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実践的ゲーム肉体論~愛を再現するコスプレイヤー RPG系①

実践的ゲーム肉体論~愛を再現するコスプレイヤー RPG系①

ゲームショウなどのイベントで華やかな存在感を放つ、コスプレイヤー。なぜ、彼らはコスプレをするのか。皆さん、その情熱の原点を知っていますか?

初めまして、ゲーム大好きマッシヴカーチャンこと、ウランと申します。特に好きなのはダークファンタジーものや『不思議のダンジョン』シリーズ。最近プレイしているのは『Salt and Sanctuary』、『LETITDIE』、『Buried bornes』です。『アイドルマスターシンデレラガールズ』も大好き。永遠の17歳、ウサミンこと安部菜々さんのPです! 

私自身、小学校低学年の時にファミリーコンピュータに出会った日から、ずっとゲームの世界に魅せられて生きてきました。次第に攻略することだけでなく、魅力的な世界設定やキャラクターにも惹かれ、ゲームキャラクターのイラストやリプレイマンガを描いたり、段ボールでゲームに出てくるアイテムを作ってみたり。ゲームの世界の中に入り込んでみたい。または、ゲームの世界をここに再現してみたい。思えば、そういう欲求が子供のころからありました。

高校生の時、先輩と訪れたコミックマーケット。大好きな格闘ゲームキャラクターのコスプレイヤーを見て、「こんな楽しみかたがあったなんて!」と大感激。…… 数ヵ月後、忘れもしない神楽坂のクラブで行われたコスプレイベントに私たちは居ました。『飢狼伝説』シリーズ・不知火舞のコスプレを先輩として、「日本一!」 と勝ちポーズをキメながら、記念撮影したときの喜びは忘れられません。

1990年代から大きくコスプレイヤー人口は増え、現在すっかり世間にも認知されてきたといえるでしょう。コスプレイヤーを考慮したキャラクターデザインや、ゲームイベントに登場するコンパニオンの衣装への採用など、”コスプレ”という文化が、昨今のゲーム業界に与える影響は、少なからずあるものと思います。ですが、案外”コスプレイヤー”自体のことは知らない方も多いのでは? 「ハデな衣装を着て、ゲームショウやコミケなどのイベントでポーズをとっている、浮世離れした感覚を持った人たち」というのが、一般的な非コスプレイヤーの感想かもしれません。

コスプレイヤーの数だけこだわりの形があり、さまざまなストーリーもあります。今回は、特に造形にこだわるコスプレイヤーの方々を取材し、普段は見ることのできない制作の裏側、彼らをコスプレに駆り立てる魅力の一端を覗いてみました。ゲームの魅力と影響力を、違った視点から再確認できるのではないでしょうか。前半はRPG系、後半はアクション系と分けてお送りいたします。

取材・文 / ウラン

写真:『艦隊これくしょん艦これ-』川内 アゲハさん(@ageha_ulysses)


大好きなキャラクターに近づきたい!

 コスプレを始めたいと思った多くの方は、おそらく洋裁も造形も全くの素人というところからのスタート。私もアイラブ不知火舞ちゃんに一刻も早く変身したくて、それっぽい生地と扇子を買ったはいいものの、家庭科の授業で習った洋裁のことなんてすっかり忘れてしまって、どこから手を付けていいのやら……と初めから途方にくれてしまいました。ですが幸運なことに、たまたま一緒にコスプレを始めた先輩が洋裁のできる人だったのです。頭の片隅にも残っていなかったミシンの使いかたから型紙の使いかた、布の端処理の方法まで手取り足取り教えてもらい、なんとか衣装を完成させました。今見るとちょっと不格好でバランスの悪い衣装ですが、「あの『飢狼伝説』の世界が今ここに! 私、少しでも舞ちゃんに近づけるかも!」とワクワクが止まらなかった思い出が今でも鮮烈に残っています。

