Interview

andropが目指す「1人1人がアーティストとして存在する集合体」というバンド像

andropが目指す「1人1人がアーティストとして存在する集合体」というバンド像

andropからニューシングル「Prism」が届けられた。昨年春に自主レーベル「image world」を立ち上げ、アルバム「blue」を発表。様々な経験を経て制作された「Prism」からは、葛藤や悩みを乗り越え、新しい場所に向かって進み始めた4人の想いがしっかりと宿っている。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 市川タカヒロ


下北沢GARAGEで行われたワンマンライブの意義

まずは3月25日に下北沢GARAGEで行われたワンマンライブについて聞かせてください。レーベル「image world」の設立1周年を記念したライブだったわけですが、1stアルバム「anew」(2009年)、2ndアルバム「note」(2010年)の楽曲など、初期の楽曲をたくさん聴けたのが印象でした。

内澤崇仁(V&G) GARAGEは自分たちの原点のライブハウスなので、当時演奏していた曲、その頃に作っていた曲をやりたかったんです。バンドを組んだばかりの頃って、下北沢に週7で通ってたんですよ(笑)。朝から晩までスタジオで練習に明け暮れていたんですけど、その時期のことも思い出しましたね。

いろいろな経験を重ね、演奏技術、ライブに対する意識が大きく向上している現在のandropが初期の楽曲を改めて表現する、という意味合いもあったのでは?

佐藤拓也(G) そうですね。

内澤 前回のライブを上回ることが目標ですからね、常に。

伊藤彬彦(Dr) ライブのやり方も変化してますからね。テクニカルな話をすると、イヤモニを導入して、その後、そこから離れてみたり。同期の音を使うにしても「とりあえずクリックに合わせて演奏しよう」というところから始まって、「それだけじゃダメだ」ということに気付いて、さらにいろんなことを試して。そうやってアップデートしてきた自分たちがGAREGEでやるということに意味があったんじゃないかなって。

前田恭介(Ba) 全員が着実に上手くなっているし、同じ曲を同じアレンジでやっても、伝わるものは絶対に違うと思いますけどね。この7年間、何もしていなかったわけではないので。

左から 前田恭介、内澤崇仁、佐藤拓也、伊藤彬彦

「Prism」の制作過程

ではニューシングル「Prism」について。大事なタイミングのシングルだと思いますが、制作はどんなふうに進めていったんですか?

内澤 まず、最初からこの曲だけを制作していたわけではないんですよ。今回、ユニバーサルミュージックのZEN MUSICと新たにタッグを組んで、今後、どうしていくかについてもじっくり話をして。そこから全員で曲を出し合って、いろいろと試してくなかで「Prism」に辿り着いたので。

佐藤 前作「blue」を出して、ツアーを回って。制作に入ったのは今年の最初ですね。内澤くんが言ったように、まずは各メンバーそれぞれがデモを作って、そこから絞っていって。 

伊藤 メンバー同士でデモをやりとして、それを共有しながら進めていきました。選曲やアレンジのときは顔を合わせてやるようにしてましたね。メールだったら曖昧になっちゃうこともあるだろうけど、実際に会って話をすれば、細かいところまでわかるので。僕自身はその曲を作ることが初めてだったから、メンバーに聴かせるのはかなり恥ずかしかったですけどね。できたら自分がいないところで聴いてほしいくらいで(笑)。

佐藤 そうだよね(笑)。でも、曲を聴いたときのメンバーの反応を見るのも大事なんですよ。それによって自分の楽器のアプローチも決まってくるので。

前田 ZEN MUSICのスタッフと一緒に、いろんな意見を言いながら作れたのも良かったですね。何となく自分たちのなかにあるandropのイメージとは違う意見もあったし、それがすごく新鮮で。自分で曲を作ることで音楽と向かい合う時間も濃くなったし、いろんなことを学べた日々でしたね。

「Prism」は内澤さんの作詞・作曲ですが、構成やアレンジも話しながら決めていったんですか?

内澤 そうですね。最初は合唱するパートもあったんですけど、「もっと歌に焦点を当てたほうがいい」ということになって、そのパートを削除したり。「blue」以降、自分のなかで「歌を届けたい」という気持ちが強くなってるんですけど、メンバーの意識もどんどんそっちに向いているんですよね。演奏していても、自然と歌に寄り添うような感じになるので。

佐藤 そうだね。

内澤 ミックス、マスタリングの方向性もハッキリしてましたね。今回は初めて海外のエンジニアの方(アデル、マーク・ロンソン、サム・スミスなど、数多くのアーティストの作品を手がけるトム・コイン)にマスタリングしてもらったんですけど、いくつかパターンを作ってもらったなかで、歌をしっかり聴かせているものを選んで。

佐藤 そこは全員が一致してましたね。選曲の段階から、メロディが強いもの、パッと聴いた瞬間に印象に残るものをチョイスしていたので、アレンジに関しても「まずメロディありき」という芯があって。

前田 ベースラインに関しては、メンバーからのアドバイスも取り入れました。全員、総意のベースラインという感じなんですが、最近、そういうやり取りも増えてるんですよ。みんなの意見を受け入れる気持ちになれているというか。

なるほど。歌詞に関しては、どんなテーマがあったんですか?

内澤 自分たちのこれまでのこと、これからのことを両方歌いたいと思ってました。あとは、誰が聴いても「これは自分のことだ」と思える、強く心が動くような曲にしたいなと。その3つを意識しながら書いてましたね。

「僕らはもう一度生き返る/魔法は解けてしまった」というフレーズもすごいですよね。バンドを始めたときの衝動ではなく、しっかりとした確信のもので活動していきたいという意志を感じて。

内澤 なるほど。確かに若いときって、周りがぜんぜん見えてないし、将来のことがイメージできないからこそ、強く言えるところもあったかもしれないですね。環境も変化してますからね。一度インディーズに戻って、今回、改めてメジャーのレーベルと組んでスタートして。もう新人ではないし、いろいろな経験を積んできたからこそ出来ることもあるんじゃないかなって。上手くいかなかったこと、悔しい思いをしたからこそ生み出せる曲もあると思うんですよ。それこそが、自分たちにしか出来ないことじゃないかなと。

編集部のおすすめ