LIVE SHUTTLE  vol. 150

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シド コンセプトライブ2日目「夜明けと君と」。軽快なアッパーチューンをメインに揺れた日本武道館

シド コンセプトライブ2日目「夜明けと君と」。軽快なアッパーチューンをメインに揺れた日本武道館

シド「夜明けと君と」
2017年5月13日 日本武道館

シドが5月12日(金)、13日(土)と2日間にわたって日本武道館にてコンセプトが異なるライブを開催した。彼らがワンマンライブを行なうのは1年7ヵ月ぶり。『夜更けと雨と』、『夜明けと君と』と銘打ち、両日セットリストを変えて臨んだこのコンセプトライブ。黒から白を基調としたものへと衣装までがらっと変えて、セットリストもメジャーデビューしてからの曲をメインに、シングルヒット曲なども入れ込みながら軽快なアッパーチューンをメインにパフォーマンスしていった2日目『夜明けと君と』のライブの模様をレポートしよう。

1日目のレポートはこちら

1日目と違って、この日の天気は雨模様。それでも、前日と変わらず武道館は超満員の観客で埋め尽くされていた。

客電が落ち、オープニング映像には昨日と同じ時計が映し出されて時を刻み始める。だんだんと夜が明けていく画面を見て、会場中が待ちきれずにハンドクラップでメンバーを呼ぶ。客席は、ライブが始まる前から異常なハイテンションに包まれている。その手拍子に呼ばれるように、2日目は舞台下手から歩いてメンバーが一人ずつ登場、センターで挨拶をして定位置についた。昨日の黒コーデとは対照的に今日は全員が目の覚めるような白い衣装を着ていて、それだけでステージから清々しい躍動感が溢れ出す。マオ(Vo)がお立ち台に上がり、耳に手を当てて“マオ”コールを求めた後、パーンという爆発音と同時に銀テープが舞い降り、2日目は「ANNIVERSARY」でライブがスタート。4分割されたステージのモニター画面が、すぐさまメンバーを映し出す。Shinji(Gt)が奏でるスライドギターに続いて“出会ったんだ 魅かれたんだ それが奇跡 君にありがとう“と歌うマオの伸びやかな声が照明とともに客席に注がれていくと、武道館にはオープニングから祝祭ムードが広がる。7色のレーザーが光のシャワーとなって場内に降り注いだ「laser」、「いくぞ! 声ちょうだい!」というマオの掛け声で「Re:Dreamer」が始まると、オーディエンスは力強いシンガロングを武道館に響かせた。

「イェー! 日本武道館のみんな、大変お待たせしました。シドです」と挨拶したマオ。この日は、ステージも客席も頭っから飛ばしまくっている。

Shinjiのカッティングに合わせてオーディエンスが高らかにハンドクラップを奏でる「cosmetic」からは、シドが持つハイカラでスタイリッシュなサウンドがキラキラ輝くオシャレゾーンへ突入。明希(Ba)がファンキーなフレーバーを撒き散らして曲をグルーヴさせる「CELEBRITY」では、マオが最後に「チュッ」とキスを残し、続く「ドレスコード」は、ゆうや(Dr)のワザありのドラムフレーズを入れて曲のオシャレさを際立たせていった。

「超楽しいね。今日は欲求不満、ストレス、全部吐き出してここに置いて帰ろうね」というマオのMCから、他のメンバーが次々に自分のストレスを告白。ゆうやはライブ前に気合を入れようと大きな声を張り上げると「普段出し慣れていなから声が裏返ってしまうこと」、明希は「レストランでボタンのない席があるでしょ? オーダーしても声が(店員に)届かないことかな」というと、マオが「シドはみんなそうだよね」と返した。そして、最後にShinjiが「タンスの角に足をぶつけたりしたときと、初めて会った人に“シドのShinjiです”というのがいいにくいところ」と頑張ってエピソードを2つも盛り込んだのに、盛り上がりがイマイチだったため「14年経っても話すとポンコツだな(微笑)」とマオに突っ込まれていた。

次の曲は久々に聴く「星の都」。電飾で星空のようにライトが点滅する中、Shinjiはエレキをアコースティックギターに持ち替えて鳴らす。J-POPのど真ん中をいくこの曲は、いま聴いてもまったく古さを感じさせないシドが誇る美メロポップ。現在のシドならではの奥行きある演奏でかっちり、丁寧に聴かせていくと「やっぱりいい曲」という言葉に替えて、客席からは拍手が送られた。そうして「もう1曲懐かしいやつ」とマオが微笑み、「マスカラ」へ。Shinjiのギターの艶っぽい音色、マオの情感たっぷりのヴォーカルが絡み合いながら、シドお得意のこじれた恋愛ドラマを描いていくと、観客たちはその音に浸るように物語を噛みしめていった。物語はさらに続く。古い映写機が音を立てながら回る映像。そこに“彼女”が映しだされたと思ったら、パチンと音を立てて途切れる。静寂に包まれた武道館に“それはひどく突然で”というマオのファルセットを使った歌い出しから「ミルク」へという展開で、オーディエンスをさらに物語の中へどっぷりと引き込んでいった表現はお見事。楽器陣が奏でるため息の出るような美しい響きのアンサンブルに、マオの高音ヴォイスを全編にフィーチャーしたこの曲もファン人気が高く、シドのクリエーター魂が詰まった1曲といえる。いまも手放すことができない思い出の詰まった“焦げ茶色のソファー”“派手なマフラー”“折れた傘”‥、戻れない日々とともに“僕は今を生きていく”と歌うマオは、次々と事象だけを並べてせつない感情を匂わせるという技巧的リリックで、リスナーの想像力をかきたてていくのだ。バラードでもなく、シンガロングやフリやヘドバンすらないミッドチューン「ミルク」で、中盤の見せ場を作っていったところは圧巻だった。その後は、明るいアッパーチューン「Room」を挟んで場内のテンションを徐々に上げていった。

