LIVE SHUTTLE  vol. 139

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家入レオ 「いつか、ここに立ちたい」と目標にしてきた武道館。そしてステージから見えたこれから

家入レオ 「いつか、ここに立ちたい」と目標にしてきた武道館。そしてステージから見えたこれから

家入レオ 5th Anniversary Live at 日本武道館
2017年4月30日 日本武道館

2012年に『サブリナ』でデビューし、今年2月15日にデビュー5周年を迎えた家入レオ。それを記念した初のベストアルバム『5th Anniversary Best』のリリースに続き、4月30日、いよいよ満を持して日本武道館公演が行われた。デビュー時より、「いつか、ここに立ちたい」と目標にしてきたという武道館でのライブは、一言で言うと「これまで」を遙かに上回る「これから」を強く感じる2時間半となった。

なにしろこの日のライブ、オープニングからとても素敵だった。勢いをつけて花火を打ち上げるように始まるライブ、日常の延長のようにサラリと音楽が始まるライブ……、いろんな始まり方があると思うのだが、この日は会場が柔らかい気持ちで丸くひとつになったかのような始まりだった。

そのオープニングは、草木を踏み分けながら小高い丘を登っていく人の水彩画風の動画からスタート。続いてペンライトの光に迎えられセンターステージに家入レオが姿を現したのだが、その瞬間こそ大きな歓声が渦巻いたものの、『僕たちの未来』の第一声が聞こえてきたとき、歓声は静かな水面のようになっていった。

というのもオリジナルと違い、サビ部分の「世界中の名もなき光 繋がっていく 星座のように 僕たちは隣にいるよ きっと 約束だった」がアカペラで歌い始められたからだ。歌声だけの『僕たちの未来』は、この日、ここで、こうして時を一緒に過ごすことのできる幸せを、歌う人と受け取る人の双方が今一度確かめ合う合図のようにも感じられた。お互いが「待っていたよ」という気持ちを言葉にせずにやりとりする、そんな素敵なオープニングだったと思う。

このあと改めてバンドとともに『僕たちの未来』がフルコーラスで歌われ、『Shine』『太陽の女神』というパワフルな曲に続いて、細やかなボーカルによる『miss you』『Silly』が歌われていった。ここまでですでに、その圧倒的な歌唱力に完全に耳を持っていかれたわけだけれども、歌唱力に対する驚きということでは、前回のツアーでも嫌と言うほど味わったこと。その際も、飛び級の勢いでステップアップした家入レオを目の当たりにして、ライブ中に何度も脱帽したのだが、今回に至っては、もう脱ぐ帽子がない……という感じだった。

ファルセットと地声を行き来する声の滑らかさ、声の強弱を含めたボーカルのメリハリなどは、まずどの曲にも共通する素晴らしさ。かと思えばサラリとしていながら丁寧に声を置いていくような柔らかな歌いまわし、フルパワーの声量、圧倒されるキレのよさ……、いずれもこれまでのボーカルスタイルでありながら、声のコントロールの細やかさということでは、これまでのレベルではない。

なかでも『君がくれた夏』に、そうした変化の跡を色濃く感じた。この曲は「これをきっかけに家入レオを知ってくれた人も多い、ここまでいろんなところで反応をもらえるとは思わなかった」と、常々思い入れの強さを口にしている曲。そのためライブでは、いつも気持ちを込めて大切に歌われているのだが、この日は、一聴するとサラリと淡泊な雰囲気。けれども聴き進むにつれて、曲の隅々まで細心の心配りで歌われていることが伝わってくるものになっていた。そのあたりのバランス感にも舌を巻いた1曲だった。

またライブ中盤にはスペシャルな曲も用意されていた。ベストアルバム初回盤にボーナストラックとして収録されていた『I promise you』をアコギの弾き語りで披露。13歳のときに初めて作詞作曲したこの曲を、デビュー5周年、初めて立った念願の武道館のステージで、初めて歌う。という初めて尽くしの演奏に、会場からも大きな歓声が届けられた。

続くメドレーでは最近のライブで演奏されていなかった5曲が登場。曲によって声のキャラクターも変わるボーカルに魅了されながら聴いたメドレーだが、驚きと感慨に飲み込まれそうになったのが『恍惚』と『Bless you』だ。

まず『恍惚』では、スタンドマイクに指を滑らせながら、しなやかに身体を揺らして歌う姿にゾクリとさせられた。デビュー時、胡桃のように固い殻を身にまとっていた家入レオが、こんなたゆたうようなパフォーマンスを見せるようになるとは……。口惜しいけれど予想もできなかった。

その固い殻を破るひとつのきっかけにもなった『Bless you』は、今回、また装いを新たにした。時の流れとともに、傷口から血を流すようにヒリヒリしたボーカルで表現されていたリリース時のボーカルとは違い、一山越えたところから、かつての自分を見るようなボーカルに変わってきていたこの曲が、またもや変化。それはまるで、1周回って再び生々しい傷を見つめているかのよう。リアルな痛みではなく、何がどう痛むのか、どう傷ついているのかを冷静に見つめることで、改めて痛みの本質に迫る、そんな迫力を感じさせられるボーカルになっていた。

