Interview

萩原みのりと久保田紗友が初共演した映画『ハローグッバイ』で向き合った「友達という存在」

萩原みのりと久保田紗友が初共演した映画『ハローグッバイ』で向き合った「友達という存在」

誰もが思春期に抱える「友達」「学校」という問題を優しく静かに突きつける青春映画『ハローグッバイ』。孤独と秘密を抱える主人公の2人を演じたのは、ドラマ「表参道高校合唱部」のメガネ女子として人気を博し、映画『心が叫びたがってるんだ』の公開が控える萩原みのりと、NTT Docomo「iPhone・iPad」のCMで注目され、NHK朝の連続テレビ小説「べっぴんさん」の五月役に抜擢された久保田紗友。同じマネージメント事務所に所属しながらも、初共演となる本作で「初めてちゃんと喋った」という2人に改めて問いかけた。——友達ってなんですか?

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 森崎純子


「あんまり仲良くならないで」と言われていたので、
現場に入ってから仲良くなるペースが
本当にリアルなんです。

映画「ハローグッバイ」で初共演となりますが、それまではお互いにどんな印象を持ってました?

萩原みのり 同じ事務所なのでレッスンとかでは会うことはあるんですけど、一緒に芝居で絡んだこともなかったし、社内で喋ったこともなくて。私は事務所内だけじゃなく、現場でもあんまりたくさんしゃべらないタイプなんですね。

久保田紗友 確かに、話しかけづらい存在ではありましたね(笑)。年上ですし、勝手にすごくお姉さんだなって思ってました。

女優としてはどう見えてました?

萩原 大人っぽいなと思ってましたね。あとは、私が事務所に入った時に、最寄り駅に紗友ちゃんの看板が大きく貼ってあったんですよ。もともと、すごい人っていうイメージがあって。だから、レッスンで会っても、あの看板の子だ、みたいな(笑)。

久保田 みのりちゃんが出てる映画を観たりはしていました。私、自分に自信がないので尊敬してます。お芝居すごいなって。役の時のイメージが強すぎることもあって、喋りかけづらかったんですけど。

萩原 怖いの多いもんね、私。ホラーとか、血糊系が多いから。

久保田 それもあったと思います(笑)。

(笑)では、共演が決まった時はどう感じました?

久保田 まさかみのりちゃんと、こんなに近い役で共演するとは思ってなかったので、驚きました。

萩原 私は、普通でしたね。なんというか、「あ、紗友ちゃんとやるんだ」っていう(笑)。この映画の顔合わせで初めて喋ったんです。

二人はどんな関係だと言えばいいですか?

萩原 この映画の二人に似てると思います。最初はお互いのことを知っているけど、深くは知らないっていう。どういう子かっていうのは、勝手に決めた自分のイメージだけで知ってる。

久保田 知り合いだけど、友達って言い切れるほどでもないし、その中間でしたね。

萩原 はづき(萩原みのり)と葵(久保田紗友)もそうで。はづきは自分が持ってるイメージだけで構成した葵っていう子を知ってるだけで、本当はどういう子かはわからない。葵が何を考えてて、何を思っているかは、学校帰りの階段で会ったところから少しずつ、「あれ、自分が思ってたところと違ったのかな?」っていうのを知っていく。現場でもはづきと葵と同じペースで、「あれ、紗友ちゃんってこういう子だったんだ!」っていうのを感じて。リハーサル期間は「あんまり仲良くならないで」とも言われていたので、現場に入ってから仲良くなるペースが本当にリアルなんですよね。だからこそ、ちょっと気まずい雰囲気の顔が割とリアルに映されてて。完成した作品を自分で観ても、ちょっと面白かったです。自分が覚えてない表情もあったりとかして。

©2016 Sony Music Artists Inc.

撮影が進むにつれてどんな一面が見えました?

