Interview

杉咲花「万次〈木村拓哉〉と凜は損得ない愛情でつながっている」―映画『無限の住人』

杉咲花「万次〈木村拓哉〉と凜は損得ない愛情でつながっている」―映画『無限の住人』

人気コミック『無限の住人』が、監督・三池崇史×主演・木村拓哉という強力な布陣で実写化を果たした。久々のスクリーンを飾る木村拓哉が演じるのは、数奇な運命で不死身の身体となった男〈万次〉。そして、親の仇討ちのために〈万次〉に用心棒を依頼する少女〈凜〉を演じたのが、目覚ましい活躍を続ける杉咲花だ。女優として飛躍の時期を迎えている彼女が体当たりで挑んだアクションシーンや、木村との共演についてじっくりと伺った。

取材・文 / 大谷弦
撮影 / 三橋優美子


原作の『無限の住人』は読んだことはありましたか?

私は漫画に全然詳しくなくて、今回のお話をいただくまで読んだことがなかったのですが、撮影前に全巻揃えて読ませていただきました。〈凜〉を演じるという気持ちで読んでみて、私が惹かれたのは〈凜〉と〈万次〉の関係性です。恋人でもなく家族でもないけど、それよりもっと深いところでつながり合っている。あの二人のように、損得なしに人を愛せるという部分に心を動かされました。

漫画原作の実写作品に参加するというのは、いつもとは意気込みが違うものでしょうか?

私はどの作品でも常に同じ想いでやりたいと思っているので、意気込みが変わるということはなかったです。新たな場所に挑戦できることに対して、とても楽しみでしたし、緊張感もありました。それは実写化ということ、木村さんとの共演だったり、三池組に参加できる喜びだったと思います。

木村さんとの共演はいかがでしたか?

演技だけでなく、人として勉強させていただいたことが多かったです。木村さんからは、どんな立場の方に対しても相手を敬うという意識をすごく感じました。その姿勢をずっと続けてきているから、たくさんの人から尊敬されていて、現場のスタッフさんからも愛されているんだなと思いました。〈凜〉と〈万次〉の会話の場面の撮影では、木村さんがフレームに入らないシーンでも、私の目線に〈万次〉さんがいるときは必ずカメラ越しに立っていてくださいました。それは本当に誰でもできることではないと思いますし、演技に集中する空間を与えてくださいました。

共演シーンについて、お二人で話し合われたりとかは?

役についてはあまりお話はしていないです。話さなくても通じ合えている感覚があって、それは〈凜〉と〈万次〉の関係性のようなものを感じていました。木村さんと話すときは撮影とは全然関係ない話で、いつもたくさん楽しませてくださいました。その雰囲気が現場に立ったときの安心感というか、大丈夫だなと思えるような雰囲気を生み出してくださったんだと思います。

三池監督の印象は?

細かい指示はほとんどなく、自分の思うようにやらせていただいた印象です。初めてお会いしたときに、三池監督は原作をリスペクトしたいとおっしゃっていて、そこを共有することが一番大きかったと思います。監督のタブレットには原作コミックが全部入っていて、それを常に見ていました。私も迷ったら原作を読んで、参考にさせていただきました。

三池組の雰囲気はどんな感じでしたか?

最初はピリピリしているのかなと想像していたのですが、とても楽しい現場でした(笑)。スタッフさんも三池監督とずっと組まれてきている方ばかりなので、もう空気が出来上がっていて、緊張せずに自然とカメラの前に立てるような雰囲気で、すごく刺激的でした。

今回は時代劇で、しかも殺陣やアクションにも挑戦しています。

撮影の2カ月前くらいから、アクションと所作の稽古をやらせていただきました。殺陣の練習をしているときは木刀なんですけど、本番は“ジュラ”っていう、真剣に見えるようなものを使うんです。これがとても重くて、慣れるまで少し時間がかかりました。

〈凜〉の得意技である“殺陣黄金蟲”も完全再現してましたね。

実は体勢がとてもキツいんです(笑)。すごく体を反らせなくてはいけなくて、それでセリフや掛声も言わなくてはいけないので、大変でした。

印象に残っているアクションシーンと、特に大変だったことは?

