LIVE SHUTTLE  vol. 165

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「お前の声で天下獲れる」。THE ORAL CIGARETTES、初の武道館公演で見せた、熱い覚悟

「お前の声で天下獲れる」。THE ORAL CIGARETTES、初の武道館公演で見せた、熱い覚悟

2月1日に最新アルバム『UNOFFICIAL』をリリースし、ツアーやイベント出演にと精力的に活動をしている彼らが、〈UNOFFICIAL DINING TOUR2017〉の追加公演として、6月16日に自身初の日本武道館ワンマンライブを開催。決して平坦ではなかったバンドの歴史にとって、大きな一歩を踏み出したライブとなった。

取材・文 / 岡本明
写真(メイン)/ Viola Kam (V’z Twinkle Photography)


あなたたちがいてくれるから、この武道館も思い入れあるものになりました。大切なものになりました

オープニング映像が映し出された紗幕にメンバーのシルエットが浮かぶと大歓声が沸き起こり、ボーカル&ギターの山中拓也が歌い始めると、そこにスポットライトが。1曲目の「5150」が始まるとともに幕が振り落とされ、華やかにライブがスタートした。スピード感溢れる演奏に一気に突き進み、炎が上がる演出もあって会場全体が最初から異様な熱気に包まれる。

photo by鈴木公平

間を開けずに「Shala La」に突入。“武道館!”を歌詞に盛り込んだりと、会場を沸かせる。鈴木重伸がカラフルなギターで迫り、ドラムの中西雅哉とベースのあきらかにあきらが生み出す厚いリズム隊の「カンタンナコト」で魅了したあとは、「飛ばしていくぞ、武道館!」と山中が煽り、16ビートで観客を踊らせる「悪戯ショータイム」で熱気を高めていく。さらに、「CATCH ME」ではレーザービームがふんだんに飛び交い、印象的なサビのフレーズを観客が大合唱。

photo by Viola Kam (V’z Twinkle Photography)

「もうすでに楽しすぎます、本当に集まってくれてありがとう。いままでロックバンドの先輩たちがこの場所に立って、いろんな歴史を築いてきたと思います。俺たちもその武道館の歴史に今日、名前を刻めるのが嬉しい。みんながここまで連れて来てくれた、本当にありがとう。これから武道館、2回、3回、4回と絶対やっていくバンドになるから。でも誰にとっても初めては特別やろ? その初めてを今日、みんなとガッツリ共有したいと思います」(山中)

photo by鈴木公平

鋭いビートにギターリフが絡む「A-E-U-I」、タオル回しで場内が盛り上がる「STARGET」、山中が「武道館でこの曲を歌うのを楽しみにしていた」という「嫌い」と、曲が繋がって進んでいく。特に「嫌い」は山中の感情の起伏がそのまま直結したようなエモーショナルなボーカルが存在感を発揮していた。

photo by Viola Kam (V’z Twinkle Photography)

色彩感溢れるギターのフレーズとダークなメロディが耳に残る「WARWARWAR」のあと、ドラムの中西、ギターの鈴木、ベースのあきらの3人がソロコーナーを展開。短い中にもそれぞれのテクニックが詰め込まれた場面が光っていた。

photo by Viola Kam (V’z Twinkle Photography)

「それにしてもシゲ、でかいな。見てて思ったけど」と、山中が鈴木の高身長をいじりながら始まったコミカルなMCで、「俺を見て、何か気づくことない?」(山中)とメンバーに話を振るが、「首を伸ばした?」(鈴木)、「唇、変えた?」(中西)と散々なボケが返ってきて、「違う! 俺、ディスられてるやん(笑)。衣装変えてきたんや。気づくやろ! お前らマジで“気づけよBaby”!」と、次の曲へのフリに結びつける。

