Interview

『アリーキャット』窪塚洋介、音楽と映画への向き合い方「役者としては本当にやりたいものを研ぎ澄ましていきたい」

『アリーキャット』窪塚洋介、音楽と映画への向き合い方「役者としては本当にやりたいものを研ぎ澄ましていきたい」

街の片隅で野良猫のように生きてきた〈マル〉と〈リリィ〉が、ふとしたキッカケで出会い、訳ありのシングルマザーを助けるために闇社会の陰謀に巻きこまれていく……。マーティン・スコセッシ監督の『沈黙‐サイレンス‐』(16)に出演し、世界的な注目を集めている窪塚洋介と、Dragon Ashのフロントマン・Kjこと降谷建志が絵になるタッグを組み、骨太でザラついたバディアクションに挑んだ『アリーキャット』。仕事でもプライベートでも大きな変化を迎え、久々の主演となる本作でさらなる飛躍を遂げようとしている窪塚洋介に、『アリーキャット』の熱い舞台裏や降谷との共演、今後の展望について語ってもらった。

取材・文 / 大谷弦 撮影 / 三橋優美子


熱くて昭和のニオイもある。建志くんと俺でやったら面白いなと思った

今作の撮影の前に、降谷建志さんに偶然出会っていたとか?

二年前の冬に知人の結婚式があって、そこで建志くんにばったり会ったんですよ。もちろんお互いの存在は知っていたんですけど、デビューから20年、リンクしてなかったんです。でもすぐに、「あれ? 俺ら初対面だよね?」ってぐらいに意気投合して、その二週間後にこの映画のオファーがきたので、これはもうガイダンスかなって感じましたね。それから、前のめりに台本を読んだんですけど、熱いし、昭和なニオイもあって、これを建志くんと俺でやったら面白いなと思いました。

タイトルにも象徴されていますが、窪塚さんが演じた〈マル〉と、降谷さんが演じた〈リリィ〉は、ある一匹の猫によって運命的な出逢いを果たし、そこから物語が展開していきます。

〈マル〉と〈リリィ〉は、お互いに猫の名前で呼び合って、何かを響き合わせていく。お互いが鍵になって、次の扉を開いて、ステージを進めていくみたいなイメージですよね。映画の中に「猫には魂が9つあって、9回生まれ変わる」っていう話が出てくるんですけど、いろんなことがあって、登場人物の一人ひとりが魂を一つ入れ替えていくような物語だと思います。

窪塚さんご自身は、猫はお好きですか?

好きですけど、飼ったことはないんですよ。小さい頃、幼なじみがものすごい大量の猫を飼っていまして、家が猫屋敷みたいになっていたので、猫に会いたかったらそこに行くっていうことはありましたね。

劇中で猫を抱っこしている姿は、慣れているようで様になっていました。

いやいや、ドキドキですよ(笑)。でも、撮影をしていく中で、猫好きの人の気持ちというのはちょっとわかりました。監督が最後のシーンを撮りながら泣いていて、現場に感動してるのかと思ったら、「飼ってた猫を思い出した」って言っていて。やっぱり猫好きな人っていうのは、猫は家族みたいな存在で、いつまでも想ってるんだなっていうのを感じましたね。

そんな猫好きの榊英雄監督の印象は?

作品に対して、すごくピュアだし、誠実で熱い想いを持っていました。その土台に俺や建志くん、(市川)由衣ちゃんや品川(祐)さんが集まって、みんなで高め合っていけた。榊さんは「どう思う?」って意見を求めてくれる人で、その都度、必要なことをみんなで話しながら進めたので、「一緒に作ってる」っていう気持ちがより強く感じられる現場でした。榊さんはもともと俳優さんなので、役者の生理を分かったうえで撮影されてるし、その安心感もすごくありましたね。

榊監督はアクションもできる方なので、ファイトシーンやスタントなど、作品に求められるアクションもレベルが高かったんじゃないですか?

そうですね。最後の方は、かなり激しいアクションもあるんですけど、すごく丁寧にやらせてもらったので、迫力のあるものができたかなって思います。でも、アクションに関しては一つだけ心残りがあって。俺が演じた〈マル〉はボクサーあがりの設定なんですけど、ボクシングに対して、ある意味でトラウマみたいなものを抱えているんですよ。そんな〈マル〉が、争いに巻き込まれて久々にファイティングポーズをとる、という画を撮っていたんですけど、そこが本編ではカットされてるんですよ。あのシーンがあったらもう3段階くらい深い表現が見せられたなって思って、ちょっとだけ残念かな。でも、タイミングや画角の問題で差し込むのが難しかったみたいです。

ボクシングのトレーニングはされたんですか?

やりました。『GO』(01)のとき以来だったんですけど、やっぱり多少は、体が覚えているなと思いましたね。現場でもずっとボクシング指導の先生がついてくれていたので、時間があるときはミット打ちとかもしてました。元ボクサーっていう部分での説得力を出したかったので、とにかく綺麗なフォームでやる、というところを意識しました。