LIVE SHUTTLE  vol. 137

Report

安室奈美恵ライブツアー。“クィーン・オブ・ライブ”と呼ばれる理由

安室奈美恵ライブツアー。“クィーン・オブ・ライブ”と呼ばれる理由

namie amuro LIVE STYLE 2016-2017
2017年3月30日 国際フォーラム ホールA

安室奈美恵の最新ホールツアー「namie amuro LIVE STYLE 2016−2017」から、3月30日(木)に行われた国際フォーラム ホールA公演をレポート。2010年代以降のヒットチューンを網羅したセットリスト、さらに精度を増したパフォーマンス、最新鋭の映像技術を駆使した演出など、“クィーン・オブ・ライブ”と呼ぶにふさわしい圧巻のステージを追体験してほしい。

2010年代以降、テレビ、イベントの出演を抑え、自身のライブ・ツアーを活動の中心に置いている安室奈美恵。そのため“実際に会場に足を運んで、生の彼女を見ているファン”と“最近テレビで見ないけど、いまの安室ちゃんってどんな感じなんだろ?”と思っている人たちの間で、安室奈美恵のイメージはかなり解離しているのではないか。後者の人たちは音楽サイトのニュースなどを通して“いまも美しいプロポーションを保ち、キレキレのダンスを踊れるらしい”とか“ボーカルもまったく衰えていないみたい”とか“やっぱりMCはほとんどないらしい”という話を伝え聞くしかないわけだが、結論から言うと、それは全部、完璧に真実。今回のツアー「namie amuro LIVE STYLE 2016−2017」でも彼女は、アスリート並みに鍛え上げられたしなやかな肉体を駆使し、ストイックな姿勢に貫かれたエンターテインメント・ショーを体現していたのだった。

まず驚くべきはツアーの本数だ。2016年8月からスタートした本ツアーは、4月から5月にかけて開催された追加公演を含めると合計100本。この本数は2010年のホールツアー「namie amuro PAST<FUTURE tour 2010」の80公演を超え、過去最高。2000年以降、アルバムのリリースの有無に関わらず毎年ツアーを開催している彼女だが、ライブに対するモチベーションはここにきてさらに高まっているように見える。

もちろん、ライブの内容自体も文句なく素晴らしい。彼女のライブは「映像→5〜7曲くらいを披露→映像」というスタイルで行われる。今回のツアーは4つのシーンに分かれていて、そのたびに衣装を着替え、まったく違ったイメージのステージが展開された。最新アルバム「_genic」収録の「Stranger」から始まるオープニングは、肩をがっつり出した黒のビスチェ&パンツ・スタイルで華やかな雰囲気。オーディエンスのシンガロングが生まれた「Show Me What You’ve Got」にリードされた第2シークエンスではオーディエンスとの一体感を演出し、アーミー風のコスチュームをまとった第3シークエンスでは「Hide & Seek」に象徴されるハードなナンバーからヒット曲「Baby Don’t Cry」までメリハリのある楽曲で楽しませる。最後の第4シークエンスでは、「Hero」(NHKリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック放送テーマソング)、「Mint」(ドラマ「僕のヤバイ妻」主題歌)、「Fighter」(映画「デスノート Light up the NEW world」劇中歌/ライブでは映画の映像を使った演出も)といった最近のシングル曲を中心に“最新型の安室奈美恵”を強烈にアピールし、アンコールではツアーTシャツとデニムというスタイルでリラックスした笑顔を見せる。公演時間は全体で約2時間。前述した通りライブ本編でのMCは一切なく(アンコールが終わってステージを去るときの“今日はどうもありがとうございました! また遊びに来てね。バイバイ!”のみ)、ほぼシームレスでテンポよく進むステージングを堪能しているうちにライブはエンディングを迎えていた。ステージ全体のイメージを誘導する映像、日本のトップダンサーたちによるパフォーマンスを含め、ライブの洗練度はまちがいなく、さらに大きく向上していた。

