけど(笑)。

(笑)。「KATOKU」はCMソング(ダイハツ「Thor(トール)」)としてオンエアされていますが、もともとはどんなテーマで制作されたんですか?

“家督”って面白いなって思ってたんですよね、言葉の響きを含めて。特にシングルにしようって意識していたわけではないんですけど、CMの話をもらって、そのテーマが“家族の成長”ということだったから、「家督を譲りたい」という歌詞がうまくハマったっていう。いつもはもっとドラマチックなストーリーを書くことが多いんですけど、「KATOKU」は普遍的な家族愛というか、大きくてフワッとしたテーマだったので、そこはちょっと難産でしたね。イメージとしては“ひなた”とか“ひまわり”みたいな感じなんだけど、それをどうやって音楽にしていくか悩んじゃって。

“自分が持っているものを下の世代に譲る”というのは現在にも通じるテーマだし、どんな人にも当てはまる曲になってると思います。サウンドも斬新ですよね。80年代の洋楽ロック的なムードがあって。

そうそう、バンドのメンバーと一緒にアレンジしながらレコーディングしたんですけど、“産業ロック”(ジャーニー、フォリナーに代表される80年代の売れ線ロックバンド)というキーワードがあったんですよ。そのあたりの音楽はガッツリ通ってるわけではないし、メンバーも「なんとなく聴いたことある」くらいだったんですけど(笑)、突き抜けた音になったのは良かったなって思います。曲作りで煮詰まっていたから、サウンドはわかりやすくて軽快な感じにしたかったので。

こういうサウンド、今は誰もやってないですよね。懐かしさもあるし、「なんだっけ、この感じ?」っていう楽しさもあって。

うん、そういうふうに聴いてもらえたら嬉しいですね。ソウルとかファンクみたいなところで「懐かしい」って言われることはあったんですけど、ロックのほうに行ったことはなかったから。そういう音楽がホントに好きな人がどう思うかはわからないですけど(笑)。

カップリングも盛りだくさんですね。2曲目には「きらきら武士」「SHIKIBU」「狩りから稲作へ」など5曲をオルゴールサウンドのメドレーにした「眠れるレキシ〜オルゴールで聴くリレッキシミュージック〜」を収録。そもそも、どうして自分の曲をオルゴールバージョンにしようと思ったんですか?

一番の理由は「バカだよな」っていうことですね(笑)。自分の曲のオルゴールバージョンを自分で作る人っていないし、それをCDに入れるのもバカじゃないですか? できたら、本物のオルゴールを作るのもいいですよね。パカッと箱を開けると小さい俺がクルクル回ってるのとか、かわいいでしょ?(笑)

欲しいです!

とはいえ、目的は癒しですけどね。眠るときに聴いてもらえたらいいかなと。これね、すべて自分で演奏してるんですよ。それがすごく難しくて、肩が凝っちゃいました。そのぶん、温かみが出たんじゃないかなと……(笑)。

そして3曲目には、DJやついいちろうさんに楽曲提供した「トロピカル源氏」のセルフカバーも。

いろんなアーティストの方に楽曲提供させてもらってるんですけど、特に「トロピカル源氏」は「自分で歌ってみたら?」って言われることが多くて。やついさんとは同じレーベルだし、友達っていうのもあったし、ここらで自分でやってみようかなと。これ、ドラムとベースは録り直してるんですよ。あと、キーを一音上げました。以上!

(笑)楽曲を提供するときは、歌う人をイメージして書くんですよね?

もちろん。基本的には相手の人に会わないと書かないというか、書けないので。ただ、仮歌は自分で歌うから、どこかで“自分の曲”みたいな気持ちもあって。だから「トロピカル源氏」をカバーしたときも、そこまで大きな変化はなかったんです。レキシの曲と同じくらい愛着もあるし。

曲中に出てくる光源氏のセリフもいいですね。

グッとくるでしょ?(笑)レキシはもともと、史実にある事柄しか歌にしてこなかったんですよ。よく「『古事記』や『日本書紀』も題材にしてみたら?」って言われるんですけど、あれは神話がもとになってますからね。「『古事記』を書きました」ということは歌にしますけど……。

『古事記』の内容は歌にしない、と。厳密ですね。

そうなんです。同じ時代劇でも、水戸黄門は歌っても銭形平次は歌にしないとか。そういうシバリがあったんですけど、「トロピカル源氏」のセリフは『源氏物語』の中の話だから、実はレキシにとっては初めての試みなんです。ここからバリエーションが増えるかもしれないなと思ってますね。

なるほど。そしてライブ音源「きらきら武士〜Live ver.〜」も収録。

これはね、何もぶっ込んでないキレイな「きらきら武士」なんですよ。ライブでは(演奏中に)いろんなことをやっちゃうから、こういうピュアな「きらきら武士」は逆に貴重なんです。ライブ音源を入れようと思ったものの、いままで録ってあったものは全然使えなかったから(笑)、つい最近のフェスのときに「録音するぞ」と思ってやったんですよ。「この場を壊してしまいたい」という衝動に負けず、最後までちゃんと演奏した自分をほめてあげたい(笑)。何も加工されてない、原石のような「きらきら武士」をあなたにお届けします!

