Interview

The Birthdayの“その先”を感じさせるニュー・アルバム『NOMAD』が暗示するものとは?

The Birthdayの“その先”を感じさせるニュー・アルバム『NOMAD』が暗示するものとは?

The Birthdayの新作はパブロック色が強くなると予想していたが、その予想は大ハズレ! 9作目となるニュー・アルバム『NOMAD』には活き活きとしたロック・ナンバーがずらりと並び、聴いていると新しいチャレンジを嬉々として楽しむメンバーの顔が浮かんでくる。
 スリリングな「24時」を皮切りに、イントロのギターがむちゃカッコいい「バーテンダー」、ドラムのリムショットが小気味いい「夜明け前」、グルーヴィーな「GHOST MONKEY」など、どれも佳曲揃い。その中で先行シングル「夢とバッハとカフェインと」や「抱きしめたい」を聴くと、単独で聴くのとは違った印象を受けるのが面白い。美メロのラスト・ナンバー「月の上のイライザ」の、最後のフィードバック音まで飽きさせない。
 グルーヴを増したクハラカズユキ(dr)、アイデアあふれるヒライハルキ(b)、さらにワイルドなチバユウスケ(vo&g)、そして切れっ切れのフジイケンジ(g)が作り出した快盤『NOMAD』について、チバとフジケンに聞いてみた。

取材・文 / 平山雄一 撮影 / 鈴木圭


(「バーテンダー」は)ロックンロールの範囲内で、ジャズのコードを使ってみたっていう感じです

『NOMAD』の中でイントロが抜群にカッコいい「バーテンダー」の制作は、どんな風に始まったんですか?

フジイ 最初にギターのイントロがバーッとできて、「じゃあこれを曲にしよう」みたいなことでセッションが始まった感じです。

そのまんまじゃないですか(笑)。イントロがあったら曲ができちゃうって、すごくThe Birthdayらしい作り方ですね。

フジイ ああ、そうかもしれませんね。

チバ うん、そう。あのイントロのリフは、フジケンがそのとき弾いてて、それにみんなで乗っかって作っていった。

今までないコードの使い方が大胆でカッコいい!

チバ うん、若干、パブロック道からは外れてるよね(笑)。 パブロックのようでいて、パブロックでないっていうか。ははは!

フジイ ちょっと変わってますよね。 基本はワンコードなんですけど、歌がないところは少し複雑な響きにして、面白い感じにしようと。ロックンロールの範囲内で、ジャズのコードを使ってみたっていう感じです。

ロックンロールとジャズって、新しいアプローチだなぁ。

フジイ イントロに勢いみたいなものがバンとあるから、そこから先、「歌がどういうふうに連想するか?」みたいな感じでセッションして作った。もう、あっという間に出来ましたね。

あのイントロはライブで見たらカッコいいだろうな。

チバ うん、あれしかない。弾かなかったら怒るもん(笑)。

(一同笑い)

フジケンさんは、たとえばイントロを弾いてる自分にピンスポットが当たるっていうライブ映像を想像しながら作ったんですか?

フジイ ピンがね、ない……(スタッフに)ある?

(一同笑い)

チバ こないだ俺、久々にピンスポが当たったんだよ。

普段はそんなシーンってないよね。何かのイベントで?

チバ うん。“THE NEATBEATS”のイベント。

フジイ あー! あれね!(笑)

チバ あれ? あのときフジケンいたっけ。

フジイ いや、俺はいなかったんだけど、そういう噂は聞いてる。

チバ キネマ倶楽部でやったんだけど、アンコールでちょっと1曲セッションしようってなって、俺だけ出たんだけど、キネマ倶楽部ってさあ、横にちょっとだけ宝塚の階段みたいなのがあるじゃない。

上から降りてくるやつね。

チバ そうそう。あそこからステージに降りてくるときに、バーンってピンが当たって、久々だなあと思った(笑)。

うははは!

フジイ ないんですよ、The Birthdayのライブでピンスポって。

「やめてくれよ」って言わなかったの?

チバ あれはねえ、面白かったの。 シャレみたいな感じで、あそこから出たから。THE NEATBEATSのメンバーにも言ってなかったから、ビックリしてた(笑)。

じゃあ、フジケンさんもライブで「この曲のイントロだけピンを俺にくれ」って言えばいいじゃん(笑)。

チバ はははは! でもね、照明スタッフは言えばやるよ(笑)。

フジイ でも、他の明りもついてた方がいいかな。完全なるピンじゃなくて(笑)。

その気になってますね(笑)。

前のツアーが終わって最初にみんなでスタジオに入ったときのセッションに、“ここからアルバムに向かう”という感覚はすごくあったような気がする

他にもポリリズム的な「VINCENT SAID」があったり、アルバム全体に新しい息吹を感じる。

チバ あー。 「夢とバッハとカフェインと」を作ったときに、みんなでセッションしてるときの感覚が俺の中には残ってて、そこが今回のアルバムを作る取っ掛かりにはなってると思いますけどね。

『NOMAD』のアルバムのカラーが見えたのは、そのセッションだった?

チバ 前のツアーが終わって、最初にみんなでスタジオに入ったときのセッションだったと思うんだけど、その感覚がすごく良かったイメージがあって。「どういうアルバムになるか」っていうのは、曲を全部出してみなきゃわかんないけど、「ここからアルバムに向かう」っていう感覚はすごくあったような気がするな。

フジイ うん。「ここからアルバムに向かう」っていう感じは、「バッハ~」のときからあったなあ。でも「GHOST MONKEY」っていう曲の形が見えかけたときに、アルバムの大黒柱みたいな感じになりそうだなとは思ってた。

「GHOST MONKEY」は、音楽的にものすごく洗練されてますよね。“ジャズ・グルーヴ”の新しい解釈っていう感じがしてビックリしました。

フジイ ホントですか?(笑)  グルーヴがどっしりとしてる。チバくんの弾いているギターと、記号のようにポンポンポンと入ってる僕のカッティングのリフで成り立ってます。

ギターソロのパートでは、ソロのギターよりもサイドギターのほうに耳が行っちゃうんだけど(笑)。

フジイ あははは!  ワウ(エフェクター)のかかったソロは僕が弾いてて、ストーンズの「アンダーカバー」みたいなやつはチバくんがやってる。 確かにあっちが軸っていうか。僕は浮遊してる感じで弾いてます。

チバ え、どこどこ?

フジイ 間奏のところ。

チバ 俺、まだそこまで聴いてないな……。

自分で作ったんでしょ!(笑)

2人 ははは!

フジイ 「GHOST MONKEY」はイントロのチバくんのギターから曲作りが始まった。最初はマイナーなんだけど、途中でメジャーに調が変わる感じがあって。そこに僕がリフをハメようとしたんだけど、はめ方がすごく難しかった。最初は解決策がなかなか見つかんなかったんだけど、別のカッティングでかわしたりしながら自然に聴けるようになったときに、「あ、これ、いいな!」って思った。  

で、アルバムの大黒柱になっていった。

フジイ 大黒柱っていうか、そのときは「1曲目に」っていう説もあったりして。

ああ、曲順決めのときに。

フジイ 「1曲目にするぞ!」ぐらいの気合いで作ってたんですよ。結果、1曲目にはならなかったけど(笑)。

新しい感じのする「GHOST MONKEY」の次に、ポップでストレートな「ROCK‘N’ROLL GIRL」があったりして、曲順も面白かった。だから先行シングルの「抱きしめたい」の聴こえ方が全然違う。

フジイ ははは!

チバ ああ、そうかもねえ、なるほどねえ。

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