全体を通して印象的だったのは、音質、音響の良さ。アルバムを引っ提げたツアーではないので、ここ数年の楽曲が満遍なく網羅されているセットリストだったのだが、すべてのトラックはライブ用にチューンアップされ、現在の彼女の音楽的なモードへと変換されていた(特にキックの音色のカッコ良さは抜群)。基軸になっているのはR&B経由のエレクトロ。いまから15年前の2002年に今井了介、ZEEBRA、VERBALなどと共に“SUITE CHIC”に参加したことを契機にしてR&B/HIPHOPへ傾倒した彼女の音楽性は、その後も海外の音楽シーンとリンクしながら、エレクトロ、EDM、トロピカルハウスなどのトレンドを取り入れ、独自の発展を遂げてきた。毎年のように進化を繰り返すサウンドメイクもまた、オーディエンスを惹きつけるひとつの要因になっているようだ。

その中心を担っているには言うまでもなく、彼女自身のパフォーマンスだ。最新鋭のエレクトロ・トラックを完璧に乗りこなし、しなやかなグルーヴ感を放ちまくるボーカル。そして、一流のダンサーとともに繰り広げられる切れ味鋭いダンス・パフォーマンス。ライブ中のインターバルは3回の映像シーンだけ。しかもその間に着替えを終えなくてはならないので、休憩できるような時間はほとんどないはず。まさに“2時間ぶっ通しで踊り続け、歌い続けている”わけだが、筆者が観ている限り、呼吸が乱れることは一瞬もなかった。デビューから25年、これだけのパフォーマンス能力を維持しているのは驚異的と言うほかない。開演前に“奈美恵コール”を発し、ライブ中も熱狂的な声援を送り続けるファン(10代、20代の若いオーディエンスも多い)にとって彼女は、いまも完璧な女性像であり、憧れの対象であり続けているのだ。

今年9月、安室奈美恵はデビュー25周年を迎える。アニバーサリーイヤーの第一弾は、デビュー日の9月16日(土)から故郷・沖縄で開催される2daysの野外ライブ「namie amuro 25th ANNIVERSARY LIVE in OKINAWA」。メディア戦略やSNSに頼らず、ライブという場所でファンと向き合うことで、圧倒的なクオリティを体現し続ける安室奈美恵。今後アナウンスされるはずの25周年関連のライブ/イベントのなかで彼女は、その唯一無二の存在感を改めて誇示することになるはずだ。

文 / 森朋之

namie amuro LIVE STYLE 2016-2017
2017年3月30日 国際フォーラム ホールA

セットリスト
– opening –
1.Stranger
2.Ballerina

3.Fly
4.Black Make Up
– VTR –
5.Show Me What You’ve Got
6.It
7.Rainbow
8.Contrail
9.Alive
10.Hands On Me
– VTR –
11.Hide & Seek
12.Time Has Come
13.Strike A Pose
14.Baby Don’t Cry
15.Every Woman
16.Neonlight Lipstick
17.Love Story
– VTR –
18.Hero
19.Mint
20.Heaven
21.Fashionista
22.Fighter
23.Scream
– encore –
1.Chit Chat
2.Anything
3.Dear Diary
4.Birthday

ライブ情報

namie amuro 25th ANNIVERSARY LIVE in OKINAWA
9月16日(土) 沖縄県宜野湾海浜公園野外特設会場
9月17日(日) 沖縄県宜野湾海浜公園野外特設会場

安室奈美恵

沖縄県出身。10代でデビューし、瞬く間に数々のヒット曲を生み出し日本の音楽史に名前を刻む。国内アルバムセールスで史上初となる10代20代30代ミリオンセールスを記録し、アジア5カ国地域でも音楽チャート1位を獲得するなど、国内のみならず海外にも活躍の場を広げるトップ・ポップ・アーティスト。2017年5月31日には、日本テレビ系水曜ドラマ「母になる」主題歌のシングル「Just You and I」を発売。

オフィシャルサイトhttp://namieamuro.jp/

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