相楽樹の「ご一緒してもいいですか?」  vol. 5

Interview

相楽樹×古舘佑太郎対談ー共通点は朝ドラ出演。語り合う音楽愛

相楽樹×古舘佑太郎対談ー共通点は朝ドラ出演。語り合う音楽愛

ゲスト:古舘佑太郎[2]

『とと姉ちゃん』の鞠子役で注目を集め、ドラマ出演が相次ぐなか、CM「酔わないウメッシュ」では初めての弾き語りに挑戦した相楽樹さんの連載も5回目。
今回のゲストは、The SALOVERS活動休止後、ソロ活動に続き、ドラマ『ひよっこ』のレギュラー出演が決定し、注目度急上昇中のミュージシャン&俳優の古舘佑太郎さん。
初顔合わせながら、音楽、芝居の他にも意外な共通点があることが発覚し……。
バンド結成時のエピソードから表現者としての葛藤、オフの充電の仕方まで、ここだけの話満載のノンストップ対談!

取材・文 / 村崎文香 撮影 / 荻原大志


相楽 「文学のススメ」で好きになりました
古舘 えっ? 人生の黒歴史が白に変わるなぁ!

相楽 The SALOVERSを好きになったのは2013年、「文学のススメ」を聴いてからなんです。周りにバンド好きの人がいて、男友達に「なんかいいバンドない?」と聞いたら、「The SALOVERS、いいよ」って教えてくれて。18のときです。で、聴いてみて、凄く「攻めてるな」って思ったんです。サビが「ブンガク、ブンガク」って。衝撃を受けました。
森鴎外の『舞姫』をギャルに渡す、っていう歌詞があるじゃないですか。それを観た私の男友達が、真似して夜中の商店街でおばさんに「舞姫」を渡して、すごく嫌がられるっていう遊びをやっていたんです。

古舘 そんなことをやってもらってたんですか? 逆に申し訳ないですね(笑)。 実は、あの曲をつくったときは、人生でいちばん悩んでいた時期で。

相楽 えっ? そうなんですか?

古舘 そうなんです。だから、「攻め」って言ってもらえるとほっとするというか。
迷いまくっていた時期に、ぐちゃぐちゃになって、開き直ってやっちゃった作品。
『舞姫』をギャルに渡すって、自分でつくっておきながら、それはないだろ! みたいなところがあって。だから正直、あの曲ってつくってから聴いてないんです。
今日は凄く嬉しいです。それを真似したなんて言ってもらえると、自分の中の黒歴史が白に変わる(笑)。

相楽 何に悩んでいたんですか?

古舘 そのときは、年に3枚シングルをつくるっていうことになっていて。スケジュールがどんどん迫ってくる一方で、自分から生まれるものが何もなかった。大学生で、友達も全員幼なじみで、スタッフはみんな大人で。いろんなこと考えると、こんがらがってしまって。
スタジオにメンバーとスタッフ10人くらいでいるのに、僕が頭抱えちゃうと30分ぐらい誰も何も話さない、みたいな。そんな状態のなかで生まれた曲。そこを入口にしてくれたっていうのは、不思議な感じがします。

相楽 基本、歌詞を書くときは自分ひとりなんですよね?

古舘 そうですね。歌詞に関しては、僕ひとりですね。

相楽 なんでギャルに『舞姫』を渡すっていう行為を思いついたんですか?

古舘 その頃は別人格になっていたので、いま言うのも難しいんですが、十代の頃にはなんか鬱屈した思いとか、街中の俗物に対する怒りみたいなものがずっとあって。で、メジャーデビューして、そういうものがどんどんなくなっていくみたいな気持ちがあった。丸くなっていく自分のことをつまんないなぁ、と、自分に対する怒りみたいなものがあって。いまはもうそれは嫌だとは思わないけれど、その頃は嫌でしょうがなかった。だから過激な奇抜な歌詞を書くことで自分を鼓舞していたんでしょうね。

相楽 私の男友達も、どこかで、奇抜なことをしたい、という意識をかき立てられたんだと思います。ちょうど18、19の頃。18になったら夜も働けるし、大人と子どもの狭間。あの時期がいちばんぐさっと来たんだと思います。

古舘 あの曲を書いてから4、5年経って、こんな話ができるなんて思わなかった。今日は本当によかったです。

古舘 他のバンドのヴォーカルを機材ごと引っこ抜いちゃいました
相楽 ヴォーカルと機材がなくなったら、バンド続けられないじゃないですか!

相楽 バンドはもうやらないんですか?

古舘 The SALOVERSは無期限活動休止に入ってて。そのあとソロでアルバムを2枚出したんですけど、それぞれ違うバンドです。ライヴではサポート・ミュージシャンに入ってもらって、新しいカタチを模索していて。
いま、自分の中ではやりたいことがどんどん変わっていっています。でも、もう一生バンドをやらないか、と言われたら、そんなことはない気がします。

相楽 やっぱり、バンドとソロは全然違いますか? 

