LIVE SHUTTLE  vol. 162

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GLIM SPANKYが日比谷野音に響かせたONE&ONLYなロックスピリッツ!

GLIM SPANKYが日比谷野音に響かせたONE&ONLYなロックスピリッツ!

60~70年代のロックをルーツにするバンドにとって、日比谷野外大音楽堂は、ある意味、聖地である。そこでは日本のロックの礎(いしずえ)を作ったバンドたちが、数多くの伝説のライブを行なってきた。
ここがホームグラウンドと言っていいCharは、つい最近もフリーライブを行なっているし、Johnny,Louis& Charでも数々の名演を残している。また矢沢永吉のいたキャロルの解散ライブや、THE MODS、BOØWYもストリートスライダーズもここでライブを開催している。

それだけに“ロック・スピリッツへの回帰”を標榜するバンドGLIM SPANKYにとって、野音でのライブが決定したときの高揚感は並大抵のことではなかっただろう。そしてついにその日がやってきた。快晴の日比谷野音には、その意味をよく知っているロック・ファンが詰めかけている。立ち見のオーディエンスも大勢いる。また、学生を対象にしたキャッシュバック制も採用されていて、若い音楽ファンにとってはありがたい仕様になっているのも、実にこのバンドらしい。観客の男女比は若干男性が多く、10代から40代、50代までの幅広い層が客席にいる。

まだ明るい空の下、いつものSteeleye SpanをBGMに、メンバーがステージに現われた。Steeleye Spanは、ルーツロックのそのまたルーツでもあるイギリスのトラディショナル・ミュージックを、現代的に解釈しているバンド。GLIM SPANKYの幻想的な側面や、抒情的なムードの源泉にもなっている。そのサウンドを聴いていると、日比谷野音の歴史が一気に蘇ったような気分になる。
松尾レミのストロベリー・レッドの髪が、そんな野音によく似合う。亀本寛貴も堂々とギターを構える。サポートはドラムとベース、さらにキーボードが加わっている。そのキーボードがバグパイプ風の音色でシンセを奏で、キックドラムの重たい音が鳴って、最初の曲はニュー・ミニアルバムのタイトル曲「アイスタンドアローン」だ。松尾のいつもの力強い声が、ビルの谷間の森に響き渡る。その声の響きをいちばん喜んでいるのは、松尾自身だろう。サビで亀本のハーモニー・ボーカルが合わさって、野音に最初の“GLIM SPANKY印”が刻まれたのだった。

続けて、これもニュー・ミニアルバムからの曲「E.V.I」。ドラムはスティックを回しながら叩く。亀本のギター“ギブソン・ファイヤーバード”が鋭いトーンで全体のサウンドカラーを決める。松尾はこの日も中低域の声が絶好調だ。それでも“初野音”ということで緊張があるのか、何かと闘うように毅然と歌う姿勢が感じられる。が、それも3曲目「時代のヒーロー」になると緊張がほぐれ、松尾のボーカルを中心に全体の音がまとまっていく。♪何かしでかしたい 動かしたい ねえ君も思うでしょう♪という明るくて挑発的な歌詞を、僕の目の前のカップルがピョンピョン跳ねながら聴いている。まずはハッピーな幕開けとなった。
亀本はこの「時代のヒーロー」ではギターをゴールドトップのレスポールにチェンジし、この日のライブは数本のレスポールとファイヤーバードで変化を付けるプランだ。

松尾は曲の終わりで「ありがとう」と言うくらいで、MCはせず、黙々と歌い続ける。その集中した態度が、ライブの雰囲気を引き締める。
中盤の「闇に目を凝らせば」で松尾はいつものリッケンバッカーのギターをシャランと鳴らし、アカペラで歌い始める。いよいよ野音をGLIM SPANKYの色で染めるつもりだ。アイリッシュの香りを漂わせるメロディを松尾が一人で歌い出すと、2行目からはベース、Bメロからはドラムが加わって、野音の大きさに収まっていく。次の「NIGHT LAN DOT」も松尾が自ら弾くアコースティックギターで歌い始める。松尾が一人で曲を始めるスタイルが、この野音にはとても合っているようだ。♪三角の月が昇る頃に 古いトランペット響いた♪というリリックが、耳に沁みる。70年代から活躍する鬼才・あがた森魚に通じる世界観が、20世紀の野音を染め上げると、オーディエンスたちは不思議なタイムトリップに巻き込まれたのだった。

