フロム・ソフトウェアのアクションRPGが死ぬほど面白い理由  vol. 2

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『ダークソウルⅢ』ゆるいネットワーク機能がスゴい

『ダークソウルⅢ』ゆるいネットワーク機能がスゴい

ゲームのリリースから時間を経てなお、細かなアップデートやレギュレーション配信によってゲームバランスの調整を行い、ユーザーのプレイ環境を向上させ続けている『ダークソウルⅢ』。

本稿では、ユーザー間に緩やかなつながりを持たせる『ダークソウル』シリーズのネットワーク機能に着目し、その魅力、プレイヤーにもたらす効果を追求していく。ほかのプレイヤーたちも同じエリアを攻略していることを間接的に実感させる非同期型のオンライン要素、ソロプレイからシームレスに移行できるマルチプレイなど、シリーズ独自の機能は『ダークソウル』ならではのゲーム体験を作り出している。

文 / 村田征二朗


ヒントにも罠にもなるメッセージ

ゲームをインターネットに接続することでほかのプレイヤーとのやり取りが可能になるオンラインプレイ。現在では大部分のゲームに実装され、そのバリエーションも豊富です。対人プレイや協力プレイといった、リアルタイムでほかのプレイヤーとのやり取りが楽しめるものから、アイテムの交換や売買といった単純な取引まで、さまざまなオンライン要素があるなか、人によってオンラインプレイの好き嫌いがあることは改めて言うまでもないでしょう。

マルチプレイがまったくないというと、いまの時代では物足りなく感じてしまいますが、逆にマルチプレイを前提とした対戦がメインのゲームだと、ひとりでじっくり遊びたい派のゲーマーは“自分には関係のないゲーム”としてそっぽを向いてしまいます。しかし、マルチプレイを楽しみたい人、ひとりでじっくり遊びたい人、そのどちらも楽しめてしまうのが『ダークソウル』シリーズ、およびそのオンライン要素なのです。

『ダークソウル』シリーズにもマルチプレイは実装されていますが、まず注目したいのは、ほかのプレイヤーが同じタイミングで遊んでいる必要がない、いわゆる非同期型のオンライン要素です。これがマルチプレイと並んで『ダークソウル』のオンラインプレイを面白いものにしており、なかでも定型文にさまざまな単語を組み合わせて伝言を残すことができる“メッセージ”機能は、オンライン、つまり人間同士のやり取りならではの駆け引きを生み出してくれます。

▲「この先、〇〇が必要だ」、「〇〇の予感……」といった文に単語を組み合わせて、そのとき立っている場所にさまざまなメッセージを残すことが可能です

初めて訪れるマップで遭遇する敵に対する有効な武器を知ることができたり、隠された罠を未然に発見できたりと、メッセージに残されたヒントが攻略の大きな助けとなることは決して少なくありません。この直接的ではない助け合いが、プレイヤー間に緩やかなつながりとも言える連帯感を持たせてくれます。

しかし、メッセージを残すのは人間であり、その事実がメッセージを単なるヒント機能とは違うものにしています。正しく攻略のヒントをくれる人もいれば、当然ながらほかのプレイヤーにちょっとしたイタズラを仕掛けてやろうという人もいるわけです。『ダークソウル』シリーズでは、一見何もない壁を攻撃すると壁が消えて隠された通路が見つかる、などの探索要素があるのですが、ときおり隠し通路も何もない壁に向かって「隠し通路」などと書かれていたりすることもあります。プレイヤーたちが自由にメッセージを残していくので、本当のヒントの中にさりげなくそういった嘘メッセージが紛れ込むことになり、初見ではうっかり騙されてしまうことも珍しくはありません。

▲見つけたメッセージが本当か嘘か、最終的に判断するのはプレイヤーです。鵜呑みは厳禁ですが、信じてみればいいことがあるかも……?

メッセージのシステムは、プレイヤー同士がお互いにヒントを残していくという点でも面白いのですが、それがヒントにも罠にもなり得るという作りは、人間同士のやり取りというオンラインプレイ最大の特徴をじつに上手く活かしています。

メッセージは読んだ後に評価することができるようになっており、自分が書いたメッセージが評価されると体力が回復するといったご褒美要素もあります。評価された回数はメッセージ閲覧時に表示されるため、その評価数が信憑性の指標にもなります。しかし、案外嘘メッセージも評価されていることが多く、気を抜くことはできないのが人間らしさを感じさせます。

また、嘘メッセージとはちょっと違いますが、ちょっとした段差の上など、ダッシュジャンプや落下を上手く使わないと到達できないような場所に書き込まれたメッセージもあります。そういった場所に書かれているメッセージは往々にして攻略には関係ありませんが、簡単に読めない位置にあると無性に読みたくなるというもの。ジャンプして段差に乗れたと思ったら着地時のローリングで落下してしまうなど、狭い段差に乗るのは案外難しく、そのぶん上手い具合に着地できたときには小さな達成感が得られます。メッセージの内容だけでなく、設置する位置によってプレイヤー同士の遊びが発生するというのも、メッセージ機能の面白さです。

▲『ダークソウルⅢ』ではメッセージとともにジェスチャーを残すことができ、ポージングを活かしたヒントやネタのメッセージが各所に散らばっています

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