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奇跡のカンパニーが感動のフィナーレ! 舞台『ペルソナ3』最終章「碧空の彼方へ」男性主人公ver.公演レポート

奇跡のカンパニーが感動のフィナーレ! 舞台『ペルソナ3』最終章「碧空の彼方へ」男性主人公ver.公演レポート

原作であるゲーム『ペルソナ』シリーズは、第一作『女神異聞録ペルソナ』が1996年にPlayStationで発売されたのち、物語性の高いストーリーや戦略性の高いバトルシステムなどで多くの人を虜にしたジュブナイルRPGだ。現在では最新作『ペルソナ5』が発売され、全世界で約150万本を売り上げている。実に20年以上、長きに渡り愛され続けているゲームシリーズだ。

もちろん、様々なメディアミックスも人気を博し、満を持してゲーム『ペルソナ3』を原作にした舞台が2014年1月に第1弾「青の覚醒」として上演。同年9月には第2弾「群青の迷宮」。そして前作の第3弾「蒼鉛の結晶」が2015年6月に上演された。その最終章に当たる舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』 第4弾「藍の誓約」 最終章「碧空の彼方へ」が4月14日からシアターGロッソにて公演中だ。足掛け3年。これほどまでに丁寧に、一つの物語を最後まで描き切った作品は他に類を見ないだろう。さらにキャストを変えずに上演していることも奇跡に近い。そんな舞台の感動的なフィナーレに立ち会うことができた。

カメラマン:鏡田 伸幸

1日と1日の狭間にある隠された時間「影時間」に現れる異形の怪物「シャドウ」。「シャドウ」を倒すことができるのは、「影時間」に適正があり「ペルソナ」を扱える者達。月光館学園の生徒、主人公の汐見朔也(蒼井翔太)をはじめ、「ペルソナ」の能力をに目覚めた特別課外活動部(S.E.E.S.)のメンバーは、「影時間」の謎を追い、「シャドウ」討伐の戦いに立ち上がる。最終章では、彼らが「シャドウ」との苦闘の果てに、すべての謎の答えに対峙する。それは希望か絶望か――。

苦闘の先に辿りついた答えが、フィナーレに光り輝く

まず見逃せないのは役者陣だろう。3年、座組みを変えないということは、この作品に対する愛がなければできないし、稽古での苦労も手を取り合って乗り越えてきたメンバーだからこそなし得た偉業でもあるだろう。
その結束力はまず歌に現れる。メンバーのハーモニーが素晴らしい。息のあった歌に場内は拍手喝采だった。

カメラマン:鏡田 伸幸

舞台『ペルソナ3』で特徴的なのは、クールで知的な現代の若者らしいどこか冷めたキャラクターが多いことだ。そこがかっこいい。
しかし、最終章になると、ストーリーの盛り上がりもさることながら、キャストの成長した姿とキャラクターの個性が火花を散らし合い、舞台上に10代のリアルな感情が溶岩のように熱く渦巻いていた。怒り、泣き、笑い、そして明日への夢。生きること、そして、死ぬことへの不安。そんな若者の誰もが持つ感情がそれぞれの役者陣に憑依したように、彼らは一心不乱に熱い演技を見せた。

左:ZAQ 右:蒼井翔太  カメラマン:鏡田 伸幸

汐見朔也〈蒼井翔太〉は、何があろうとみんなを守りたいという一心で敵と戦い、アイギス〈ZAQ〉は、そんな彼を心配しながら、ロボットとしての自身の心のあり方と対峙する。

左:大河元気 右:はねゆり カメラマン:鏡田 伸幸

岳羽ゆかり〈富田麻帆〉は、メンバーのことを気にかけ友情の大切さを歌で表現する。伊織順平〈大河元気〉は、コメディーリリーフを存分にこなし、敵対するストレガのチドリ〈はねゆり〉と心を通わせ、それでもなおシャドウに戦いを挑む勇気を爆発させる。

左:藤原祐規 中:鈴木知憲 右:田野アサミ カメラマン:鏡田 伸幸

高校3年生の桐条美鶴〈田野アサミ〉は、みんなをまとめあげるリーダーシップを宣言し、真田明彦〈藤原祐規〉は絶望の淵に立ったメンバーを鼓舞する。

左:田上真里奈 左中:鈴木知憲 右中:富田麻帆 右:蒼井翔太 カメラマン:鏡田 伸幸

山岸風花〈田上真里奈〉は、消極的で大人しいキャラクターだが、それでもメンバーと戦い抜きたいと不安を振り払い、〈天田乾〉(Wキャスト)の鈴木知憲は、果敢に悪に挑み成長した姿を見せる。

