Interview

橋本愛、吉祥寺が舞台の音楽映画『PARKS パークス』インタビュー

橋本愛、吉祥寺が舞台の音楽映画『PARKS パークス』インタビュー

東京で住みたい街ランキングで常に上位の吉祥寺と、井の頭恩賜公園を舞台に、50年前に作られた恋人たちの歌が、現代を生きる若者たちを繋げていく『PARKS パークス』。吉祥寺という街が持つ独特のカルチャーや空気感をたっぷり映し出した本作の主人公〈純〉を演じ、劇中、爽やかで清らかな歌声を聴かせる橋本愛にインタビュー。以前から瀬田なつき監督作品のファンだったという彼女が、和やかに撮影エピソードを語ってくれた。

取材・文 / 熊谷真由子
写真 / 三橋優美子


リアルで等身大な今どきの若者を描きつつ、1960年代の描写を融合するようなシーンがファンタジックな雰囲気を醸し出していて、とても印象深い作品でした。

瀬田監督は時間のつなぎ方がすごく独特だし、現実と空想の境い目が曖昧で。それは監督の前の作品を観ていても感じたことで、そこが面白いなと思っていました。

映画『PARKS パークス』

あれ、これは現実なのかな? 夢なのかな? と、一瞬思うようなシーンもありましたが、そういった箇所は脚本で明確に書かれていたんでしょうか?

脚本上でハッキリと書かれていても、映像になったときに新たな解釈ができるようになっていたシーンはありましたが、ファンタジーかそうじゃないかわからないまま撮ったシーンは本当にたくさんありました。でもあえて、自分でどっちなのかと落としどころをつけず、身を任せて演じた方が絶対に面白いなと思ったので、そういう曖昧なところでも、あえて監督に答えを聞いたりしたことはなかったですね。

映画『PARKS パークス』

役者によっては明確にさせた方が演じやすいという人もいそうですね。

そうですね。聞いた方が理にかなった答えが返ってくるかもしれないし、納得できる人もいると思いますけど、そうするとせっかく膨らむ解釈も減ってしまうので、自分も観客の想像の一部になれたらいいなと思っていました。

瀬田監督は感覚的な言葉で演出をされるそうですが、どのように〈純〉ちゃんを一緒に作り上げていったのでしょうか?

監督の感覚に近い視点を持てたらいいなとずっと思いながら現場にいました。監督の演出で一貫して言われていたのは「軽くしてほしい」ということでした。どんなに〈純〉ちゃんの心が落ち込んでいようと、切実な場面だろうと、「ちょっと軽くして」と言われることが多くて。だから監督の求める一定のラインまで自分のテンションを上げていくという作業にエネルギーを使っていました。

映画『PARKS パークス』

“軽く”というのが“テンションを上げる”という部分に繋がってくるんですね。

そうですね。私としては表情とか声とかも少し重くなってしまいがちな部分もあって、「重く」と言われたらいくらでも重くできるんですけど、「軽く」というのは自分の心のモヤみたいなものを少しずつ減らして、心の掃除をしていくという作業がけっこう必要だったかなと思います。そうすることで、気持ちが晴れ晴れとしてくるんですよね。

橋本愛

橋本さんが演じた〈純〉ちゃんですが、こういう女子大生いるよな~と微笑ましく思える、等身大の可愛い子でした。橋本さんはどのような解釈で演じていましたか?

