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原田左之助を熱演!ミュージカル『薄桜鬼』東啓介の野性味と色気

原田左之助を熱演!ミュージカル『薄桜鬼』東啓介の野性味と色気

大阪公演が大盛況で幕を閉じ、いよいよ東京公演の火蓋が切って落とされたミュージカル『薄桜鬼』原田左之助 篇。シリーズ累計出荷本数100万本を超える大人気ゲーム『薄桜鬼』を原作に、熱い男たちの戦いのドラマを殺陣×ダンス×歌でミュージカル化。2012年上演の第1弾「斎藤 一 篇」を皮切りに、本作で堂々10作目を数えることとなった。
その記念すべき原田左之助を演じるのは、第7作目のミュージカル『薄桜鬼』黎明録より同役を演じる東啓介! 舞台映えする187cmの長躯を活かしたパワフルな演技で、原田左之助のまっすぐな生き様を体現した。
ここでは4月26日(水)に行われたプレビュー公演&囲み取材の模様をレポートする。幕末の世を躍動した男たちの魂をぜひ感じ取ってほしい。

取材・文・写真 / 横川良明


舞台上に刻まれる、熱い男たちのドラマを見よ

まずは公演に先立ち、マスコミ向けの囲み取材を実施。登壇したのは、原田左之助役の東啓介、雪村千鶴役の礒部花凜、土方歳三役の松田岳、沖田総司役の荒牧慶彦、風間千景役の佐々木喜英の5人だ。

左から 荒牧慶彦、礒部花凜、東啓介、松田岳、佐々木喜英

今回初めて『薄桜鬼』に参加する礒部は「ずっとミュージカル『薄桜鬼』に出たいと思っていた自分にとっても、ミュージカル『薄桜鬼』にとっても念願の「原田左之助 篇」です」と作品への憧れを吐露。「大阪公演が終わったんですけど、さらに身を引き締めて頑張りたいと思います」と宣言した。
一方、松田は「何度見返しても、ここのシーンでこんなことやってたんだっていう新しい発見がある。いろんなところでいろんな隊士たちがいろんなお芝居をしています。ぜひ細かいところまで見ていただけたら」とキャスト全員の想いを代弁。「とんちゃん(東啓介)が原田左之助という男を、僕が見てもカッコいいなと思うぐらいカッコよく演じてくれているので、思う存分キャーキャーしてください」と呼びかけた。

荒牧は見どころについて「(自身が演じる)沖田総司をたくさん見てくれと言いたいところなんですけど」と照れ笑いしつつ、「僕の大好きなとんちゃん演じる原田左之助が本当にカッコいいので、しかと刮目せよ! ですね」と座長・東への愛を表明。楽曲も新旧充実したラインナップになっているそうで、「今までのミュージカル『薄桜鬼』を見てきた方だからこそより楽しめる公演になっていると思いますし、もちろん新しいお客様も楽しめる作品になっています」と想いをこめた。

また、「黎明録」以来の参加となる佐々木は「2年前、ちょうどこのAiiA 2.5 Theater Tokyoで土方を演じていたので、ここに戻ってきて懐かしい気持ちと、役が変わってとても新鮮な気持ちでいっぱいです」と以前とは異なる役柄で『薄桜鬼』の世界に帰ってきた心境を告白。「お世話になった作品にこうやってまた恩返しができるというのは幸せなこと。しっかり恩返しをして、これからも盛り上げていこうと思っています」と意気込みを語った。

原田左之助役 東啓介

そして主演の東は本作について「全ストーリーの中でも“幸せルート”と言われている物語。今までになかった展開や、原田左之助の男を貫く生き方を見ていただきたいなと思います」とアピール。前々から演出の毛利亘宏氏に「原田左之助 篇」は舞台化が困難と言われていたらしく、「こうやって座長として、原田左之助として舞台上に立てることを本当に幸せに思います」と万感の表情。「原田左之助が生き抜いた男の道をじっくり見ていただいて、その中でみなさまに明日への活力であったり何か心に残るものがあれば、とてもとても幸いに思います」と熱意を述べた。

