LIVE SHUTTLE  vol. 158

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Dragon Ash ツアー初日。包容力をも合わせ持つパフォーマンスに高ぶる熱量

Dragon Ash ツアー初日。包容力をも合わせ持つパフォーマンスに高ぶる熱量

デビュー20周年を機に発表されたニューアルバム『MAJESTIC』を掲げた〈Dragonash Live MAJESTIC Tour 2017〉がスタートした。6月8日、初日のZepp DiverCityには、久々のツアーを祝おうというオーディエンスが詰めかけた。その熱気が開演前からフロアに充満している。タフなライブを期待する雰囲気は、Dragon Ash独特のものだ。
3年4ヵ月ぶりとなる新作『MAJESTIC』で、Dragon Ashは変化を見せた。すべての楽曲でKenKenがベースを弾いていることも、その変化に大きく影響しているだろう。KenKenとドラムの桜井誠との鉄壁のリズムを土台にして、今回のアルバムではDJのBOTSがリードする“ウワモノ”がこれまでにない輝きをサウンドに与えている。それに対して、Kjが優しさを強く感じさせるボーカリゼーションで応える。そんな“20th”のDragon Ashがどんなパフォーマンスを見せるのか。注目のライブが始まった。

取材・文 / 平山雄一 写真 / 橋本塁(SOUND SHOOTER)


バンドの発する強靭なオーラが、その中心にあった

音がデカい!! Zepp DiverCityではこれまで何度もライブを観てきたが、Dragon Ashの音はそのサイズを完全にハミ出している。特に桜井のドラムが爆発している。桜井は変則的なリズムパターンが得意なドラマーだが、それにしてもすごい。

BOTSのスクラッチから始まる『MAJESTIC』収録の「Mix it Up」では、桜井のプレイに触発されたようにKenKenがヘッドバンギングしながらチョッパーベースを繰り出す。激しいサウンドの中から、Kjの歌う「just free your mind そう変幻自在 あるのはマナーと思いやり」というリリックが抜け出て聴こえてくると、思わず楽しくなる。

同じく桜井のスネアドラムがリードする「Jump」で、KjはTシャツを脱ぎ捨て、ハンドマイクで臨戦態勢を整える。シンセがキラキラと輝くループを奏で、HIROKIのギターがディレイでフレーズを空中に飛ばす。この“パワフルなリズム”と“色彩感豊かなウワモノ”という、『MAJESTIC』の中核を成すサウンドデザインが、Zepp DiverCityのオーディエンスを熱狂させる。まだリリースされたばかりのアルバムがファンに歓迎されていることが、ひしひしと伝わってきた。

一方で、Kjのボーカルの優しさが詰め込まれているのは、「光りの街」だった。イントロで美しいアルペジオのループが流れると、オーディエンスから「ワーッ!」と歓声が上がる。Kjはワンフレーズを歌うと、「Dragon Ashです。よろしくお願いします」とひと言挨拶する。ダンサーのATSUSHIがフラッグを使ったパフォーマンスで、楽曲にアクセントを加える。線の太いメロディを、オーディエンスたちがシンガロングする。するとダンサーのDRI-Vがハンドクラップをうながして、会場の一体感が高まる。すべてはバンドの発する強靭なオーラが、その中心にあった。

「Ode to Joy」では浮遊感のあるギターが輪郭を作るなか、しっかりと歌い込むKjの声が魅力的だ。それに合わせて、DRI-Vがランタンのような灯りをくるくる回しながら踊り、幻想的なムードを醸し出す。オーディエンスは耳ばかりでなく、目でも音楽を楽しんでいる。

最も優しさを感じたのは、『MAJESTIC』からの「Beside You」だった。美しいメロディを、その美しさに沿って展開していく。激しいナンバーが続いたあとにこの曲が置かれているから、余計にそう感じたのかもしれない。白いコスチュームに身を包んだATSUSHIとDRI-Vが、音楽を何かに捧げるように踊る。Dragon Ashというバンドの持つ、多彩な表現の要素が結集された一曲になっていた。

もちろん『MAJESTIC』以外のナンバーも、セットリストに盛り込まれている。2001年のアルバム『LILY OF DA VALLEY』に収められていた「静かな日々の階段を」のイントロで、歓声と拍手が起こる。シンプルでタイトなリズムに乗せて、Kjのラップが始まる。「陽はまたのぼり くりかえしていく」という永遠のフレーズが、フレッシュに響く。初期のナンバーの壮大なリリックが、“MAJESTIC”=威風堂々という最新のDragon Ashのメッセージにもシンクロしているのが、なんとも不思議であり、当然のような気もする。20周年はひとつの区切りでもあるが、同時にバンドの一貫した姿勢を確認できる時でもある。

