LIVE SHUTTLE  vol. 159

Report

映像とコラボしたTHE BAWDIESのパフォーマンス。最新型ロックンロールパーティの全貌を

映像とコラボしたTHE BAWDIESのパフォーマンス。最新型ロックンロールパーティの全貌を

THE BAWDIESがアルバム『NEW』を掲げて開催した全国ツアー〈NEW BEAT TOUR 2017〉。この全33公演のうち“~See The Rock !! Feel The Roll !!~”と題した5公演は、映像と音楽がコラボしたスペシャルライブとして披露された。彼らの新しいパフォーマンス=最新のロックンロールパーティの模様をレポート。

取材・文 / 小野田雄 写真 / RUI HASHIMOTO(SOUND SHOOTER)


音楽をいままでとは異なるフレッシュな視点で楽しむ貴重な機会であると同時に彼らの歓迎すべき新たなトライアル

1950〜60年代のリズム&ブルース、ソウル、ロックンロールといったルーツミュージック。そこに込められた初期衝動性に触発され、活動を続けてきたTHE BAWDIESが、現代的な感覚、音像で普遍的なルーツミュージックの魅力を伝えようと果敢に試みた新作アルバム『NEW』を今年2月にリリース。その初回盤DVDには、2014年発表の「NICE AND SLOW」ミュージックビデオ以来、コラボレーションしている映画監督の草野翔吾氏による同名の短編映画を収録し、サウンドだけでなくビジュアル面においても、チャレンジングなトライアルを行った。

かつて、ザ・ビートルズがアメリカの映画監督、リチャード・レスターと制作した実写映画『A Hard Day’s Night』『Help!』や、先鋭的なアニメーション映画『Yellow Submarine』がミュージックビデオの時代と呼ばれる1980年代の音楽表現に大きな影響を与えたように、映像表現と一体になり生み出される新たな化学変化もまた、時代を越えて受け継ぐロックンロールの伝統であるともいえる。THE BAWDIESがそのことに自覚的であったかどうかはわからないが、同世代感覚を共有する映画監督との親交が新たな表現に結実。2月からスタートした全33公演の〈NEW BEAT TOUR 2017〉のうち5公演は、ロックンロールと映像のスペシャルなコラボレーションへと発展した。

5月21日の東京・NHKホールはその2回目。開演と同時に照明が暗転すると、映し出されるロードムービー風映像。何が起こるかわからないからこそ募る期待感はメンバーの登場とともに爆発的に高まる。

1曲目はファストなテンポで厚みのあるギターサウンドがドライブする「HELLO」。演奏に高揚しつつ、背面に映し出される色とりどりの液体がうごめく抽象的かつサイケデリックな映像に引き込まれ、視線は4人の演奏と映像を忙しく行ったり来たり。続く「45s」は、45回転で回るレコードの映像とともに彼らのガレージロックナンバーもぐるぐると回るような聴感。

ただ単に曲に映像を付けたという事実がそこにあるのではなく、その映像は想像以上にリスニングに影響を与え、演奏もまた映像を引き立てる。60年代のアメリカで始まったライブにおける音と映像、照明のコラボレーションは、現代のダンスミュージックにおいて、VJという表現形態へと発展したが、ルーツミュージックに根ざしたバンドと映像の組み合わせは珍しく、そして、やり方次第で空間表現の可能性は一気に広がる。

「NO WAY」「DANCING SHOES」では映像抜きで、楽曲に込められた高揚感を増幅させる4人。右に左に動いて会場を煽るJIM、汗ひとつかかずクールなTAXMANからなる2人のギタリストと、正確性を増したプレイを聴かせるドラムのMARCY。フロントに立つROYはベースのグルーヴでバンドを牽引しながら、そのシャウトを通じて、バンドの渦巻くエネルギーをオーディエンスに伝播する。約2年ぶりの全国ツアーでビルドアップされた4人のコンディションは最高だ。

続く「SUNSHINE」は昼から夕方、夜から日の出へと移ろう映像とともに客席のハンドクラップやシンガロングが明るく映え、TAXMANが歌うサーフロックナンバー「RAINY DAY」では、アメコミタッチのアニメーションが曲のコミカルなポップ感を引き出してみせた。楽曲とのほどよい距離感を保ったまま次から次に繰り出される草野監督の映像表現は、その多彩さからバンドに対する愛情深さがひしひしと感じられるものだ。

その後も季節はずれのクリスマスソング「MAKE IT SNOW」では街並みに雪を降らせ、グルーヴィーな「HOT NIGHT, MOON LIGHT」ではサイケデリックなコラージュ、「KICKS!」ではミュージックビデオに出てくる骸骨が踊るシーケンスが目を楽しませてくれたが、バンドは「JUST BE COOL」から始まり、「KEEP YOU HAPPY」、「ROCK ME BABY」から再び「JUST BE COOL」に戻る構成でライブならではのメドレーで耳を楽しませることに抜かりはない。

ROYはMCで、映像と演奏のどちらを見ていいかわからなかったら、「映像を見て欲しい」と語っていたが、楽曲や演奏に自信がなければ、そんなことは言わないだろうし、そもそも、映像とコラボレーションすることもなかったはず。逆に言えば、今の彼らが打ち出す“NEW”な表現には、いい意味での余裕や自信があるということだ。

