Interview

新しいけど懐かしい。『魔法陣グルグル』 OPテーマを歌うORESAMAのめざす音楽

新しいけど懐かしい。『魔法陣グルグル』 OPテーマを歌うORESAMAのめざす音楽

ディスコなどの80s’カルチャーを「憧れ」として取り込み、レトロでありながらも新しい音楽を発信する、ボーカル・ぽんとトラックメイカー・小島英也による男女2人組ユニット・ORESAMA。7月26日(水)にTVアニメ『魔法陣グルグル』のOPテーマ「Trip Trip Trip」をリリースするふたりに、そのルーツやユニットがめざすもの、そして新譜に込めた思いについて聞いた。

インタビュー・文 / 青木佑磨(クリエンタ) 撮影 / 山本哲也


ナイル・ロジャースのギターに惚れて
そういうサウンドで曲を作りたいと思ったんです(小島英也)

80’sディスコを取り入れた楽曲や、レトロなビジュアルイメージで活動しているORESAMAですが、若い世代のお二人がなぜ現在の方向性に行き着いたのでしょうか?

小島英也 80’sディスコに辿り着く前は、元々アコギだけで曲を作っていたんですよ。その後本格的にトラック作りに手を出した時に、ディスコ……特段ナイル・ロジャース※というギタリストが好きなんですけど、彼のギターに本当に惚れてしまって。それで自分もこういうサウンドで曲を作りたいと思い始めたんです。

※ナイル・ロジャース:ファンクバンド・シック(Chic)のギタリスト、ソングライター。マドンナ『ライク・ア・ヴァージン』、デヴィッド・ボウイ『レッツ・ダンス』などのプロデューサーとしても知られる

たしかに言われてみれば、ギターのサウンドなどからナイル・ロジャースの片鱗を感じますね。

小島 ギターのカッティングやグルーヴ感、70~80’sにかけてのバブルの雰囲気には影響を受けていると思います。僕らは90年代生まれなのでバブルを体験していないんですけど、あの時代の音楽の景気のいい感じに憧れがあるんですよ。

ナイル・ロジャースに至るまでには、どんな変遷を辿ってきたのでしょうか?

小島 ギターを始めた中学生の頃は、ボン・ジョヴィやディープ・パープルなんかを聴いていました。邦楽だとBUMP OF CHICKENや椎名林檎さんが好きでしたね。メロディが美しいアーティストに憧れて曲を作り始めて、周りから「トラックも作ってみたら?」と勧められたのをきっかけにトラックに耳を傾けて音楽を聴くようになったんです。そのうちに「このギターいいな」と思う曲があって、それを弾いているのがナイル・ロジャースだったんですよ。それがダフト・パンクの「ゲット・ラッキー」だったので、出会いはわりと最近なんです。

ぽんさんの好みのルーツはどんなものなのでしょうか?

ぽん 私は80~90年代のアニメがすごく好きなんです。子供の頃からずっとCSで昔のアニメをたくさん見てきたので、その時代の作品が好きで、小島くんは70~80年代の音楽が好きで、でも私たちは現代に生きているという。それで80年代と現代を掛け合わせたイメージをダイレクトに伝えられないかということで、デビュー当時からうとまる※さんにアートワークをお願いしているんです。

※うとまる:イラストレーター、グラフィックデザイナー。アメコミを彷彿とさせるポップなイラストレーションで、ポップカルチャーシーンで活躍するアーティストへのアートワーク提供も行なう

音楽はどういったものがお好きでしたか?

ぽん 曲に関しては、私は青春が全部フジファブリックなんですよ。「若者のすべて」で出会って、そこからずっと聴いてましたね。言葉遊びがとても面白くて、パッと聴いてちゃんと理解できなくても歌詞が耳に残るんですよ。

自分たちより上の「80’sがリアルタイムの世代」と、同世代や若い世代に向けて、ORESAMAのアピールポイントはどんな部分にあると思われますか?

小島 僕らより年上の方々に、実際に「懐かしい」と言ってもらえることがあるんですよ。上の世代を参考にして音楽を作っているので、そう言ってもらえるのは本望です。逆に僕も含めた若い世代の方たちにとっては、このサウンドはとても新鮮だと思うんです。実際に今、僕らと同世代のアーティストにはディスコやシティポップのような、生まれる前の音楽を体現している人がたくさんいて。そういう流れがあるので、80年代の音楽のかっこよさをさらに下の世代にも伝えていければと思っています。

ぽん 私はライブがすごく重要だと思っているんです。CDをリリースしたら曲を伝えることはできますけど、作った曲を一緒に体感して楽しめる空間はライブしかないじゃないですか。なのでとにかくライブで皆で踊って楽しんで、また明日からも頑張ろうと思えるような曲をもっと作りたいですね。

小島 ORESAMAは「お客さんと一緒に楽しむ」ということがテーマのひとつとしてあるんです。なのでステージと客席全体で楽しめる空間が作れればと思っています。

お二人よりも少し上の世代のアーティストは、内省的だったり「楽しいだけじゃない」という姿勢の方も多かった印象なのですが、その時代を経てORESAMAが今「みんなと一緒に楽しめる音楽」を求めているのは面白い変化だなと思います。

小島 僕が映像で見たディスコってそうだったんですよね。ライブハウスって、実際に行くまでは怖い場所だと思ってたんですよ。でも映像の中のディスコは、すごく楽しそうで明るい場所だったんです。みんながそれぞれ違う踊りを踊って、お酒を飲んでいる人がいたり。僕らもそういうふうに、ひとつの楽しくて明るい空間を作り出せたらいいなと思っているんですよ。時代的に実際に行けたわけじゃないんで、憧れに近い感覚なんですけど。

ディスコサウンドを取り入れた楽曲は数多くありますが、「映像で見て憧れた、あのディスコを自分たちで作る」という目標はとても素敵ですね。

小島 ありがとうございます。そういう場所を作りたいと思っているので、ぜひ実際にライブに足を運んでみてもらいたいですね。