Interview

人気漫画「終電ちゃん」著者・藤本正二とエビ中・廣田あいかが語り尽くす鉄道愛

人気漫画「終電ちゃん」著者・藤本正二とエビ中・廣田あいかが語り尽くす鉄道愛

終電を引き連れてやってくる“終電ちゃん”。終電を舞台にして人間ドラマを展開している漫画が人気を博している。その「終電ちゃん」の著者・藤本正二先生と、アイドル界において、『タモリ倶楽部』や多くのメディアにも出演し、鉄道ファンで有名な私立恵比寿中学の廣田あいかの対談が実現!
終電ちゃんが誕生した経緯や終電ちゃんの魅力に加え、この対談きっかけで新キャラも誕生するか!? という、丸ごと終電ちゃんについて二人が語り尽くす。あなたも終電に乗り込んだ時に、身近にグッとくるドラマが潜んでいるかもしれない。

取材・文 / 大窪由香 撮影 / 森崎純子


「終電ちゃん」誕生のきっかけ

藤本先生と廣田さんは今回が初対面ということですが、廣田さんは「終電ちゃん」は読まれてましたか?

廣田 読ませていただきました!  もう、めちゃくちゃかわいかったです。いろんな路線の終電ちゃんが見たいですね。これからも楽しみだなと思いながら読ませていただきました。

藤本 ありがとうございます。廣田さんのことは、『タモリ倶楽部』や「JTB時刻表」で拝見してました。

廣田 ありがとうございます!  知ってていただいて、うれしいです!

ではまず、藤本先生に「終電ちゃん」を描くようになったきっかけを伺いたいと思います。

藤本 僕はサラリーマンなので終電に乗る機会が多いんです。終電って、乗客同士で不思議な連帯感があるんですよ。

廣田 いつも乗ってる人がいたり、っていうことですか?。

藤本 そうそう。あと、だいたい酔っぱらったおじさんがうつらうつらしてたり。同じ方向に向かっているその人たちを見ながら、この人はどんな理由でここにいるんだろうなとか考えているうちに、それをマンガにしたら面白いんじゃないかなって思って。それがきっかけでしたね。

藤本正二 廣田あいか

手前:藤本正二 奥:廣田あいか

廣田さんは終電に乗ったことはありますか?

廣田 まだないです(笑)。まだ乗ったことがなくて、未知の世界なんですけど。中央線の終電ちゃんも、『終電を好きにならない方がいい』って言ってるけど、読んだらちょっと興味沸いちゃったなと思って(笑)。

藤本 いや、乗らない方がいいですよ(笑)。

廣田 ですよね! まだ乗ったことがないから、こういう雰囲気なのかなって、ちょっと終電ちゃんで勉強させていただいて。でもきっと現実よりこっちの方がすごくあったかく描かれていると思うので、終電がほんとに魅力的なものに感じちゃうんですよね(笑)。

藤本 まずいですね。

廣田 まずいですよね(笑)。

実際に藤本先生が乗っていた終電で、何か印象に残っていることはありますか?

藤本 僕のマンガにはよく酔っぱらいが登場するんですけど、本当に車両に入った途端にお酒臭いんですよ。

廣田 終電の中がですか?

藤本 そう、車内が。自分がシラフの時は『うわー!』ってなるんですけど、自分が飲んでる時は結構気持ちいい空間なんです(笑)。

廣田 あ〜、延長みたいな感じで(笑)。

藤本 そうです(笑)。泣いている人がいたり、ちょっと吐きそう人がいて、近づきたくないなと思ったり。そういう感じですね。

このマンガを描かれるために終電に乗ることもありますか?

藤本 取材の時は乗りますね。だいたいその路線の空気感をうまくマンガに生かしたいので、どんな特徴があるのかな、といつも気にしながら見ているんですけど、都内の終電と地方の終電だと乗ってる人の数から全然違っていて。

廣田 確かに。

藤本 長崎の終電なんて、全然人が乗ってなくて。

廣田 みんなもう帰ってるんですね(笑)。

藤本 そう、帰ってるんですよ。終電で降りると、駅が全部消灯してて真っ暗で。だから外に出ても真っ暗じゃないですか。

廣田 それはそれで雰囲気がありますね。

藤本 ええ。それをちょっとマンガに描いてみようというのも、試みとしてできたかなと思います。

終電ちゃんキャラクター紹介(1) 中央線の終電ちゃん
中央線高尾行き最終電車の終電ちゃん。乗客を送り届けることに情熱を燃やす。

あたり前にある電車から見つかる温かさ

「終電ちゃん」の中で、特に廣田さんの印象に残っているのは、どんなエピソードでしょうか?