(笑)たしかにレキシのライブって何が起きるかわからないし、ムチャしますからね。

破壊ですよ、ライブは。自分を壊して、その場を壊して、バンドのメンバーを壊して。せめぎ合ってますね。

そんなレキシのライブを映像で体感できる『ハナレグミ・レキシ ライブ映像作品「La族がまたやって来た、ジュー!ジュー!ジュー!」』もシングルと同時リリース。ライブ映像作品も初ですよね?

そうですね。まあ、これはハナレグミがメインで、レキシはおまけみたいなもんなんで(笑)。いや、すごいですよ、ハナレグミは。

謙虚ですねー。そして、6月からは全国ツアーがスタート。今回はどんなコンセプトのツアーなんですか?

一回決まりかけたんですけど、さっきのミーティングでいろいろやりたいことが出てきて、「ちょっと絞らないとダメだね」ってことになりました。ありがたいですけどね、やりたいことがたくさんあるのは。あとはやっぱり、自分が笑いたいというか、飽きずに、楽しいことをやりたいですね。そういう衝動がお客さんに伝わってライブが出来上がるので。

もうすぐ10周年を迎えますけど、楽しいことをやるっていう基本スタンスは一貫してますよね。

いままでどおりやっていきたいですね。“くだらないことをやって、失笑”っていうのが一番なので、自分が楽しいと思うことを最優先にして。もちろん、自分がイマイチだなと思うものは出せないので、そこは慎重にやっていかないといけないんですけど。10周年だからって浮かれてはいられないです。一昨年の目標も“地に足を着ける”ですから。そんなこと言ってると、ライブを観てくれてるお客さんには鼻で笑われそうですけど(笑)。

ハナレグミ・レキシ ライブ映像作品
「La族がまたやって来た、ジュー!ジュー!ジュー!」

2017年4月26日発売
Blu-ray
VIXL-186 ¥5,500(税別) 2 DVD
VIBL-843〜844 ¥4,500(税別)

ハナレグミ
01. 光と影
02. 音タイム
03. 家族の風景
04. きみはぼくのともだち
05. フリーダムライダー
06. オリビアを聴きながら
07. 無印良人
08. オアシス
09. 明日天気になれ
10. 深呼吸

レキシ
01. KMTR645
02. 年貢 for you
03. 狩りから稲作へ
04. 最後の将軍
05. SHIKIBU
06. きらきら武士

ENCORE SESSION MEDLEY
ら・ら・ら 〜 LA・LA・LA LOVE SONG

※特典映像「La族をさがせ!」<ハナレグミとレキシ、TOMOHIKO(ex-SUPER BUTTER DOG)で繰り広げる爆笑の撮り下ろしドキュメンタリー風番組>&副音声<ハナレグミとレキシ、TOMOHIKO(ex. SUPER BUTTER DOG)による、LIVE全編にわたる”ゆるゆる”なオーディオコメンタリー>収録


レキシツアー2017 不思議の国のレキシと稲穂の妖精たち

2017年6月6日(火)日本特殊陶業市民会館フォレストホール
2017年6月8日(木)鹿児島市民文化ホール 第二
2017年6月9日(金)福岡サンパレス
2017年6月14日(水)新潟県民会館
2017年6月21日(水)札幌わくわくホリデーホール
2017年6月23日(金)音更文化センター
2017年6月27日(火)ロームシアター京都
2017年6月29日(木)神戸国際会館こくさいホール
2017年7月2日(日)岡山市民会館
2017年7月11日(火)大宮ソニックシティ 大ホール
2017年7月13日(木)金沢市文化ホール
2017年7月19日(水)リンクモア平安閣市民ホール(青森市民ホール)
2017年7月21日(金)仙台市民会館 大ホール
2017年7月27日(木)市川市文化会館

レキシ

池田貴史、福井県出身。1997年にSUPER BUTTER DOGのキーボーディストとしてメジャー・デビュー。2004年より中村一義らとともにバンド100sでも活動を行う。日本の歴史に造詣が深く、ソロ・プロジェクト、レキシとして2007年にアルバム『レキシ』でデビュー。現在までに、『レキツ』『レキミ』『レシキ』『Vキシ』と5枚のアルバム、シングル「SHIKIBU」を発表している。椎名林檎、私立恵比寿中学、関ジャニ∞などのプロデュース、怒髪天、SAKEROCK、星野源、サンボマスターなどでサポート・キーボーディスト参加するほか、役者として是枝裕和監督作品『海街diary』(15)、TBS 日曜劇場『99.9-刑事専門弁護士-』(16)に出演、フジテレビ『アフロの変』のメインMCを務めるなど、多方面で活躍している。「KATOKU」がCMソングのダイハツ「Thor(トール)」には自身も出演。

オフィシャルサイト

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