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UUUMがYouTuberと歩むゲーム実況の真実②

UUUMがYouTuberと歩むゲーム実況の真実②

前回に引き続き、UUUM株式会社でビジネス開発ユニット取締役を務める高田順司氏に話を伺っている。世間の注目を集めるYouTuberをマネジメントする実際と今後の企業判断はとても興味深い。先端企業として関心を持つ読者、憧れはあるけど自分が職業とするにはどうしたらいいかわからない子ども、そうした子どもを抱えている家族が気になるUUUMとはいったい何なのか。より詳しく知ってもらうため、ゲーム実況をテーマに運営方針、可能性まで紹介する。

取材・文 / 深津庵


UUUMネットワークを活かした万全のサポート体制

具体的な質問をします。YouTuberに憧れているけれど動画を投稿したこともなければ、編集の知識もない。しかし意欲だけはある。そんな人間が御社の門を叩いた場合、ゼロベースからでもサポートをしてくれるのでしょうか?

 

高田 我々にはUUUMネットワークという仕組みがあります。YouTubeを使ってさまざまな目標を掲げている人に、活動に必要なサービスを弊社が提供するもので、昨日チャンネルを作りましたという人から、すでに何万人も登録者のいる人などクリエイターの経験値はさまざま。動画の編集方法はもちろん、YouTuberとしてのメンタリティの持ちかたや持続させるためのポイントなど、さまざまな面からのサポートにも取り組んでいます。

こちらのサイト(https://creators.uuum.jp/)からいつでもアプローチすることができるんですね。

高田 はい、公序良俗に反するとかコンテンツの内容については判断しますが、基本的に始めたばかりの人もダメということはまったくありません。引用の範囲に当てはまるものかどうかを管理していて、著作権のガイドラインをベースに問題に当たるもの、たとえばゲーム画面を録画して流しているだけのものはダメだと線引きする。ちゃんとゲームに対して音を被せたり文字で加工するとか、顔出しをしてゲーム実況をしているんだと示す内容であれば、我々がサポートするに値するものだと判断しています。

御社が持っているノウハウをイチから教えてもらえるのは心強いですね。

高田 弊社ではスカウト担当や育成担当など、場合によっては専属のマネージャーも付けますし、個々のフェイズに合わせてサポートをしています。とはいえ、4500人程度のクリエイターが所属しているので、全員とフェイス・トゥ・フェイスでやりとりができるわけではありません。その代わり、各クリエイターを管理するダッシュボードがありまして、定期的に開催される講習会への案内やオンライン上でのやり取りといった仕組みを活用しつつ、大切な内容であれば個別にフェイス・トゥ・フェイスでしっかりお話しするよう心がけています。

▲ユニットごとに集まり、仕事を進めているUUUMのオフィス。ここに映っているのはその一部で、当日もクリエイターと動画の内容について楽しそうに打ち合わせる様子を伺うことができた

当人のやる気やモチベーション次第でチャンスを掴める可能性がありそうですね。

高田 そうですね、結局のところは続けていけるかどうか。どんなにトレンドやリサーチ力を伝えても実行するのは本人次第というのは事実ですね。YouTubeに動画を投稿すること自体は誰にでもできることで、それは弊社に所属するしないに関係なくいますぐ実行できる。誰かに言われて始めるのではなく、本人にその気があればいずれうまくいくと考えています。

やる気はあるけど、現状の仕事や学業の合間に撮影や編集をする時間を設けにくいと嘆く声も今回のアンケートで多く見られました。

高田 そうなんです、皆さんの問題は時間がないということなんです。そこで、”動画制作に専念できる環境づくり”を提供しています。本人のやる気が時間の都合で削がれているのであれば、それをどう解消していくのかもサポートしています。

▲こちらはオフィスの一角に設けられたプレイコーナー。東京タワーが望める窓際で、プレイステーション4やニンテンドースイッチなど各種ハードが完備されていた

YouTuberの進出はこれから加速する

最近では高齢のYouTuberがデビューするなんてことも多くなりましたよね。

高田 以前であればバラエティやビューティー、今回のテーマにあるゲーム実況など大きなジャンルがありましたが、いまは釣りやスポーツなど多様性が出てきています。釣りに興味がない視聴者でも現地で楽しんでいる様子を見ているのは好きというパターンもある。コミュニティがタコツボ化して好きな人が集まれば、それで成立するという例ですね。

コンテンツが多様化していく中で、おそらく御社でも年度ごとの数値目標があると思いますが、現状ではそれがどのフェイズに達しているのか、UUUMネットワークに続く新たなインフラを作っている段階なのでしょうか?

 

高田 弊社のクリエイターに限らず、日本のYouTube再生数は成長を続けています。その中で、ゲーム実況というコンテンツの注目度はどんどん上がっていて、多様性でいえばスマートフォンの登場でひとつの到達点が見えてきた。たとえば、わたしには5歳と2歳の子どもがいるのですが、その子たちがAndroid TVを使って地上波放送ではなくYouTubeを観ているんです。そうした世代が今後、どうやってコンテンツを消費していくのか楽しみですよね。彼らは「ゲーム実況が観たい」とコンテンツを指定するのではなく、「『マインクラフト』が観たい」と提案するんです。我々の世代が「ドリフターズ観た?」と友だちと盛り上がっていたように、メディアやデバイスが変わっても、擦り込まれたものは変わらないと思います。

「○○さんの実況が好き」、「○○さんがプレイしていたゲームに興味が出てきた」といった感じの共通言語が生まれていくと?

