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佐藤大樹&増田俊樹 W主演、戦乱の世に生きる男たち描く!“逆2.5次元”「錆色のアーマ」稽古場レポート

佐藤大樹&増田俊樹 W主演、戦乱の世に生きる男たち描く!“逆2.5次元”「錆色のアーマ」稽古場レポート

ここ十数年で、世界に誇るカルチャーとなった“2.5次元舞台”。そして2017年、そのアニメ・漫画・ゲームなどの原作とした舞台とは逆に、最初に舞台が生まれ、その後でメディアミックスを図っていく“逆2.5次元”という前代未聞のプロジェクトが始まる。その舞台版「錆色のアーマ」が東京・AiiA 2.5 Theater Tokyoにて2017年6月8日(木)に開幕となる。 戦乱の世で天下統一を夢見た男たちの生き様を描く、史実に基づいた完全オリジナルストーリー。男たちは“アーマ”と呼称する個性的な武器を携え、熱戦を繰り広げる――! 今回は上演目前の稽古場に潜入。鍛冶場のように熱い魂のこもった通し稽古を体感できた。

鉄砲ひとつで戦乱の世に名乗りを上げようとする孫一。その鉄砲技術を手中に収め、天下統一を図る織田信長。彼らの交錯する思惑をよそに忍び寄る一向宗の罠。次第に進む信長暗殺計画。そして、すべてが本能寺へと集約されていく。果たして、孫一と信長は、その場所で何を見るのだろうか?

通し稽古直前の稽古場。主要男性キャスト11人と男性アンサンブルは、殺陣の手合わせをする者もいれば、ストレッチや発声練習が行う者、メモをとりながら役の確認をする者もあり、緊張感と熱気に満ちていた。そして、演出を務める元吉庸泰の「暗転!」という掛け声とともに通し稽古がスタート。
呼吸を整えた増田俊樹演じる織田信長がゆっくりとあらわれる。その姿はまさに威風堂々。荘厳な楽曲が稽古場を包み、歌と舞で「錆色アーマ』の幕が上がる。

異国の血を引き青い目を持つ孫一は、姉の沙羅(さら)を殺した仇の織田信長に復讐を果たそうと屋敷に乗り込もうとする。そこに6人の仲間たち「雑賀衆(さいかしゅう)」が集う。

ここで本作の若き集団・雑賀衆の面々の紹介をしよう。
雑賀衆の頭領・孫一は抜群の戦闘センスを持つが、よく笑い、よく怒り、よく泣く感情型。精巧なレリーフの施された赤く光るアーマを持つ。佐藤大樹のどこかやんちゃでめまぐるしく変化する表情、そして天性の華で、愛されるリーダーに仕上がっていた。

佐藤大樹

続く個性豊かな雑賀衆のメンバーは、頼りになる兄貴分的な存在で孫一をいつも陰ながら支える鶴首(つるくび)を荒木健太朗。雑賀衆の最年長で、身の丈より長尺のアーマを操り、敵を確実に仕留める技術も雑賀随一。永田崇人演じる蛍火(ほたるび)をかわいがっている。その蛍火は、俊敏で、忍のような身体能力の持ち主。永田崇人が得意のアクロバットで敵をかわし、縦横無尽にステージを走り回る様は舞台に躍動感を与えていた。

永田崇人

銃マニアで、義手と義足、五臓六腑まで、自らの体のあらゆる部位に銃を組みこんでしまう奇人・黒氷(くろひょう)を平田裕一郎。家族が殺され、その怨念を弾丸としてアーマに宿す不知帰(ほととぎす)を崎山つばさ。不遇な生い立ちからどこか悟ったような落ち着きを見せているが、いつか復讐を成し遂げたいと野望を胸に秘めている様を緩急つけた演技で表現していた。

崎山つばさ

神里優希演じるアゲハは中性的な美少年。変装の達人で、イリュージョンの使い手だ。孫一のことを心配したり世話を焼いたりしている。そして、巨漢で“気は優しくて力持ち”を地で行く木偶(でく)を演じるのは、章平。大筒のアーマをもち、黒氷の武器も運んでいる。

右:神里優希

互いに共演歴もある彼らは、芝居の合間に見せるアイコンタクトなどから、仲の良さが見て取れる。またそれがこの先雑賀衆に訪れる危機にも絆の深さで乗り切る期待を感じさせた。

雑賀衆はアーマを駆使して護衛兵を打ち倒しながら織田邸に乗り込んでいくのだが…… あっさりと明智光秀に捕まってしまう。そして、織田信長と初めての対峙。信長は雑賀衆の堂々とした振る舞いに感嘆を覚え、彼らは処刑をまぬがれ信長の配下に。雑賀衆は、人の上に立つ男であれば“組みたい”と思わせる精鋭チームなのだ。

増田俊樹

織田信長を演じる増田俊樹は、見る者を凍りつかせるほどの眼力で覇道を往く者を体現。腹の底からうならせる歌はカリスマ性を誇示し、殺陣は重厚で、一振りで敵をなぎ倒す力を感じさせるリアリティがある。現代まで「残忍で冷酷」と語り継がれてきた信長が憑依したかのようなものものしさで存在していた。