左:西山丈也 右:松本祐一 カメラマン:鏡田 伸幸

また、敵対するタカヤ〈西山丈也〉は、冷酷な圧政を推し進め、その相方であるジン〈松本祐一〉は彼に盲信する。

植田圭輔 カメラマン:鏡田 伸幸

最終章で忘れてはならないのが、望月綾時〈植田圭輔〉だろう。彼はとある秘密を抱え苦悶する。彼の抱えている感情がフィナーレに向かっていくのをみて、泣いてしまう観客もいたほどだ。

それぞれのキャラクターの持ち味を存分に活かした座組み。そして、彼らの声、演技、歌、心、肉体、すべてが成長し、舞台上で眩しく輝いていた。それは、すべてのメンバーがこの作品を愛し、激しい稽古を繰り返し、宝石のように磨き上げたからだろう。だからこそ、ストラグルをくぐり抜けた先に辿り着いた答えが、フィナーレで一層光り輝くのだ。

役者とスタッフが作り上げた愛の結晶

また、本作はスタッフワークも見逃せなかった。「影時間」や「シャドウ」が原因で、不安や絶望が蔓延し人々が無気力状態になってしまうのだが、それはまるで今の現実の世界に蔓延しているアパシーに似ている気がする。舞台美術は、シンプルな白っぽい階段を舞台に、インスタレーションのように映像を映し出して舞台転換をする。シルクスクリーンを落として映像を映せば、未来的な装置に早変わりさせる。この転換の素早さと美しさを発揮する美術は手に汗握るほどスリリング。演出も、キャストが客席の間を走ったり、階段を登ったり、歌ったり手拍子をしたりと、臨場感のある舞台を作り上げていた。音楽は、クールな印象のものからポップで明るい曲調、ピアノのバラードまで耳に残るメロディーの曲が次々と流れていく。

役者陣とスタッフワークが作り上げた、3年という長きに渡る愛の結晶とでもいうべき舞台だった。

カメラマン:鏡田 伸幸

最終章のカーテンコールでは第1弾から前作までに歌われた楽曲をメドレーで披露してくれる。これまでの作品を観た人には、様々な思いが蘇ってくるだろう。

公演は23日まで。彼らの魂があなたに贈る答えはきっと胸に響くだろう。舞台のクライマックスでは美しい青空が広がり、確かな感動が待っている。間違いなく、2017年の傑作舞台と言えるだろう。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 鏡田 伸幸

舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』 第4弾「藍の誓約」 最終章「碧空の彼方へ」

2017年4月14日(金)~23(日) シアターGロッソ

大人気ゲーム『ペルソナ3』を舞台化した舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』シリーズ。これまでに2014年1月に第1弾「青の覚醒」、2014年9月に第2弾「群青の迷宮」、2015年6月に第3弾「蒼鉛の結晶」を上演。

【あらすじ】
一日と一日の狭間にある隠された時間“影時間”や異形の怪物“シャドウ”。それらに対抗できるペルソナの力に目覚めた若者たちの戦いを描く。

【演出】キムラ真(ナイスコンプレックス)
【脚本】神楽澤小虎(MAG.net)
【音楽】目黒将司(アトラス)
【出演】
汐見朔也:蒼井翔太/汐見琴音:阿澄佳奈
岳羽ゆかり:富田麻帆、伊織順平:大河元気、桐条美鶴:田野アサミ、真田明彦:藤原祐規、山岸風花:田上真里奈、天田 乾(Wキャスト):坂口湧久/鈴木知憲、タカヤ:西山丈也、ジン:松本祐一、チドリ:はねゆり/荒垣真次郎:藤田 玲(特別出演)/アイギス:ZAQ、望月綾時:植田圭輔 ほか
[PERFORMER]いいむろなおき、大岩主弥、鳥越理沙子、頼経遥、福島悠介、あきつ来野良、渡辺英治、大澤信児、萩原悠

オフィシャルサイトhttp://www.clie.asia/p3wm/

DVD発売

第4弾 舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade~藍の誓約~』DVD
2017年7月26日(水)発売
最終章 舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade~碧空の彼方へ~』DVD
2017年8月23日(水)発売
ともに発売元は株式会社アニプレックス


©ATLUS ©SEGA / P3 the WM Project 2016


ペルソナ3 公式設定資料集

アートディレクター副島成記氏による描き下ろしイラストをはじめ、全キャラクターのさまざまな衣装や表情バリエーションCG、ファン垂涎の設定原画など、魅力的なビジュアルをあまさず収録! 『ペルソナ3』の美術製作に触れられるオフィシャルデザインワークス登場!