黒川文雄のエンタメ異人伝  vol. 5

Interview

ドラクエ堀井雄二氏(下)30年の時を越え、そして伝説へ…

ドラクエ堀井雄二氏(下)30年の時を越え、そして伝説へ…

音楽、映画、ゲームなどを総称するエンタテインメントは、人類の歴史とともに生まれ、時代に愛され、変化と進化を遂げてきました。 そこには、それらを創り、育て、成熟へ導いた情熱に溢れた人々がいます。この偉人であり、異人たちにフォーカスしインタビュー形式で紹介するエンタメ異人伝。

今回のゲストは、『ドラゴンクエスト』シリーズの生みの親であり、2017年7月29日にPlayStation 4・ニンテンドー3DSにて発売予定の『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』を手掛けるゲームデザイナー堀井雄二氏です。

※本記事は3回にわたってお届けするインタビューの最終回です。第1回(上)第2回(中)はこちら

インタビュー取材・文 / 黒川文雄


30年間続くとは思わなかった…

それが今や、ここまでと。

堀井 そうですね、30年です。あっとういう間にね。

すごいことですね。

堀井 けっこう珍しいことだと思います。だいたいヒットって10年って言われているんですよね。それがゲームだけは『マリオ』も『FF』も、みんなずっと続いているんですよね。

なぜ、ゲームはこんなに人気が続くのか、ご自身で思い当たることはありますか。

堀井 やっぱり、それだけみんなゲームに対して思い入れを持ってくれているんですかね。ゲーム単体だけではなくて、当時の思い出なども含めてこうだったとか、ああだったとか。それで、新作が出るとやりたくなるのかもしれませんね。

ある種世代を超えましたよね。当時小学生だった人はもう40、50歳ですし、その人たちのお子さんも一緒に見て遊んだろうし。そういう意味では全年齢にまで行き渡るくらいのコンテンツになりましたよね。

旅先のスナップ

堀井 娯楽として確立したってことですかね。音楽もサザンとか、かなり息が長いですが、ゲームも同じように人々の心の中に入り込めたのかなと思います。

マニュアルは読まない

そういえば『ドラクエ』って遊びやすいというか、入りやすいですよね。

堀井 そうですね。直観的に分かるようにするというか、なるべくマニュアルを読まなくてもできるように…っていう工夫はしていますけど。

堀井さんは常に遊ぶ人の立場でプレイとかゲーム内容を考えているような感じを僕自身は常にもっているんですが。

堀井 まあ、僕もマニュアルは読まないですからね。さわってみて、分からないところがあって初めて(マニュアルを)見るみたいな。体験でいうとマイコンがそうでしたね。当時、すごく分厚いマニュアルが付いてきたんですけれども読まなかったです。読まずに覚えちゃいました。

よく覚えられましたね。

堀井 多分、読もうとしたら覚えられないです。だから、必要なところだけ。僕はBASICも4つしかコマンドを覚えなかったんです。「INPUT」と「PRINT」と「IF~THEN」と「GO~TO」。それでね、『ポートピア』はこの4つでほとんどできているんですよ(笑)。

すごいですね! それは堀井さんだからできたんじゃないでしょうか。

堀井 いやまあ、時代がよかったんだと思いますね。

スクウェアエニックス齋藤プロデューサーとサバゲー記念写真

『ドラゴンクエストII』はカートリッジの容量も増えて、いろんな可能性が増えたと思います。先ほど『I』が終わってすぐ『II』に取りかかったとおっしゃっていましたが、すごく大変だったことはありましたか?

堀井 『II』はゲームバランスを取る時間がなくて。だから、前半部分とラストダンジョンだけバランスを合わせて、途中のバランスはユーザーのみんなに任せることにして、なんとか。僕的には上手くできたと思ったんですけど、中村君は違ったみたいです。(バランスが)キツすぎると。「これはもうダメだよ、大ひんしゅく食らう」と彼は思ったらしいです。

中村さん的にはもっとバランスを取りたかったみたいな感じだったんですか。

堀井 確かにロンダルキア(注15)はつらかったと思いますが、壁づたいに進んで行けば落とし穴に落ちないように作ったりとか、いろんな工夫はしたんですよ。ロンダルキアの洞窟を出ると、すぐ近くにセーブのできる祠があるんですが、アレも最初はなかったんです。でも、すぐに死んじゃうんで、みんなからキツいキツいと言われて、せめて祠を置いてセーブできるようにしようとなったんです。

注15)ドラクエに登場する地名。正式名称は「ロンダルキア台地」

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