〈純〉ちゃんって、一言で言うとだらしないし、不器用でかっこ悪い女の子だと思うんですけど、ただ、そのだらしなさとか、大げさに言えば愚かさとかが、観ている人に嫌われないように、ちゃんと可愛らしさも同居するような子にして、観客の方が二時間、ちゃんと見続けられるようなキャラクターにしようと気を付けていました。私もだらしない面はあるので、〈純〉ちゃんと同じで、背中を曲げて大股で歩けば、今すぐにでも〈純〉ちゃんになれます(笑)。でもみんな本当はだらしないけど、それを隠して生きてきているだけだと思うんです。自分がだらしなくいることって超簡単ですから(笑)。

映画『PARKS パークス』

これまでの橋本さんの出演作の中でも、特に軽やかさを感じさせる役柄ですよね。

そうですね。監督の作品は軽妙な印象が強かったので、この作品もそうなるだろうと思っていました。軽妙な映画は私自身も好きなので、そういう作風に自分がちゃんとハマればいいなと思っていました。

ご自身としては元から持ち合わせていた部分だとは思いますが、軽やかだったり等身大だったりというのは、女優・橋本愛の新しい一面が見られたのかなという印象でした。

監督と最初、お話をする機会があったんですが、そのときに監督は「橋本愛の素を出したい」とか「新しい顔が見えたらいいな」とおっしゃっていて。何を素とするかにもよりますが、監督の言っている素がどの部分かということかは理解できたので、それを可愛らしく出せたらと思っていました。

橋本愛

ちなみに、この作品の出演が決まる前から瀬田監督の作品はご覧になっていたんですよね。

だいぶ前に『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』(11)を観ていましたし、2~3年前に観た『5windows』(12)がすごく好きだったので、今回、ご一緒できると聞いてすごく嬉しかったです。

『嘘つき~』にも出ていた染谷(将太)さんと、今回、初共演となる永野芽郁さんの印象を教えてください。

芽郁ちゃんは現場での佇まいがすごく大人でした。話をしていたら子どもの頃から活動していたと聞いて、「だからか!」と納得しました。9割はめちゃくちゃチャーミングで可愛いんですけど、残りの1割の部分がすごくかっこよくて、ハッとする一面があるんです。染谷さんはもう何度も共演しているんですが、個人的にもすごく信頼している役者さんです。染谷さんと瀬田監督の親交が深いということは知っていたので、そういう意味でも現場で安心感を与えてくださっていたので、とてもやりやすかったです。

映画『PARKS パークス』

この映画の核となる歌ですが、澄んだ歌声でとても良かったです。橋本さんは以前の作品でも歌を披露していますが、特別に練習したりしたのでしょうか?

本格的な練習は1度もしていないので不安でした。劇中、3曲を歌いましたが、1曲1曲、〈純〉ちゃんの心情が違うので、そのときどきの〈純〉ちゃんの感情を表現できたらいいなと思いながら歌いました。1曲目の高校の頃に作った曲を歌うシーンでは、芽郁ちゃんとセリフの応酬みたいに見られればいいなと思っていて、どこか乱れても、ギターがちょっとおかしくても成立するシーンになっています。バンドで歌う2曲目は、〈純〉ちゃんとしては劇中で最も晴れ晴れとした場で、理性や自分が捉われていたものを全部取っ払って楽しく歌うシーンなので、監督からも「明るく!」と言われていました。そういう楽しい雰囲気や開放感がちゃんと声に乗って伝わっていればいいですね。歌うシーンは現場の空気感が楽しかったので、特に緊張したり気負ったりということはなかったです。どっちかというとアフレコでもう1度歌わないといけないのが大変でした。もともとアフレコが苦手なので(笑)。映画やドラマで歌うのは、単純に歌うというだけではなく、そこにお芝居も入ってきますし、やっぱり難しいですね。一番隠さなくちゃいけないのは、上手く歌おうと必死なところです(笑)。

ギターは前から弾いていたそうですね。

今回、久しぶりに(ギターに)触りました。前も自己流でしたし、突き詰めて弾いていたわけではなかったので、私が(コードの)Fを押さえるのに2秒かかりますと言ったら、監督がFコードをなくしてくれました(笑)。だから比較的簡単というか、私としてはやりやすいコード進行で作ってくださって、シンプルなのにあれだけ特別で素晴らしい音楽が出来上がって、本当にありがたかったです。

映画『PARKS パークス』

ギターを始めたきっかけは何だったのでしょうか?

