Interview

映画『昼顔』主題歌含む、4年ぶりのアルバム。「歌モノのLOVE PSYCHEDELICO」、その魅力を探る

映画『昼顔』主題歌含む、4年ぶりのアルバム。「歌モノのLOVE PSYCHEDELICO」、その魅力を探る

今年で結成20周年を迎えるLOVE PSYCHEDELICO。4年ぶりの新作アルバム『LOVE YOUR LOVE』は、「Might Fall In Love」や「Feel My Desire」に象徴される新たな試みと、「Place Of Love」や「Good Times, Bad Times」といった楽曲に凝縮された普遍性が共存する素晴らしい作品だ。長きにわたる活動を通じて完成された音楽世界に甘んじることなく、その先でまだ見ぬ素晴らしき世界を積極的に追い求める彼らに話を訊いた。

取材・文 / 小野田雄


絶妙なアンサンブルが今回のアルバムを象徴している

前作アルバム『IN THIS BEAUTIFUL WORLD』以来となる新作アルバム『LOVE YOUR LOVE』ですが、作品完成までの4年間を振り返っていただけますか?

NAOKI この4年の間にベスト盤のリリースやツアー、アコースティックライブがあったんですけど、その時その時で新しい流れを作ることを意識しつつ、そのひとつひとつときっちり向き合いたかったということもアルバム完成まで時間がかかった要因でもあり。

KUMI そうした活動と並行して、シングル一曲を単発で作ることはできても、アルバムを作ろうとはならなくて。なぜなら、多くの曲は徐々に変化して、ある程度完成するまでには数ヵ月かかるので、制作にはまとまった期間がどうしても必要だったんです。

時間をかけて練り上げられた楽曲の中でもアルバム冒頭の2曲「Might Fall In Love」と「Feel My Desire」は、LOVE PSYCHEDELICOにとって新機軸となる楽曲です。「Might Fall In Love」は、パーカッションのグルーヴと熱く哀愁感が漂うギターはラテン音楽からの影響を強く感じさせるものですよね。

NAOKI 「Might Fall In Love」は、(2010年のアルバム『ABBOT KINNEY』以降の作品やライブにも参加している伝説的パーカッショニスト)レニー(・カストロ)が数年前にプライベートで日本に来たとき、「せっかく日本にいるなら、レコーディングしようよ」ということになって、以前からあったラテン音楽のアイデアをもとに、まずはリズムトラックを録音したんです。ラテン音楽は自分たちの得意分野ではないんですけど、彼と一緒に音を出すようになったからこそ生まれてきたグルーヴ、楽曲なんですよね。そして、リズムトラックを完成させたあと、その先のメロディや歌詞を含め、作品として形にしていきました。

KUMI この曲でやっているのは、ラテンミュージックそのものではなく、自分たちの音楽にラテンミュージックの要素を取り入れたラテン風なんですよ。そういう遊び心を形にする余裕が、今の自分たちには生まれたということなのかもしれないですね。

そして、2曲目の「Feel My Desire」は単にストリングスアレンジを施しただけでなく、ストリングスが曲の一部に組み込まれて、メインリフの役割を果たしています。

NAOKI あのストリングスパートは、もともと、KUMIがベースで弾いたフレーズなんですよ。それを(擬似的なストリングスを鳴らすことができる鍵盤楽器)メロトロンで弾き直したんですけど、その音では満足できなくて。だから、本物のストリングスに置き換えようということになって、自分たちでシンセサイザーを重ねて仮のストリングスアレンジを組んで、譜面に起こしてもらうところからアレンジャーの安部潤くんに入ってもらいました。13人編成のストリングス隊が同じラインを重ねて録って、さらに別ラインでも同じことをやってるから、トータルで50人近い編成で音に厚みを出したんですけど、仰々しい曲にはしたくなかったので、あくまでギターの代わりにストリングスがいるようなイメージのバンドサウンドになっています。

ストリングスといえば、映画『昼顔』主題歌の「Place Of Love」は、「Feel My Desire」とは異なるクラシカルかつエモーショナルなストリングスアレンジによって、切ない感情が最大限に引き出されていますよね。

NAOKI そうですね。この曲のAメロとサビが最初にあって、そこからストリングスのアレンジを思いついて、制作が一気に進みました。ただし、ストリングスの曲を作りましょうってことでそういう曲を作ってもしょうがないというか、そのフレーズが鳴ったとき、過去の何か、もしくは未来の何かをイメージさせる大切な何かが存在しないと、ただ大袈裟なだけのストリングスになってしまうんで。でも、この曲が聴き手それぞれにイメージさせるものは多少違ったとしても、誰が聴いても、共通する何かを思い起こさせる、そういうストリングスになっているんじゃないかなって思いますね。

誰もが共通してイメージする「何か」というのは、LOVE PSYCHEDELICOの音楽が持つ普遍性だと思いますが、その「何か」を生み出すための秘密とは?