おそらく、洋裁経験者がスタート時点からパーティメンバーだったという私のような例はかなり稀だと思われますが、他の方はどのように衣装制作を始めたのでしょう。今回は、精力的なネットゲーマーであり、布ものから鎧まで幅広く制作しているコスプレイヤーさんに突撃しました。

まず、お話を聞いたのはあみさん(@simotuki1119)。コスプレ歴17年。いかめしいフルフェイスの男キャラ、麗しい女性キャラ、また身の毛もよだつようなクリーチャーと、まさに七変化ともいえる大変身。素顔は涼し気な目元が印象的な、落ち着いた雰囲気の方です。縫製、造形もお手の物。制作スピードも早く、難しそうな衣装でも事もなげに作ってしまうように見えるあみさんですが……。

▲『ファイナルファンタジーXIV』のフレイ。マスク下の顔も黒塗りに。細かいところですが、グラフィックに忠実になるよう丁寧に作り上げているのがわかります

「中学生の時に友人と訪れたコミックマーケットでコスプレイヤーを見て、楽しそうだし格好いい、自分もやってみたい! と思ったのが、コスプレを始めたきっかけです。初めてのコスプレは『ファイナルファンタジーVII』のユフィ。二次元に近づくため、筋トレと走り込みで10キロくらいダイエット。服を自分で作る方法がわからず、既製品の白いズボンを切ってリメイクしたりなど工夫しました。祖母にお願いして、へそ出し丈の緑のタートルネックニットを編んでもらいましたが、祖母の優しさでオーダーより丈が長く、ユフィのトレードマークであるヘソが出ませんでした(笑)」

なんと、ヘソが出ないユフィ……。あの衣装はユフィの快活さを表す大事なポイントだとゲームのファンである私たちは思いますが、おばあちゃまとしては、孫のお腹のほうが気になってしまいますよね。心もお腹もあったまってしまうお話です(笑)。それにしても、ユフィになりたい一心で体型までも変えてしまうという情熱には脱帽! 理想のイメージがしっかりと頭の中にあったのですね。いや、イメージがあったからってなかなかできることではありませんが。

試行錯誤と努力の結果、ついに完成した衣装を纏ってみた感想は……?

「コスプレイベントで『ファイナルファンタジーVII』の集合撮影がありまして、人見知りなうえに中学生と若かった私は輪に入れず、他の方を撮影させてもらおうと列に並んでいたのですが、それを見たコスプレイヤーさんに一緒に撮影しよう! って言ってもらえたのが死ぬほど嬉しくて、同時に死ぬほど恥ずかしかったです。他の人は凄くキャラに似てるのに自分はまだまだ……という意味で。初めてのコスプレがとても楽しかったので、次は最初から自分で作ろうと思いましたが、布の知識もないから服の裏地に使うような薄くてツルツルの生地で作ってしまったり、全身サテンで作ってギラギラしてしまったり。今ほどインターネットが普及していなかったので、かなり手探り感がありました」

確かに今は、SNSなどでコスプレイヤー同士の技術の共有もしやすくなりましたね。多くの人が使うような、コスプレに向いた資材やウィッグも安価で買えるようになりました。コスプレ人口が増えたので資材の需要も高まり、いろいろなものが手に入れやすくなったということですね。

「そうですね。今となっては、100円均一ショップやホームセンターなどに行くと、別に今必要なわけじゃないのに、ついつい使えそうなものを探してしまうようになってしまいました……」

特に用途はないけれど、何かに使えそうと購入してしまった商品の数々、うちにもたくさんあります。シリコン製品などはレジンの型取りに、プラ製品はそのまま加工できますし、なにかと重宝なんです。そんなわけで、「いつか使うかも」と購入し、結局使わず、捨てられもせずに家に溜まってしまう。コスプレイヤーあるあるですね。

▲あみさんのコスプレ七変化。醸し出す雰囲気まで、それぞれまるで違います

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