photo by鈴木公平

骨太なリズムに切ないメロディを乗せた「気づけよBaby」、雪の結晶の映像をバックに山中のファルセットが冴える美しいバラードナンバー「不透明な雪化粧」と、クオリティの高い楽曲が連続する。そして、光の粒の映像とミラーボールの反射光が巧みに混ざり合った演出がドラマチックな曲調をさらに増幅してみせた「エンドロール」がライブ前半のピークを作り上げた。

photo by鈴木公平

一転、ステージ上には“キラーチューン祭り”の文字がビジョンに映し出され、期待度と興奮度を高める。
「2013年、この曲からキラーチューン祭りが始まりました」と、「Mr.ファントム」。
「2014年、メジャーデビューした年、この曲が俺たちの強さを引き出してくれました、俺たちを這い上がらせてくれました」と、「起死回生STORY」。
この後も山中の紹介コメントに導かれ、次々に曲が演奏されていく。

photo by Viola Kam (V’z Twinkle Photography)

「2015年、つらいことのほうが多かった気がします。歌うのも正直、嫌になった。でも、目の前にいるあなたたちが間違いなく、俺たちの光でした。諦めなくて本当に良かったって、今思っています。きっと俺たちがどんな状況になっても、あなたたちは見てくれているんだろうなって。この曲があったからだと思うんです。いつもそばで、気づけば寄り添ってくれていた、大切な曲」という紹介で「エイミー」を歌い始める。ピュアな想いを綴った言葉とまっすぐなメロディがシンプルなサウンドとともに響き、会場が感動的な空気に包まれた。

photo by Viola Kam (V’z Twinkle Photography)

さらに続けて、「2015年、俺たちにとってすごいデカい年だった。つらい思いもした。俺たちだって苦しいことはいっぱいある。でも何かが救ってくれる、この曲が救ってくれました」と語り、「狂乱 Hey Kids‼」へ繋いでいく。この真摯な言葉は、困難な状況にぶつかっても立ち上がろうとする彼らの姿を見てきたファンにとっても大きな共感を呼んだはずだ。

photo by鈴木公平

そして、山中はハンドマイクでステージ上を左右に走り、拳を振り上げながらコール&レスポンスを繰り返し、「DIP-BAP」で踊らせ、「2017年、自分は自分らしく、それだけでいい。他人に合わせる必要なんかない。自分を生かせ!」と叫び、「リコリス」を披露。ギターリフの細かさとサビのメロディの解放感が輝きを放つ。

photo by Viola Kam (V’z Twinkle Photography)

「今日は楽しかった。本当にありがとうございました。たくさんの人の前に出て思うことがあります。自分の声は全員にはウケません、全員の心には響きません。昔から声が低いのがコンプレックスでした。でも、メンバーやスタッフが“お前の声で天下獲れるよ”って背中を押してくれました。それがなかったら俺は歌ってなかった。だから、歌わせてもらっているだけで俺は幸せです。声が嫌いと言われても結構。俺にはこの声しかないし、この声でしか伝えられない。俺たちは今日の武道館を通過点だと言い張っていました。俺たちは関西だから武道館に思い入れはないって。でも、今日やってみて気づきました。俺たちは、俺たちを受け入れてくれる、応援してくれる人で埋まっている武道館に思い入れがある。あなたたちがいてくれるから、この武道館も思い入れあるものになりました。大切なものになりました。本当に好きでいてくれてありがとう。だから、最後にここにいる人全員に愛を歌って帰ります」(山中)

最後に用意されていたのは「LOVE」。手拍子とサビのフレーズを何度も繰り返しながら、全員が笑顔のまま最高のエンディングを迎えた。

photo by Viola Kam (V’z Twinkle Photography)