高田 そんな未来も考えられますよね。もちろん、日曜日の朝に放送されるアニメを観たり、子どもが通るべくして通るものには触れ、それがいまYouTubeになっている。HIKAKINはまさにそうした世代に人気があるので、業界の人たちが考えているものとは違う異質な世界が広がっているのだと感じますね。

憧れる職業にYouTuberを挙げる若い世代が多い中で、HIKAKINさんが自身のライフスタイルを紹介する動画を公開。とてもハードな1日であることを伝えましたよね。企業体に属し、公人になるといろいろな責任も問われますが、その苦労をすべて知ることで、YouTuberに憧れる世代にとてもいい刺激と変化を与えたと思いました。

高田 HIKAKINに限らず弊社やゲーム会社さんもそうですが、クライアントさんからお仕事を頂いて作られたタイアップ動画に対して、面白くない、再生されないといったイメージを持たれがちです。しかし、クライアントが付いて制作されるものは、予算を含めていつもとは違ったことをやっているので、じつは再生数が伸びるパターンも多いんですよ。これは、クリエイター個人がコンテンツであり、その価値を持っているという証でもあります。

▲めまぐるしい1日を送るHIKAKINさんの動画“ヒカキン密着24時~YouTuberの裏側~”。ゲーム実況とその後の編集など、大変な作業の連続ながら、それを心から楽しんでいる彼の様子にこちらも頑張らねば、と元気をもらった

HIKAKINさんでいえば、三浦知良さんと共演しましたよね。

高田 HIKAKINはテレビコマーシャルには以前も出演しているのですが、著名な芸能人やスポーツ選手とも共演するような時代になったんだな、としみじみ感じましたね。いずれゲーム実況者にも、そうした流れは生まれるかもしれません。芸能人に限らず、メディアに影響を与えるクリエイターであれば、我々世代が高橋名人に憧れたように、動画のジャンルを問わず進出していくものだと思います。

YouTuberが大きな存在になっている象徴的な事例ですよね。

高田 弊社はこちらからノルマを指示したり、最低ラインはここだと線を引くといったことはありませんが、それでも目標のない人間は自然と淘汰されていきます。しかし、現在所属しているクリエイターには強い意思があり、一定のフェイズを乗り越えてきている。だからこそ、小学生がYouTuberに憧れることにも理解ができますし、目指せるものになってきたんだなと実感する瞬間でもありますね。

▲クリエイター自身に絶大なコンテンツ力があり、インターネット上の配信者という枠を超え、テレビコマーシャルや自治体のPRなど多岐にわたる活動をしている面からも、YouTuberという存在の影響力が大きくなってきていると指摘

UUUMは世界を見据えた新たなフェイスを目指していく

今年で4年目を迎えた御社が5年、10年先を見たとき、どんな道を歩もうとしているのか、その目標や意気込み、可能性を教えてください。

高田 もともと弊社はヒューマンビートボクサーとして活動していたHIKAKINをサポートするところから始まっています。結果、彼は日本を代表する存在にまでなりました。この市場がどこまで大きくなっていくのかは我々の課題であり、ヒエラルキーを考えたとき、上ばかりを観るのではなくどれだけ裾野を広げていけるのかも大切であり、日本に留まらず世界に向けた活動を仕掛けていくことも考えています。また、冒頭でもお話ししたMCNという言葉ですが、これもすでに世界ではトレンド遅れしたワードで、いまはもう1段階フェイズが進んでいる。YouTubeに限らずTwitterやInstagram,Facebookなど様々なプラットフォームで活動する人たちを束ねる意味から“マルチプラットフォームネットワーク”、MPNなんて呼ばれるようになっています。日本にはTwitterの力が根強い固有の市場がまだまだ残っている。そうした文化が独自の発展をしていくのか、数年遅れでMPNとしてキャッチアップしていくのかはわかりませんが、どんな状況であれ弊社はプラットフォームに関係なく、クリエイターを軸に様々なコンテンツを形にしていきたいと強く感じています。

それでは最後に、これからYouTuberを目指す人にひと言お願いします。

高田 これからYouTuberを目指す方は、ゲームでもビューティーでも構いません、人を楽しませる前にまずはご自身が楽しんで下さい。そうでなければ続けていくことは難しいですし、強い意思を持っていればチャンスは巡ってくるはずです。

▲今回とくに印象的だったのは、YouTuberと真っ直ぐ向き合っている高田氏とUUUMの姿勢。誰にでもチャンスがあり、それをサポートしてくれる。聞けば聞くほど興味が湧いてくる企業だった


クリエイターの想いを尊重し、動画のクォリティに自信がなくても本気でやりたいという意思があればそれをサポートしてくれるというUUUM。さらに高次のステージにクリエイターを押し上げる意欲。その取り組みの結果がいまのYouTuberと呼ばれるような人たちが作った文化であり、それを牽引して次のフェイズに進むのは間違いない気がする。

高田氏と次回に紹介する26人のクリエイターが答えてくれた通り、本人がYouTuberとして心から楽しむことが大切であり、取り扱うゲームと真摯に向き合い魅力を伝えるのはもちろん、クリエイター自身がコンテンツホルダーとして魅力を見いだすことが成長に欠かせない重要なポイントであると再確認することができた。

今後、UUUMが掲げる新しい文化や価値が具現化し、それらを作ることを目的としたコンテンツカンパニーとして進化を遂げていくことに注目していきたい。

UUUM株式会社オフィシャルサイトhttp://www.uuum.jp/