モリコメンド 一本釣り  vol. 22

Column

ビッケブランカ イケメンで“ピアノを弾きながら歌う、ポップでロックなシンガーソングライター”に注目

ビッケブランカ イケメンで“ピアノを弾きながら歌う、ポップでロックなシンガーソングライター”に注目

メジャーデビュー作「Slave of Love」のタイトルチューン「Slave of Love」がGoogle Play MusicのCMソング、「Ntural Woman」がen NaturalグリーンスムージーのCMソングとしてオンエア。
さらにTV番組「テラスハウス」の挿入歌になるなど、さまざまなメディアを通して知名度を上げているシンガーソングライター、ビッケブランカがメジャー1stアルバム「FEARLESS」をリリースした。ファンク、R&B、ハウスミュージック、ロックなどを融合させたカラフルなサウンドメイク、ストーリー性と映像喚起力を併せ持った楽曲、オープニングからエンディングまで緻密に組み立てられた構成。
彼自身が「初フルアルバムにして最高傑作!」と胸を張る本作は、デビュー当初の“インディーポップ・シーンのピアノマン”というイメージを大きく超える充実作となった。

幅広い音楽要素を含んだ「FEARLESS」のサウンドは、言うまでもなく、彼自身のルーツに即している。親の影響で幼少の頃からマイケル・ジャクソン、ベイ・シティ・ローラーズ、チューリップなどのポップミュージックに触れていた彼は、思春期に入り、リンプ・ビズキット、リンキン・パークなどに傾倒。
20歳を過ぎてからなぜかピアノを弾き始め、ベン・フォールズ、ビリー・ジョエルといったアーティストの影響を受けながら“ピアノを弾きながら歌う、ポップでロックなシンガーソングライター”としてのスタイルを作り上げていく。
このスタイルの変遷にはさまざまな理由が潜んでいると思うが、いちばん重要なのは、これまで積み重ねたキャリア——ヘビィロック系のボーカリストから“ピアノマン”への移行——のすべてが彼自身の音楽にしっかり根付いていること。先にコンセプトを決めるのではなく、自分自身のアンテナがキャッチする音楽を取り入れながら、それをビッケブランカの楽曲へと結びつける。
その自由さと素直さこそが、アーティストとしての彼の魅力だろう。

飛び跳ねるようなリズムと裏声を使った突き抜けるメロディラインがひとつになった「Natural Woman」、オーセンティックなピアノロックのスタイルを踏襲しながら、計算され尽くした構成と意外性に満ちたオチでリスナーを惹きつける「Slave of Love」など、これまでの楽曲でもソングライターとしての特異な才能を証明してきたビッケブランカ。 「LOSING WINNER AWARDS」という架空のアワードで賞を獲得する”というコンセプトのアートワークも素晴らしい本作「Fearless」で彼は、その幅広い音楽性をより自由に発揮している。
オープンニングを飾るのは、ダーク・ファンタジー的な世界観を持ったタイトル曲「FEARLESS」。冒頭にこの曲があることで「ここから物語が始まる」というイメージを強烈に印象付けている。「FEALESS」がもたらした不穏な空気を一瞬で払拭するのが、2曲目の「Moon Ride」。
村上基(在日ファンク)、東條あづさ、武嶋総によるホーンセクションが参加したこの曲はファンクとロックが刺激なバランスで共存するアッパーチューン。昨年逝去したプリンスの影響が伝わる「Moon Ride」のプロダクションはビッケブランカの新機軸と言っていい。

アルバム中盤の軸になっている「POSTMAN」も強く心に残る。中期ビートルズ的なムードのサウンドのなかで、手紙を書く人、手紙を届ける人(POSTMAN)、手紙を受け取る人の物語が描かれるこの曲は、ソングライター(ストーリーテラーと言ってもいいかもしれない)としての彼の才能を改めて証明することになるだろう。
どの登場人物に焦点を当てるかによって、楽曲の表情ががらりと変わるところもおもしろい。

さらにヒップホップ濃度高めの「Broken」、J-POPマナーに即した切ないメロディを中心にした「幸せのアーチ」、“強いわけじゃない/強くありたいだけ/誰だってそうやって生きていく”というフレーズが響くメッセージソング「THUNDERBOLT」など個性豊かな楽曲を収録。
アルバム全体を通して1本の映画を見ているようか感覚になる構成美も、そして、沖山優司(Ba)、佐野康夫(Dr)をはじめとする凄腕ミュージシャンたちによる演奏も本作の大きな魅力だろう。

マルーン5、エド・シーランなどの海外アーティストともリンクしながら、J−POPのフォーマットを大きく広げる可能性を持ったビッケブランカ。そのポテンシャルの高さは本作「FEARLESS」によって明確に示されることになるはず。ROCK IN JAPAN、RISING SUN ROCK FESTIVALなどの大型フェスへの出演を経て、9月からはニューアルバムを携えた全国ツアーもスタート。
質の高いポップネスと誰もが楽しめるエンターテインメント性を兼ね備えたステージをぜひ体感してほしいと思う。

文 / 森朋之

その他のビッケブランカの作品はこちらへ

オフィシャルサイトhttp://vickeblanka.com

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