Interview

Kが贈る“卒パパ”ソング。浦和レッズ 西川選手も感涙の「桐箪笥のうた」

Kが贈る“卒パパ”ソング。浦和レッズ 西川選手も感涙の「桐箪笥のうた」

この歌の主人公は、娘を愛し、一生懸命に育ててきた“パパ”。しっかり見守り、時に厳しく叱った娘が結婚することになり、「お父さん、お母さん、いままで本当にお世話になりました」と涙ぐみながらつぶやく──。
Kのニューシングル「桐箪笥のうた」(作詞:寺岡呼人/作曲:K)は、泣けるウェディング曲の新定番とも言える“卒パパ”ソング。父親と花嫁の関係を描いた歌詞、素朴でノスタルジックなメロディ、そして、豊かな表現力を備えた歌声は、あらゆる年齢層のリスナーの心を打つはず。
父親役をでんでん、娘役を佐津川愛美が演じたミュージックビデオを含め、この歌が持つ普遍的なパワーをじっくりと味わって欲しい。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 増田慶


「結婚式の花嫁の手紙って、グッとくるよね」

シングル「桐箪笥のうた」は、父親と花嫁のストーリーを描いたウェディングソング。作詞は寺岡呼人さんですが、どんなやり取りをしながら制作されたんですか?

最初からウェディングソングにしようと思っていたわけではなくて、「グッとくる曲を作りたい」というテーマで呼人さんと何曲か作っているうちに出来た曲なんです。きっかけは「結婚式の花嫁の手紙って、グッとくるよね」という話ですね。新郎の友達として出席していても、自分の親のことを思い出したりするし、すごくエネルギーを持ってるよねって。そのあと、呼人さんが「嫁入り道具の“桐箪笥”をテーマにして歌を作ってみない?」というアイデアをくれたんです。韓国にも嫁入り道具として箪笥はあって、僕のおばあちゃんのウチにもあったんですよ。だから違和感なく、すぐにピンときましたね。で、まずは呼人さんが歌詞を書いてくれて。

いわゆる詞先ですね。

呼人さんと制作するときは、すべて歌詞が先なんです。そこからメロディを付けて、アレンジしていくんですが、自分の中で言葉が響くかどうかが大事で。「桐箪笥のうた」の歌詞は最初に読んだときからすごくグッときて。メロディも付けやすかったですね。歌詞が先にあるとメロディの感じも変わってくるし、歌の世界がさらに広がる感じがあるんですよ。

具体的にはどうやってメロディを付けていくんですか?

ケースバイケースですね。例えば(カップリング曲)「遠雷」は、歌いながら作るのではなくて、パソコンを使って計算しながらメロディを組み立てました。移動中に思い浮かんだメロディをメモすることもあるし、やり方はホントにいろいろです。あと、言葉が呼んでくるメロディというものがあって、それがいくつかあると作りやすいんですよ。一小節でもいいんですけど、それを繋げることで曲になっていくので。

日本語が持っている響きも影響しそうですね。

そうかもしれないですね。「On My Journey」(2014年発表)という曲は英語の歌詞を先に書いたんですけど、メロディから先に作った感じがあって。それはたぶん、英語が持ってるグルーヴだと思うんですよね。最近は日本語が持っている響き、余韻みたいなものをメロディに残すように意識してます。

「桐箪笥のうた」のメロディはすごく素朴で、懐かしい手触りがありますね。

呼人さんからも「とにかく、オシャレに作らないで欲しい」って言われてたんです。ちょっとオシャレなコードを使ったりすると「もっとシンプルに」って。だから今回は削る作業が多かったんです。何も飾ってない状態で表現するというか……。童謡みたいな雰囲気があるかもしれないですね。娘が生まれてから、童謡を真剣に聴くようになったんですよ。日本の童謡も韓国の童謡もアメリカの童謡もそうなんですが、本当にいい曲が多くて、よく出来てるんですよね。1分か1分半くらいですべて表現されているし、言葉が簡単で覚えやすくて。「桐箪笥のうた」の制作中もいろいろな童謡を聴いてたんですが、クラシックを勉強された方が音の組み立てをわかったうえで作ってるから、素晴らしい曲ばかりで。勉強になりますね。

童謡をしっかり研究するところも、音楽への探究心が強いKさんらしいと思います。こういう曲を歌うときは、どんなスタンスを取ってるんですか? 

ストーリーテラーというか、この歌の物語を伝える立場ですね。あえて熱くならず、入り込み過ぎず、笑いながら歌えるくらいの気持ちで。アレンジに関しては、とにかくシンプルにすることを意識してました。空白を残すというか、「ここにフレーズを足したいな」と思ってもストップをかけることもあって。

たしかに音数は少ないですよね。生楽器の響きを活かしたサウンドメイクも、曲の雰囲気にすごく合っていて。

ありがとうございます。僕自身も生楽器が大好きなんですが、それは楽器の倍音や立体感に惹かれているからだと思うんです。今はソフトシンセなども進歩していて、打ち込みのドラムもすごくリアルなんです。でも、本物の楽器が持っている立体感はやっぱり再現できないんですよね。「桐箪笥のうた」にはアコーディオンが入っているんですが、それは僕が打ち込んだフレーズをプロのプレイヤーの方に演奏してもらっていて、レコーディングの最初にアコーディオンから録ったんですけど、「ほかの音はいらないな」と思うほど素晴らしくて。最初がアコーディオンで良かったですよ。もしほかの楽器から録っていたら、もっと音数を盛り込んだかもしれないので。ギター、ベースを録るときも、歌詞の内容に合うようにナチュラルなモノ作りを意識してました。

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