眼差しで表現する、原田左之助の「熱」と「色香」

囲み取材が終わると、いよいよ本編へ。上演前から溢れんばかりににじみ出ていた熱気は、開幕早々、一気にヒートアップ。冒頭から殺陣に次ぐ殺陣の連続で会場を圧倒する。しかも、『薄ミュ』の殺陣が他作品と違う点は、殺陣をしながら随所にダンスの要素が散りばめられているところだ。立ち回りを演じながら、軽快にステップを踏む、という演出は、他ではなかなか見られない『薄ミュ』ならではのオリジナリティ。大勢の演者が揃ってのアクションシーンは一層華やかさが引き立っていた。

『薄桜鬼』の舞台は、幕末。行方知れずとなった父を探し、京の町を彷徨うヒロイン・雪村千鶴が、原田左之助ら新選組の面々と出会ったところから物語は動き出す。新選組もまた千鶴の父である蘭学医・綱道を探していた。目的を同じくする千鶴は新選組と行動を共にするように。

『薄桜鬼』の魅力のひとつが、まったく異なる個性と魅力を持った男性キャラクターの存在だ。今回の主人公である原田左之助は、口は悪いが情に厚い快男子。草食化の進む現代ではなかなかお目にかかれない男らしいキャラクターを、東が熱量たっぷりに演じ上げる。特に東の野性味溢れる鋭い眼差しは、粗野ながら色香の薫る原田左之助にぴったり。引き締まった胸板を惜しげもなくさらし、女性ファンを魅了していく。

土方歳三役 松田岳

土方歳三役の松田岳は、副長らしいカリスマ性が立ち居振る舞いからもにじみ出ている。沖田総司役の荒牧慶彦は、病魔蝕む我が身への憤りをエモーショナルに表現。その感情豊かな演技は、悲劇の剣士というイメージ以上に、人間・沖田総司を感じさせた。斎藤一役の納谷健は抑制を効かせた声で、クールな斎藤一像を確立。

左:沖田総司役 荒牧慶彦 右:斎藤一役 納谷健

藤堂平助役の木津つばさは、原田に影響を与える重要な役どころを、前半は快活に、後半は繊細に演じ分ける。永倉新八役の福山翔大は、シリアスな本作の中で一服の清涼剤のような存在。永倉が出てくると、張りつめた空気が柔らかくなるのは、福山の好演によるところが大きいだろう。

山南敬助役の輝馬は、前半の理知的な佇まいから、後半は一転激情的に。その振り幅をしっかり見せつけ、新選組の運命を狂わせた男の顛末を観客に印象づけた。山崎烝役の高崎翔太も安定した演技で、役柄同様、舞台を影から支えていた。

一方、敵対する鬼の一族も負けてはいない。長い歴史を持つミュージカル『薄桜鬼』の中でも、メインキャストが以前と別の役で再登板するのは異例。裏返すと、それは風間千景役の佐々木喜英に対する期待の表れと言っても過言ではない。その期待に応える、佐々木の堂々たる存在感。金髪赤眼の姿は美しく、それだけに出てくるだけで不気味な迫力があった。

前列左から 風間千景役 佐々木喜英、不知火匡役 柏木佑介、原田左之助役 東啓介

また、特筆しておきたいのが、第1作目から不知火匡役を演じる柏木佑介だ。抜群の運動神経に裏打ちされたキレのある動きは、立ち回りの中で咲く大輪の花のよう。ブレイクダンスからモダンダンスまで、様々なダンスの要素をミックスしたムーブメントは、観客の目を惹きつける吸引力があった。

また、ミュージカルならではの歌唱パートで魅せたのが、雪村千鶴役の礒部花凜だろう。その伸びやかな歌声は、まっすぐ人の心を掴む力がある。人に言えない宿命を背負いつつ、男たちの戦いに果敢に飛び込むヒロインの胸の内を歌で表現。心の襞を震わす歌声のおかげで、自然と雪村千鶴に感情移入できた。また、東啓介の力強い歌声も忘れられない。男らしい重量感のあるヴォーカルが、原田左之助の勇壮さをより際立させていた。