そんな彼らの代表曲のひとつである「LEMONADE」は、草野監督が甘酸っぱいポップ感覚をストーリーに投影し、CGアニメ化。ともすれば、楽曲の印象を固定化してしまいかねないストーリーものの映像は、それに負けない代表曲の普遍的な響きによって見事に成立していたし、「POPULAR GIRL」も架空の主人公が設定された普遍的な詞世界あってこそ、短編映画『NEW』の映像との相性も抜群だった。その2曲が象徴するバンドの余裕や安定感に対して、「THE EDGE」初回盤DVDに収録の「THE LOVE IS GONE」ではMARCYが果敢にもボーカルを担当。バンドにとって強力な秘密兵器になり得る新たな表現を実践で磨きつつ、ライブは怒濤の後半戦へ。

ROYのシャウトとフラッシュライトがハードなR&Bナンバー「EMOTION POTION」からTAXMANがボーカルをとるロックンロールナンバー「SO LONG SO LONG」。そして様々なダンス映像のコラージュが勢いを後押しする「YOU GOTTA DANCE」と続き、紙芝居を用いた前段の小芝居からJIMが作画を手がけたアニメーションとともに披露された「HOT DOG」から会場に大合唱を巻き起こした「SING YOUR SONG」、そして、転がり続けるバンドの決意を込めた「THE EDGE」で本編は幕を閉じた。

アンコールは3曲。これまでの映像をさり気なく織り込みながら、「LEMONADE」のアフターストーリーとなるCGアニメが楽曲のメロウネスを引き立てた「NEW LIGHTS」からバンドの原点であるロックンロールナンバー「I BEG YOU」。そして、パーティチューン「KEEP ON ROCKIN’」はオーディエンスの声量を測定するシャウトメーターが映像で映し出されたほか、演奏に合わせて、この日の全映像が一気に逆再生され、THE BAWDIESと草野翔吾監督によるロックンロールと映像のスペシャルなコラボレーションは大成功に終わった。

このライブで映し出された映像のタッチは全体的にカラフルかつサイケデリックで、そうした視覚表現と一体となったとき、ルーツミュージックを現代的にアップデートしたアルバム『NEW』や過去の楽曲に織り込まれたポップ感覚を際立って浮かび上がらせる、そんな相乗効果があるように感じられた。音楽や映像がコンピューターやモバイルで簡単に触れられる時代にあって、音楽と映像のコラボレーションを一回限りのライブで提示する今回の試みは、音楽をいままでとは異なるフレッシュな視点で楽しむ貴重な機会であると同時にロックンロールを日常の音楽にするべく試行錯誤を重ねてきたTHE BAWDIESの歓迎すべき新たなトライアルだ。結成から13年目を迎え、転がり続ける4人のロックンロールに苔むすことはない。

THE BAWDIES NEW BEAT TOUR 2017~See The Rock !! Feel The Roll !!~ 2017.5.21@NHKホール SET LIST

M01. HELLO
M02. 45s
M03. NO WAY

M04. DANCING SHOES
M05. SUNSHINE
M06. RAINY DAY
M07. MAKE IT SNOW
M08. HOT NIGHT, MOON LIGHT
M09. SHAKE, SHOUT & SOUL
M10. IT’S TOO LATE
M11. MEDLEY
 JUST BE COOL〜KEEP YOU HAPPY〜ROCK ME BABY〜JUST BE COOL
M12. KICKS!
M13. LEMONADE
M14. MY EVERY THING
M15. POPURAL GIRL
M16. THE LOVE IS GONE
M17. EMOTION POTION
M18. SO LONG SO LONG
M19. YOU GATTA DANCE
M20. HOT DOG
M21. SING YOUR SONG
M22. THE EDGE
EN01. NEW LIGHTS
EN02. I BEG YOU
EN03. KEEP ON ROCKIN’

MUSIC ON! TV「M-ON! LIVE THE BAWDIES 『NEW BEAT TOUR 2017 ~See The Rock !! Feel The Roll !!~』」

5月21日に東京・NHKホールにて開催された〈NEW BEAT TOUR 2017 ~See The Rock !! Feel The Roll !!~〉の模様がMUSIC ON! TVで7月に放送されることが決定。
放送日:7月12日(水)24:00〜26:00

番組オフィシャルサイト

THE BAWDIES

ROY(vocal,bass)、TAXMAN(guitar,vocal)、JIM(guitar,chorus)、MARCY(drums,chorus)。2004年1月1日に結成。2006年にインディーズ1stアルバム『YESTERDAY AND TODAY』をリリース後、初海外ツアーを敢行。2009年にアルバム『THIS IS MY STORY』でメジャー・デビュー。2011年、2015年に日本武道館公演、2013年には横浜アリーナ、大阪城ホールを含むバンド史上最大規模の全国全県ツアーを行う。2017年は、2月に約2年ぶりとなるアルバム『NEW』を発表。

THE BAWDIESオフィシャルサイト

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