モリコメンド 一本釣り  vol. 21

Column

BLACKPINK 8月日本デビュー。代表曲のMV再生回数1億2000万回以上の驚異的な人気の秘密

BLACKPINK 8月日本デビュー。代表曲のMV再生回数1億2000万回以上の驚異的な人気の秘密

“新世代K-POPガールズグループ”と称されるニューカマーが次々と登場している。「2015 Mnet Asian Music Awards 新人賞」を受賞した韓国人、日本人、台湾人の混成グループ“TWICE”、BoA、東方神起、少女時代などが所属するSMエンターテインメントが送り出すRed Velvet、ピュアなルックスが魅力の“GFRIEND”、セクシーなパフォーマンスで注目を集めている“D.HOLIC”など個性豊かなグループがひしめき合っているなか、2016年8月のデビューから1年足らずで、一気にブレイクを果たしたグループが存在する。今年8月に日本でも本格的な活動をスタートさせる“BLACKPINK”。BIGBANG、WINNER、iKONなどを擁するYG ENTERTAINMENTからデビューした4人組だ。

BLACKPINKのメンバーは、JENNIE(ボーカル/ラップ)、LISA(ラップ)、JISOO(ボーカル)、ROSE(ボーカル)。2016年6月に1人ずつメンバーを発表し、ビジュアルの良さをアピール。7月には4人のダンスをYouTubeで公開、パフォーマンスセンスの高さを示した後、8月に韓国でショーケースライブを開催。デビュー作「Square One」の収録曲「WHISTLE」「BOOMBAYAH」のMVが公開されると、3日間で再生回数1000万回を突破。注目度は爆発的に上がった。

BLACKPINKの最大の魅力は、楽曲のクオリティの高さだ。現時点における代表曲「BOOMBAYAH」(YouTubeでのMV再生回数は1億7000万回を突破/2017年7月1日現在)は、最新鋭のEDM、ヒップホップをベースにしたナンバー。一瞬でインパクトを残すイントロのメロディ、バウンシーかつアッパーなトラック、スキルフルなラップとオリエンタルな雰囲気のボーカルラインなど多彩な要素がバランスよくまとめられ、まさに全世界標準のダンス・ポップ・チューンに仕上がっているのだ。基本的には現在のヨーロッパ、アメリカのトレンドに沿ったプロダクションなのだが、アジア的なエキゾチズムを効果的に取り入れることで“韓国発”というイメージも強く伝わってくる。なによりも強烈なのだが“YAH YAH YAH,BOOMBAYAH”と連呼されるサビのフレーズ。最新のエレクトロ・トラックとアジア音階の融合は、このグループの基本フォーマットと言っていいだろう。

「WHISTLE」はドープなヒップホップ系のトラックを軸にしたミディアムチューン。アンダーグラウンドな香りが漂うフロウとキャッチ—なサビのメロディをナチュラルにつなげることで、幅広いポピュラリティを獲得しているのだ。こちらのMVの再生回数は1億2000万回以上。この波及力は驚異的と言うしかない。

楽曲プロデュースを担当しているのは、BIGBANG、2NE1、G-DRAGONの楽曲などを数多く手掛けている1978年生まれのプロデューサー・TEDDY。韓国で生まれ、中学、高校の多感な時期をアメリカで過ごした彼のハイブリッド感覚は、現在のK-POPの音楽的な充実の大きな要因となっている。ダンスミュージック、ブラックミュージック、韓国の伝統的な音楽を融合させた彼のスタイルの最新モデルがBLACKPINKのサウンドに強く反映されていることはまちがいないだろう。
 
デビューからわずか10カ月で、BLACKPINKの知名度、セールス力は全世界に広がりつつある。今年6月にリリースされた新曲「最後のように(AS IF IT’S YOUR LAST)」は18カ国のiTunesグローバルチャートで1位を獲得。アジア各国はもちろん、アルゼンチン、ペルー、コスタリカなどの南米での人気も高い。ちなみに彼女たちは今年の春に南米ツアーを行い、熱狂的に迎えられたという。もともとアメリカ志向の強いK-POP勢だが、BLACKPINKの人気ぶりはワールドワイドなグループの誕生を予感させる。

K-POPが積極的に海外に進出する背景には、韓国国内だけではビジネスとして成り立ちづらいという要因がある。EDM、エレクトロ、ヒップホップを基本にした音楽性は世界のリスナーを想定した当然の結果だが、そのクオリティと独創性はここにきてさらに上がっている印象を受ける。国内のマーケットが大きいため、良くも悪くも“日本人向け”のプロダクションになりがちな日本のアーティストとの音楽的な違いは、そのあたりから生まれてくるのだろう。もちろん“どちらが優れているか?”という話ではないが、日本のも“海外に視野を向けた音楽”がもう少し増えてもいいのにな、とは思う。

BLACKPINKは7月20日(木)、日本武道館でプレミアム・デビュー・ショーケース・ライブを開催。さらに8月9日(水)には、「BOOMBAYAH」「WHISTLE」「AS IF IT’S YOUR LAST」などを収録したデビューミニアルバムがリリースされる。K-POP特有の派手なルックスとインパクトのあるダンスパフォーマンスだけではなく、音楽的な質の高さも兼ね備えたBLACKPINKの存在は、第2次K-POPブームの大きなきっかけとなりそうだ。

文 / 森朋之

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