このあとライブはラストに向けて加速度をつけてヒートアップ。それにしてもラストから2曲めに歌われた『Hello To The World』は、これまで聴いたなかで最高のものだった。天井知らずにあがっていく疾走感も、じっとしていられないと言わんばかりのテンションも、その熱さと緊迫感に巻き込まれて、気がつけば息を止めて聴きほれ見惚れてしまったほどだ。

そして本編最後は、やはりこの曲『サブリナ』。これも前回のツアーのときに、この曲をクルクルとジャンプしながら歌う日が来るとは……と思ったものだったが、楽しく発散したのが前回の『サブリナ』だとしたら、今回の『サブリナ』はそこを通り越してのエネルギッシュな仕上がり。もうロッククイーンと呼びたいくらいに圧倒的なパフォーマンスで、本編の幕を下ろすこととなった。

もちろん、これでライブは終わらない。アンコールに登場した家入レオはこれもまた久しぶりの『Linda』をちょっとはすっぱな雰囲気のボーカル&アコースティックアレンジで披露。そのあと、この5年を振り返りつつ「楽しいから頑張れるって素敵なことだなって、今日思いました。これからもそうやって頑張っていきたいと思うので、もっと大っきなところで会おうね」と、やわらかな笑顔で場内に語りかけた。

というMCを受けて歌われたのが『それぞれの明日へ』。胸の真ん中に手を当てながら歌い、歌いながら微笑む。歌い終わったあとも拳を胸に当て場内の隅々まで見渡して、とっても幸せそうな顔でお辞儀をしたのち、「もう1曲やっていい? 私にとってすごく大事な曲です」と、ピアノのみを伴奏に『Last Song』を最後の最後に歌った。しかも曲の最後は、この日の始まりと同じアカペラで。歌い終わって深々とお辞儀をしたあとの、そのピースマークのような極上の笑顔が、なんとも印象的だった。

5年が長いものか短いものか、当人にしかわからない時間だとは思う。けれども5年という時間は、歌いたいという強い気持ちを胸に単身上京してきた17歳の高校生を、確実に芯の太い、揺るぎのないアーティストへと育て上げた。その間に固い鎧のような殻を壊して表現の幅を広げてきた家入レオが、このあとどう大きくなっていくのか、大きさはそのままに深化していくことになるのか。正直、予想もできない。もしかしたら当の本人にも、わからないことなのかもしれない。だが、ひとつだけわかっていることはある。家入レオが、このままではないということだ。それだけは絶対にわかる。その「このあと」を目にする日、耳にする日が心から楽しみでならない。

文 / 前原雅子 撮影 / 田中聖太郎


家入レオ 5th Anniversary Live at 日本武道館
2017年4月30日 日本武道館

セットリスト

1.僕たちの未来
2.Shine
3.太陽の女神
4.miss you
5.君に届け
6.Silly
7.チョコレート
8.君がくれた夏
9.Message
10.Hello
11.I promise you
12.Free~Too many~Lady Mary~恍惚~Bless You
13.For you
14.a boy
15.純情
16.Party Girl
17.Hello To The World
18.サブリナ
<アンコール>
19.Linda
20.それぞれの明日へ
21.Last Song

ライブ情報

家入レオ 5th Anniversary Live at Zepp

9月6日(水)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
9月7日(木)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
9月12日(火)愛知県 Zepp Nagoya
9月13日(水)愛知県 Zepp Nagoya
9月20日(水)大阪府 Zepp Namba
9月21日(木)大阪府 Zepp Namba

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家入レオ

福岡出身。13歳で音楽塾ヴォイスの門を叩き、青春期ならではの叫び・葛藤を爆発させた「サブリナ」を完成させた15の時、 音楽の道で生きていくことを決意。翌年単身上京。都内の高校へ通いながら、2012年2月メジャー・デビューを果たし、1stアルバム「LEO」がオリコン2週連続2位を記録。第54回日本レコード大賞最優秀新人賞他数多くの新人賞を受賞。翌1月より開催の初ワンマンツアーは全公演即日完売に。翌2013年春高校を卒業。同年、5thシングル「太陽の女神」で第55回日本レコード大賞優秀作品賞受賞。以降数多くのドラマ主題歌やCMソングなどを担当。昨年7月には、第30回日本ゴールドディスク大賞BEST 5 SONGS BY DOWNLOADを受賞した2度目の月9主題歌となる10thシングル「君がくれた夏」や日本テレビ系ドラマ主題歌「僕たちの未来」、ユニバーサル映画イメージソング「Brand New Tomorrow」などを収録した4thアルバム「WE」をリリースし、秋には初となる全ホールツアー”5th LIVE Tour 2016 〜WE|ME〜”(全国20公演)を開催。今年2月に5周年を記念した初のベストアルバム「5th Anniversary Best」を発売した。

オフィシャルサイトhttp://leo-ieiri.com/

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