Interview

Yasei Collective-1曲の中でシーンが次々変わる変幻自在な音の波動を堪能せよ。

Yasei Collective-1曲の中でシーンが次々変わる変幻自在な音の波動を堪能せよ。

常にプレイレベルのアップデートを目指すということ

なるほど。では、ニューアルバム『FINE PRODUCTS』についてですが、どんなテーマで制作された作品ですか。

松下 根本的なものは全然揺るがずにあるんですが、僕らのこと知らない人にも聴いて欲しいって気持ちは常に持ってるんです。そういう要素を強く打ち出した1曲を作りたいっていうのがあって、それがリード曲の「HELLO」です。サビのメロディは誰が聴いても覚えられるだし、でもビート的な細かいニュアンスは絶対僕らしかできないものだし。めちゃくちゃポップでロックで早いしテクニカルだし、っていうものが全部詰まった曲なんです。それを軸に、今までやってたジャムっぽい曲や、ヒップホップカルチャーにもすごく影響を受けてるので、トラックとして使えそうなインタールードが4曲入ってます。今までで一番バラバラな感じがするのが逆にコンセプトというか、面白いかなって。

ジャズ、ロック、ソウル、ファンク、クラブミュージックなど、ほんとに様々な音楽がミックスされた作品ですね。改めてリード曲「HELLO」について語ってもらえますか。

斎藤 一番最初は、確かみちくん(中西)がコード進行を持ってきて、そこからみんなで作ってた感じでした。

斎藤拓郎

松下 最初はすごくテンポが遅かったけど、途中からやりたいこと全部詰め込もうって作っていったんです。実は、前のアルバムのときにレコーディングしたけど、納得いかなくて一旦ボツにしたんです。そこから、いらない部分を削ぎ落としていきました。残した部分は、それぞれ自分たちにしかできない箇所ですね。中西なら、シンベを弾きながら同時にベース弾く、拓郎は音の切り替え、別所は最後の早弾き。オレは、最初のAメロのしんどいドラミングですね(笑)。

ある意味、究極のプレイにトライしてるバンドでもあると。

松下 ほんとそうです。毎回、アップデートしたくてしょうがないんです。それは、単に新しいことをやりたいとかじゃなくて、自分たちが常にフレッシュでいれることをやりたいからですね。だから、テクニックじゃなくて、フィールの部分で新鮮さを求めることもあります。ザ・バンドみたいなことやってみようって、すごいアーシーな瞬間ができたり。あと、MIDIでニューオリンズのビートを叩いたらどうなるかって自分で作って、それを生ドラムでやるとか。

かなりユニークな発想ですね。

松下 そういう、他じゃ潰しが効かないことも常にやってるんですよ(笑)。

別所 他の現場では使うことがない技術をいっぱいやってます(笑)。

松下 でも、それが役立ってるときもあるんです。この2年間は、それぞれが他の人のスタジオワーク、ライブサポートとかやってるんです。特にスタジオワークは、譜面渡されて15分でドラムの全部録り音まとめなきゃいけない仕事とかすごいあるんです。でも、そのときに回数叩いたことないです。どんな譜面が来ても大概シンプルに見えちゃう。それは他のバンドのサポートのときもそうですね。

このバンドで、高いハードルのプレイをしてることが役に立っていると。

中西 そうですね。なので、僕らの演奏って闇雲に何もないところからひねる出してるんじゃなくて、自分に取り込んだものから新たなアイディアにしてるって感覚はあります。

中西さんが、鍵盤のシンセベースと、弦のベースを同時に弾こうと思ったきっかけは?

