ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学(せいがく)vs立海  vol. 2

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青学(せいがく)vs 立海の限界を越えた名勝負。ミュージカル「テニスの王子様」3rdシーズン熱戦レポート

青学(せいがく)vs 立海の限界を越えた名勝負。ミュージカル「テニスの王子様」3rdシーズン熱戦レポート

いよいよ3rdシーズンも関東大会決勝戦に突入! ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学(せいがく)vs 立海が、7月14日(金)よりTOKYO DOME CITY HALLにて開幕した。3rdシーズン初登場となる王者・立海の全貌は? 果たしてどちらが関東ナンバー1の称号を手に入れるのか? 期待と注目の渦巻く頂上決戦の模様を、熱く激しくレポートする。

取材・文 / 横川良明


戦い尽くすダブルス。可能性を諦めない青春の煌めき

冒頭、闇の中から聞こえる、ラケットがボールを弾く乾いた音。徐々に高まるオーディエンスの歓声。「常勝 立海大」の声援が、これから始まる熱戦を煽るようにして繰り返される。そして、ステージ中央に浮かび上がる8人のシルエット。これが、“最強”の名を欲しいままにする王者・立海だ。壮大なナンバーに乗せて、貫禄たっぷりに登場し、観客の網膜にその雄姿を焼きつける。

『テニスの王子様』の魅力のひとつは、何と言っても逆転に逆転の次ぐ試合展開。次々と現れる強敵を前に防戦一方かと思いきや、土壇場で底力を発揮し、劣勢を覆していく様は、何度見ても胸が躍る。あるいは、序盤で主導権を握り、このまま一気に勝利へ猛進するかと頬が緩んだ瞬間、対戦相手がヴェールを脱ぎ捨て、真の力を見せつけたときの無力感たるや、見ているこちらまで茫然自失の状態となる。

そんなめまぐるしい興奮と恐怖を味わえるのが、この青学(せいがく)vs 立海公演だ。天才的なボレー技術を駆使する丸井ブン太(大薮 丘)に翻弄される桃城 武(吉村駿作)・海堂 薫(牧島 輝)ペア。起死回生で繰り出した海堂の“ブーメランスネイク”を、ジャッカル桑原(川﨑優作)がいとも簡単に打ち返した瞬間の衝撃は、まるで一瞬、時間が止まったかのよう。

続く、大石秀一郎(松村 優)・菊丸英二(永田聖一朗)vs 仁王雅治(後藤 大)・柳生比呂士(大隅勇太)の対決でもその混乱は一層深まる。柳生の秘技“レーザービーム”を克服し、大石・菊丸の黄金(ゴールデン)ペアがリードをとったかとガッツポーズをした瞬間、その喝采は失意へと暗転する。そこで明かされる仁王の“イリュージョン”。自分たちは、王者の掌の上で躍らされていただけなのか。超人的な能力を持った相手を前に、芽生える感情に名前を付けるなら、それは“絶望”。完膚なきまでに青学(せいがく)チームを蹂躙する立海が、“絶望”という名のショットを観客に叩きつける。

だが、そこで終わらないのもまた『テニスの王子様』の爽快感のひとつ。試合終了とともに、腕を掲げる丸井・ジャッカルペア。それは、決して己の実力を誇示するものではない。その手首には、ハンデとしてつけられていたパワーリストはもうなかった。自分たちを本気にさせた宿敵(とも)への敬意の印。ほんの短い場面ながら、その一瞬でコートに爽やかな感動の風が吹く。

大石・菊丸ペアも、決して“絶望”に屈したまま終わりはしない。躍動感のあるナンバーに鼓舞されるように、大石が走り、菊丸が打つ。たとえ個々の能力では相手にかなわなくても、2人なら戦える。ダブルスの無限の可能性を信じ、“絶望”から這い上がる姿に、青春の煌めきを見た。

