Interview

なだぎ武「パンツの紐締め直してがんばる」波瀾万丈すぎる吉田潤喜を演じるミュージカル『ソーォス!』対談

なだぎ武「パンツの紐締め直してがんばる」波瀾万丈すぎる吉田潤喜を演じるミュージカル『ソーォス!』対談

世界中で愛されるヨシダソースの生みの親、そして年商1.8億ドルのアメリカンドリームを掴んだ男、吉田潤喜。2005年には『ニューズウィーク』日本版にて「世界で最も尊敬される日本人100」に選ばれる。そんな彼の半生がカラテミュージカル『ソーォス!』となって、7月6日から13日までスペース・ゼロにて蘇る。

その主人公の吉田潤喜役を、モノマネ芸から、コント・舞台まで幅広く活躍するお笑い芸人、なだぎ武が務める。今回は、吉田潤喜が緊急来日し、都内某所でなだぎ武との対談。関西出身同士、抱腹絶倒間違いなしの掛け合いに注目してほしい。

取材・文・撮影 / 竹下力


わしの半生をやるならブロードウェイでやらなあかんで

お二人は、今日初めてお会いになられました。

吉田潤喜 僕と正反対の性格やな。噂に聞いた通り真面目や。

なだぎ武 吉田さんも僕が思っていた通り、豪快で気持ちのいい関西のおっちゃんでした。このまますぐにでも一緒にお好み焼き食べに行きたいぐらい。

吉田さんはご自身の半生がミュージカルになると聞いたときはどう思われましたか?

吉田 そら最初は半信半疑で、「ほんまかいな!」って。ただ、やる限りは徹底的にやってもらいたい。企画を立てた、まきりかさんなんて信じられないパッションやったからね。わざわざオレゴンまで飛んで来て、舞台化したいって言われた時は「この人真剣や……」と思ったもん。

なだぎ武 吉田潤喜

なだぎさんは、吉田さん役のお話をいただいたときはどのような心境だったのでしょう。

なだぎ 吉田さんのことはテレビで何回か拝見したことがあったんです。関西のおもろいおっさんがアメリカ行って、大成功して「わっはは!」と笑ってる豪傑なイメージでした。ある日、演出家の田尾下哲さんから、吉田さんの役をお願いしたいと言われたけど、僕とは真逆のタイプの人だからビックリ。役が決まって、吉田さんの著書『人生も商売も、出る杭うたれてなんぼやで。』を読みました。波乱万丈ありすぎて、人生の分厚い方の役を演じるので、スキルアップのチャレンジにもなるなと。怖い反面、やっぱり面白いなと思いますね。

吉田 ここまできたらやらなしゃあないで(肩をポンポン叩く)。

なだぎ やらなしょうがないですね(笑)。

どのように吉田さんのキャラクターを演じていこうと思いますか。

なだぎ 役作りは頭でしないタイプなので、稽古に入って、台本を読みながら、直感で演じていきたいですね。京都での若かりし頃は映画の『パッチギ!』みたいなヤンキーの世界。そこから19歳で単身渡米して、車に住みながら生活していたときのエピソードは、どこを切り取っても旨味しかない。そして、その背後に人への感謝の気持ち、人との繋がり、その繋がった先に成功があった。出る杭は打たれるけれど、さらに出る杭になってやろうという勇気はものすごいと思います。僕はそういう根性や勇気を子どもの頃から持っていなかったので、それを補っていかないと、と感じました。

吉田 僕は演技にリクエストなんて生意気やからせえへん。彼らはプロだから、彼らが消化して行く。だからまず、稽古の前に僕のことを脚本以外で知ってもらいたくて会いたかった。

日本発信のオリジナルミュージカルは多くないですが、ロサンゼルスでも上演することになりましたね。

吉田 ブロードウェイやロンドンは有名だけど、日本のミュージカルは少ない気がするね。ただ、まきさんはチャレンジしている。今回ばかりは彼女のパッションに押されたんや。「ブロードウェイに出すまで考えてないんだったら、僕はやる気ないで」って彼女に言い渡したの。そしたら、彼女から「考えています」と即答された。逆に怖いなって思ったよ(笑)。

なだぎ (笑)。この作品が原点になって、どんどん受け継がれていくミュージカルになれば。僕も初めての海外公演で、未知なことばかりやけど頑張りたいですね。パンツの紐を締め直していかないと。

99%では意味がない。100%のパッションがあるか?

なだぎ武 吉田潤喜

吉田さんの成功へのモチベーションとは?