私はアーティストの大森靖子さんがとても好きなんですが、大森さんがアコースティック1本でガシャガシャと弾く姿がすごく素敵でかっこよくて、「自分もやりたい!」と思ったのがきっかけです。

最近、映画が続いていらっしゃいますが、やはり映画にこだわりがあるのでしょうか?

基本的には脚本が良ければ、それがドラマであれ映画であれ、どんな媒体でもやりたいと思っています。私もドラマが好きで一視聴者としてすごくいいドラマに夢中になったりしますし、自分でも出演したいという気持ちがあります。でも、何となく、“帰る場所”というか、変わらず立っていられる場は欲しくて、それを考えたとき、それはやっぱり映画なんだなと思いますね。

映画『PARKS パークス』

橋本愛

1996年生まれ、熊本県出身。2010年、映画『告白』(中島哲也 監督)に出演して脚光を浴びる。『桐島、部活やめるってよ』(12/吉田大八 監督)で第36回日本アカデミー賞新人俳優賞ほかを受賞。そのほかの主な出演作に、【ドラマ】『あまちゃん』(13/NHK)、『若者たち2014』(14/CX)、【映画】『さよならドビュッシー』(13/利重剛 監督)、『リトル・フォレスト 夏・秋』『リトル・フォレスト 冬・春』(14・15 /森淳一 監督)、『残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋‐』(16/中村義洋 監督)、『バースデーカード』(16/吉田康弘 監督)などがある。2017年は本作の他、『美しい星』(5月26日公開予定/吉田大八 監督)にも出演している。

オフィシャルサイトhttp://www.sma.co.jp/artist/profile/index/65

映画『PARKS パークス』

2017年4月22日よりテアトル新宿、4月29日より吉祥寺オデヲンほか全国順次公開

映画『PARKS パークス』ポスター

井の頭公園のすぐそばの古いアパートに住む大学生の〈純〉は、恋人にはフラれ、大学からは留年通知が届き、最近停滞気味。そんなとき、50年前に〈純〉の部屋に住んでいた女性を探しているという高校生の〈ハル〉が突然訪ねてくる。聞けば、亡くなった父親〈晋平〉の昔の恋人〈佐知子〉がここに住んでいたのだとか。〈純〉は〈ハル〉とアパートの管理会社を訪ね、何とか〈佐知子〉の現在の自宅を探し当てるが、〈佐知子〉は少し前に亡くなっており、代わりに孫の〈トキオ〉と知り合う。〈佐知子〉の遺品にあった古ぼけたオープンリールのテープに録音されていた〈晋平〉と〈佐知子〉が作った歌を聴いた3人は、途中で途切れているこの曲を完成させようと意気込み、バンドメンバーを募る。そして吉祥寺グッド・ミュージック・フェスティバルという地元のフェスに出演することになり……。

【監督・脚本・編集】瀬田なつき
【出演】
橋本愛 永野芽郁 染谷将太
石橋静河 森岡龍 / 佐野史郎
柾木玲弥 長尾寧音 岡部尚 米本来輝 黒田大輔 嶺豪一 原扶貴子 斉藤陽一郎 / 麻田浩
谷口雄 池上加奈恵 吉木諒祐 井手健介
澤部渡(スカート)  北里彰久(Alfred Beach Sandal) シャムキャッツ 高田漣
【音楽監修】トクマルシューゴ
【劇中歌】PARK MUSIC ALLSTARS「PARK MUSIC」
【エンディングテーマ】「弁天様はスピリチュア」相対性理論

【配給】boid

オフィシャルサイトhttp://www.parks100.jp/

©2017本田プロモーションBAUS

映画『PARKS パークス』オリジナルサウンドトラック

映画『PARKS パークス』オリジナルサウンドトラック/V.A.(PARK MUSIC ALLSTARS他)