Interview

生粋のかませ犬(!?)浜野謙太、妄想歌謡劇『上を下へのジレッタ』に挑む。芝居と音楽の両立、その本音をポロリ

生粋のかませ犬(!?)浜野謙太、妄想歌謡劇『上を下へのジレッタ』に挑む。芝居と音楽の両立、その本音をポロリ

浜野謙太=ハマケンと聞いて、最初に浮かぶイメージはどんな姿をしているだろうか……。リーダーを務めるファンク・バンド“在日ファンク”でのファンキーな歌とダンス? 連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の“森田屋”の板前? シェアハウスを舞台にしたドラマ『好きな人がいること』での佐野ひなことのバカップルぶり? 映画『闇金ウシジマくんPart3』での怪演? それともアニメ『Go!Go!家電男子』のドラムの声? もしくは東京03の舞台で見せる喜劇役者?……様々なフィールドで活躍しながらも、決して強烈な個性が薄れることはない──。果たして、彼自身はどう感じているのだろうか。5月より倉持 裕が脚本・演出を手がける、妄想歌謡劇『上を下へのジレッタ』(原作:手塚治虫)に挑む彼に、率直な質問をぶつけた。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 冨田望


横山 裕くんファンには、抜群のかませ犬っぷりを見せてやる

妄想歌謡劇『上を下へのジレッタ』への出演オファーを受けたときの心境から聞かせてください。

単純にまた、倉持さんと竹中(直人)さんとできるなんて幸せだなって。『夜更かしの女たち』(13/竹中直人 企画&倉持 裕 作・演出)がめちゃめちゃ楽しかったので、また一緒にやろうぜって声をかけてくれたのが嬉しかったですね。

ハマケンさんは、その“直人と倉持の会“の『夜更かしの女たち』が初舞台でしたよね。どんな経験になりました?

そうですね。ドラマでご一緒すると、舞台の役者さんたちってみなさんすごい器用で、引き出しがいっぱいあるなっていうイメージがあったんですよ。ドラマはわりと役者に任せるところがあるし、映像の世界は芝居のあとに編集があるから、どうなっていくかわからないところもあるじゃないですか? それに、自分らしく立体的に演じなきゃって考えることもあるんですけど、倉持さんの舞台は、倉持さんに委ねていればいいというか、より、オーケストラっぽいと感じたんですよね。とはいえ、僕、倉持さんの舞台にしか出たことがないので(苦笑)、倉持さんのお芝居に関してしか言えないんですけど……本当にオーケストラみたいで。バンドをやってるときの感覚というよりは、中学校のときにやってた吹奏楽部の感覚に近いんですよ。みんなの中で音を出して混じったときの感覚というか……旋律に支配されるというか。倉持さんの脚本自体がそもそも美しい譜面のようでしたね。

トロンボーン奏者として指揮者に合わせて楽譜どおりに演奏するというイメージが近い?

そうですね。無理もせず、でも、めちゃくちゃ楽しくできましたね。

その舞台の楽しさって何ですか? ドラマや映画、バンド活動とも違う。

なんですかね……凝縮した感じというか。結局、お客さんの前でやると、お客さんがどこで笑うのかを掴んできて……どうしてもそっちの方向を向いちゃうっていうのは、1回目の舞台での反省なんですけど(笑)。そうではなくて、どこで笑いが起きても、お客さんがどんな反応をしたとしても、俺らが1ヵ月間稽古で固めてきた確固たるものがあるんだから誰にも負けないっていう凝縮度を感じてました。自分たちが一番いいと思っている“とっておき”をぶつける感覚ですかね。あっためたものを「どうかな?」って相手の顔色を伺いながら差し出すのではなく、「喰らえ!」みたいな気持ちでぶつける(笑)。その凝縮感がたまらなく気持ちよかったですね。チームには認められてる感じもあったし、満たされてる感じもあったし。

2作続けて倉持さんの舞台になったのは偶然ですか? それとも、ほかの舞台には出ない理由が?