すごいと思ったのは、ラストの300人斬りのシーンですね。現場でも、本当の殺し合いが目の前で起きていると思うぐらい怖かったですし、その切迫感や臨場感は映像になっても滲み出ていると思います。私は、〈万次〉の後ろについて守られながら動くのですが、どこかで転んだり、変な動きをして止めてしまったらどうしようと、すごく緊張感がありました。

お芝居の方ではどうでしたか?

北村一輝さんが演じられた〈鯖人〉に復讐に行くシーンは、集中力が必要だなと思う場面でした。〈凜〉の背負った過去と両親の復讐。でも、その部分は具体的にはあまり描かれていないので、そこをどうやって常に意識できるかというのが不安でもありました。自分で出来る限り考えて、原作も何度も読み返して、あとはもう現場で出てきた感情でやろうと思ってやらせていただきました。

昨年の『湯を沸かすほどの熱い愛』では、日本アカデミー賞の最優秀助演女優など、数々の賞を受賞されましたが、そういった評価を受けて改めて女優という仕事に対する心境の変化はあったりしますか?

変化というものは、まだあまりないかもしれません。演じるということに対して、何が自分にとっていいのかもまだわからないですし、今は探り探りでやりながら、見つけて行っているところなのかなと思っています。でも、今回、『無限の住人』の現場を経験したことで、一つの作品、一つの役に対してより大事に向き合って行きたいという想いは強くなりました。たくさん学んだこともありましたし、自分にとって、大きくて、忘れられない映画になったと思います。あとはこの作品を、とにかく多くの人に観ていただきたいです。アクションが見どころなのはもちろん、どのシーンも、どの人物も、見落とせないくらいの物語が詰まっているので、感情移入しながら楽しんでいただけると思います。

杉咲花

杉咲花

1997年生まれ、東京都出身。ドラマ『夜行観覧車』(13/TBS)で注目され、その後、多くのドラマ、映画、CMなどに出演している。2016年公開の映画『湯を沸かすほどの熱い愛』(中野量太 監督)での演技が高い評価を受け、第40回日本アカデミー賞で最優秀助演女優賞、新人俳優賞を受賞するなど、多くの映画賞を受賞。近年の主な出演作に【ドラマ】『とと姉ちゃん』(16/NHK)、【映画】『イン・ザ・ヒーロー』(14/武正晴 監督)、『繕い裁つ人』(15/三島有紀子 監督)、『トイレのピエタ』(15/松永大司 監督)、『劇場版MOZU』(15/羽住英一郎 監督)など。アニメーション映画『メアリと魔女の花』(7月8日公開予定/米林宏昌 監督)では、主人公〈メアリ〉の声を担当する。

オフィシャルサイトhttp://www.ken-on.co.jp/hana/

この記事の画像一覧

映画『無限の住人』

2017年4月29日公開

両親を殺され復讐を誓う少女〈凜〉はある日、謎の老婆から“不死身の侍”の存在を耳にする。江戸中を探し回り、ようやく見つけたその男の名は〈万次〉。顔に大きな傷を持ち、異形の武器を携えた独眼のその男は妹を失って半世紀、生きる糧を失い、ただただ生きていた。
どこか妹の面影を残す〈凜〉の願いを受け、〈万次〉は敵討ちを手伝うことになる。二人の狙いは逸刀流統主〈天津影久〉。幕府も手を焼くならず者が集う、最強の剣客集団の首領である。立ちはだかる刺客との激戦で不死身のはずの身体に異変を感じ始める〈万次〉。しかし〈凜〉と出会い、生きる目的を見出した彼は、すべてを懸けて〈凜〉を守ると決意する。そして物語は意外な結末へ――。

原作】沙村広明『無限の住人』(講談社『アフタヌーン』所載)
【監督】三池崇史
【脚本】大石哲也
【出演】
木村拓哉
杉咲花 福士蒼汰
市原隼人 戸田恵梨香 北村一輝
栗山千明 満島真之介 金子賢 山本陽子
市川海老蔵 田中泯 / 山﨑努
【音楽】遠藤浩二
【主題歌】MIYAVI「Live to Die Another Day – 存在証明 -」(UNIVERSAL MUSIC)
【配給】ワーナー・ブラザース映画

オフィシャルサイトhttp://mugen-movie.jp

©沙村広明/講談社 ©2017映画「無限の住人」製作委員会

原作本 『無限の住人』
無限の住人 1巻

沙村広明 (著)
講談社

『無限の住人』映画公開キャンペーン 1~3巻無料 【5月18日(木)まで】