中西 そもそも僕は、シンベを弾けるエレキベーシストですって調子こいてたんですけど、79年のYMOのライブ映像を見たら、とうの昔に細野さんがシンベ弾いてたんですよ。じゃあどうしようと思ったときに、さすがに細野さんでも同時には弾いてないだろうなって思ったのが最初です。2つ同時に弾いたら、音の重なりがシークエンスっぽいフレーズになって面白かったんです。で、今回「HELLO」を録るときに実戦しました。なんじゃこれは?ってものは、自分も好きなんで。

別所 ただ、面白いだけだとびっくり人間ショーみたいになっちゃうので、音楽的にっていうのはすごく重要視してます。

では、斎藤さんが今回のプレイでこだわったう部分は?

斎藤 今回は、僕が弾いてるってわかるものが多いんです。っていうのは、僕はギターでシンセっぽい音を出すから、音だけだとギターで弾いてるかわからないんですよ。ただ、今回はギターらしい音が多いので、わかってもらいやすいだろうなって。でも、ギターシンセっぽいけどギターで弾いてますって、すぐわかるうまい方法ないかな?って考えてるんですけどね。今だにそれは見つからないんです(笑)。それは模索中ですね。

別所 そんな悩みがあったんだ(笑)。でも、ライブ中に誰の音かわからないときあるよね。

別所和洋

斎藤 音が飛び交ってるし、たまに似た音が出てると、これ自分が弾いてるんだっけ?ってなるんですよ(笑)。

別所 ライブDVDとかで、ここ斎藤君が弾いてますとか、コメンタリーとかあったら面白いかも(笑)。

松下 なので、「HELLO」のMVは、めっちゃ手元が全部わかるものにしました(笑)。

誰が弾いてるかわかるMVになってると。あと、ボーカルは生声じゃなく、全部ボコーダーを通してるのはなぜですか。

斎藤 それは、メンバーが歌えないからっていうのが強いですね。

松下 全員歌下手だもんね(笑)。

中西 他のバンドでコーラスとかやりますけど、でも別に今このバンドで必要があるとはあまり思わないし。それに、ボコーダーの声って面白いっていう方が大きいですね。

松下さんが、今回の演奏でこだわったところは?

中西 オレら3人はエレクトロに染まってるけど、松下だけは生のドラムの音をずっと貫いてるんですよ。

松下 オレ、パッドもエフェクターも使わないし、ライブの出音もできるだけドライでって言います。だから、僕が人間味みたいな部分を守ってるんですよ。ただ、スネア3つとか使うんです。一番、時代とか音楽の種類が出るのは、ドラムだとスネアなんです。1曲の中でも、ここは80’s、ここはドラムンベースって、違うスネアを叩いてる。どの曲でも、最低2個は使ってますね。1個のスネアの曲は少ないかも。なので、生楽器でどこまでいけるかって可能性はこれからも追求していきたいです。

『FINE PRODUCTS』は、今の集大成に近い

ちなみに、アルバムの曲ってそのままライブでできるんですか。

松下 全曲できます。なぜなら、レコーディングは全部同時に録ったものなので。オレら、あとからコード被せたりしないんです。

音をあとからプラスする、オーバダブ的なことはしないと。

松下 やらないです。今回は、全曲せーので録ったものだけですね。

つまりアルバムは、バンドのそのとき、その場面切り取りであると。

中西 ほんと、そういう感じです。

松下 そういう意味で『FINE PRODUCTS』は、今のオレらの集大成に近いですね。今できることの大体を出してるし。今回、今までと違う部分は、初めてディレクターの意見を聞いたことですね(笑)。さっきも言いましたけど、やっぱり初めての人にも聴いてもらいたいというのがすごくあったので、間口を広げる作業としてそういうことも必要かなって。意識的な広がりはすごくあると思います。あと、ロックのリスナーから、ジャズリスナーまで、誰が聴いても、いいって部分が必ず一個はあるっていうのは自信持って言えます。もうひとつ、オレはリーダーとして、今回は別所をすごく前に出そうと思ってました。そこは、選曲の時点からすごくありました。ローズとエレクトロ系のシンセを両方使うっていう日本人がいるんだよっていうのを、もうちょっと外に広めたくて。結果として、アルバム通して鍵盤がすごく活きたなって思います。