逆襲のシングルス。敵が強いほど、自分ももっと強くなる

そこからのシングルスも名勝負が相次ぐ。乾 貞治(加藤 将)と柳 蓮二(井澤巧麻)のデータテニス対決は、かつてのダブルスパートナーの再会の場でもあった。小学生時代、たった一度だけ対戦した2人。しかし、その勝負は結局決着を見ないまま幕切れとなった。数年の時を経て、もう一度相まみえる旧友。どこかノスタルジックな一戦に胸が締めつけられる。

不二周助(定本楓馬)と切原赤也(前田隆太朗)の対決は、自分自身との闘いにも見えた。勝利への執着に欠けていた不二。その不二が初めて本気になって挑んだ試合。しかし、思わぬアクシデントにより一時的に視力を失ってしまう。目が見えないなかで、どうやってテニスをするというのか。ざわめく仲間たちを前に、眠れる天才が目を覚ます。一方、切原もまた天才上級生を相手にずっと辛酸を舐めてきた。こんなところで屈するわけにはいかない。ぶつかる意地と意地。すさまじき執念が、死闘を呼ぶ。ボールがコートを叩きつけるたびに、彼らのむきだしの想いが見る者の胸に刻み込まれる。どちらも負けるな。どちらも勝て。そんな相反する感情に葛藤しながら、決着の時を見守ることになるだろう。

そして、いよいよ試合は最終戦へ。ついに現れた中学最強プレイヤー・真田弦一郎(田鶴翔吾)。対するのは、もちろん越前リョーマ(阿久津仁愛・にちか)だ。冒頭から“無我の境地”で挑むリョーマに、皇帝・真田も究極奥義“風林火山”を炸裂させる。超人級の力。限界を迎える肉体。戦意喪失してもおかしくない絶体絶命の状況のなかで、リョーマがとった行動は──まさに“絶望”との戦いであるこの立海戦を象徴する、リョーマの逆襲劇。ここはもう、あえて多くは書き残さない。敵が強ければ強いほど、自分ももっと強くなる。そんな『テニスの王子様』らしい魂の激闘を劇場で感じ取って欲しい。

負けてはならない。王者のプライドと挑戦者の覚悟がぶつかり合う

この立海戦の中で印象的だったのは、この戦いは両校の「負けてはならない」という想いのぶつかり合いだったということだ。「勝ちたい」でも「負けたくない」でもなく「負けてはならない」。それは無敗の王者のプライドでもあるし、背水の陣に追い込まれた挑戦者の覚悟とも言える。だが、それだけでは決してない。「負けてはならない」という想いの向こう側にあるもの。それは、共に戦う仲間の存在だ。この試合では、両校ともに不在のリーダーがいる。怪我により戦線離脱中の手塚国光(宇野結也)。そして、この試合当日に手術を迎える幸村精市(立石俊樹)だ。不在の仲間に捧げたい唯一のもの。それは、関東大会優勝のトロフィーただひとつ。だから、負けてはならない。そんな友情がまた彼らを強くさせているのだ。

それぞれの想いを乗せて、ラケットを振るう青学(せいがく)&立海。ジャンプショットの跳躍は美しく、必死のスライディングは泥くさく眩しい。一球打ち返すごとに熱が高まるような激戦に、劇場全体を“ゾーン”に入ったような集中が支配する。

ミュージカル『テニスの王子様』の醍醐味である音楽も、11曲の新曲が加わり、ますますパワーアップ。立海公演だけあってラスボス感溢れる重厚なナンバーを中心に、軽快なポップスも充実しており、聴いているだけで楽しくなる。

俳優陣も、真田役の田鶴翔吾が低音ボイスをしっかり聴かせて、真田のいかめしい言葉遣いを忠実に再現。「たるんどる」という厳格な物言いが、ここまで似合う中学生も恐ろしい。また、菊丸役の永田聖一朗のアクロバティックな動きも印象的。特に、気絶状態から復活するときの鮮やかな立ち上がり方は、まさに漫画そのもの。隠れた名場面のひとつとして挙げておきたい。そしてリョーマ役の阿久津仁愛(にちか)が、終始座長としての存在感を示し、観客を惹きつけた。「ねえ」という声のかけ方から、ボールを追うその俊敏な動きまで、しっかりと役を研究し、阿久津仁愛(にちか)の越前リョーマをつくり上げている。これから51公演、ステージを重ねていくごとに、ますます進化していく姿を見ることができそうだ。