萩原 普段喋ってるのを見たことなかったから、スチールのイメージとか。お芝居の時のイメージの方が強くて。事務所に入った時からずっと<大人っぽくてしっかりしてる>と思ってたから、話してて高校生の一面が垣間見えた時に、本当に年下だったんだなっていうのを、話をして初めてちゃんと実感しましたね。

久保田 意外とふんわりしてるんだなって感じました(笑)。言い方が難しいんですけど、喋りやすいのも意外でしたし、実はいじられキャラの人なんだなっていうのも意外でした。

萩原 どの現場に行っても、いじられ側になるし、ふざけてる方が、自分として居心地がいいんですよね。デビューした時からそうなんですけど、最初は助監督さんやスタッフの人にいじられはじめて、だんだんキャストの子にもいじられるようになって。その方が楽なんですよね。だから、よく「しっかりしてそう」って言われるけど、しっかりしてる風を装ってるだけで。だいぶ、猫を被ってるから(笑)。第一印象は怖いって言われるけど、だいたい、途中で逆になるパターンが多いですね。

久保田 さらに親しみやすくなりました!

(笑)最初は仲良くならないようにしてたんですよね。

萩原 同じ事務所だけど、喋ったことがないというのが、この作品に生きるからって。同世代って、ちょっと喋るだけで仲良くなれちゃうので、まだわからない、まだ知らないっていう関係性が絵に映った方が面白いからって。だから、リハーサル期間は芝居よりも、人との距離感を監督につけてもらってて。紗友ちゃんとは気まずさをキープするっていう時間があって。元彼役の子は、付き合ってる期間のエチュードをして、そのあとに、別れた後の距離感を作ったりとか。友達グループでリハーサルをやって、学校みたいにわちゃわちゃしてみて、とか。

久保田 だから、私はリハーサルの段階では誰ともコミュニケーションを取ってないです。その場にはいて、みんなが話してるのを外から見てるっていう状況でした。

萩原みのり

自分自身について考えることにもなったし、
自分を見つめ直すきっかけにもなりました

それぞれの役柄はどう捉えました? はづきはクラスでも目立つ存在で仲良しグループと常に一緒にいるけど、誰にも悩みを打ち明けられない子で、葵は優等生だけど、親に構ってもらえない寂しさを紛らわすために万引きを繰り返してます。

萩原 台本を読んだ時に、いままでは葵側の役が多かったから、「できるなら、はづきをやりたい」と思いました。はづきはすごく自分に近くて。中学生の時は、自分の意見は絶対に言わずに、なんとなく相槌を打って、ほとんど聞いてないんだけど、「そうだよね!」って周りに必死に合わせてて。そうじゃないとやっていけなかったんです。学校の世界が全てだと思ってたから、そこに必死にしがみついてた。自分がいじめられないように周りに合わせてたんですけど、高校生になって、このお仕事を始めて、他の世界を知ってから、しがみつかなくていいんだなって、葵側の立場を知れて。二人ともにわかる部分があるんですけど、大丈夫なふりをする感じが、はづきが自分にかぶる部分があって。だから、今まで演じてきた役の中で、特別な役だなって思いますね。友達に会う時にちょっと顔が変わる感じが割と自分に近いし、似てるなって思います。

久保田 私も、両方に共感できる部分がありますね。葵は忙しい両親から構われずに育って、学校でも誰とも交わらずにいて。苦しい、辛いっていうわけではない気がするけど、日常生活で物足りなさや、どこかが欠けてるっていうのは感じてて。孤独ではあるけど、自分でどうにかしなきゃいけないって考えてる子なんだなって思って。私はいま、高校3年生で学校は楽しいんですけど、それでも、共感できる部分もたくさん詰まってて。私がまさに今、思春期に感じてることを葵も感じてて。葵を通して、自分自身について考えることにもなったし、自分を見つめ直すきっかけにもなりましたね。

久保田紗友

現在、二十歳の萩原さんにとっては学校ってどんな場所でした?

萩原 当時はすごく嫌だったんですけど、よかったなって思うことはいっぱいあって。私、中高一貫の女子校なんですけど、いじめとかも、男の子たちの目がないぶん、女の子たちはストレートでしたけど、そういうことを経験できたことが、今はよかったなって、少しポジティブに思えるようになったんですよね。
当時は、移動教室も、みんなに「早く行くよ」って言われたら、荷物を持って、必死に追いつくようにしてて。別に一人で行けるし、なんでこんなことしなきゃいけないんだろうって思ってたけど、今となったら、高校生っぽいなって、笑って話せるというか。卒業して、2〜3年経って、自分の中で笑い話にできたことで、一気に考えた方変わって。学校に通ってた時は、めちゃくちゃ疲れるし、なんでこんなこと必死にやれるんだろうって思ってたことが、あれ? みたいな(笑)。1回、通過すると変わるんだなって思うんですよね。
だから、この映画も現役の高校生に観てもらうのと、卒業した人が観るのでは全然違うと思う。女子高生が見たら異常な刺さり方をするんだろうなって。リアルすぎて笑えない。「友達だよね、私たち」って、セリフみたいだけど、高校生って本当に言ってるし。

