Interview

坂本浩一監督×溝端淳平『破裏拳ポリマー』対談「アクション撮影はアドレナリンが出っぱなし!」

坂本浩一監督×溝端淳平『破裏拳ポリマー』対談「アクション撮影はアドレナリンが出っぱなし!」

70年代にカルト的人気を誇ったタツノコプロ製作によるアニメ『破裏拳ポリマー』が、奇跡の実写映画化! 主演には本格的なアクション作には初挑戦となる溝端淳平。そして、監督にはアクション監督としてハリウッドで活躍し、日本でも特撮ドラマの演出を数多く手がけてきた坂本浩一がメガホンを取った。撮影前から激しいトレーニングを行い、文字通り“師弟”となったお二人に、劇中で展開されたアクションへのこだわりを伺った。

取材・文 / 大谷弦 撮影 / 三橋優美子

『破裏拳ポリマー』では、いままでアクションのイメージがあまりなかった溝端さんが凄い肉体美と格闘バトルで魅せています。坂本監督は、溝端さんにアクションの素質があることを見抜いていたんですか?

坂本 まず、アクションが出来るっていうイメージがある人よりも、そうじゃない人の方が意外性があって面白いと思ったんです。その中で、溝端くんの動きとか演技、特に『君が踊る、夏』(10)での“よさこい”を観て、運動神経がある人だなって思ってたんですよ。『破裏拳ポリマー』のキャスティングを始めた時に、アクションのイメージがないけど素質があって、それに演技力もある人ということで、僕の中で最初に上がった候補が溝端くんだったんですよね。

溝端 ありがとうございます。ドラフト1位ですね(笑)。

坂本 もちろん! それに、この作品の〈鎧武士〉っていうのはけっこう兄貴肌のキャラクターなんですよ。溝端くんは、後輩的ポジションのイメージが強かったので、そんな彼がこの役をやったら面白いんじゃないかっていうのもありました。

溝端 僕はアクションをやりたいという想いはずっとあったんですけど、なかなか機会がなくて。ジャッキー・チェンの映画も昔から大好きでしたし、体を動かすことも好きなので、本当に今回はこういうチャンスをいただけてありがたいって思いましたね。

アクションのためのトレーニングはされたんですか?

坂本 撮影の4カ月前くらいからうちのジムに通っていただいて、厳しく鍛え上げました。

溝端 いやいや、坂本監督は優しかったです(笑)。初日の稽古の基礎が終わったら、もう実践ってことで、監督がカメラを回してくれるんですよ。

坂本 やっぱり自分がどう映っているのかを見た方が上達が早いんですよね。溝端くんは飲み込みが早いから「すごいね!」って撮ってると、溝端くんから「監督もカメラ上手いですね」って、お互いに褒め合いながら(笑)。僕はアメリカン・スタイルなので、褒めて伸ばすタイプなんです(笑)。

溝端 監督は乗せ方が上手いんです。周りのスタントの方々もすごく上手いので、初心者の僕でも出来た風に見えるんですよね。坂本監督はすごいアクション監督でもあるし、実際に自分でも動ける元スタントマンですから、すべてのことにすごく説得力があるんですよ。役作りはもちろん、ちょっとした仕草とか所作とかも学ばせていただいてから撮影に臨めたのが大きかったですね。

アクションの訓練だけでなく、他の指導もあったりするんですか?

溝端 ありましたね。普段の食事で、なるべくタンパク質を多く摂るとか、疲れを溜め込まないようにストレッチするとか。あとは監督に教えていただいた動画を観たり、ジェット・リー、ブルース・リー、ジャッキー・チェンの映画を観たりしました。

坂本 イメージトレーニングも重要ですからね。体作りに関しては、今回は裸になるシーンもあったので、頑張っていただきました。撮影期間が2月で、雨も降っててかなり寒かったんですよね。そこで、バッと裸になっていただいて。

溝端 気温が0度でした(笑)。寒かったですけど、スタッフさんがみんな温かくて、なにより坂本監督がずっとアドレナリンが出っ放しだったので、そこまで気にならなかったし、楽しかったですね。

ポリマースーツを着用してのアクションというのもチャレンジのひとつだった思います。

坂本 ヒーローものは、普通は変身したらスーツアクターが演じるんですけど、溝端くんはぜんぶ自分でやるよ!と初めから言っていたんです。

溝端 なので、「転身ポリマー!」って言ったら、一旦捌けて、カメラの横で3人がかりでポリマースーツを着させてもらって、そこからまたやるという流れでしたね。

ポリマースーツは、洗練されたデザインでカッコ良かったです!

溝端 ポスター撮影のとき、初めて完成したものを身に着けたんですけど、気分が上がるというか、少年心を思い出すというか、ヒーローに憧れたときの気持ちが蘇ってきて本当に感動しましたね。でも15分くらいでキツくなりました。体にピッタリとフィットしているので締め付けがすごいんですよ。

坂本 通常このような特殊なスーツは窮屈なので芝居が制限されちゃうものなんですけど、溝端くんは自然にやってくれたのが僕としてはすごくよかったですね。

溝端 体の動きにくさもあるんですけど、それは慣れてくると筋力でカバーできるんですよ。最後まで難しかったのは、ヘルメットを着けたときの視野の狭さですね。横からくるキックとかが見えないので、勘で動かなくちゃいけないんです。

誤ってホントに当たってしまったりとか?