廣田 好きなお話は、中央線の終電ちゃんがしおりを持ってて、何十年後かにそれを乗客さんに返すっていうお話がすごくぐっときました。

藤本 ありがとうございます。

廣田 実在はしないんですけど、こういう終電ちゃんがもしいたら、すごくあたたかいなと思って。鉄道ってそういうあたたかさもあるんですけど、どっちかというと毎日何気なく乗っていたり利用していたりするので、あんまり大事さをわかってもらいにくいコンテンツというか、乗り物だなと思うんですよ。走ってることがあたり前になっちゃってるから。でもそのエピソードにはすごくほっこりして。人との繋がりみたいなものが素敵だなあと思いました。

第2巻の「#8 終電ちゃん1960」ですね。このエピソードは、時間の経過も感じられますしね。

廣田 そう。車両も変わっていて、『わー!』っと思って。

藤本 あのエピソードは、まだ高尾駅ではなくて浅川駅っていう名前だった時代から始まっていて。それを描きたいなと思ったんですよ。それで“1960”っていうタイトルにしたんです。

廣田 それが2巻の頭のシーンですね。あ、ほんとだ! “浅川”行きになってますね。

藤本 61年に高尾駅になったみたいです。

廣田 へえ〜、細かい! 細かいところまでまたじっくり読んでみます!。

車両と行き先に注目! 第2巻「#8 終電ちゃん1960」より
©藤本正二/講談社

廣田さんはどの終電ちゃんがお好きですか?

廣田 私は小田急の終電ちゃんが一番好きなんです。だって卵くれるんですもん(笑)。すっごいかわいい。終電っていうのもあるから、結構せかせかしたキャラクターが多いじゃないですか。その中で小田急線の終電ちゃんはゆるくて、雰囲気が独特だったのでなんかいいな、と思いました。

藤本 ありがとうございます(笑)。小田急の終電ちゃんは、終点が温泉街っていうイメージがあって。なので温泉のおかみさんみたいなイメージで描いてみようと思ったんです(笑)。そうすると温泉卵かな?って。

廣田 しかもそこまで行かないのにね。(終電の終点は)経堂なのに卵くれるってとこがもう、やばい(笑)。かわいいなあと思って。行った気持ちを味わわせてくれるところがすごく素敵だと思いました。

藤本 3巻では小田急の終電ちゃんが結構出てくるんですよ。

廣田 そうなんですか? 早く読みたい! 小田急って言っても線がいろいろあるじゃないですか。最初の1巻はJRがメインでしたけど、そういう私鉄もちょっとずつ出て来てるじゃないですか。それがすごい楽しみだなあっていうか、期待してます(笑)。乗り入れはどうなるんだろうと思って。小田急も千代田線と繋がって、常磐線にも繋がるから、そこの終電ちゃんたちはどういうふうに連絡を取り合うんだろうな、とか。そこがすごい楽しみです!

藤本 あ〜、そうですね(笑)。常磐線は終電ちゃんになってるんですよね。

廣田 そうですよね。なんか山手線の終電ちゃんが、常磐線がどうとか言ってましたよね。

そこはどうやら仲が悪いみたいですね(笑)。

廣田 そうそう(笑)。だから、どんな物語ができるのかなと思って。

藤本 そうですね。考えますね(笑)

東京メトロを舞台と想定すると…

ちなみに廣田さんが好きな路線はありますか?

廣田 私は東京メトロが好きなので、ストーリーになったら面白そうだなって思っていて。例えばメトロといえば銀座線と丸ノ内線は直通運転がなくて、しかも第三軌条なのでパンタグラフが邪魔じゃないんですよ。だから終電ちゃんがウロウロしやすい環境の車両だなと思って(笑)。なので、ヤンチャな子だったりしたら面白いのかなとか思ったり。あとFライナー(副都心線を経由し埼玉と横浜を結ぶ速達形列車)は逆にすごい繋がるじゃないですか。みなとみらい線もいなきゃだし、東急(東京急行電鉄)もいなきゃだし、副都心線も西武線もってなっちゃうから、それぞれの終電ちゃんとの関係が生まれると思うんですよ。そしたらたぶん、そのうちの何人かの子たちが仲良しだったり、逆に仲悪かったりとか、従姉妹になってくるのかなとか、そういうのを考えると面白いなあと思って。

藤本 ありがとうございます(笑)。

廣田 長崎の佐世保線と松浦鉄道の子が姉妹だったじゃないですか。そういうのもあるのか!と思って。だったら丸ノ内線で方南町と分岐したら、それは親子になるのかなあ?とか、いろいろ考えちゃいました(笑)。

藤本 そうですよね、地下鉄って難しいんですよね。

廣田 地下鉄って分岐とかが多いからすごく難しそうなんですけど、そこが双子になったりするとかあるのかな、とか展開を勝手に考えると楽しくて楽しくて。

終電ちゃんキャラクター紹介(2) 山手線の終電ちゃん
山手線品川行き最終電車の終電ちゃん。高飛車な性格で各線の発車を待たせる。

いっぱいアイデアが出てきましたね(笑)。

藤本 いただきましたね(笑)。地下鉄はいっぱいあって大変なんですよね。乗り入れとか、どうやって描こうかな、とか。

廣田 そうですよね。あとJRでも、中央線と総武線はどういう関係なんだろう?とか、山手線と京浜東北線とはどういう関係なんだろう?とか。もう、考え出したらキリがないです(笑)。

藤本 僕も悩み出したらキリがないです(笑)。

地下鉄は今のところ大江戸線の終電ちゃんがいますよね。

藤本 そうです。大江戸線は独立してるので、描きやすかったんですね。

廣田 あ〜。でも路線が結構難しいじゃないですか。都庁前で乗り換えなきゃいけなかったり。そういうところが難しそうですけど、楽しみです。大江戸線の終電ちゃんはまだ読んでないんですけど。

藤本 あ、3巻で出てきます(笑)。

廣田 わ〜、楽しみです!

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