久保田 確かに。観て心が痛くなると思います。

萩原 本音で感想を語り合えない気がする。「そうだよね」って言えない感じがある表では「ないよね〜」って言いつつ、心の中では「めっちゃ自分だな」って思ったりとか。

久保田 うん、自分も言ったことあるって、心あたりのあるセリフが多かったですね。やっぱり、絶対に誰かに合わせないと生活できないっていう環境だから。

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一歩学校の外に出るだけで世界が全然変わるんだなっていうのは、この映画で特に思いました

そんな二人が認知症のおばあさんと出会うことで、距離を縮めるとともに、学校以外の世界を広げていくことになります。

萩原 まず、外で会ってるから、周りの目がないっていうのが大きいですよね。学校だったら、「何喋ってるの?」って言われるから喋れないけど、外に出ることで、周りの目を感じずに、普段話せなかったことを喋っていて、「あれ、意外と」って思える。それが多分、二人だけだったら違うんだけど、はづき自身はほんとに悪い奴ではなくて。荷物が落ちてきたら拾うっていうことができる子で、そんな部分を見せられるのも外だからこそ。一歩学校の外に出るだけで世界が全然変わるんだなっていうのは、この映画で特に思いますね。

久保田 逆に葵は、ずっと孤独だったぶん、おばあさんと出会って、ちょっと自分の中で寄り添える場所というか、日常生活でちょっと心を温かくできる場所を見つけられたんじゃないかなって思います。

はづきも満たされているようで、孤独や秘密を抱えてますよね。

萩原 私自身もそうだったんですよ。ものすごい田舎で育ったので、中2まではそんなことを考えたこともなかった。小学生の時はクラス替えもなく、6年間、ずっと同じ30人で過ごして、いじめを経験したことが全くなくて。でも、中2の時に、周りに合わせなかったことが原因で自分がいじめられる側になって。一緒にいたグループの子が、次の日から手のひらを返すかのように変わった時に、そんなもんなんだなって感じて。
じゃあ一人でいようと思ったけど、一人でいるのも気に食わないから、「なんで一人でいんの? うちらがいじめてるように見えるからやめてよ」ってなるんですよね。じゃあ、どうして欲しいんだろうって思ったけど、そこで、ちょっと醒めたというか、一歩引いて考えるようになって。でも、中高一貫でずっと同じメンバーだから、高校生になると、それまでいじめてた子が、また元に戻って、何もなかったかのように仲良くすることもあって。「そっちはなかったことになってるかもしれないけど、こっちはなかったことにはなってないよ」っていうモヤモヤも感じたりして。
だから、私、高校の時は、普通に笑って喋ってるけど、人に相談をしたことなかったし。卒業して会う子って、その時に一緒にいた子じゃない子なんですよね。卒業してから、学校にいる時はこの子とそんなに喋ってなかったんだけどなっていう子の方が、卒業してから、意外と連絡をとったりしてて。なんか、不思議だなって、卒業していっぱい思うことありますね。

はづきと葵もそうなってほしいですね。

萩原 そっちの方があるんじゃないかなって思います。高校の時は、卒業した後も、「一緒にいるよね」の確認があるんですけど。

久保田 ある〜(笑)。今、真っ只中です!

萩原 いや、知らんがなって思いますよね。<ずっ友>ってプリクラに書いたりしたけど、ずっと友達かどうかはまだわかんないじゃないですか。でも、その確認をし合わないと、不安になる。みんなちょっと寂しいんだろうし、弱いんだろうし、一人になるのが怖いんですよね。この子は親友ってお互いに言い合える子がいないと怖いし、教室で「二人組を作ってください」って言われた時に一人になりたくないから、常にグループを組んでる。だから、みんな、「3人組は怖い」って言って、4人でいるんですよ。そんな変な話ないじゃないですか。普段、一緒にいる子を人数で考えるっていう。

久保田 ……怖い。あはははは。

萩原 そういう時に考えさせられますよね。ん? 友達? って。

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