LIVE SHUTTLE  vol. 151

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GRAPEVINE 20thアニバーサリーの対バン・ツアー初日 ユニコーンを相手に唯一無二の個性をたっぷりと披露

GRAPEVINE 20thアニバーサリーの対バン・ツアー初日 ユニコーンを相手に唯一無二の個性をたっぷりと披露

GRAPEVINE GRUESOME TWOSOME
2017年5月5日 Zepp TOKYO

GRAPEVINEの20thアニバーサリー・イベント“GRUESOME TWOSOME”は対バン・ツアー。これまでのバンドの歴史の中でご縁のあった先輩・同僚・後輩と一緒に祝おうという企画だ。初日のお相手はユニコーン。一筋縄ではいかないベテラン・バンドとの一騎打ちにワクワクしながら足を運んだ。

ユニコーンが“笑いと名曲”で対バン・ツアーの開幕を祝福

「ゴーストバスターズ」のテーマに乗ってステージに登場したユニコーンは、笑顔で余裕の表情。そんな状況を反映するように、1曲目は♪ラクショー!♪と叫ぶ「服部」だった。このGRAPEVINEへの挑戦状とも言える選曲に、会場は瞬時に盛り上がる。続く「すばやくなりたい」は、もろもろの能力が衰え始めた年代を勇気づける歌で、後輩のGRAPEVINEへのアドバイスとも受け取れる曲。粋なセットリストで対バンのトップバッターはスタートを切った。

「GWなのに、みなさんお暇でありがとうございます。GRAPEVINEも呼んでくれてアリガト。話したいことはたくさんありますが、時間がないんで曲をやります」と奥田民生。ユニコーンは一度解散しているので、現役稼働年数ではGRAPEVINEの20年間に劣るものの、貫禄充分の幕開けだ。

その直後の「ひまわり」がよかった。再結成後の初ライブのオープニングを飾った名曲を、まるでGRAPEVINEに捧げるように歌う。言葉では言わないが、お祝いの気持ちのこもった歌と演奏に、場内が聴き入ったのだった。

ここからはいつものユニコーンのペース。賑やかな「WAO!」、ギャグ満載の「SAMURAI 5」で思い切り暴れ回る。勢い余って、ABEDONがモニタースピーカーに足をぶつけてしまい、「くるぶし~!」と叫んだから、オーディエンスは大爆笑。一転して本気モードの「Feel So Moon」、「すばらしい日々」で実力を見せつける。

終わると奥田が「もうこれで終わりでいいんじゃないの?」と言うと、会場から「いや~」とリアクションが起こる。ラストの「開店休業」では♪そうね熱海にでも♪という歌詞を、♪そうねお台場にでも♪と言い換えて大喝采を浴びた。ツアー初日のゲストとして、サービス満点のライブを披露したのだった。

精緻なバンド・アンサンブルで会場をジワジワと熱くしたGRAPEVINE

この日の主役GRAPEVINEは、“笑いと名曲”というユニコーンからの最大級のプレゼントを受け取るのにふさわしいキャリアと実力を備えている。メンバーの田中和将(vo&g)、西川弘剛(g)、亀井亨(dr)と、サポートの高野勲(ky&g)、金戸覚(b)がステージに現われ、田中が「よっしゃ!」と叫んで拳を上げる。「ふれていたい」のイントロが始まると、大歓声が上がる。

リズムが非常にタイトだ。このバンドの特徴であるギターの緻密なアンサンブルは、この正確なリズムだからこそ成り立つ。田中がギターの弦をミュートして細かくリズムを刻み、西川が意外性のあるギター・リフを弾く。そこから漂いだすグルーヴとハーモニーが、GRAPEVINEを唯一のバンドに押し上げた。また♪捨身の無敵の気分さ ハローごめんね♪という田中のインスピレーションに富んだ歌詞が、無二の存在感を生んだ。さらにこの曲の作曲者はドラムの亀井で、メンバー全員が曲を作るという多彩なソングライティングが、GRAPEVINEを唯一無二のバンドにしているのだ。

「お陰様でメジャーデビュー20周年。リスペクトする大先輩のユニコーンのみなさんが来てくれるとは! ありがとうございます。記念ツアーは対バンで豪華さを出そうと思ったんですが、初日の今日、わかったのは、対バンすると我々が地味に見える(笑)」。この田中のコメントに、ファンは大笑いするしかない。

田中がアコギを抱えて歌い始めた「Wants」は、すべての楽器の音色が美しく、♪流れ出す現実の方こそ虚しい嘘だと♪というシュールな歌詞にピタリとはまる。ラフでホットなユニコーンと、タイトでクールなGRAPEVINEが見事なシンメトリーを描き、この対バンの奥深さが伝わってくる。