盛大なアンコールにこたえて登場した4人。「ここから、この4人の船が大きく動き出します。みんなに乗って欲しいし、これから作る景色にあなたたちが映っていることを願ってます。これからのオーラルを示すシングルが出来たので、ライブで初めて披露します」という山中のMCで、2日前にリリースされたばかりの最新シングルから「トナリアウ」を演奏。これまでとカラーの違う曲調であり、伸びやかなメロディや爽快感のあるサウンド、色気のあるファルセットなど、彼らの新たな面を感じさせる作品だ。

photo by鈴木公平

そして、この日のラストは同じく最新シングル曲の「ONE’S AGAIN」。「あなたがかっこいい人間たちと一緒にいれば、絶対かっこよくなる、強さをもらえる。でも、弱いからってずっと弱い人間と一緒にいるなら、そのままずっと弱いままだ。何かひとつ強くなりたいなら、強いヤツやかっこいいヤツと一緒にいてください。もし周りにいないなら、俺たち4人がかっこいい友達になってやる。そういう場所にしたい、オーラルのフロアをかっこいいヤツだけで埋め尽くしたい。それが俺たちの進む道です。覚悟の歌です」と山中が語気を強めて紹介。憂いを秘めたメロディに込めた強い気持ちが見事にフィナーレを飾った。

photo by Viola Kam (V’z Twinkle Photography)

最後に、2018年2月15日の大阪城ホール公演決定に加え、今年9月30日公開映画『亜人』の主題歌も担当することが告知された。

「『亜人』もダークサイド、我々オーラルにぴったり。ダークサイドでてっぺんを取っていきたいと思います。これからの時代を変えていくから、ついてこいよ!」(山中)

MCにもあったように、山中の声帯ポリープ手術など苦しかった時期をくぐり抜け、アーティストとしても人間としても大きく成長したメンバーたちのリアルな足跡を刻んだ、初めての武道館ライブ。最新アルバム『UNOFFICIAL』からの曲と代表曲がバランスよく配置された内容は、これまでの歩みと現在の彼らの立ち位置をしっかりと示していた。ここからさらにジャンプアップしていく彼らを確信させる、新たな原点となる武道館ライブだった。

THE ORAL CIGARETTES UNOFFICIAL DINING TOUR2017 2017.6.16@日本武道館 SET LIST

M01. 5150
M02. Shala La
M03. カンタンナコト

M04. 悪戯ショータイム
M05. CATCH ME
M06. A-E-U-I
M07. STARGET
M08. 嫌い
M09. WARWARWAR
M10. 気づけよBaby
M11. 不透明な雪化粧
M12. エンドロール
M13. Mr. ファントム
M14. 起死回生STORY
M15. エイミー
M16. 狂乱 Hey Kids!!
M17. DIP-BAP
M18. リコリス
M19. LOVE
EN01. トナリアウ
EN02. ONE’S AGAIN

THE ORAL CIGARETTES(ジ・オーラル・シガレッツ)

山中拓也(vocal, guitar)、鈴木重伸(guitar)、あきらかにあきら(bass, chorus)、中西雅哉(drums)。
2010年に奈良県にて結成。2012年に〈MASH A&R〉にて初代グランプリを獲得。2013年1stミニアルバム『オレンジの抜け殻、私が生きたアイの証』を発表。2014年に上京、拠点を東京に移す。2017年は、2月に3rdアルバム『UNOFFICIAL』を、6月に7thシングル「トナリアウ/ONE’S AGAIN」をリリース。11月より〈唇ワンマンツアー 2017 AUTUMN〉を敢行するほか、来年2月15日には大阪城ホールでのワンマンライブが決定。また、映画『亜人』(9月30日公開)の主題歌を担当することも発表された。

オフィシャルサイト

唇ワンマンツアー 2017 AUTUMN

11月1日(水)Zepp Osaka Bayside
11月8日(水)Zepp NAGOYA
11月9日(木)Zepp NAGOYA
11月17日(金)Zepp Sapporo
11月24日(金)BLUE LIVE HIROSHIMA
12月5日(水)新木場 STUDIO COAST
12月6日(木)新木場 STUDIO COAST

唇ワンマンライブ 2018 WINTER

2018年2月15日(木)大阪城ホール

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