「百合の咲く場所で」も、オーディエンスにはたまらないナンバーだ。この曲のイントロでも共感の声が上がり、オーディエンスはハンドクラップで応える。途中からはダイブ&モッシュで、Dragon Ashのタフなライブスタイルが眼前で展開される。それを見て、Kjは嬉しそうに叫ぶ。「ライブハウスはお前たちのモンだ! ケガすんなよ。好き勝手やって帰ってくれ!」。さらにサビでは豪快なシンガロングが起こった。

大暴れするなら、前作『THE FACES』の「The Live」。KjとKenKenが共同で作詞し、ボーカルも分け合う。Dragon Ashの盟友として合流したKenKenの存在感とメッセージを明らかにした記念すべき曲だ。「目を覚ませ、お台場!」と叫ぶKenKen。「この音を止めてはいけない 目の前のあなたのために」というリリックがフロアに吸い込まれる。Kjが「最高です、ベースKenKen!!」と吠える。

それにしても、『MAJESTIC』の曲と、かつてのナンバーとが、見事に並び立っている。練りに練ったセットリストなのだろう。

「長い時間をかけてアルバムを作って、何がいいかって言ったら、ツアーでみんなと俺たちの共通項である音楽を共有できるから。それが一番嬉しい」と、KjはMCで語った。もうひとつ、Kjが言ったのは、「ツアーのリハーサルをやりながら、セットリストの曲順を何回も何回も変えた。本番前のリハを“ゲネプロ”って言うんだけど、そこでもまた曲順を変えた。で、今日、やってみて、このセットリストで良かったなと思いました」。

場内から拍手が起こる。彼の言うとおり、メンバーによって練られたセットリストに身を任せていると、最新型のDragon Ashと、その根っこにあるDragon Ashの原型の両方に出会うことができた。

そして僕がこの夜の「一番だ!」と思ったのは、『MAJESTIC』の「A Hundred Emotions」だった。アルバムの特長を集約したようなこの曲は、ライブチューンとしても抜群の力を発揮していた。荒ぶる魂も、優雅なメロディも、ロックもヒップホップも、Kjのボーカルもメンバーのコーラスも、変幻自在なリズムもしなやかなグルーヴも、すべてを含んでフロアに君臨していた。この曲を演奏するとき、フロントにはKj、HIROKI、KenKen、DRI-V、ATSUSHIの5人が横一列に並び、その背後に桜井とBOTSが陣取る。最強の布陣が、オーディエンスたちと真正面から対峙する。まさに「音楽は鳴り止まない 感情はやり場がない」というリリックのままのフォーメーションだった。また「100の感情を 殺せないよ」というリリックは、このバンドのストレートな表現衝動が、さらに増していることを表わしていた。

初日のライブが終わった。メンバーは最初のステージをやりきった充実感と、自分たちのパフォーマンスに対する手応えと、何よりオーディエンスの満足感に、全員ニコニコしている。この瞬間から、来年の横浜アリーナでのファイナルまで、Dragon Ashの新たな旅が始まったのだった。

ライブ情報

Dragon Ash Live Tour 2017 MAJESTIC

6月8日(木)Zepp DiverCity
6月16日(金)Zepp Nagoya
6月17日(土)なんばHatch
6月22日(木)いわき芸術文化交流館アリオス 中劇場
6月30日(金)仙台 PIT

7月2日(日)高松festhalle
7月3日(月)松山WstudioRED
7月5日(水)米子laughs
7月7日(金)BLUE LIVE 広島
7月15日(土)キッセイ文化ホール 中ホール
7月16日(日)クロスランドおやべ
7月20日(木)KBS ホール
7月21日(金)福井県県民ホール
7月25日(火)CLUB CITTA’
8月16日(水)チキンジョージ
8月17日(木)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
8月23日(水)岐阜club-G
8月24日(木)Live House 浜松 窓枠
8月30日(水)周南 RISING HALL
8月31日(木)DRUM LOGOS
9月2日(土)KUMAMoTo B.9 V1
9月3日(日)CAPARVO HALL
9月7日(木)PENNY LANE24
9月8日(金)PENNY LANE24
9月10日(日)帯広MEGA STONE
9月12日(火)石巻BLUE RESISTANCE
9月13日(水)山形ミュージック昭和セッション
9月15日(金)青森Quarter
9月18日(月・祝)新潟LOTS
10月1日(日)桐生市市民文化会館 小ホール
10月3日(火)Zepp Tokyo

Dragon Ash Live Tour MAJESTIC Final

2018年1月28日(日)横浜アリーナ

Dragon Ash

1996年にKj(vocal, guitar)、IKÜZÖNE(bass)、桜井誠(drums)による3ピースバンドとして結成。1997年に1stミニアルバム『The Day dragged on』でCDデビュー。その後、BOTS(dj)、HIROKI(guitar)、ATSUSHI(dance)、DRI-V(dance)が加入し、7人編成に。2012年にIKÜZÖNEが急逝。2017年、デビュー20周年を迎え、ベーシストKenKenが制作に全面的に加わったアルバム『MAJESTIC』を5月31日に発表後、全国ツアーを開催。

オフィシャルサイト

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