MUSIC GO! ROUND!  vol. 2

Interview

Suchmosが支持される理由をFM802土井コマキとタワレコ行達也が考察

Suchmosが支持される理由をFM802土井コマキとタワレコ行達也が考察

FM802の土井コマキさんがゲストをお招きし、気になる音楽についておしゃべりしながら掘り下げる不定期連載企画『MUSIC GO! ROUND!』。第2回のテーマは新レーベル『F.C.L.S.』(読み方:エフシーエルエス)立ち上げを発表したロックバンド・Suchmos(サチモス)! 彼らが支持される理由やSuchmosの音楽のルーツを、タワーレコードの行達也さんの考察とともに深掘っていきます。

左:土井コマキ 右:行達也(タワーレコード)

「すごいぞ、Suchmos!」Suchmosが支持される理由をFM802土井コマキと行達也が考察

土井コマキ FM802ミッドナイトガレージから「すごいぞ、Suchmos」特集です。ご意見番としてタワーレコード・行さんに来ていただきました。行さんとはこういうこと毎回勝手にやって楽しいですよね。今回も勝手に好きなようにしゃべって、「いや、そうかな? そうやなぁ!」って感じに進めたいと思います。今回のテーマはSuchmos。

行達也 やらなしゃあないやん。

土井 だって、すごいんですもん。Suchmos自身もすごいんですけど、何をって、それを取り巻く今の日本の感じがすごいと。子どもが口ずさむらしいですからね「STAY TUNE」を。

 ほんまかいな。

土井 らしいですよ(笑)。Suchmosは2013年の1月に結成し、全員神奈川県育ち、YONCEくんは湘南茅ヶ崎生まれ。レペゼン茅ヶ崎。もうそろそろYONCE通りができるのではないか!? YONCE神社とかね。茅ケ崎にはサザン神社があったりしますから。

 早いね(笑)。

土井 スキャットのパイオニア、ルイ・アームストロングの愛称「サッチモ」からバンド名は由来していると本人たちも言っております。ミッドナイトガレージは、彼らが初めて関西にライブで来た時に、クラブイベントだったんですけど、その時に楽屋インタビューをさせていただいたのが最初でございます。

 そこから急激に来ましたよね。

土井 そうなんです、急激なんです。なぜ、突然大人気になったのか? 勝手にルーツを紐解いてみたいと思います。

“生活に密着した音楽”なのが魅力

 こんなに急にウケたんだから、何がウケたんだろう? ってとこからいきましょう。すでにたくさんの雑誌やウェブのメディアでも特集されていますよね。特に僕ら世代は、僕48歳ですけど、90年代の頭ぐらいの雰囲気を感じたんですね。ジャミロクワイはよく引き合いに出されるじゃないですか。もしくは渋谷系あたり。

土井 ああ、やっぱりそこですね。何かとリンクしている時代ですね。

 90年代の音楽は受け皿がめちゃくちゃ広いんですよ。今の若い子たちにも届くし、僕らぐらいのおっさんにも響くし、必然的にリスナー層が広がるから、これほどの盛り上がりを見せているのかなって。それと、湘南でレゲエが流行った時あったじゃないですか。

土井 それはいつぐらい? 例えばどういう人ですか?

 2000年代。わかりやすいのは、MOOMINなどのアーティストが出てきた時って、音だけじゃなくて、その人のライフスタイルが見えるというか、ファッション的要素も支持されたじゃないですか。彼らも、たまたま“湘南”というところで共通してるんですけど、PVも地元の海辺で撮ってるじゃないですか。その場所だけのコミューンみたいな。

土井 湘南の。

 そうそう、地元の。そういうのを大事にしているかはわかりませんが。

土井 大事にしていると思います。

 やっぱりそうなの? 「東京にこだわらなくても、むしろ俺たちの地元イケてる」みたいなその感じが、「うわ! かっこいい」みたいに見える部分もあると思うんですよ。そういうおしゃれな感じっていうか、音だけじゃなくてトータル的な見映えっていうのかな。YONCEくんもかっこいいじゃないですか。

土井 かっこいいです。

 ファンクって衣装や見た目もド派手にしなきゃいかんみたいな雰囲気あるじゃないですか。それが彼らはそうじゃなくて、Tシャツにジーパンで、ほんまに仕事帰りにスタジオ寄って、セッションしたみたいな。ものすごい自然体で。そういう、生活と密着した音楽というのが魅力の一つかなと思いますね。

土井 それが行さん世代から見てもいいってことですか。

 そうそう。しかも彼ら音楽に対してストイックで、いろんな音楽聴いて、「こんないい音楽見つけたぜ」ってファイル共有して未だにみんなで聴き合ってるみたいですね。そういう音楽に対する、探究心みたいなところが、うちらぐらいちょっとファンク好きのおっさんにしたら、わかってるなぁ…… みたいな(笑)。

土井 それと、若い人たちからの支持もすごいんですよね。なんていうか、所謂“音楽好き”な人が好きになるのはわかるんですよ。でもSuchmosって、それだけじゃないじゃないですか。その一線を越えたのはなんでやろうなって。

 そこは、90年代頭に田島貴男がやっていた、オリジナル・ラヴとすごく共通するものを感じますね。オリジナル・ラヴって当時すごくスタイリッシュだったし、音楽マニアだけの支持に終わらなかったからこそ、あれだけウケたしね。

土井 そうですよね。大衆的というわけではない音楽性でしたよね。

 コアな音楽やってるけど、存在自体がポップやったし、ポップな曲もいっぱいあったわけやし、そのバランスはオリジナル・ラヴを、思い起こさせる感じですね。どう? この分析。


オリジナル・ラヴ
「月の裏で会いましょう」 


 調べてみると、90年代の頭ってアメリカからはデ・ラ・ソウル。ソウルだけじゃなくて、フレンチからロックから、いろんなものをサンプリングしてなんでもありみたいなスタイル。かたやイギリスからは、ざっくりいうとクラブでかけて踊れる感じのものを、ジャイルズ・ピーターソンとかが紹介した、アシッドジャズ。日本やったらU.F.O(ユナイテッド・フューチャー・オーガニゼイション)なんかが、かっこよくサンプリングした曲でCD作って。

土井 そっか、やっぱり90年代ですね。

 それがアメリカやイギリスから入ってきて、それが日本だと、スチャダラとか、オリジナル・ラヴみたいな形で現れて。だからね、今でも渋谷系の最初のあの頃ってすごいなって思いますね。それで、Suchmosのルーツってどんなのかなって調べてたら90年代頭、サンプリングを通して、昔の音楽が再評価されて新しいシーンを作ったっていう、その時代の雰囲気を感じたのよね。

土井 それが他の今のアーティストたちとSuchmosの違いですか?

 違い、というより、実際そういうバンドが増えてるのかなっていう。

土井 日本でってことですか?

 世界的にソウルの解釈として面白い音楽がいっぱい生まれた時代が「今、また新たに」っていう感じがしています。うちの嫁は、音楽にも無頓着なんですよ。その嫁の口から「Suchmos」って言葉が出てきた瞬間に、Suchmosやばいなって思ったの(笑)。

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