LIVE SHUTTLE  vol. 143

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ゲスの極み乙女。 ライブ完全復活を果たした、ベスト選曲の超プレミアムライブ

ゲスの極み乙女。 ライブ完全復活を果たした、ベスト選曲の超プレミアムライブ

『達磨林檎』発売記念 超プレミアムライブ
2017年5月10日 Zepp Tokyo

ゲスの極み乙女。のニューアルバム『達磨林檎』のリリース日に、Zepp Tokyoで行なわれた発売記念プレミアムライブに行った。

昨年末の活動休止以来、約半年ぶりのライブになる。メロディ、リリック、演奏テクニックなど、クオリティの高い作品を発表してきたゲスの極み乙女。は、ライブバンドとしても高い評価を受けている。それを楽しみにしていたファンにとっては、待ちかねたライブ活動の再開だ。開演前のフロアには、そんな期待に満ちたオーディエンスたちが詰めかけている。

ステージ前に設置された紗幕スクリーンに映し出されていた新曲「シアワセ林檎」のMVが終わると、紗幕ごしに演奏が始まった。ほな・いこかがパワフルに4つ打ちドラムを鳴らし、休日課長が切れのいいチョッパー・ベースを弾く。ちゃんMARIがキーボードを叩き、川谷絵音のギターがノイズを発する。「パラレルスペック」のイントロで紗幕が開いて、いよいよライブのスタートだ。

背後に「ゲスの極み乙女。」と大書きされたドロップが吊り下げられているだけのシンプルなステージに、メンバー4人に加えて、2人の女性コーラスがいる。いきなりオーディエンスも一緒に歌い出す。

終わるとすぐに、ちゃんMARIがピアノで「私以外私じゃないの」のイントロを弾き始めると、場内からワッと歓声が上がる。超スピードのギター・リフがそれに続く。スリリングな展開が安定して聴こえてくるのは、ほな・いこかのドラムがどっしりしているからだ。完璧な演奏が、半年間のブランクをまったく感じさせない。川谷のあの独特の声も健在で、美しいメロディをしっかり届けてくれる。

ハンドマイクに持ち替えた川谷が、「こんばんは、Zepp Tokyo!」とひとこと挨拶して、「星降る夜に花束を」へなだれ込む。クールなラップが聴こえてくる。♪左手にはあなたが捨てたもの 右手にはあなたからの愛を♪と抑えた調子で語った後、サビで♪これだけ奪って これだけ愛して 祈り合った答えは出ぬまま次の夜さ♪と爆発する。入り組んだアレンジを突きぬけて、耳に飛び込んでくる言葉が痛快だ。バンドの発するグルーヴも申し分ない。途中、休日課長が目の覚めるようなベース・ソロを決めてくれて、オーディエンスが大歓声を上げる。人気曲連発の序盤で、ゲスの極み乙女。は早くもライブ完全復活を果たしたのだった。

「コポゥ! ただいま!!」と、ちゃんMARIが元気に挨拶する。

「課長とは会ってたけど、いこかさんとはしばらく会ってなくて、4月に久しぶりに会ったら髪が長くなってて、誰だかわからなかった。ちゃんMARIは短くなっちゃってて、2人が入れ替わったみたい」と川谷が笑わせる。

中盤はニューアルバム『達磨林檎』からの曲を披露。「心地艶やかに」はすでにYouTubeでミュージックビデオが公開されていたが、ライブで聴くと川谷のファルセットがとても魅力的に響く。ギター、ベース、キーボード、ドラムが1小節ずつの超短いソロを取るなど、ライブでの見せ場も充分だった。

「ロマンスがありあまる」を挟んで歌った「某東京」は、意欲作。情熱的なコーラスをバックに、組曲風に展開していく。♪内面剥がして心見せる それが東京 俺の東京 某東京♪というリリックが、容赦なく心に突き刺さる。鋭く尖った川谷の言葉は、鈍っていない。

楽しかったのは「シアワセ林檎」だった。曲の途中でほな・いこかがドラムを離れ、ステージの前に出てきて、ハンドマイクで川谷とデュエットする。2人が見つめあうシーンがあったり、川谷がいこかの肩を抱いたりして、オーディエンスは「キャーキャー」大喜び&大騒ぎになる。ふと見れば、ドラムにはindigo la Endの佐藤栄太郎が座っていて、しっかりリズムをキープしている。この演出に、バンドの健康さが伝わってきた。

