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THE YELLOW MONKEY 25周年を機にアップデートされた名曲たちが“異形の大物”の個性をあらためて浮き彫りにする

THE YELLOW MONKEY 25周年を機にアップデートされた名曲たちが“異形の大物”の個性をあらためて浮き彫りにする

デビュー25周年を記念して、代表曲を今のTHE YELLOW MONKEYが演奏するというセルフカバー・ベスト『THE YELLOW MONKEY IS HERE. NEW BEST』がリリースされた。

僕にとってのTHE YELLOW MONKEYは、凄まじい勢いで変化をとげ続けるロックバンドだ。バンドブームに浮かれた音楽シーンにあって、初期の彼らは「他のバンドとは絶対に一線を画す」という強い意志の元に音楽作りをしていた。このアルバムの1曲目に入っている「悲しきASIAN BOY」はそんな時期の曲。それが2017年のメンバーの手によって、まったく違う形で聴こえてくる。

まず音がめちゃめちゃ良い。それはレコーディング技術の進歩のせいもあるが、何よりメンバーたちが実際に出している音の良さから来ている。その“最新の音”を使って、かつてのナンバーが生まれ変わる。わざと時代錯誤の感覚を演出していた「悲しきASIAN BOY」が、永い時を生き抜いて、力強いメッセージソングに熟成した。ドラムの菊地英二が繰り出すダンサブルなビートは切れを増し、吉井和哉の歌は底抜けに明るい。往時の神経質な影は去って、純粋なロックバンドの魂だけが輝く。この1曲だけでも、このアルバムは価値のあるものになっている。

当初、なかなか理解されなかったTHE YELLOW MONKEYを、ついに時代が迎えに来た頃にリリースされた「太陽が燃えている」は、「悲しきASIAN BOY」とは反対に曲の持つ繊細な側面が強調されている。強烈な個性のために、初期には気付かれにくかったこのバンドならではのポップの開花の瞬間に、新録ではオリジナルとは異なる角度から光が当てられている。

初期の曲では、インディーズ時代に発表されてライブの定番曲になった「WELCOME TO MY DOGHOUSE」のエキゾティックな響きがたまらない。バンドの色の濃いDNAを確実に含むこの曲は、新録されるにあたってもなおメンバーの胸を突き刺している。♪黒い見世物小屋へようこそ♪というくだりは、まだ日の目を見ないバンドの気負いが現われていて、“異形のバンドTHE YELLOW MONKEY”のプライドがうかがえる。単なるノスタルジーを軽々と越えて聴こえる♪I miss you,baby♪のシャウトに、メンバーそれぞれにとっての“運命のバンド”にふさわしいエモーションがある。

ストーンズのセンチメンタル・サイドを彷彿とさせる「BURN」には、ロックバンドの枠から完全にはみ出した楽曲としてのスケール感がある。♪せめて身体だけはキレイに♪という切ないフレーズが、ユニークなラブソング・ライター吉井の才能の高さを感じさせ、だからこそ成熟した演奏が歌を引き立たせている。バンドシーンの“異形の者たち”の凱旋に、よく似合っている。

大ヒットした「SPARK」と「楽園」は、バンドのエンターテイメントを究めたTHE YELLOW MONKEYならではの演奏が楽しめる。年末に予定されている東京ドーム・ライブでの勇姿を思い描くにはピッタリのテイクだ。特に「楽園」での菊地英昭の雄大なギター・ソロが、ライブのイメージを刺激する。

だからこそ、この2曲の後に収録されているバラード「真珠色の革命時代~Pearl Light Of Revolution~」の素直さが心に沁みる。希望と不安をないまぜにした革命宣言を、美しくトレースする廣瀬洋一のベースラインが、バックで奏でるオーケストラのメロディをよくリードしている。

このアルバムは時代順に曲が並んでいるわけではない。しかしラストの2曲、「JAM」と「バラ色の日々」に異論を唱えるリスナーはいないだろう。

♪この世界に真っ赤なジャムを塗って 食べようとする奴がいても♪というJ-ROCK史上に残る歌は、若いバンドがカバーしても意味のあるものになるだろう。が、この2017年版のテイクを聴くと、切実な歌詞と演奏が分かちがたく迫ってくる。それは今のTHE YELLOW MONKEYのライブの充実を伝えることにもなっている。

一方でラストを飾る「バラ色の日々」は、奥田民生をはじめ、多くのボーカリストがカバーしてきた。バンドとは別の部分で歌い継がれてきた“名曲”を、今回、THE YELLOW MONKEYはバンドとしてセルフカバーしている。ソロシンガーにはない乾いた叙情が、バンドでこそ味わえ、潔く“NEW BEST”を締めくくっている。

ところで、アルバムと同時に発表された新曲「ロザーナ」(アルバム特典「2017 LIMITEDSPECIAL CD」収録&FC独占配信中)は非常にシンプルな構造を持っている。一つのグルーヴで押し通すスタイルは、とてもダンサブルで、最新型のTHE YELLOW MONKEYを見事に象徴している。同時に、多くの70年代のロックバンドが取り上げたサイケデリックな音階処理が、ルーツロックを大事にしてきたこのバンドの歴史を感じさせる。ギター・ソロのバックのコーラスが、曲作りの楽しい雰囲気を伝えてくれる。また歌詞に登場するバラ・キャベツ・卵の殻という不思議なアイテムの組み合わせは、作詞の吉井が担うTHE YELLOW MONKEYのエキゾティシズムを濃厚に漂わせ、若い音楽ファンがこのバンドに興味を抱くキッカケになり得るだろう。

このアルバムと新曲に、思い出を更新し、さらなる未来へと誘うTHE YELLOW MONKEYの気迫を感じる。アップデートされたこれらの音源は、再開した活動を一段と推し進める拠点でもありながら、彼らの最前線の基地となることだろう。

文 / 平山雄一

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ライブ情報

“THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2017”

12月9日(土)・10日(日)東京・東京ドーム

THE YELLOW MONKEY

Vocal & Guitar:KAZUYA YOSHII “LOVIN”、Guitar:HIDEAKI KIKUCHI “EMMA”、Bass:YOICHI HIROSE “HEESEY”、Drums:EIJI KIKUCHI “ANNIE”。
吉井和哉、菊地英昭、廣瀬洋一、菊地英二のラインナップで1989年12月から活動。1992年5月メジャーデビュー。活動初期からライブの動員を伸ばし続ける。 1998年から1年がかりで計113本のツアーを行い、延べ55万人を動員するなど精力的に活動を行うも、2001年1月8日、東京ドームでの公演終了後活動を休止。その後、2004年に解散発表。
しかし、2016年1月8日に15年ぶりの集結を発表。2月に新曲「ALRIGHT」を公開後、5月11日の国立代々木競技場第一体育館を皮切りに、12ヶ所24公演となる全国アリーナツアー“THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2017”を開催。10月には通算25枚目のシングル「砂の塔」をリリース。その後、年末にかけて、アリーナツアーではまわれていないエリアのみをまわるホールツアー“THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2016 ‒ SUBJECTIVE LATE SHOW-”(全16公演)と、現メンバーにて活動をスタートさせたバンドの記念日である12月28日に日本武道館にて“THEYELLOWMONKEY SUPER メカラ ウロコ・27”を開催。大晦日には「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たした。
2017年、デビュー25周年を迎え、新曲「ロザーナ」を発表し、5月21日に全曲新録ベスト・アルバム『THE YELLOW MONKEY IS HERE. NEW BEST』をリリース。12月9日・10日に東京ドームにて“THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2017”公演を行う。

オフィシャルサイトhttp://theyellowmonkeysuper.jp