「褒めろよ」で盛り上げた後は、徹底的に“聴かせる”。「お月様の歌」ではドラムとベースが一度ステージを去り、松尾は亀本のギターのアルペジオで歌う。♪明かりを消して 窓を開けたら ぽっかりと世を照らす 愛しい彼の顔♪という素朴なラブソングが、なだらかなスロープを描く野音の客席に吸い込まれていく。オルガンが美しい音色で歌を包み込む。短い曲ではあったが、聴かせるコーナーの締めくくりとして、素晴らしいパフォーマンスとなった。

ここで初めてMCタイムになる。 「今朝、起きて窓を開けたら、晴れてたので、よかったぁ。予報では曇りだったのに」と松尾が「お月様の歌」の歌詞のようなセリフで口火を切る。「雲の量何%で快晴なんだっけ? 間違いなくいいよね、この天気」と亀本。
「ライブハウスではスポットライトが効くんだけど、今日のために強い照明を用意してもらってます。みなさんの目に残るといいなあ。野外なので、ゆっくり曲をやります」と松尾が言ってライブは中盤へと進む。
おおらかなロックの「風に唄えば」で、オーディエンスは掲げた両手を左右に揺らしてGLIM SPANKYの音楽に応える。「太陽を目指せ」では、アコギを抱えて歌う松尾のメロディを引き継ぐように、亀本が素晴らしいギターソロを聴かせる。

オルガンから始まった「Freeder」がよかった。2ビートのカントリー・ロック風のリズムと亀本のスライドギターが、楽しさを演出する。先ほど松尾の言っていた白とグリーンのライトが、ステージを明るく彩る。もちろん松尾の歌も伸び伸びとしていて、オーディエンスのシンガロングを誘う。歌や演奏や演出、観客のリアクションのすべてが噛み合って、“GLIM SPANKYの野音”は最初のピークを迎えたのだった。
間髪を入れずにライブは盛り上がっていく。ブラインドサッカー日本代表の公式ソング「NEXT ONE」は、もっと広い意味での“応援ソング”となって、会場のオーディエンスたちを雄叫びに導く。先のカップルは両手を上げて歌っている。最高なのは「いざメキシコへ」だった。松尾のボーカルを、亀本のギター・リフががっちりと支える。バンドの実力は、シンプルな曲でこそ分かるが、その典型とも言える抜群の出来だった。そのせいもあって、野音は熱く熱くなっていく。「怒りをくれよ」で、2回目のピークが訪れたのだった。

松尾:本当に、みんな、ありがとう! 全然、暗くならないね(笑)。

亀本:次の曲はちょっと暗くなってからやるイメージだから、5分間くらい話しますか?(笑)。めっちゃ、曲、やったから。

松尾:10曲くらいブッ通しを2回やった(笑)。あ、このギター、今日、初めて使ってます。お披露目です。“シガーボックス・ギター”って言って、葉巻の入ってる箱をボディにしてる。ホントに蓋が開くのね。だから今はテープで留めてあるんだけど。テレキャスターみたいなカラッとした音がするから、次の曲で使いたかったんです。

亀本:もうちょっと話そうよ。今日はお客さんにウィルコやストーンズのカッコいいTシャツの人が多いね。僕たちの音楽を聴いてる人が、他にこういうのが好きなんだって分かって嬉しい。

松尾:MGMTもいる!(笑)。ロックのライブって、カッコつけるところだから嬉しいね。

この日の数少ないMCが、音楽ファン同士のたわいのない会話のようになってしまうことが、GLIM SPANKYの今を表わしている。そんな友達同士のような雰囲気のまま、暮れてきた野音のライブは「美しい棘」で一度、幕を閉じた。