NAOKI でも、特別なことをやろうとは思っていないんですよ。ゼロからイチを生み出すアーティストはもちろん素晴らしい。でも、1を10にしたり、1を2にして3を次の世代に届ける人も大切だと思うんです。自分たちは1を10にすることで、人から人、時代や国を越えてバトンを渡したいうという、そんな意識なんですけどね。

今回のアルバムは新しい試みに加え、歌モノとしてのLOVE PSYCHEDELICOの魅力が凝縮されていますね。

NAOKI そのとおりのアルバムになりましたね。メロディとの関わり方やコードの楽しみ方とか、以前から僕らが持っていた要素ではあるんですけど、今回はいままで前面に出てきてなかった、そうした部分が膨らんだ作品になったと思います。

KUMI 人それぞれ好きなツボで聴ける音楽。ひとつひとつの楽器は一生懸命演奏しているんだけど、何気ないセッションで、何かが主役になるんじゃなく、でも、すべてが揃わないと成立しないような、そういう絶妙なアンサンブルが今回のアルバムを象徴しているんじゃないかなって。

2014年に配信リリースされた「Good Times, Bad Times」は、前作アルバム『IN THIS BEAUTIFUL WORLD』以降の最初のシングルですが、今にして思えば、この曲が今回のアルバムのムードを物語っていたということになりますね。

NAOKI そうですね。今回のアルバムは、結果的に「Good Times, Bad Times」以降のモードを映し出した作品になったなって。たしか、「Good Times, Bad Times」のときのインタビューで「歌モノのLOVE PSYCHEDELICOを自分でも聴いてみたい」という話をしていたんですけど、そのとおりのアルバムになりましたね。今回はその部分が膨らんだという感覚があるし、このアルバムで「Good Times, Bad Times」がそれ以降の曲と並んでいるのは、自分たちにとって自然なことなんですよ。

さらに今回は、KUMIさんがいままで以上にいろんな楽器を演奏していますよね。各種ギターにウクレレ、マンドリン、シタール、ベース、ドラム。鍵盤もオルガン、エレクトリックピアノ、クラヴィネット、メロトロンと、実に多彩ですよね。

NAOKI KUMIの演奏があまりに素晴らしいので、次々に新しい鍵盤をスタジオに導入して、それによって、KUMIが鍵盤を弾く頻度が高くなったんですよ。

KUMI 私は楽器を弾くのがすごい好きなんですけど、どれもちゃんと習ったり、練習したことがないので、スタジオで弾いて遊んでいるだけなんです。でも、そうやって遊んでいると、NAOKIが「録ってみようか?」って言ってくれる。それが自然な流れで作品に反映されましたね。

そして、これまでスタジオエンジニアにお願いしていたアルバムのミックス作業をご自分たちで手がけたそうですね。

NAOKI 長らく音楽を作り続けてきて、自分たちのやり方が完成してきてしまって、そのやり方を続けたら、居場所が窮屈になってしまうように思ったので、その完成されたやり方を変えたかったんです。でも、振り返れば、デビュー以前は自分たちでミックスしていたわけだから、今回は、LOVE PSYCHEDELICOを結成した20年前に立ち返った作品ということなのかもしれない。

KUMI ただ、今回、アルバムのミックスを自分たちでやっちゃったから、次からはミックスまでが自分たちの曲作りの一環になっちゃうんだろうし、曲やアンサンブルの発想、録音の仕方も大きく変わるんでしょうね。

NAOKI そういう意味で『LOVE YOUR LOVE』は自分たちの初期衝動をパッケージ化することを実験的に始めたアルバムということになるのかもしれません。


LOVE PSYCHEDELICO
『NEW ALBUM PREVIEW LIVE「How is your Love?」』

GYAO! MUSIC LIVEにて4月17日に東京・EX THEATER ROPPONGIにて行われた〈NEW ALBUM PREVIEW LIVE『How is your Love?』〉のライブ映像を配信中。
【配信期間】2017年6月26日~2017年7月16日

GYAO! MUSIC LIVE

LOVE PSYCHEDELICO (ラブ サイケデリコ)

KUMI(vocal,guitar & keyboards)、NAOKI(guitars, bass guitars)。2000年4月にシングル「LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~」でデビュー。翌年1月に発表された1stアルバム『THE GREATEST HITS』が200万枚を超える驚異的なセールスを記録。現在までにシングル14枚、オリジナルアルバム6枚をリリース。2017年7月に4年ぶりとなるオリジナルアルバム『LOVE YOUR LOVE』をリリース、9月から全国ツアーを開催。本作収録の「Place Of Love」は映画『昼顔』主題歌。
オフィシャルサイト

LOVE PSYCHEDELICO Live Tour 2017 LOVE YOUR LOVE

9月1日(金)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
9月9日(土)宮城県 Rensa
9月10日(日)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
9月24日(日)大阪府 Zepp Namba
10月1日(日)北海道 札幌PENNY LANE24
10月6日(金)香川県 高松オリーブホール
10月13日(金)愛知県 Zepp Nagoya
10月14日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
10月27日(金)新潟県 新潟LOTS
11月10日(金)福岡県 DRUM LOGOS
11月17日(金)石川県 金沢EIGHT HALL
11月24日(金)東京都 中野サンプラザホール