黒川文雄のエンタメ異人伝  vol. 4

Interview

FF生みの親、坂口氏(中)「ファイナル」ファンタジーではなかった!?「FF」と「スクウェア」の物語

FF生みの親、坂口氏(中)「ファイナル」ファンタジーではなかった!?「FF」と「スクウェア」の物語

プレイステーション参入はスクウェアにとって賭けでもあった……

プレイステーションへの参入はやはり不安があったんですか。

坂口 スクウェアが勢力図を引っくり返したみたいに言われますけど、そんなことはなかった。当時は不安だらけでした。これで会社としてはダメになってしまうんじゃないかって。ただ、もうロムカセットでは作れなかったんです。(データが)入り切らない。 CGを取り込みつつ、自分たちでやれることが見えてきていて、とにかくそれを実現させたかった。 クリエイターとしては作りたいものにいくしかなかったんです。

戻れないですよね。ただ、『VII』、『VIII』くらいのタイミングで作り方が変わったこともあって組織が肥大化していきましたよね。どう思われていましたか?

坂口 このまえ、当時のアートディレクターのひとりだった直良(有祐)(注16)と飲む機会があって、そのときにも話がでたんですけど、『VII』は当初「背景画は手描きの2Dでやりましょう」みたいな意見もあったんです。 でも、僕はそこもCGでやるべきだと思っていたんで、「頼む。今回はこっちでやらせてくれ。今まで見たこともない絵になるはずなんだ!」みたいな話をしたらしいんですよね。 何かそういう「今までにないものを実現させる」というような目標があれば、組織が肥大化してもまとまるんだと感じました。そういう意味では大変じゃなかったですね。

注16)アートディレクターとして『ファイナルファンタジー』シリーズなどの開発に参加。2016年にスクウェア・エニックスを退社してフリーに。

なるほど、新しいものを作ろうと。

坂口 はい。それで、本当にちょっとずつ出来上がってくると、「確かにこれはなかったね」って自分たちで思えてくるじゃないですか。そうやって自分たちでドキドキできれば自然とチームの意気が上がっていきますよね。

SCE(現SIE)さんからのバックアップもかなり強いものがあったんですよね。

坂口 技術的なバックアップはもちろんですが、広告面でのバックアップもありがたかったですね。最初の「開発始動!」みたいなテレビコマーシャルがあったじゃないですか。当時、ああいうテレビコマーシャルは滅多になかったですからね。

入交昭一郎さんの気功とセガとの関係値

セガ(現セガゲームス)との交渉についておたずねしてもいいですか。入交(昭一郎)(注17)さんとお会いになっていたんですよね。

坂口 そこ突っ込んできます?(笑) 入交さんがハワイに会いに来られたのはドリームキャスト(以下「ドリキャス」)のときですね。そういえばウチの娘が5歳くらいのときに入交さんの気功で虫歯を治してもらったんですよ。あの人、気功をやるじゃないですか。食事中に娘もいたんですが、「ちょっとおいで」って言って何かすーってやって。そうしたら痛みが消えちゃったみたいなんですよ。

注17)本田技研を経てセガに入社。研究開発・生産部門を担当し、社長としてドリームキャスト開発を指揮した。

それで虫歯が治るんですか?

坂口 わからないけど、5歳の子だからウソはつかないじゃないですか。たぶん完全に治ったわけじゃなくて、痛みがなくなっただけだとは思うんです。神経がなんらかの形でやわらいだというか。でも凄いなと思いました。ホンダ時代、物理的には転ぶはずなのに、ライダーの気の力で限界より少しだけバイクを傾けられるやつがいたとか、いろいろ興味深い話も聞かせていただきました。

セガ・サターンの時代からセガからはオファーがあったと思うんですけど、あまり魅力を感じませんでしたか。

坂口 う~ん、そういうわけじゃないけど、スペックの比較とかでどうしてもああいう決断になりました。


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(5月30日(火)公開)

著者プロフィール:黒川文雄【インタビュー取材】

くろかわ・ふみお
1960年、東京都生まれ。音楽ビジネス、ギャガにて映画・映像ビジネス、セガ、デジキューブ、コナミDEにてゲームソフトビジネス、デックスエンタテインメント、NHN Japan(現LINE・NHN PlayArt)にてオンラインゲームコンテンツ、そしてブシロードにてカードゲームビジネスなどエンタテインメントビジネスとコンテンツの表と裏を知りつくすメディアコンテンツ研究家。コラム執筆家。アドバイザー・顧問。黒川メディアコンテンツ研究所・所長。株式会社ジェミニエンタテインメント代表。
黒川塾主宰。ゲームコンテンツ、映像コンテンツなどプロデュース作多数。

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