吉田 僕は在日二世で、しかも4歳の時に事故で片目になって、「片目」とか「丹下左膳」ってバカにされて育って。コンチクショウ! と思って喧嘩をして相手を倒し続けたら、そのうちバカにされなくなった。その時に覚えたのが、喧嘩したら勝たなあかん、勝つためには強くならんとあかんということ。逆を言えば、負けるのが怖いんですわ。不安がここまで生きてきたエネルギーやった。不安はエネルギーにもなるんですよ。4回もアメリカで破産しかけたのに生きてきたのが、まさにそれですわ。

なだぎ たしかに、僕はお笑いの世界ですから、不安定で、常に不安しかないです。だから、不安と戦いながら日々を強く生きてきました。何かをやっていく上で原点になっているのが不安というのは、すごくわかります。吉本で成功しているおもろい芸人は、豪傑に見えて繊細な奴らが多いから(笑)。

吉田 せやろ? そういうエネルギーで生きてるんですよ。死ぬほど手に入れたい、死ぬほど成功したい、それを感じた時のエネルギーって現実化するんだよね。だから、エネルギーっていうのは99%のパッションなのか、100%なのかが重要なんです。99%なんてゼロと一緒。だからね、ロサンゼルスの公演は1回しかないんですけど、かならず成功させたい。まきさんの夢を実現させたいんですわ。僕はまきさんのパッションに負けたんだから。どうせやるなら、ブロードウェイでやる! これは本当のチャンスだと思う。なだぎさんは、わしみたいな豪快なことしたことある?

なだぎ R-1グランプリで優勝したことですかね。若い時に引きこもって漫画ばかり読んでいた男が、大会で優勝するようなことは自分の中ではないことで。大阪で30代の後半までやってきて、このまま終わるんかなーというタイミングで、東京でお仕事する機会をいただきました。40歳前にしていろんなことが変わりましたね。それで根性がついたので、悩むくらいやったら成功しても失敗しても思い切りやったらええんやって思うようになりました。ちなみに、ミュージカルはお好きなんですか?

吉田 ロンドンまで観に行くくらいミュージカルは好きよ。歌の感動が目と体と脳にダイレクトに入ってくるからね。だから、僕の半生がミュージカルになるなんて光栄ですよ。ミュージカルになるとソースが売れるなんてことは考えてないから(笑)。

なだぎ (笑)。

吉田 そう思わないとつまらんでしょ?

そうなるとなだぎさんの責任が大きくなりますね。

なだぎ お前にかかってるぞ的なこと言うの止めてくださいよ! 自分が持っているものを全部出して、やらしていただきます。

最後に、この作品にかける意気込みを訊かせてください。

なだぎ このミュージカルは「KARATE MUSICAL(カラテミュージカル)」なんです。今空手はアメリカで流行ってるというし、2020年にオリンピックの正式種目になってますし、世界的にキテる空手をミュージカルで見せる面白い試みです。初めて観るミュージカルだなと思ってくだされば嬉しいですね。

なだぎ武(吉田潤喜 役)

10月9日、大阪府出身。1989年に大阪NSCの8期生となり、幼なじみの松村博司と「スミス夫人」を結成。その後、2007年、2008年とピン芸人の頂点であるR-1グランプリで優勝。高い演技力は演劇界でも話題を呼び、2009年には宮本亜門からの直々のオファーで『ドロウジー・シャペロン』の主役が決定した。以降様々な舞台に出演。主な舞台作品に『ホテル・カルフォリニア〜HOTEL CALFORINIA』『ミュージカル「三銃士」』など。

吉田潤喜

12月7日、京都府生まれ。1969年に単身渡米、空手指導などで生計を立てながらアメリカ生活をサバイブ。1982年、ヨシダ食品工業を設立。自家製秘伝のタレをヒントにした醤油ベースのソース「ヨシダソース」は爆発的ヒットに。ソースのみならず、物流、不動産など事業を拡大し、18のグループ会社の会長兼CEO。2003年、インテルやAOLなどと並び、アメリカの優秀中小企業家賞を受賞、殿堂入りを果たすとともに、2005年には『ニューズウィーク』日本版にて「世界で最も尊敬される日本人100」に選ばれる。現在は、グループ会社の会長職務と地元テレビの料理番組に出演するほか、各地で講演活動を行う。オレゴン州知事経済顧問、小児病院や子供ガン協会の理事なども務める。

ミュージカル『ソーォス!』

2017年7月6日~13日 東京 スペース・ゼロ
2017年7月29日 ロサンゼルス エルカミノカレッジ ホール
※チケット一般発売日:2017年4月19日

ミュージカル『ソーォス!』

【原作】吉田潤喜『人生も商売も、出る杭うたれてなんぼやで。』(幻冬社アウトロー文庫)
【演出】田尾下哲
【企画・脚本・作曲】まきりか
【主催】株式会社サティスファクトリー
【エグゼクティブプロデューサー】恩田英久

【出演】吉田潤喜 役/なだぎ武 ナイキ社長 フィル・ナイト 役/渡辺大輔 潤喜の妻リンダ 役/ドルニオク綾乃 コストコ社長 ジム・セネガル 役/モト冬樹 他

オフィシャルサイトhttp://musical-sauce.tokyo


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著者:吉田潤喜
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