「懐かしいね〜」と笑顔を浮かべたマオは、2日間に渡って行なった今回のコンセプトライブについて触れ「シドの曲って“雨”と“君”って言葉が何気に入ってるのよ。今日のセットリスだったら“君”っていう言葉。全部に入ってるから、家帰ったら調べてみて」と伝えた。

ライブ後半はアップチューンで一気にラストまで畳み掛ける。「Graduation」が始まると、客席は一斉に拳を振り上げる。メンバーが動き回ってオーディエンスを煽ると、観客一丸となった大迫力の“oiコール”が武道館に響き渡る。「もう一発いくぞー! お前らの得意なアレいくぞー! Dear」でマオの声が観客の悲鳴でかき消されるなか、始まったのはもちろんあの曲、「Dear Tokyo」。みんなのジャンプで武道館を揺らした後、観客全員が一つになって大合唱をメンバーにプレゼント。“本当に会いたかったよー”というマオが叫ぶと、ファンは大興奮。「いいじゃんいいじゃん! 次はなんだと思う? 昨日やったからやらないと思う?」と焦らしまくるマオ。この日のメンバー紹介では、ゆうやは人差し指を舐めるポーズでセクシーゆうやに。明希はカメラに近づき、超ドアップのキメ顔でキスをプレゼント。Shinjiは体をくねらせながら変顔。マオは「マオにゃん」コールを受け「俺は60歳になってもマオにゃんだー!」と宣言。そうして「循環」へ突入すると、会場中が待ってましたとばかりにその場でグルグル回転。さらに、最後にダメ押しで「one way」が始まると客電が一斉につき、オーディエンスは拳を振り上げた後、全員が右へ左へと大移動。笑顔で歌って暴れて楽しんで、まばゆいほどの明るい光に包まれたままライブは終了。

新曲「バタフライエフェクト」のパフォーマンスからアンコールが始まると、続けざまに「吉開学17歳(無職)」へ。何度も立ちのぼる火柱の迫力に圧倒された後は「2日間だったけど、今日はファイナル。一緒にファイナルしよう!」とマオがいって、ここにきてやっと「嘘」、「V.I.P」、「夏恋」と華麗にヒットソングを連発してみせた。その後、スクリーンを通して8月にニューシングル「螺旋のユメ」、続く9月には3年6カ月ぶりのニューアルバムを発売。発売後に始まる全国ホールツアーの日程まで一気にサプライズで発表すると、客席からは次々と悲鳴が上がった。その後、ミラーボールが輝くなか「光」のアクトが始まると、ライブは感動のクライマックスへ。“誰かの中に生き続けたい それが君ならいいな”という一節がいつも以上に心に響いて、なかには泣き出すファンも。そうして、すべて演奏が終わり、マオは「今回の「光」は忘れられないものになりました」と挨拶。その横でShinjiは感動して涙を浮かべているようにも見えた。

終演後、ステージに残ったマオが「アルバム、めっちゃかっこいいの作ってるから期待してて。じゃあまた会おう!」と次のホールツアーでの再開を約束し、最後に生声で「愛してます」という言葉をファンに送り、2日に渡って開催したコンセプトライブは幕を閉じた。

文 / 東條祥恵

シド「夜明けと君と」
2017年5月13日 日本武道館

セットリスト

補足情報を見る
1.ANNIVERSARY
2.laser
3.Re:Dreamer
4.cosmetic
5.CELEBRITY
6.ドレスコード
7.星の都
8.マスカラ
9.ミルク
10.Room
11.Graduation
12.Dear Tokyo
13.循環
14.one way
(アンコール)
15.バタフライエフェクト
16.吉開学17歳(無職)
17.嘘
18.V.I.P
19.夏恋
20.光

ライブ情報

待望の全国ホールツアー開催決定!
SID TOUR 2017
http://sid-web.info/

SID(シド)

2003年結成。マオ(vo)、Shinji(g)、明希(b)、ゆうや(ds)からなる4人組ロックバンド。
2008年、TVアニメ『黒執事』オープニングテーマ「モノクロのキス」でメジャーデビュー。
2010年の東京ドーム公演では4万人を動員。結成10周年となった2013年には、初のベストアルバムをリリースし、オリコンウィークリー1位を獲得。同年、横浜スタジアムで10周年記念ライブを開催、夏には初の野外ツアーで4都市5公演で5万人を動員し大成功を収める。
2014年には香港・台湾を含む全国ツアーも開催。2016年1月にはベストアルバム『SID ALL SINGLES BEST』をリリース。
2017年1月には約1年ぶりのシングルとなる映画『黒執事』主題歌「硝子の瞳」をリリース。
5月にはシングル「バタフライエフェクト」をリリースし、両日ソールドアウトの中、日本武道館2days公演を実施。成功を収める。

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