全51公演、決勝にふさわしい試合を見せたい

囲み取材では、阿久津仁愛(にちか)、宇野結也、立石俊樹、田鶴翔吾が登壇。阿久津が「今回の立海公演は僕にとって初めての試合がありすごくワクワクしている」と声を弾ませれば、宇野が「関東大会決勝の立海公演。今までの経験をしっかり糧にして、ミュージカル『テニスの王子様』の魅力を全国、そして上海のみなさんにお届けしたい」と部長らしく抱負を語った。

一方、見どころについて立石は「僕が演じる幸村の歌。歌っているときの表情にも注目して欲しい」とアピール。田鶴も「リョーマvs真田のシングルス1の試合の中で、自分が繰り出す“風林火山”という技があるんですが、その演出に注目していただきたいと思います」と自信を見せた。さらに阿久津は「みんなで毎公演大切にして、何としても無事に全公演駆け抜けられるように頑張ります」と力強く宣言。宇野も「決勝にふさわしい試合になるように、メンバー一同、精一杯努めてまいります」と引き締まった表情で決意を述べた。

ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学(せいがく)vs立海は7月14日(金)よりTOKYO DOME CITY HALLにて上演。その後、大阪、愛知、福岡、宮城、上海と巡演し、9月22日(金)よりTOKYO DOME CITY HALLにて凱旋公演を果たす。暑い夏に負けない灼熱のドラマに、あなたも熱く燃え上がって欲しい。

ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学(せいがく)vs立海

<東京公演>2017年7月14日(金)~23日(日)TOKYO DOME CITY HALL
<大阪公演>2017年8月3日(木)~13日(日)大阪メルパルクホール
<愛知公演>2017年8月26日(土)~27日(日)名古屋国際会議場 センチュリーホール
<福岡公演>2017年9月2日(土)~3日(日)福岡サンパレス ホテル&ホール
<宮城公演>2017年9月9日(土)~10日(日)多賀城市民会館 大ホール
<上海公演>2017年9月15日(金)~17日(日)虹橋芸術中心
<東京凱旋公演>2017年9月22日(金)~10月1日(日)TOKYO DOME CITY HALL

【原作】許斐 剛『テニスの王子様』(集英社 ジャンプ コミックス刊)
【オリジナル演出】上島雪夫
【演出補佐】三浦 香
【脚本/作詞】三ツ矢雄二
【振付】本山新之助/上島雪夫

【出演】
<青学(せいがく)>越前リョーマ 役/阿久津仁愛 手塚国光 役/宇野結也 大石秀一郎 役/松村 優 不二周助 役/定本楓馬 菊丸英二 役/永田聖一朗 乾 貞治 役/加藤 将 河村 隆 役/鈴木雅也 桃城 武 役/吉村駿作 海堂 薫 役/牧島 輝 堀尾聡史 役/相馬眞太 加藤勝郎 役/奥井那我人 水野カツオ 役/畠山紫音

<立海>幸村精市 役/立石俊樹 真田弦一郎 役/田鶴翔吾 柳 蓮二 役/井澤巧麻 仁王雅治 役/後藤 大 柳生比呂士 役/大隅勇太 丸井ブン太 役/大薮 丘 ジャッカル桑原 役/川﨑優作 切原赤也 役/前田隆太朗

<六角>葵 剣太郎 役/矢代卓也 佐伯虎次郎 役/二葉 要 黒羽春風 役/陽向謙斗 天根ヒカル 役/坂垣怜次 樹 希彦 役/高木眞之介 木更津 亮 役/佐藤祐吾 首藤 聡 役/千葉冴太

【主催】テニミュ製作委員会
オフィシャルサイト
©許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト
©許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会

原作コミック『テニスの王子様』

『テニスの王子様』24巻

著者:許斐 剛
出版社:集英社 ジャンプ コミックス

vol.1
vol.2
vol.3