チック・コリアのリターン・トゥ・フォーエバー的な感じもしますね。

松下 そういうところもありますね。

別所 そう、さっき言い忘れましたけど、ジェイソン・リンドナーって、ボウイの『☆』に参加してたキーボーディストは、ローズとシンセを使うんですけど、その影響もかなり受けてますね。

なるほど。そしてYasei Collectiveは、アルバムを引っさげて6月10日から全国ツアーをスタートします。

松下 アルバムを聴いて、ほんとにこれやってるんだっていうのをライブに確認しにきて欲しいなって(笑)。

中西 アルバムは、バンドの現時点の切り取りって感じですけど、ライブのときはまた違う感覚でやってます。ライブは毎回演奏が違うんですよ。それは意味を持たせてる部分もあるし、無意識でも毎回違うものになったりするし。音楽がひとり歩きしていくのを、自分たちも楽しんでやってるんです。それを楽しみに聴きにきて欲しいなとすごく思いますね。

リアルタイムでの感情表現が出るって意味では、ライブではよりエモさが出るってことですね。

松下 そうです。録音と唯一違うのは、ライブはエモい。ライブではミスってもいいってどこかで思ってるんですよ。ライブで、テンポをキープしよう、いい音を出そうとかはあまり考えてないんです。それよりも、ちゃんとバンドとドライブさせるドラムを叩くというのを僕はメインに考えてますね。なので、ライブを見てもらえると、オレらがジャズシーンだけじゃなく、ロックシーンでもやれてる理由がすごくわかってもらえると思います。

ライブ情報

『Yasei Collective Live Tour 2017 “FINE PRODUCTS”』
2017年06月10日(土)伊那 GRAMHOUSE
2017年06月16日(金)甲府 桜座
2017年06月17日(土)名古屋 HeartLand
2017年06月18日(日)宇都宮 studio baco
2017年07月01日(土)静岡 Freakyshow
2017年07月02日(日)大阪 CLAPPER
2017年07月15日(土)佐賀 ロレッタ(Loretta)
2017年07月16日(日)長崎 Ohana Cafe
2017年07月17日(月・祝)熊本 NAVARO
2017年07月22日(土)新代田 FEVER

Yasei Collective(ヤセイコレクティブ)

2009年に米国より帰国した松下マサナオ(Ds)、中西道彦(Ba,Synth)が斎藤拓郎(Voc,Gt,Synth)と共に結成。
2010年、別所和洋(Keys)が加入。 自主制作盤『POP MUSIC』をリリースし、都内を中心にライブ活動をスタートさせる。
2011年には1st アルバム『Kodama』をマインズ・レコードよりリリース。 2012年、FUJI ROCK FESTIVAL’12に出演。
2013年、2ndアルバム『Conditioner』をリリース。 自らのルーツと公言する、米国屈指のジャムバンド、Kneebodyを招いてのレコ発liveを実現させた。
2014年には柳下“DAYO” 武史(SPECIAL OTHERS)、浦山一悟(ACIDMAN)、在日ファンク・ホーンズ等、国内外から超豪華11組のアーティストを迎え完成させた、五周年アニバーサリーアルバム『so far so good』を発売。 発売記念ツアーは全国30公演に及び、アルバム参加ゲストを多数迎えた代官山UNITでのツアーファイナルは大盛況のうちに幕を閉じた。
2015年9月より、ACIDMANの所属事務所であるFREE STARへ新たに加わり、それに伴い自主レーベルである「Thursday Club」を設立。11月にはシングル『radiotooth』、2016年4月には4thアルバム『Lights』をリリースした。 2017年1月、世界を代表するドラマーであるMark Guilianaをゲストに迎えたブルーノート東京公演を開催。
中毒性のあるビートと突き抜けたポップセンスを武器にジャンルレスな快進撃を続けている。
オフィシャルサイトhttp://yaseicollective.com/

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