中盤では「豚の皿」などの幻想的なナンバーを聴かせ、後半に入ると次第に演奏が熱を帯びていく。メジャーデビュー曲「覚醒」は彼らの原点だが、20年を経た演奏には磨きがかかり、スケール感がはるかに増している。それにしてもこれだけ複雑なアンサンブルを、初期から行なっていたとは舌を巻く。ふと気づけば、GRAPEVINEの音に会場中が熱くなっている。ユニコーンのファンもかなりいるはずなのだが、GRAPEVINEのファンと見分けがつかないほどオーディエンスの全員が彼らの演奏に集中している。改めてこの対バンの妙に感じ入ってしまった。♪時が過ぎ変わるものあれば♪と歌い出す「吹曝しのシェヴィ」で、20周年ライブの本編を締めた。

アンコールで登場した田中が「サンキュー! 先に言うけど、絡みはありません。俺たちだけでやらせてもらう。その代わり、最大の敬意を表してカバーをやります」と宣言。ユニコーンの「ニッポンへ行くの巻」が始まると、会場は驚きと喜びで大騒ぎ。すると、なんと奥田が拍手をしながら登場。このサプライズに、超大騒ぎになる。いちばん驚いているのは、GRAPEVINEのメンバーだ。マイクを受け取った奥田が、そのまま田中とハモる。当然、リハをしなかったようで、奥田はマイクスタンドに貼ってある歌詞がよく見えず、「お前のカンペ、小さ過ぎ!」と田中に文句を言うシーンも。リラックスした対バンらしいシーンだった。奥田を送り出した田中が、「まさかの酔っぱらい、登場! あぁ、ビックリした」と思わず笑ったのだった。

「次でほんま、ラストです」と、この夜の最後の曲は「放浪フリーク」。漢気を照れながら描く男たちの、最高の対バンが終わった。この後、GRAPEVINEはDr.StrangeLove@札幌、クラムボン@福岡と続く豪華な対バン・ツアーに旅立っていったのだった。

文 / 平山雄一 撮影 / 日吉”JP”純平

GRAPEVINE GRUESOME TWOSOME
2017年5月5日 Zepp TOKYO

SET LIST

ユニコーン
01.服部
02.すばやくなりたい
03.ひまわり
04.エコー
05.WAO!
06.SAMURAI 5
07.Feel So Moon
08.すばらしい日々
09.開店休業

GRAPEVINE
01.ふれていたい
02.Golden Dawn
03.FLY
04.EAST OF THE SUN
05.Wants
06.豚の皿
07.here
08.Arma
09.覚醒
10.JIVE
11.疾走
12.吹曝しのシェヴィ

Encore
13.ニッポンへ行くの巻
14.放浪フリーク

ライブ情報

GRAPEVINE tour 2017

10月5日(木)東京・恵比寿リキッドルーム
10月7日(土)新潟・新潟LOTS
10月8日(日)長野・長野CLUB JUNK BOX
10月14日(土)兵庫・神戸SLOPE
10月15日(日)静岡・浜松窓枠
10月21日(土)熊本・熊本B.9 V1
10月22日(日)鹿児島・鹿児島CAPARVO HALL
10月27日(金)岡山・岡山UEBISU YA PRO
10月28日(土)愛媛・松山サロンキティ
11月5日(日)北海道・札幌ペニーレーン24
11月11日(土)岩手・盛岡Club Change WAVE
11月12日(日)宮城・仙台Rensa
11月18日(土)福岡・福岡BEAT STATION
11月19日(日)広島・広島クラブクアトロ
11月23日(木)愛知・名古屋ダイアモンドホール
11月26日(日)石川・金沢EIGHT HALL

GRAPEVINE

1993年に大阪で活動開始。結成メンバーは田中和将(VO/G)、西川弘剛(G)、亀井亨(DS)、西原誠(B)。バンド名はマーヴィン・ゲイの「I heard it through the grapevine」から借用している。
自主制作したカセットテープが注目を浴びて、1997年にポニー・キャニオンからミニアルバム『覚醒』でデビュー。2枚のスマッシュ・ヒット(「スロウ」「光について」)を含むセカンド・アルバム『Lifetime』(1999)がTOP3にチャート・インした。
2002年に病気療養のため西原誠が脱退し、金戸覚(B)、高野勲(KEY)が加わる。
2014年、スピードスターレコーズに移籍。アルバム『Lifetime』再現ライブ『IN A LIFETIME』を開催。2016年にはアルバム『BABEL,BABEL』をリリースした。
現在のラインナップは、田中和将(VO/G)、西川弘剛(G)、亀井亨(DS)、高野勲(KEY)、金戸覚(B)。

オフィシャルサイトhttp://www.grapevineonline.jp

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