Review

『ハコニワカンパニワークス』はシミュレーションRPG×クラフト

『ハコニワカンパニワークス』はシミュレーションRPG×クラフト

2017年7月13日に日本一ソフトウェアからリリースされたPlayStation® 4向けタイトル、『ハコニワカンパニワークス』(以下、『ハコニワ』)。『マインクラフト』に代表されるクラフトゲームに、シミュレーションRPGを組み合わせるという異色の発想が話題を呼んでいる意欲作だ。

本稿では、『ハコニワ』のシミュレーションRPGとしての斬新さを追求していく。もうひとつの目玉であるクラフト要素については、次回の記事で触れていく。

文 / 村田征二朗


マップを破壊し、増築するという新たな戦略

ブロックで構成されたマップを破壊し、回収した素材を組み合わせてさまざまなアイテムを作り、自分だけの建物やオブジェを作り上げていくクラフトゲーム。シンプルながら際限のない遊びを提供してくれるこのゲーム形式は、いまやRPG、アクション、レース、パズルなどと並んでメジャージャンルになったと言えるでしょう。しかしジャンルの性質からか、クラフトゲームと言えばアクション、とゲームデザインが限定されている印象は否定できません(だからと言ってそれが面白さを損なうわけではありませんが)。

そんな若干のマンネリとも言える状況を迎えつつあったクラフトゲーム界に一石を投じたのが、日本一ソフトウェアの『ハコニワ』です。クラフトゲームとシミュレーションRPGを組み合わせるという斬新さは発表当時から話題を呼びました。クラフトゲームの経験はあまりなくとも、同社の『ディスガイア』シリーズを全作プレイしている筆者としては、はたしてどんなシミュレーションRPGになるのかと非常に注目していたタイトルです。

▲こちらは本作の公式サイト。癒し系イラストに心を惹かれる人も多いのではないでしょうか。ストーリーも絵本のようであり、老若男女問わず魅了してくれます

本作のクラフト要素については次回の記事で触れるとして、まずは“マップを破壊できるシミュレーションRPG”という本作の新しさについて触れていきましょう。シミュレーションRPGと言えば、マップ上の味方キャラクターをコマのように動かし、敵キャラクターを倒していく、という戦闘が一般的です。マップ上に破壊したり移動させたりすることのできるオブジェクトがあることはそこまで珍しくはありませんが、マップそのものを破壊できるという作品は聞いたことがありません。

『ハコニワ』では戦闘中に攻撃やスキルによってマップを形成するブロックを破壊していき、それがクラフトの素材となるわけですが、マップの破壊は単なる素材収集手段に留まらず、プレイヤーの戦略にまったく新しい選択肢を与えてくれる要素となっているのです。筆者が気に入っている本作ならではの作戦として、敵を穴にはめて一方的に攻撃するというものがあります。本作のキャラクターは基本的に1段ずつしかブロックを上ることができず、2段以上の段差は攻撃などでブロックを削らない限り上ることはできません。そのため、相手をブロック2段ぶん以上の穴に落とし込んでしまえば、相手の反撃を心配せずに攻撃をしかけることができてしまうのです。

▲敵キャラクターは基本的に移動のためにブロックを掘ったりしないので、一度穴に落としてしまえばこちらのものです

また、マップは壊すだけではなく、取得したブロックを配置することで拡大していくこともできます。一見遠回りしないといけないような道も、ブロックを配置して橋を作ってしまうことでショーカットができるようになるのです。ブロックを階段状に積み上げていけば、高い位置にいる敵を攻めることや、敵を穴に落とすのとは逆に自分が高みに上ることで地の利を得ることも可能です。あるいは、自分の周りにブロックを2段以上積み重ねてしまえば、敵は段差を越えて接近することができないため、剣などによる直接攻撃を封じ込めることもできてしまうなど、マップを活用することで移動、攻撃、防御と、あらゆる戦略を有利に運ぶことができるのです。

▲ブロックを使えば敵を落とすよりも楽に安全圏からの一方的な攻撃が可能となります。卑怯は誉め言葉!

マップの破壊や拡大を活かした戦法は、基本的にプレイヤーの特権となっており、本作の敵がこれらの作戦を使用することはありません。そのため、シミュレーションRPGに慣れていないプレイヤーにとっても本作の戦闘は難しいものではありません。ブロックが砕け散る演出の爽快さもあって、マップ破壊はそれだけでも面白いものです。また、マップに干渉して自分なりの進行ルートや戦略を発見するという遊びはいままでになく、シミュレーションRPG好きで多くの作品をプレイしてきた人でも新鮮な面白さに出会うことができます。

正面突破が難しい敵であっても、地形の調整次第で一切ダメージを受けることなく倒すことができてしまうのは、本作ならではの攻略であり、その戦略を自分で思いついたときの優越感はほかの作品にはないものです。そういう意味で、本作はクラフトゲームとしても、シミュレーションRPGとしても新たな可能性を引き出している作品です。贅沢を言えば、筆者としては敵もマップ破壊や拡大を駆使してくるような戦闘ならば手応えがあって面白そうなのですが、そこは『ハコニワ』の続編に期待したいところです。

▲マップをここまで無残に破壊できてしまうのは本作ぐらいでしょう。ゲーム後半に覚えるスキルでまとめてブロックを粉砕するのはまさに快感です