いや、決めてるわけじゃないんです。バンド活動もやってると、舞台のスケジュールってなかなか噛み合わなくて。だから、あまりやってないだけで。東京03さんの舞台の場合は、期間も短いのでスケジュール的にはスムーズに出させていただいてるんですけど。

だいたい稽古に1ヵ月、公演に1〜2ヵ月とられてしまいますからね。

そうなんですよね。でも、倉持さんに言われちゃったら、もう、断れないっていうか(笑)。今回、マネージャーとも話したんですけど、凝縮した3ヵ月になるから自分のためにもやろう、と!

今、バンド活動と役者業の両立に関してはどう考えてます?

もともと2つをやろうと思って始めたわけではなくて。自分の中ではちょっとかけ離れちゃってるような気がしてます。どっちかって言うと、器用にやってるような印象になっちゃってるというか。だから、いつか「あぁ、あの人だよね!」っていう認識になったらいいなって思って、努力してます。今日、マスクをしないでこのまま電車に乗ってきたんですけど、高校生が、僕だってわかってるんだけど、わかってないふりをしながらこっちを見てたんですよ。友達と一緒にスマホの画面とこっちを見比べてヒソヒソしてて。で、その画像が、どの画像なんだろうって思って(笑)。

あははははは。在日ファンクの写真ですかね。

音楽好きな子は在日ファンクを知ってたりするんでしょうけどね。もー、それが、月9なのか、朝ドラなのか、『ウシジマくん』なのか……気になって(笑)。いつか、スマホで画像確認しなくてもわかるくらいになったらいいなって思うんですよねー(笑)。

(笑)かけ離れてるっていうのは?

役者として使ってくださってる方々は“音楽もやってる浜野くん”として認識してくれてるんですけど、見ている人たちが、自分がバンドをやってることを認識してないっていうこと、その寂しさ(笑)……ぶっちゃけた話、ライブの動員にまったく作用してないですから。2つが合わさってうまく回り出したらいいなって思ってるんです。まあ、一生ならないかもしれないですけど、「もっと近づけ!」って思ってやってるのはやりがいになってたりしてますね。

(笑)でも、今作は“妄想歌謡劇”ですから、音楽要素が強いですよね。

そうですね。だから、倉持さんには本当に頭が上がらないというか。脚本を読むと、俺のやり方を加味してキャスティングしてくれてる感じが伝わってきて、すごく嬉しくて。

それはどのへんに感じました? 売れない漫画家で、世間にジレッタという妄想をヴァーチャル・リアリティのように見せる〈山辺音彦〉役ですが。

まず、僕はお芝居だと、だいたい冴えない役で(笑)。じゃあ、ライブで冴えてるかどうかっていうのもわからないですけど(笑)、歌も歌うし、ダンスもするし、「キレッキレ!」とか言ってもらえるポジションにいて。この山辺は冴えない漫画家なんだけど、抜群の妄想力を発揮して、その中で自由になんでもできるんですよね。演劇でいうと、その冴えない部分と、妄想部分ではっちゃけるっていう二面性をうまく切り替えられないといけないと思うんですよ。倉持さんから直接言われたわけじゃないんですけど、そこは俺、できんじゃないかなと思って。

歌謡劇として歌も踊りもあって、役者とミュージシャン、どちらの顔も同時に表現できる場になるってことですよね。

そうですね。だから、心底嬉しいですね。あとひとつ、これは、僕の生涯的な役割なのかなって思うことがあって。今回も、“かませ犬”なんですよね。

あはははは。

僕ね、生粋のかませ犬なんですよ、昔から(笑)。友達が女の子と付き合う前のデートに、友達としてついていく3人でのデートっていうのがすごく多くて。SAKEROCKなんかもファンから見たら、星野(源)くんのかませ犬だったわけで(笑)。

そうで……。

今、そうですって言いそうになりましたね?(笑)

あははは。いや、そんなことないですって言おうとしたんですけど、たしかにSAKEROCKのライブでは、ステージ中央でトロンボーンを吹いてる浜野さんより、右脇でギターを弾いてる星野さんを見てる女子も多かったなと思い出しました。 

僕を見てないお客さんはいっぱいいましたよ(苦笑)。しかも、今や、在日ファンクでも、僕より周りのメンバーのほうが人気が出てきちゃって……なんなんだろう?って思ってます。そういう意味では、今回も任せてくれ!っていうか。横山(裕)くんファンには、抜群のかませ犬っぷりを見せてやるって思ってます!!