LIVE SHUTTLE  vol. 163

Report

9mm Parabellum Bullet、新作『BABEL』を掲げ、戦う勇姿を見せつけたパフォーマンス

9mm Parabellum Bullet、新作『BABEL』を掲げ、戦う勇姿を見せつけたパフォーマンス

5月10日に7枚目となるアルバム『BABEL』をリリースした9mm Parabellum Bullet。ギタリストの滝 善充の左腕不調という、バンドにとって困難な状況にもかかわらず、“これぞ9mm!”と呼ぶにふさわしい王道サウンド満載で圧倒してくれた(滝はアルバムに全作曲・ギターで参加)。
そんな彼らが3都市ホールツアー〈TOUR OF BABEL〉を開催。6月11日、バンドが誕生した縁の地、横浜にある神奈川県民ホール大ホールで初日公演が行われた。その内容は、新たな挑戦を続ける意欲的な姿と自らが築いてきた土台を再確認する姿を重ね合わせた、刺激的なライブになっていた。

取材・文 / 岡本明 写真(メイン) /橋本 塁(SOUND SHOOTER)


俺たちは苦しいときに戦い抜くことができて、みなさんのおかげでアルバムを作ることができました

この日のライブは意表を突くことだらけだった。まず、全体の構成が2部に分かれ、前半と後半でカラーの異なる内容を展開。さらに、ライブ活動を休止しているギターの滝の代わりにサポートメンバー2名が加わり、ステージの前列に菅原卓郎(vocal, guitar)、中村和彦(bass)、かみじょうちひろ(drums)の3人が横一列に並び、後列にサポートギタリストが並ぶという珍しい光景。特に、かみじょうのドラムがこんなに前にセットされたのは初めてだ。そのせいもあり、9mmを見慣れた観客にとってもかなり新鮮で強いインパクトを与えたことだろう。

photo by 西槇太一

前半にあたる第一部は“LIVE OF BABEL”と題して、アルバム『BABEL』の曲を曲順どおりに演奏。マイナーのメロディが印象的な「ロング・グッドバイ」で始まり、アッパーな「Story of Glory」、目まぐるしく変化していく曲構成の「I.C.R.A」と、間髪を入れずに突き進んでいく。まだ馴染みのない楽曲ばかりが続く流れに最初は戸惑いを隠せない観客たちだったが、新作からの曲だけでブロックを固めていることを次第に理解すると、アルバムの世界観に入り込んでいく。

photo by 西槇太一

「ガラスの街のアリス」はイントロから一気に引き込まれていく曲で、ギターリフも哀愁のサビも含め、彼ららしさに溢れた作品。ライブでもその魅力が最大限に発揮されていた。湿度のあるメロディの「眠り姫」でしっとりと聴かせたあとは、キレのあるリズムの「火の鳥」「Everyone is fighting on this stage of lonely」と続き、じわじわと高まる「バベルのこどもたち」でピークへと繋いでいく。

そして、映像が浮かぶような「ホワイトアウト」、テンポチェンジを繰り返したり、朗読調の歌詞を入れたりと多彩な要素で作られた「それから」でこのブロックの最後を締め括った。

photo by 橋本 塁(SOUND SHOOTER)

アルバムを一枚丸ごと見事に再現してみせた彼らに盛大な拍手が送られたあと、短いインターバルを経て始まった第二部は“OUTSIDE OF BABEL”。ステージにSEが流れ、バックドロップが上がると、一気にいつもの9mmのライブの空気が生まれる。

6月7日にリリースされた最新シングル「サクリファイス」では重量感のあるリズムに乗せた力強い歌詞が迫り、会場が沸く。全員が一丸となって鉄壁のアンサンブルを聴かせる「The Revolutionary」、中村のベースが間奏で輝く「ダークホース」と、攻撃的なナンバーが押し寄せる。

