Interview

+α/あるふぁきゅん。圧倒的な歌唱力を纏うミステリアスな彼女の、歌に対する美意識を探る

+α/あるふぁきゅん。圧倒的な歌唱力を纏うミステリアスな彼女の、歌に対する美意識を探る

動画共有サイトの“歌い手”としてキャリアをスタートさせ、2014年にメジャーデビュー。楽曲ごとに表情を変える多彩な表現力とヘビィロック、ボカロ曲などを自在に歌いこなす歌唱テクニック、そして、憂いを帯びたミステリアスなビジュアルによって支持を獲得している“+α/あるふぁきゅん。”がニューアルバム「ALMATIC.」をリリース。シングル「Our sympathy」(TVアニメ「エルドライブ ēlDLIVE」)を含む本作は「いままで以上に好きなことが出来た」というコメント通り、彼女の音楽センスと美意識が濃密に込められた作品に仕上がっている。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 荻原大志


色でいうと、深みのある紫や青という感じですね。決して明るいだけではなくて

3rdアルバム「ALMATIC.」が完成しました。音楽性、ボーカルの表現を含めて“+α/あるふぁきゅん。”のアーティスト性がしっかりと描かれた作品だと思いますが、手応えはどうですか?

いままで以上に好きなことが出来たアルバムだと思います。そういう意味では、アーティストらしい1枚になりましたね。楽曲も音も雰囲気も歌い方も、私が好きなようにやらせてもらったし、私自身が楽しいので、それは聴いてくれる人にも伝わるんじゃないかなって。

“好きなことをやる”というシンプルな動機があったわけですね。

自分が楽しいと感じていない曲は、やっぱり人気が出ないんですからね。1枚目、2枚目はまだアルバムの作り方もわかっていなかったし、「これが似合うよ」と言われたものを受け入れながらやっていたところもあって。それはそれで良かったと思うんですが、今回はやっと自分が好きなものだけで制作することができたというか。もちろん、協力してくれる人たちの力も大きいです。私の役割はいちばん簡単で、“曲を選ぶ”ということと“好きなように歌う”というだけですからね。そういう環境を作ってもらえているのも良かったなって。

アルバムの全体像も明確だったんですか?

色でいうと、深みのある紫や青という感じですね。決して明るいだけではなくて、どこか1か所でもいいから、曇り空が感じられるというか…。切なさでも悲しさでも怒りでもいいんだけど、そういう感情が含まれていたほうが歌いやすいんですよ。私の性格もそんなに明るいわけではないので。アルバムのタイトルも自分で考えました。アーティスト名のなかにある“ALFA”と香りという意味の“Aromatic”を合わせてるんですけど、これ以外は思いつかなくて。スタッフからは「他にも候補を考えて」って言われたんですけど、押し通させてもらいました。

妄想のなかで両親と友達を殺したんです。完全な孤独のなかで歌ったほうがいいなと思ったので

“香り”というニュアンスがタイトルに入っているのは、すごく象徴的だと思います。楽曲ごとにボーカルの雰囲気が違っていて、いろいろな香りが楽しめる作品なので。

頭のなかで妄想しながら歌っているので、雰囲気が自然と変わっているんだと思います。歌詞を覚えるというより、その雰囲気を自分のなかに練り込んで、そこから浮かんできた物語のイメージに近づけながら歌うというか。たとえば「ENDLRESS“I”」は、妄想のなかで両親と友達を殺したんです。完全な孤独のなかで歌ったほうがいいなと思ったので。

かなり個性的なアプローチですよね。最初からそういうスタンスだったんですか?

そうですね。恥ずかしいから「妄想しながら歌ってる」とは言ってなかったですけど(笑)。歌ってるときは一人の世界にいるので、他の人はいないほうがいいんですよ。だからレコーディングブースに人がいると歌えないし、視界のなかに人が入ってくるのもイヤで。私は絵を描いたり、彫刻を作ったりするのも好きなんですけど、いつも部屋にこもってやってますからね。一緒に住んでいる家族も電話で連絡してくるくらいですから(笑)。