Interview

ソニーの本屋『Reader Store』が描く未来とは? 本好き集団による挑戦は、こだわりの深掘り

ソニーの本屋『Reader Store』が描く未来とは? 本好き集団による挑戦は、こだわりの深掘り

アナログからデジタルへ。音楽が、映像が、というエンタメの新しい波が定着しつつある昨今、その一大ジャンルである“本”もその例外にはない。スマートフォンやタブレットの普及に伴い、右肩上がりの成長を続ける電子書籍市場。各社しのぎを削るこの戦場で、ソニーの本屋『Reader Store』(https://ebookstore.sony.jp/)が大幅なリニューアルを敢行し、既存システムを刷新、新しい電子書籍ストアとして生まれ変わった。 「本好きのみなさんに喜んでいただけるような、ネットならではの機能強化が満載」という新ストア。群雄割拠の時代に『Reader Store』は、どんな未来へのビジョンを描いているのか。代表を務める村田茂氏にその思いを語ってもらった。

取材・文 / エンタメステーション編集部  撮影 / 樋口涼 松浦文生


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Reader Storeは出版の未来に対応した最適解
紙の本も買い続けていますけどね。膨大に(笑)

今回のリニューアルに到った経緯を教えて下さい。

最近、ずっと考えていることは、‟書店の未来のカタチ”についてです。もっと言えば、紙の本、電子書籍、スマホ、タブレット、本棚、図書館……本にまつわる全ての変化について考える日々です。「出版の未来予想とその変化に対応した最適化とは?」を突き詰めた最初の回答としてのリニューアルと思って下さい。

あらゆるサービスやコンテンツがデジタル化していく中で、確実に電子書籍マーケットも拡大しています。出版業界に四半世紀、紙の本に囲まれているだけで幸せを感じる私のような者でさえ、「コミックは電子版」「雑誌はネットの読み放題」「旅のお供は電子端末」という読書スタイルになっています。もちろん、紙の本も買い続けていますけどね。膨大に(笑)。

それでは、理想的な書店とは? 街の書店とネット書店の違いとは何でしょう?

そもそも「紙の本と電子書籍の違いとは何か?」について考えるべきだと思いますが、もはや言うまでもなく収納性や携帯性については比較にならないですね。電子書籍は、スマホ、タブレットやパソコンに何千、何万冊が収納可能です。自宅を本に占拠されることがありません。長期旅行にも欠かせない。が、逆に本を並べて愛でる楽しみは失われます。モノとしての所有感は紙にしかありません。あの印刷の匂いが好きな人もいるでしょう。写真集やファッション誌は大判の紙でパラパラとページをめくって読みたいですよね。他人に読んでいることを知られたくない本の所有にも電子書籍は向いています。深夜にどうしても読みたくなったらすぐに買って読める、発売日に自動配信される定期購読・新刊予約など、流通面では電子書籍ストアの利便性は非常に高い。翻って、大量のフィジカルな物=本に囲まれながら好みの品を選ぶ愉しみに充ち満ちたリアル書店の良さも捨てがたい。
紙と電子の本、リアルと電子の書店、それぞれに利点があるので、上手に使い分ければ良いのですが、電子書籍ストアについては、まだまだ多くの可能性があると思っています。今回のリニューアルはその可能性の追求です。

本を愛して止まないコンシェルジュたちが
自分に合った本を必ず見つけてくれます

リニューアルのポイントは?

機能強化のポイントは、‟本との出会いです”。「私の好きな本に出会える」は、言い換えると「私の知らない私が必ず気に入る本が見つけられる」ということだと思います。ストアの表玄関となる「総合」に加え、「コミック」「ラノベ」「小説」「雑誌」「ビジネス・実用」といったジャンル別に6つの売り場=フロアを設け、それぞれにコンシェルジュを配置し、フロアコンシェルジュがおすすめの本を紹介します。これはアナログなレコメンドになりますが、そこにデジタルなシステムを掛け合わせます。一人ひとりに対して異なる選書を提供するパーソナライズ機能を実現させるためにレコメンドエンジンを開発し、同時に独自データベースを構築しました。本を愛して止まないスタッフの情熱とデジタルシステムの融合により電子書籍ストアならではのレコメンド機能を創出できたと自負していますし、リニューアル後も探求とチューニングを重ね、更なる精度アップを図っていきたいと考えています。

リニューアル後の「Reader Store」TOPページ

ストアの特長「レコメンド」が満載の特集ページ群

その他にもたくさんのリニューアル機能があります。もはや当たり前のことではありますが、GoogleアカウントでのID登録が可能になりました。ソーシャルログイン手段については、さらに増やしていきます。加えて、購入済みの本を除いたフレキシブルなまとめ買いができるようになりました。予約、新刊自動購入サービス、ブラウザによる試し読みの強化、新しいレビュー特典などの基本機能を強化し、ユーザビリティを向上させています。

他社サービスにはない大きな特徴は?

今後、新たに注力したいと思っているのが、本のプロモーション力の向上とコンテンツの開発です。今、本を宣伝する場所や機会が減っています。独自メディアの創刊やイベントの開催など本をプロモーションする場を積極的に作っていきます。更にオリジナルコンテンツの創出、未電子化作品の電子化促進など、『Reader Store』カラーのコンテンツをお届けし、書店としての発信力を高めていきたいと考えています。

『Reader Store』は未来の理想的な書店に向けて第一歩を踏み出しました。エンジニアリングとエンタテインメントの融合。ネット上の電子書籍ストアならではの機能強化、プロモーション手段の開発、そしてオリジナルコンテンツの創出を軸に、‟本好き集団によるこだわりの深掘り”が始まります!

村田茂(むらたしげる)

1967年、三重県生まれ。90年、CBS・ソニー出版入社。音楽、コミック誌、書籍編集などを経て、デジタルグッズ専門誌『デジモノステーション』創刊。07年、ソニー・マガジンズ代表就任。13年、エムオン・エンタテインメント代表就任。16年、『Reader Store』代表就任。