photo by 西槇太一

「みんなありがとう。〈TOUR OF BABEL〉へようこそ。驚いたね、第一部。聞かされてないよね(笑)。第一部はアルバム『BABEL』の曲順どおりに演奏しました。このツアーをやるにあたって俺たちは知恵を絞ったんですけど、『BABEL』は1曲目から10曲目まで聴いて完成だと思うので、そのままやってしまおうと。新しいアルバムを出すと毎回違った一面が発見されて、どのアルバムも実は繋がっているんじゃないかと感じるんです。『BABEL』は完成度の高い一枚だと思いますけど、にもかかわらず、昔のアルバムと繋がりがあるように感じます。だから第二部は“OUTSIDE OF BABEL”、BABELの外側というタイトルで、ここからは今までの俺たちと『BABEL』の繋がりを感じながら聴いてもらいたいと思います」(菅原)

photo by 西槇太一

濃厚なギターサウンドの「Keyword」、練り上げられたメロディが刻まれる「黒い森の旅人」と深みのある楽曲が続き、中村がアップライトベースに持ち替えて絶妙なシャッフルビートを聴かせる「キャンドルの灯を」で、その深みを極めていく。

「はたから見たら、アルバム作れるのかっていう事態でも、『BABEL』というアルバムが作れて誇りに思っています、ありがとう。俺たちは苦しいときに戦い抜くことができて、みなさんのおかげでアルバムを作ることができました。『BABEL』がこれから、みなさんが戦わないといけないとき、みなさんが立ち向かわないといけないとき、力を与えてくれるアルバムになってくれたらいいと思っているので、これからも付き合いをよろしくお願いします」(菅原)

photo by 橋本 塁(SOUND SHOOTER)

滝のライブ活動休止という事態を乗り越え、素晴らしいアルバムを完成させることが出来たという自信に満ちたMCのあと、後半に向けてさらに盛り上げていく。「インフェルノ」で熱気を高め、希望の光を感じさせる歌詞と共にバンドの勢いを全開にした迫力の「新しい光」でパワフルに突き上げる。続けざまに「ハートに火をつけて」のスカビートで会場全体が踊り、彼らのライブにとって欠かせない高速ナンバー「Cold Edge」「Punishment」で最高潮に達してラストを迎えた。

バンドにとって苦しい時期に作り上げたからこそ、自らの個性を見つめ直すことができた最新作『BABEL』。菅原が語っていたように、これまでの彼らの作品との繋がりを感じさせつつ、バンドの未来を見据えたアルバムは、ライブの中で揺るぎない誇りへと生まれ変わっていた。それは、自信に裏付けられた楽曲たちが再現を超えてスケールアップした姿を目撃した瞬間だった。

9mm Parabellum Bullet〈TOUR OF BABEL〉2017.6.11@神奈川県民ホール大ホール SET LIST

LIVE OF BABEL
M01. ロング・グッドバイ
M02. Story of Glory
M03. I.C.R.A

M04. ガラスの街のアリス
M05. 眠り姫
M06. 火の鳥
M07. Everyone is fighting on this stage of lonely
M08. バベルのこどもたち
M09. ホワイトアウト
M10. それから
OUTSIDE OF BABEL
M01. サクリファイス
M02. The Revolutionary
M03. ダークホース
M04. Keyword
M05. 黒い森の旅人
M06. キャンドルの灯を
M07. インフェルノ
M08. 新しい光
M09. ハートに火をつけて
M10. Cold Edge
M11. Punishument

リリース情報

9th SINGLE「サクリファイス」

2017年6月7日発売
GNCA-0498 ¥1,500(税別)
01. サクリファイス
02. 午後の鳥籠
03. インフェルノ Live Track From TOUR 2016 “太陽が欲しいだけ” 16.10.30 at Zepp Namba

9mm Parabellum Bullet(キューミリ パラベラム バレット)

菅原卓郎(vocal, guitar)、滝 善充(guitar)、中村和彦(bass)、かみじょうちひろ(Drums)。
2004年に結成。2007年に『Discommunication e.p.』でメジャーデビュー。初の日本武道館公演を2009年に実現し、2014年には2デイズ公演も開催。2017年は、5月に7thアルバム『BABEL』、6月にテレビアニメ『ベルセルク』第2期オープニングテーマを含む9th シングル「サクリファイス」をリリース。9月には、THE BACK HORN・Nothing’s Carved In Stoneの3バンドによるスプリットツアーも敢行。

オフィシャルサイト

Pyramid ACT 〜KYO-MEI〜

9月9日(土)Zepp Osaka Bayside
9月13日(水)DIAMOND HALL
9月14日(木)Zepp Tokyo

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