Interview

松居大悟の新たな表現の形。妄想が暴走する恋愛コミック『恋と罰』

松居大悟の新たな表現の形。妄想が暴走する恋愛コミック『恋と罰』

自分に自信がないから相手に合わせてしまう

ご自身の恋愛観に近いキャラクターが入ってますか?

順かな。自分に自信がないから相手に合わせてしまうっていうほうですね。好きな相手に振り向いて欲しくて間違った方向にどんどんいくんだけど、相手が気づいてくれないから、さらに頭の中がどんどんお花畑になっていくっていう。僕も「相手が見えてない、自分が好きなだけでしょ」「好きだって思ってる自分に恋してるだけでしょ」って言われ続けてきたので(笑)。そういう意味では、救いたいとも思いますよね。

順は自分のジェンダーを受け入れて、振り切れていきますよね。

そこは願いですね、僕の。きっかけは恋心だったかもしれないけど、自分にとっての居場所をちゃんと見つけられていたらいいなと思います。

自分が書いた原作が漫画になってどう感じました? まず、昨年の10月から今年の3月までWEBで1話ずつ公開されていましたが。

普通に次が楽しみだって思う、お客さんでした。完全な客観視ではないと思うんですけど、僕が一番の読者になってた気がする。脚本をオオイシさんに託したのが2年前なんですね。だから、自分の中でもう俯瞰できていたので、純粋に「面白いな。あ、俺のだ」って(笑)。

あははは。ガールズムービーを3本公開した今はどう感じてます?

変な意味じゃなくて、ああいう映画をやってなかったら、すごいセンセーショナルだった気がするなと思いましたね。ただ、『ワンダフル』『ハァハァ』『アズミハルコ』は、女性と作ってきた感があって。これは、男子2人で一生懸命に作ったので、それとは回路が違うというか。もしかしたら、生理的に無理だって言われるかもしれないけど、それでもいいかなって思える。僕とオオイシさんのなんとなくの根っこの精神は似ていて。その芯が正しいのかどうかはわからないけど、この2人で作った芯はすごく強いものになってる気がして。そこはブレずにやってきたので、登場人物たち同様に、ほかの人たちが違うって言っても、俺たちは好きなんだと胸を張れるし、共感してくれる人がいっぱい出たらいいなって思ってます。

ずっと夢だった本が出来て、特別な漫画に対する想いは昇華されました?

いや、昇華されるのは、発売して、家の近所の本屋に並んでるのを見たときじゃないですかね。その日を楽しみにしてます。

またやってみたいという気持ちは?

もちろんあります。今回は脚本を全部書き上げて、ネームも終わったうえでペン入れして、発表するっていう形だったので、次は結末まで作り切らないまま、連載をやりたいですね。『バイプレイヤーズ』で思ったんですけど、放送されて、お客さんの反応を見て、書いていくものが変わってくことで、観てる人も含めた全員で作るのも一個の形だなと。映画とか演劇は出来上がって見せるものですけど、書きながら、観る人の反応で物語も変わっていくのが、今、ちょっとやってみたいなと思ってますね。

やっぱりひとりではないんですね。

そうですね。なんでなんだろうなぁ。人と一緒に作ることでいいものができると思っているからかなぁ。

このコミックを映像化したいという想いはあります?

はい。映画にして欲しいです。でも、(撮るのは)僕じゃないほうがいい気がする。

たしかに違う監督が松居さんの脚本とキャラクターをどう映画にするのかを観てみたいです。誰か? 指名しておきます?

それは夢ですか? それとも現実的にですか?(笑)

(笑)じゃあ、夢から聞かせてください。

デイミアン・チャゼル(映画『ラ・ラ・ランド』『セッション』)かな〜。もしくは、キム・ギドク(映画『悪い男』『嘆きのピエタ』)が撮ってくれたら……。

あははは。じゃあ現実方面も教えてください。

うーん……女性にやって欲しい気持ちがあります。男2人が創り上げた世界を女性目線でどう切り取るのか見てみたいというか。いや……でも、この原作を面白がってくれる方がいれば、喜んで託したいです。

漫画『恋と罰』

上下巻 2017年5月18日発売

原作:松居大悟
漫画:オオイシヒロト
出版:太田出版

太田出版『恋と罰』

松居大悟(まつい・だいご)

1985年生まれ、福岡県出身。劇団ゴジゲン主宰、全作品の作・演出・出演を担う。2009年にNHK『ふたつのスピカ』で同局最年少の脚本家デビュー。2012年に『アフロ田中』で長編映画初監督。その後、『自分の事ばかりで情けなくなるよ』『スイートプールサイド』などを発表。最新作『アズミ・ハルコは行方不明』で第29回東京国際映画祭コンペティション部門出品、『ワンダフルワールドエンド』でベルリン国際映画祭出品、『私たちのハァハァ』でゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて2冠、両作でTAMA映画賞最優秀新進監督賞受賞。最近では、テレビ東京 ドラマ24『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』の監督を手がけるほか、ミュージックビデオ制作、俳優など、活動は多岐にわたる。

オフィシャルサイト


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