古舘 違いますね。

相楽 でも、曲づくりは元々自分でやっていたんですよね。

古舘 そうです。でも、サポートの方が入ると、アレンジが変わったり。

相楽 元々どういうきっかけでバンドは始めたんですか?

古舘 元々野球部だったんです。私立の一貫校だったので4歳の頃からずっと一緒の友達で、野球をガンガンやっていたんですが、姉の男友達がバンドをやっていて。そのライヴに行ったのがきっかけです。 そのバンドがカッコ良くて、バンドやりたいって思い始めた。それで、野球部でストレッチしているときに、「おまえ、ベースやれよ」って。

相楽 ベースなんですね?(笑)

古舘 そいつ、絶対不器用だから、弦が少ないほうがいいって思って(笑)。で、もう一人、ドラムを誘って。本当は、いちばんつきあいが長いからドラムをさせたくなかったんですけど。ドラムってカッコいいから、なんかそいつにはさせたくなくて、最初はマネージャー兼キーボードってボジションでした(笑)。結局、ドラムになっちゃうんですけど。で、3人でコピーバンドを始めたんです。そしたら、サッカー部だったやつが、僕らのライヴ観てカッコいいって思ってくれて。自分がヴォーカルでバンド始めたんですけど、観にいったら結構いい機材を使ってて。機材ごと引き抜いちゃいました(笑)。

相楽 ヴォーカルと機材がなくなったらバンド続けられないじゃないですか!

古舘 そうなんです。それがThe SALOVERS。

相楽 Fの壁を突破して、やっとギターが楽しくなりました
古舘 ギターを弾く楽しさって、Fが弾けたときに勝るものはない(笑)

相楽 面白い。そうやってできたんですね。実は私も趣味でギター弾いているんです。

古舘 そうなんですか? どのくらい弾けるんですか?

相楽 コードを弾けるぐらいです。

古舘 コード、押さえられるんですか? 始めてどのくらいですか?

相楽 3年……習い始めてからは1年くらいですね。

古舘 女の人って、手が小さいから押さえにくいでしょう。

相楽 そうなんです。へんなところが痛くなっちゃったり。みんな、どうやってやっているんだろう、と。
やめようかな、って何度も思ったんですけど、Fのコードの壁を突破して、楽しくなりました。

古舘 Fの壁! ギター弾く楽しさって、Fが弾けたときがいちばんじゃないですか? Fの壁を超えたときの達成感。あんなに楽しいことは……もうないですね(笑)。

相楽 えっ? もうないんですか?

古舘 いえいえ、ないことはないんですが(笑)。ギターって、本当に上手い人っていうのは、ある一定のところまで行って、それでも飽きずに続けていく、その凄さなんでしょうね。本物のギタリストって、そうなんだろうと思う。でも、ギターを持っているヴォーカリストって、ついバッキング・ギターになってしまう。

相楽 ギター弾きながら歌うって、歌とギター、どっちに神経は行っているんですか?

古舘 僕は歌ですね。でも、ギターでリズムとってるんで、ギターがないと歌えない。だからカラオケとか全然ダメ(笑)。マジで自分の曲以外音程とれないです。ゆずとか。練習しても外しちゃう(笑)。

相楽 好きなミュージシャンが一緒にやっていると知って嬉しかった
古舘 タイプの違うミュージシャンとやれるのはソロの楽しさ

相楽 ソロになってからはどうですか?

古舘 ソロになってアルバムを2枚出してるんですが、最初は、いろんな迷いとかから解放されて自分の好きなようにできたので楽しかったんです。でも、やっているうちに、いろいろ制約があるな、と思い始めて。それはバンドのときとは違うもので。難しいですね。

相楽 最近ライヴをされたときサポートで出られていたミュージシャン、凄く好きなバンドのメンバーだったんです。andymoriの藤原寛さん(base)と岡山健二さん(drums)が入ってる! って。ライヴには行けなかったんですけど。

古舘 そうなんですか。藤原さん、岡山さんの二人の存在は凄く大きかった。その前のアルバムのときは中尾憲太郎さん、オータコージさん、加藤綾太さんで、また全然タイプが違うんですけど、どちらも凄く楽しかったですね。

相楽 中尾憲太郎さん! ナンバーガールも大好きです。

古舘 そういう意味では、相楽さんと価値観が近いのかもしれませんね。そういった方々が好きだったから、The SALOVERSも聴くようになったんでしょうね。

相楽 そうですね。andymoriとThe SALOVERSはレーベルも一緒なんですね。GOING UNDER GROUNDも!

古舘 GOINGは世代的には上じゃないですか? 僕が中1とかのときにCMでかかってたから。

相楽 CMの頃の記憶はないですね。遡って聴いています。

古舘 僕も、遡って聴くことが多い。くるりとかも、そうです。本当の意味でリアルタイムじゃない。出会ったときはベスト盤が出てるくらいの時期。僕等の年代の人たちって、後追いして聴くことが多いのかもしれませんね。相楽さんは3つ下ですけど。次の連載のゲストはGOINGの松本さん、どうですか? 

相楽 そうですね。古舘さんの紹介ということで(笑)

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