そこからは、定番の盛り上がり曲が並ぶ終盤だ。特別なライブのため、いつもより短いセットリストが組まれている。

「そろそろ“ゲスの4か条”が聞きたいんじゃないの」とほな・いこかが煽ると、オーディエンスは「ワォーッ」と反応する。「教えてあげるわ、よくお聞きなさい!」と得意の命令口調が飛び出した。

「ドレスを脱げ」では休日課長がコール&レスポンスをリードし、ラストは川谷が「踊れますかぁ?」と煽って、ハンドマイクで「キラーボール」を歌って締めた。

アンコールでは懐かしい曲を演奏する前に、この日、いちばんゆったりしたおしゃべりコーナーが待っていた。

「いつもライブで見る顔がいて、ほんと嬉しいです。ありがとう。『達磨林檎』は去年の1月からレコーディングしてたから、1年以上前のことで、僕たちも懐かしい。あ、“僕たちは”だった(笑)」と川谷。発売が延期になったアルバムを、ようやくリスナーに届けることができた安ど感が、はしばしににじみ出る。

「『達磨林檎』の最後に入ってる「ゲストーリー」っていう曲のサビは、コーラスを20本重ねて細かくアレンジしました。それと、「DARUMASAN」って曲をふざけて作ったのが、いちばん楽しかったな。このところ曲作りに遊びがなくなってたから、久々に遊べた作品。まだ遊び足りないけどね。あ、アルバムの聴きどころって、あんまり言わないんだけど、言っちゃってますね(笑)」。赤裸々な川谷がそこにいる。バンドのフロントマンは、ある意味、モテるのが仕事。それゆえ、内面をさらすのは、あくまで歌の中だけだ。そんなポップ・ミュージックのルールを再確認した瞬間だった。

「アルバム発売記念と言いつつ、僕らのやりたい曲をやります。最後まで楽しんでいってください」と、「ルミリー」。「ユレルカレル」ではイントロのピアノを弾くちゃんMARIのシルエットがスクリーンに映し出され、バンドのライブ復帰の実感をさらに高めてくれる。ノリノリの「crying march」でメンバーは、オーディエンスと一体になって盛り上がった。

演奏を終えたメンバーが順番に、ステージに搬入された巨大な“達磨林檎”に片目を入れる。そして達磨を囲んで、オーディエンスと記念写真を撮る。その後、スクリーンに8月スタートのツアー“丸三角ゲス”のスケジュールが発表され、ファイナルの日比谷野外音楽堂の文字が浮かび上がると、歓声はピークに達したのだった。

本編もアンコールも人気曲の連打で、この時点でのゲスの極み乙女。のベスト選曲といえる、まさにプレミアムなライブだった。

文 / 平山雄一

『達磨林檎』発売記念 超プレミアムライブ
2017年5月10日 Zepp Tokyo

SETリスト
1.パラレルスペック
2.私以外私じゃないの
3.星降る夜に花束を
4.サイデンティティ
5.心地艶やかに
6.ロマンスがありあまる
7.某東京
8.シアワセ林檎
9.ホワイトワルツ
10.ドレスを脱げ
11.jajaumasan
12.キラーボール
EN1.ルミリー
EN2.ユレルカレル
EN3.crying march

その他のゲスの極み乙女。の作品はこちらへ

ライブ情報

ゲスの極み乙女。全国ワンマンツアー 「丸三角ゲス」決定!

8月1日 (火) 渋谷WWW X
8月3日 (木) 札幌ペニーレーン24
8月7日 (月) 福岡DRUM LOGOS
8月8日 (火) 広島CLUB QUATTRO
8月15日 (火) 新潟LOTS
8月16日 (水) 仙台Rensa
8月28日 (月) 大阪BIGCAT
8月29日 (火) 名古屋DIAMOND HALL
9月03日 (日) 日比谷野外大音楽堂

ゲスの極み乙女。

川谷絵音(Vo, G, Syn)、休日課長(B)、ちゃんMARI(Key)、ほな・いこか(Dr)。2012年5月に、indigo la Endのボーカルでもある川谷絵音を中心に結成。2013年3月に1stミニアルバム「ドレスの脱ぎ方」、同年12月に2ndミニアルバム「踊れないなら、ゲスになってしまえよ」を発表。2014年4月にミニアルバム『みんなノーマル』でメジャーデビュー。高い演奏技術を駆使した、何が起こるかわからない曲展開に全てを飲み込んでしまう声。プログレ、ヒップホップを基調としながらも、独自のポップメロディを奏でる4人組バンド。

オフィシャルサイトhttp://gesuotome.com

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