栩原楽人

また、栩原楽人演じる明智光秀も個性的なキャラクターだ。人懐っこく無邪気なそぶりを見せるが、技術・頭脳ともに高い戦闘スキルと残酷さを持ち合わせ、誰よりも信長に認められたい野心を秘めているいわば意識高い系。栩原楽人がアクの強い役をどこか楽しそうに嬉々としながら挑んでいるように見えた。

上:市瀬秀和

そして、信長と雑賀衆は比叡山延暦寺にいる巨大な薙刀を操る僧兵、数珠坊(市瀬秀和)を討伐しに出向く。その一方で、次々に異なった人間の体に憑依し、400年を生き延びたという一向宗の祖、顕如(輝馬)による謀略にも巻き込まれていく――

輝馬

輝馬が演じる顕如は、異彩を放っていた。人のものではない技、姿を表現するため、ひたすら自分を追い込んでいくストイックな演技。彼の恍惚とした表情や仕草から得体のしれない妖艶さと不気味さを感じずにいられない。その彼が公演で衣裳をまとうと、さぞ美しいのだろうと想像を膨らませた。

本作が“戦国時代劇”にとどまらないポイントとなるのが歌とダンスだ。キャラクターの内面描写は歌で、キャスト同士のセリフの掛け合いはラップをまじえ表現される。とくに雑賀衆の軽妙なフロウは、ラップバトルさながら。公演では歓声がわきあがることだろう。

ダンスはアンサンブルを含め総勢19人の役者が息のあった群舞を見せる。もちろん、センターの佐藤大樹はキレッキレ。精緻なステップと力強いダンスパフォーマンスで群舞を牽引する存在感を放っていた。

戦闘シーンでは演出・元吉のエキサイティングな掛け声に煽られて、リズミカルに刀の鍔(つば)をせり合わせ、銃を撃ちながら立ち回る。激しい立ち回りと役者の荒々しい息遣いに、観ているこちらが呼吸をするのを忘れてしまうほどだ。

さらに雑賀衆のキャラクター性を象徴する“アーマ”は見逃さないでいただきたいポイントだ。
孫一(佐藤大樹)の「麒麟殺し」は、自らが雷となり圧倒的なスピードで敵を貫く。持ち前のダンスを基礎としたスピーディーでスタイリッシュな動きを最大限活かしている。
鶴首(荒木健太朗)の「鳳凰落とし」は長尺のアーマを素早く回転させながら射撃と槍撃を同時に敵を蹴散らしていく。荒木のしなる腕の筋肉がアーマを自在に操っていく様からは百戦錬磨をすり抜けてきた男の誇りを感じる。

荒木健太朗

蛍火(永田崇人)のアーマは「鳥天狗封じ」。アクロバティックな動きと目にも止まらぬ早技で二丁拳銃を乱れ撃ち! 一瞬で四方が撃ち殺される。
黒氷(平田裕一郎)は「白虎薙ぎ」。腕に組み込んだガトリングガン型のアーマをこれでもかと乱射する。連射される弾丸が増えるにつれて鬼のような形相になる演技が凄まじい。

平田裕一郎

不知帰(崎山つばさ)は、「青龍穿ち」。怨念を武器にするという異形の技をアンサンブルと共に表現する。公演では映像も相まった怨念の表現が楽しみだ。
アゲハ(神里優希)の「朱雀惑い」は相手に儚い夢を見せる。短刀のようなアーマをまっすぐ頭上に振り上げる仕草は相手を金縛りにかけるかのような妖艶な迫力がある。

章平

木偶(章平)は「玄武砕き」。大筒を使ったド迫力の砲弾を相手めがけて撃つ。燃えている森林さえなぎ払う、一発の迫力を大きな体躯を使って表現する渾身の技だ。

アンサンブルを含めた役者陣の活躍と、スタッフの妙技によって完成を見せようとする戦国ヒーローアクション。“本能寺の変”の新解釈にも注目だ。舞台から広がる新しい世界はすぐそこ。今はキービジュアルやイメージから想像を広げ、アニメへの想いを馳せたり、本番の舞台を彩る衣裳や美術、個性豊かなキャストに心をときめかせて、開演を心待ちにしたい。

撮影・取材 / 竹下力

『錆色のアーマ』

【東京公演】
2017年6月8日(木)〜18日(日)
AiiA 2.5 Theater Tokyo
8,500円(全席指定・税込)
【大阪公演】
2017年6月22日(木)〜25日(日)
森ノ宮ピロティホール
8,500円(全席指定・税込)

【原案】「錆色のアーマ」プロジェクト
【脚本】なるせゆうせい
【演出】元吉庸泰
【キャスト】孫一:佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS) 織田信長:増田俊樹 鶴首:荒木健太朗 蛍火:永田崇人 黒氷:平田裕一郎 木偶:章平 アゲハ:神里優希 不知帰:崎山つばさ 
明智光秀:栩原楽人 数珠坊:市瀬秀和 顕如:輝馬  他
【主催】ネルケプランニング

オフィシャルサイトhttp://www.nelke.co.jp/stage/rusted_armors/

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