アンコールはすっかり暮れた中、ステージと客席がゆったりと交歓する。亀本が「特に話すことはないんだけど、今日、みんな、見に来てくれて嬉しい! それを言いたかった」と言えば、松尾は「すっごく攻めてるアルバムを今、作ってます。ロックって、反発することだけじゃない。怒りの裏には平和や愛がある。次を楽しみにしていてください」と松尾。そして歌った「大人になったら」は、元々名曲ではあったが、ここ、日比谷野音で演奏されることによって、名実ともに“日本のロックの名曲”になった。それを目撃できたことが、最高に幸せだった。最後の歌「ワイルド・サイドを行け」の♪仲間とこじ開ける未来は絶景さ♪というフレーズが、国会議事堂にほど近い場所で鳴り響く。ヒット曲や派手な演出に頼らず、自分たちのスタイルを貫く、立派なロック・コンサートだった。

取材・文 / 平山雄一

GLIM SPANKY 野音ライブ 2017
2017年6月4日(日)@日比谷野外大音楽堂 セットリスト

01.アイスタンドアローン
02.E.V.I
03.時代のヒーロー
04.褒めろよ
05.ダミーロックとブルース
06.闇に目を凝らせば
07.NIGHT LAN DOT
08.MIDNIGHT CIRCUS
09.お月様の歌
10.風に唄えば
11.太陽を目指せ
12.Freeder
13.NEXT ONE
14.いざメキシコへ
15.Gypsy
16.怒りをくれよ
17.夜風の街
18.美しい棘

EN1.大人になったら
EN2.ワイルド・サイドを行け

9月に3rdフル・アルバムを発売決定!

ライブ

「GLIM SPANKY全国ワンマンツアー」決定!

10/14(土)長野・CLUB JUNK BOX
10/15(日)長野・松本ALECX
10/20(金)熊本・B.9 V1
10/22(日)福岡・DRUM LOGOS
10/28(土)北海道・札幌PENNY LANE24
11/3(金・祝)京都・磔磔
11/5(日)広島・CLUB QUATTRO
11/11(土)石川・金沢EIGHT HALL
11/12(日)新潟・studio NEXS
11/17(金)宮城・仙台Rensa
11/18(土)福島・郡山HIPSHOT JAPAN
11/23(木・祝)大阪・なんばHatch
11/25(土)岡山・YEBISU YA PRO
11/26(日)島根・松江B1
12/2(土)高知・X-pt.
12/3(日)香川・高松DIME
12/9(土)静岡・清水SOUND SHOWER ark
12/10(日)愛知・名古屋DIAMOND HALL
1/5(金)東京・新木場STUDIO COAST
1/6(土)東京・新木場STUDIO COAST

GLIM SPANKY

本物のロックを鳴らす“オーセンティック・ロック”の旗手
Vocal, Guitar :松尾レミ(25歳)
Guitar :亀本寛貴(26歳)

60~70年代のロックとブルースを基調にしながらも、新しい時代を感じさせるサウンドを鳴らす、松尾レミ(Vo/Gt)&亀本寛貴(Gt)からなる男女二人組新世代ロックユニット。2014年に1st ミニアルバム『焦燥』でユニバーサルミュージックよりメジャーデビュー。松尾レミの日本人離れしたハスキーな歌声が、多くのクリエイターを夢中にさせ、既に9つものCMで歌唱を担当。5月13日に配信リリースEP『話をしよう/時代のヒーロー』は iTunesロックアルバムランキング1位を獲得し、各所から注目を集めている。
昨年10月赤坂BLITZにて行ったワンマンライブはソールドアウト。昨年の夏は、JOIN ALIVE、FUJI ROCK FESTIVAL、SWEET LOVE SHOWERに、年末はRADIO CRAZY、COUNTDOWN JAPAN等の大型フェスを総ナメにし、沢山のロックファンを沸かせた。メンバーの野望は「日本語の楽曲で世界に打って出ること」。そして、今夏公開される映画『ONE PIECE FILM GOLD』の主題歌に抜擢。その主題歌が収録された、2ndアルバムを7月20日にリリース。9月から開催された初の全国ワンマンツアーでは、ファイナルの新木場STUDIO COASTまで全13会場をSOLD OUTさせた。4月12日、3rd Mini Album「I STAND ALONE」発売。6月には東京・大阪にて初の野音ライブ開催決定!

GLIM SPANKY オフィシャルサイト
http://www.glimspanky.com/

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