左:雪村千鶴役 礒部花凜 右:原田左之助役 東啓介

会場中の息を呑む音が聞こえてきそうな、男らしくも切ないラブシーン

シリアスな場面が続く中、「原田左之助 篇」が“幸せルート”と呼ばれる所以は、やはり原田左之助本人の飾ったところのない明るいキャラクターによるところが大きいだろう。特に、藤堂平助、永倉新八との三馬鹿の掛け合いは見ているだけで微笑ましい。人斬り集団の印象が強い新選組だが、そこで生きていたのは信義を持った武士たちであるということ。そして、そこには男たちの等身大の友情があったのだということを、三馬鹿のシーンが感じさせてくれる。それゆえに、3人が選んだ三者三様の選択が沁みてくるのだが、この苦しい胸のざわめきもまた『薄桜鬼』の魅力のひとつだ。

左:藤堂平助役 木津つばさ 中央:原田左之助役 東啓介 右:永倉新八役 福山翔大

そして最大の見どころは、何と言っても原田と千鶴の恋の行方だ。熱い抱擁から、頭なでなで、バックハグ、さらには床ドンまで見逃し禁止のラブシーンが満載。愛の台詞も、不器用ながらも男気のあるところが、実に原田左之助らしい。そのキュンキュン指数は、客席中の息を呑む音が聞こえてきそうになるほど。「千鶴、そこ代われ!」と言いたくなる気持ちをぐっとこらえて、甘美な場面に酔いしれたい。

戦いを重ねていく中で、ふたりの間に徐々に芽生えた思慕。原田が胸の奥に秘めた夢は、戦場で槍を振るい、敵を豪快になぎ倒していく姿とは対極的。温かい家庭を持ちたいという、ごく平凡なものだった。しかし、その夢を選ぶということは、新選組の鉄の規律に背くということ。日に日に情勢不安が増し、日本列島が緊迫化するこのタイミングで、「原田左之助 篇」が上演される意義は大きい。死闘を演ずる仲間と原田のコントラストに、今この世の中に必要なものは何か感じ取った観客も多いはずだ。揺れる原田が選んだ答えは、いったいどちらか――ミュージカル『薄桜鬼』の中では異色という、光溢れる爽やかなラストシーンにこめられたメッセージを、ぜひ多くの人にかみしめてほしい。

ミュージカル『薄桜鬼』原田左之助 篇は4月30日(日)までAiiA 2.5 Theater Tokyoにて上演。さらに大千秋楽はGYAO!ネットにてディレイ配信されることが決まっている。また8月23日(水)にはBlu-ray&DVDの発売も決定!残念ながらチケットを取り逃した人も、あきらめずこの幸福なエンディングの立会人になってほしい。

ミュージカル『薄桜鬼』原田左之助篇

【大阪公演】梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
2017年4月14日(金)~16日(日)

【東京公演】AiiA 2.5 Theater Tokyo
2017年4月26日(水)~30日(日)

【原作】
オトメイト(アイディアファクトリー・デザインファクトリー)
【スタッフ】
作詞・脚本・演出:毛利亘宏 作曲:佐橋俊彦
振付:本山新之助
殺陣:六本木康弘 殺陣監修:諸鍛冶裕太

【出演】
原田左之助:東啓介 雪村千鶴:礒部花凜
土方歳三:松田岳 沖田総司:荒牧慶彦 斎藤一:納谷健 藤堂平助:木津つばさ 永倉新八:福山翔大 山南敬介:輝馬 山崎烝:高崎翔太 近藤勇:井俣太良
風間千景:佐々木喜英 天霧九寿:聡太郎 不知火匡:柏木佑介 雪村綱道:川本裕之

主催:ミュージカル『薄桜鬼』製作委員会(マーベラス、マーブルフィルム)
製作協力:トライストーン・エンタテイメント

オフィシャルサイトhttps://www.marv.jp/special/m-hakuoki/

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