坂本 それは普通に当たってます(笑)。僕の、というか、僕のお師匠である倉田保昭さんからの教えで、実際に当てていくというスタイルなので。

溝端 アザとかは出来ましたけど、ケガのうちには入らないです。映画の中のアクションで、実際に当てることが良いのか悪いかわからないですけど、僕はガン!と当ててもらったほうが痛いリアクションが取りやすくて、向いてるなって思いましたね。

アクションも凄かったですが、コメディ要素もあり、ヒーロー誕生のストーリーは胸が熱くなりました。

坂本 オリジナルの『破裏拳ポリマー』は、僕らの世代しか知らないと思うので、改めて“破裏拳ポリマー”とは、というところから説明しないといけない。僕としては、昔からのファンだけでなく、いまの観客の方々に観てほしかったので、ストーリー的には“破裏拳ポリマー誕生”といいますか、ビギニングという形になってますね。それとコミカルな要素はオリジナルのアニメの重要な要素なので。

溝端 演技に関しては、監督が本当に役者陣を信じてくださいました。色は白、と言われたら白にしろっていう演出家の方が多いんですけど、監督は青でも緑でもなんでもいいから良い色を出してくれっていう感覚で。これもアメリカン・スタイルなんですかね?

坂本 みんながキャラクターについてちゃんと考えてくれているので、それを吸収した上で、段取りをちゃんとやって、お互いに意見を出しながら作っていくのが僕のスタイルですね。みんなで納得いくまで話し合ってるから、楽しい雰囲気が出せたのかなとも思います。

溝端 特に今回は僕と山田(裕貴)の掛け合いのシーンが多いんですけど、初日から2人でガッツリと話をして、監督に打診させていただいたりしましたね。監督は良い意味で踊らせてくださるというか、踊る場所を与えてくれたというのがありがたかったです。

撮影でいちばん大変だったのはやっぱりアクション関係ですか?

溝端 どれもチャレンジだったんですけど、アドレナリンがずっと出てた感じで乗り切れましたね。やっぱりアクションで体を動かしていると気持ち良くなってくるんですよ。マネージャーさんから「大変ですね」って言われるんですけど、「いや、そうでもないですけど」って(笑)。ずっとハイテンションでしたね。

坂本 アクションにはそういう効果がありますよ。僕も若い頃からスタントをやってますけど、今でも現場だとアドレナリンが出て動けるんですよ。でも、家だとジーっとしてます(笑)。現場と私生活の温度差が激しいです。

溝端さんは、本作ですっかりアクションに開眼したようですね。

溝端 それこそ初心者ですけど、すごく良い環境でやらせていただいたので、次はもっとこうしたいとか、どんどん欲が出て来ますね。スタントでも、更なる高いハードルに挑戦したくなってます。

坂本 本人がこう言ってるからには、どんどん良くなっていくと思います。そのポテンシャルはすごくあると思うので。

溝端 稽古をやっていた時期に蓄えた知識や経験も多いんですけど、撮影しながら知ったり学んだりしたこともかなりあったんです。それを踏まえて、またトライできるチャンスがあるといいですよね。まずはみなさんに『破裏拳ポリマー』を楽しんでいただいて、その後の続編にも期待していただけたら、実際に製作が決定するかもしれないので、そうなると嬉しいです。

坂本浩一

1970年生まれ、東京都出身。倉田アクションクラブで学び、1989年に渡米後にスタントマンやアクション俳優として『サイボーグII』(93/マイケル・シュローダー 監督)、『リーサル・ウェポン4』(98/リチャード・ドナー 監督)、『ウインドトーカーズ』(02/ジョン・ウー 監督)などに参加。1995年、特撮ドラマ『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(EX/92~93)をリメイクしたアメリカの人気番組『パワーレンジャー』シリーズのアクション監督を務め、その後プロデューサー、製作総指揮を歴任。監督としての代表作に【ドラマ】『仮面ライダーW』、『仮面ライダーフォーゼ』シリーズ(EX)、【映画】『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』(09)など。6月17日に次の監督作『スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー』『ガールズ・イン・トラブル スペース・スクワッド エピソードゼロ』が公開される。

溝端淳平

1989年生まれ、和歌山県出身。2006年に第19回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリを受賞。翌年に俳優デビューし、『DIVE!!』(08/熊澤尚人 監督)で映画初主演。『赤い糸』(08/村上正典 監督)で第33回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。他の主な出演作に【ドラマ】『ハチワンダイバー』(08/CX)、『名探偵コナン 工藤新一への挑戦状』(11/ytv)、【映画】『NECK ネック』(10/白川士 監督)、『君が踊る、夏』(10/香月秀之 監督)、『高校デビュー』(11/英勉 監督)、『黄金を抱いて翔べ』(12/井筒和幸 監督)、『ボクは坊さん。』(15/真壁幸紀 監督)、『珍遊記』(16/山口雄大 監督)など。現在、主演ドラマ『立花登青春手控え2』(NHK BS)が放送中。9月15日から上演開始の舞台『ミッドナイト・イン・バリ ~史上最悪の結婚前夜~』、2017年冬公開予定の映画『輪違屋糸里 ~京女たちの幕末~』への出演も決定している。

オフィシャルサイト http://www.mizobatajunpei.com/


映画『破裏拳ポリマー』

2017年5月13日公開

【原作】タツノコプロ
【監督】坂本浩一
【脚本】大西信介
【出演】溝端淳平 山田裕貴 原幹恵 柳ゆり菜 神保悟志 長谷川初範
【主題歌】「悲しみ無き世界へ」グッドモーニングアメリカ(日本コロムビア/トライアド)
【配給】KADOKAWA

オフィシャルサイトpolimar.jp

©2017「破裏拳ポリマー」製作委員会

主題歌

「悲しみ無き世界へ」
グッドモーニングアメリカ


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